1ラウンド

GM
今回のお茶会は2ラウンド。お茶会MOD『PK追加行動』を適用します。
ということで、PKからの横槍はなし。代わりにPKが計5回動きます。
GM
一応再掲しますが、このシナリオは特殊型です。
GM
行動順は基本的にみなさんで相談して決めていただいて大丈夫ですが、相談の後も希望がカブっていた場合はダイスを振って、目の高い方が手番を行います。
GM
反対に、誰も手番を行いたくない場合は、やはりダイスを振って出目の低いほうから手番を開始することとします。
GM
それから、このシナリオには『クエスト』が存在します。
クエスト 『愛の確信』
概要 第七の扉を訪れ、『真夜中の妻』が持つ『青髭公』への想いに疵をつける。

目標値 10
消滅条件 1回成功するか、お茶会終了と同時に消滅。

成功 『真夜中の妻』は青髭公との愛に疑念を抱く。裁判開廷時、配下『真夜中の妻』のHPを-4する。
失敗 『真夜中の妻』は青髭公との愛に確信を抱く。裁判開廷時、配下『真夜中の妻』のHPを+2する(この増加は2回目まで累積する)。
放置 『真夜中の妻』には会わず、彼女の想いは闇に包まれたまま守られる。
GM
最後に、シーン表。
1:第一の扉 拷問部屋。ここしばらく使われた形跡はないが、壁には血の跡が残っている。
2:玄関ホール 二階への階段を備えた広いホール。薄暗い空間に、蝋燭の火が揺れている。
3:第二の扉 武器庫。並んださまざまの武器に、古い血がこびりついている。
4:前庭 枯れた噴水の周囲に白い石が敷かれている。今は門扉が閉ざされている。
5:第三の扉 宝物庫。黄金と宝石、絵画に彫刻。そして、それらを汚す小さな血痕。
6:食堂 広々とした室内を、薄暗いシャンデリアが仄かに照らしている。
7:第四の扉 秘密の庭園。瑞々しい白薔薇が咲いている。柔らかい土を踏むと、じわりと赤い血が滲む。
8:図書室 本棚に古びた本が整然と並んでいる。深い緋色のソファがいくつか点在している。
9:第五の扉 遥かな山河。どことも知れぬ『青髭公』の領土。空には血のような色の雲が掛かっている。
10:ベッドルーム 誰かの寝室、あるいはゲストルーム。窓の外は霧に包まれている。
11:第六の扉 涙の湖。銀に輝く湖に、泣き声のような風が吹いている。ここでは何故、こんなに悲しくなるのだろう?
12:礼拝堂 窓のない漆喰塗りの空間。祭壇には摩耗した神の像が置かれている。

0:第七の扉 常にはくらやみが眠っている。
GM
第七の扉は通常入ることができません。
さきほど掲示したクエストに挑戦するときだけ侵入できます。
GM
情報はそんな感じ。
GM
ご質問あれば随時聞いてください。
夜明けの妻
ハーイ
プリシラ
はーい
夜明けの妻
こいつらイカもちすぎ
GM
なんでティーセット1個しかないんですか?
プリシラ
PK追加行動だとそんなに必要ないから……
夜明けの妻
ワカンニャイ
玄椎 貞女
抉りが嫌だから……
プリシラ
でも今思うと横槍にティーセットって要るんだな……と思うんですけど
プリシラ
組んだ当時はまあ通るやろ横槍って気分で……
プリシラ
通らないんですけど……
夜明けの妻
とおして
GM
頑張って。
GM
まあともあれ、お茶会スタートです。
夜明けの妻
ワアッ
GM
初手どなたからいきますか
夜明けの妻
私がやるとすればクエストおよび抉りなんですが
あっそういえばPK?の疵とかあるのか?
GM
あっ、出してなかった
プリシラ
公にも疵がある
GM
出します
GM
各自ご参照ください。
玄椎 貞女
初手は私が行こう。
GM
OK!
