時計の針は進んでいる。
どうしようもなく進んでいく。
決して止めることも、巻き戻すこともできはしない。
あいつが前に進んでいくことを、俺は止めることができない。
でも、俺はここにいる。
ここにいて、あいつに会いたいと思っている。
その妄執が、俺とあの若造とを分けた境界線であるのだとしたら、それならば。
…いや、きっと、奴には二度と会うことはないだろう。
俺も前に進もう。
閉ざされた扉に背を向けて。
店の扉には『CLOSED』と書かれた札が下がっている。