GM
GM
*第1ラウンド 玄椎 貞女
玄椎 貞女
1d12 シーン表 (1D12) > 9
9:第五の扉 遥かな山河。どことも知れぬ『青髭公』の領土。空には血のような色の雲が掛かっている。
玄椎 貞女
五つめの扉は『青髭公』の領地。
玄椎 貞女
三人の妻たちは、七つめの扉以外には入ることを許されている。
玄椎 貞女
城内を見回るついでに、息抜きとして出入りするによい場所はいくつかあった。
玄椎 貞女
この五つめの扉はそのひとつ。
GM
遠く見晴かす山河。風の音、水の音。
玄椎 貞女
風が膚をゆるやかに叩いていく。
GM
本当にあるのか、それともまぼろしなのか、定かでない。
玄椎 貞女
あの男の心の疵をおぼろげにでも感じて、それでよしとしていた。
玄椎 貞女
それで、こちらもあちらもこの体たらくとは。
玄椎 貞女
息を吸う。公と自分たちは、夫と妻という契約関係。
玄椎 貞女
公の愛を受け取り、庇護を受け、生活を維持し、これまでやってきた。
玄椎 貞女
それは、真夜中の妻が来ても変わることはなかったのだが……
玄椎 貞女
いささか、居心地の良さを守るために、穏便にやりすぎたのかもしれない。
玄椎 貞女
この堕落の国に落ちてきて、二度と会うことはできないだろうと諦めた、分かたれた家族のことを、この場所に見出しているゆえに。
玄椎 貞女
こうして踏み出すにも、気合を入れる必要があった。
玄椎 貞女
「…………よし、行くか」
玄椎 貞女
身をひるがえし、歩き出す。目指すは──公とユディットがいるであろう、七つめの扉へ。
GM
城の中は基本的に静かです。小さいとはいえ、城の中に五人きり。
玄椎 貞女
勝手知ったる城内を、いつもの通りに大股に歩いていく。
玄椎 貞女
いつもは前を通り過ぎるだけの七つめの扉の前へ立つ。
GM
扉も、鍵も、開けたことはない。そこに何があるのか知らない。
玄椎 貞女
これまで約束を守ってきた。
玄椎 貞女
だがそれも、今日までだ。
玄椎 貞女
我々のあいだに結ばれていた無形の約束。
玄椎 貞女
暗黙の了解を破っているのは、あの男の方なのだから。
GM
さて。一応、鍵はかかっていますね。
GM
ただ、扉の向こうには人の気配がある。
玄椎 貞女
拳で扉を軽く叩く。
GM
どこか虚ろに響く音。そして、重く鍵の回る音。
『青髭公』
「……夕暮れか」
玄椎 貞女
「そうだ」
玄椎 貞女
「なぜここに来たか、分からぬお前と信じたいところだが……」
玄椎 貞女
槌を携えたまま、腕を組む。
玄椎 貞女
「さて、どうだろうな。あそこで話を打ち切り、ユディットと立ち去ってしまったお前だ」
玄椎 貞女
「すっかり、耄碌してしまったかもしれん」
『青髭公』
「……お前たちにすまないとは、思っているよ」
玄椎 貞女
「だが、ユディットに弁えさせることもできないか」
玄椎 貞女
「あの娘は一心にお前を頼り、求めている」
玄椎 貞女
「末裔であるプリシラよりもずっとな」
『青髭公』
「ああ。……弱い女だ」
玄椎 貞女
「弱い女は、護ってやらねばならない」
玄椎 貞女
公の考えを継ぐように言葉を吐き出す。
『青髭公』
「……そう。弱いからというだけではないが」
玄椎 貞女
「弱いから、というのとは別問題にして、お前がいなければ生きてゆけないから?」
『青髭公』
「……見出してしまったから」
玄椎 貞女
「……」
玄椎 貞女
何を、とは問わず、続きを待つ。
『青髭公』
「お前たちを見出したのと同じように」
『青髭公』
「ユディットのことも、また、見出してしまった」
『青髭公』
「……お前たちを私の運命だと思うのと、同じほど」
『青髭公』
「彼女もまた、そうなんだよ」
玄椎 貞女
「それは本当に、同じほどなのか?」
玄椎 貞女
「お前の愛を、私は疑ってはいないよ」
玄椎 貞女
「この堕落の国で、女を見出し、妻として、この城に住まわせて共に暮らす」
玄椎 貞女
「それはお前には、実利よりも、危険の多い行為だと私は思う」
玄椎 貞女
「それでもお前がせずにいられないのは、やはり愛あればこそなのだろう」
『青髭公』
じっと見つめて聞いている。
玄椎 貞女
「だが……同時にこのところは、その愛の多寡を感じている」
玄椎 貞女
「……そのこと自体はいいのだ」
玄椎 貞女
「我々はほかならぬ、お前の妻であることを受け入れ、お前の妻として生きることを決めた」
玄椎 貞女
「四人いる妻の中で、お前のお気に入りができることは、避けがたいとすら思っている」
玄椎 貞女
「三人いたときに、平等に感じていたことのほうが、むしろ奇跡だったとも」
玄椎 貞女
「私が疑念を抱くのは……お前がそれでも、同じほどと言い張るところだ、私の夫よ」
玄椎 貞女
「愛が偏っているのならば、体裁など保たずにそう言ってくれればいいのだ」
玄椎 貞女
「それを、言いつくろってしまうから、軋みがずっと起こっている」
玄椎 貞女
「正直に話してくれ、青髭公」
玄椎 貞女
「お前がかつて見出した、私たちへの愛は減じてしまい……」
玄椎 貞女
「その減った分の愛を、ユディットに見出して、注いでいるのではないのか?」
玄椎 貞女
*『青髭公』の疵、守られなかった約束を猟奇で抉ります。
GM
はい。
玄椎 貞女
*同時にクエストを宣言し、ティーセットを使用します。
GM
いいでしょう。クエストの目標値は10です。
玄椎 貞女
2d6+3+2>=10 猟奇判定 (2D6+3+2>=10) > 12[6,6]+3+2 > 17 > 成功
GM
*スペシャル!
GM
PCがお茶会中の判定でスペシャルを起こした場合〔自身の所有する六ペンス/2〕までの価値の小道具を1つ入手します。
玄椎 貞女
*今使ったティーセットをまた獲得します
GM
OK
GM
では、差し引き。
GM
青髭公の『守られなかった約束』は抉れました。
GM
クエストも成功ですね。
[ 『青髭公』 ] 守られなかった約束 : 0 → -1
玄椎 貞女
赤い瞳が青髭公を射抜く。
玄椎 貞女
──自分はこの城で営まれる生活を愛していた。
玄椎 貞女
だからこそ、それを破壊し得るものがいたら許せなかったし、
玄椎 貞女
それがほかならぬ自分たちを見出した夫であるのなら。
玄椎 貞女
……愛情が怒りに変わるほどであった。
『青髭公』
「…………」 その視線をじっと受け止める。
玄椎 貞女
「どうなのだ。青髭公。我が夫、いや……我らの夫」
玄椎 貞女
「もし、このうえさらに嘘をつき、なまなかな取り繕いをするのなら、
 私はお前でも許さんぞ」
『青髭公』
「……それでも」
『青髭公』
「愛しているんだ」 溜息のように。
『青髭公』
「私は、お前たちの望みを叶う限り叶えたいと思っているよ」
『青髭公』
「だが……真夜中が『ただ一人』を望んだとき、私は、それを本当には叶えてやれない」
玄椎 貞女
「……」
玄椎 貞女
「それでも、できる限りは叶えてやりたいと……」
玄椎 貞女
「お前はそう思っていると、そう言うのだな」
『青髭公』
「……できる限り、してやりたいと……お前たちのみなに、思っているんだ」
『青髭公』
「……だが、それで」
『青髭公』
「お前たちに、……」
『青髭公』
「……お前たちとの生活に、罅を入れてしまった」
玄椎 貞女
「そうだ」
玄椎 貞女
貞女がコインから引き出す力は猟奇。
玄椎 貞女
この共同体、一人の夫と妻たちの日々に罅が入れば、それは心の疵に触れる。
玄椎 貞女
今もなお聞こえてやまない外の川の流れが激しくなっているのと同じように、貞女の猟奇性も引き出されつつあった。
玄椎 貞女
それでも、それを抑えて獣の唸るような声で貞女は言う。
玄椎 貞女
「……お前が、そのような事態を招いた」
『青髭公』
「ああ」
玄椎 貞女
「それを分かってなお……」
玄椎 貞女
「お前は、その在りようを変えられず、等しく愛を注いでいると……」
玄椎 貞女
「その言葉に、私たちが感じるむなしさを分かりながら、そう言うのだな」
『青髭公』
「…………ああ」
『青髭公』
「なかったことにはできない」
『青髭公』
「今この現状も、……それでも愛していることも」
玄椎 貞女
「……」
『青髭公』
「いっそ、愛を減じることができたら、忘れることができたら」
『青髭公』
「……いや」
『青髭公』
「……できないから、……」 ふと溜息に紛れる言葉。
玄椎 貞女
「…………」
玄椎 貞女
自分たちを愛すると言った男。変わらず愛していると言った男。
玄椎 貞女
その男の疵に、自分が想像していた場所よりも深く、無遠慮に触れていることに気が付いて、ふと目を伏せる。
玄椎 貞女
──カン!
玄椎 貞女
城の床と槌の柄の先がぶつかり、硬い音を立てる。
玄椎 貞女
「聞いていたな、ユディット、真夜中の妻よ!」
玄椎 貞女
「この男は、お前だけを愛することはできないと言った」
玄椎 貞女
「そしてまた……お前の望みを、できる限り叶え続けようとすることも変わらないと」
玄椎 貞女
「……公、我々の夫」
玄椎 貞女
「お前が私たちを同様に愛するように、私は夜明けの妻も、プリシラのこともまた愛している」
玄椎 貞女
「そして、ユディットのこともまた、愛そうとした……」
玄椎 貞女
「けれど、愛というのは難しい、愛したからと言って、愛されるとは限らない」
玄椎 貞女
「愛されて、愛さない自由もあるものだ」
玄椎 貞女
「だからこそ……これから我々がどうしていくべきか。
 自分がなにをするべきなのか、よくよく考えておくといい」
『真夜中の妻』
扉の奥で、息を詰める気配。
玄椎 貞女
「言いたいことは、それだけだ」
玄椎 貞女
「もう少し、何か言い分があるのであれば……また話に来てくれるのだろうな? ユディットにだけ、時間を遣わずに」
玄椎 貞女
「私だけではなく、きっと皆待っている。お前は、私たちの夫なのだから」
『青髭公』
「……ああ。私の夕暮れ」
玄椎 貞女
頷いた。
玄椎 貞女
そうして、踵を返して去っていく。
『青髭公』
その白い背を見送る。
玄椎 貞女
まずもって確認したいことは、した。
玄椎 貞女
であるならば、ここからはもう少し、夜明けの言う通り、さらなる話し合いができるだろう。
玄椎 貞女
それが、どのように転がって、どのような結果を招くにしても。
GM
愛をはかる天秤が傾く。軋みながら、ゆらゆらと。
GM
そこに乗っているのは、けれど、愛以外の何物でもない。
GM
愛だけ。それ以外に何もないから、
GM
だから、どうしようもない。
GM
GM
青髭公はここでは行動しません。次もPC手番です。
プリシラ
ではプリシラが手番を頂きます。
GM
GM
*第1ラウンド プリシラ
プリシラ
1d12 シーン表 (1D12) > 9
9:第五の扉 遥かな山河。どことも知れぬ『青髭公』の領土。空には血のような色の雲が掛かっている。
プリシラ
一生山河?
GM
振り直したりチョイスしたりしてもいいですよ。城にありそうなところなら作ってもいいです。厨房とか。
プリシラ
シーン表ちょっと見ますね……
プリシラ
夜明けの君さまとお話するのでこのまま川で行きます
GM
頭上を赤い雲がゆるゆると流れていく。水のにおい。
プリシラ
勢い”お茶会”の流れとはなったが、プリシラにはいまだ踏ん切りがつかない。
プリシラ
プリシラは公爵夫人の末裔。仔豚の末裔。
公爵家で身を持て余しているところを、青髭公に見初められ、この館に迎えられた。
プリシラ
プリシラには分かるのだ。ユディットの気持ちが。
……いいや、分かる、などと申すのはいささかおこがましいか。
末裔風情が、救世主さまのお気持ちを、などと。
プリシラ
けれどプリシラも、最初はそのつもりだったから。
プリシラ
ただ一人、たった一人、公に見初められた、選ばれたものであると。
プリシラ
そう思い込んで、舞い上がって、この七つ扉の城へと迎えられた。
プリシラ
その先でプリシラを出迎えたのが、
プリシラ
「……夜明けの君さま」
プリシラ
第五の扉の向こうに、探していたかたの姿を認める。
夜明けの妻
夜明けに見出されたから夜明け。それ以外に名前を持つでもない女が、五つめの扉の向こうの領域で、水と語らうように川辺に座っている。
夜明けの妻
「プリシラ。いかがしましたか」
夜明けの妻
顔を上げる。
プリシラ
「…………」
プリシラ
おずおずとあなたの方へと寄る。
プリシラ
あなたの後に見出された真昼の妻。今は他に寄る辺なき末裔の娘が。
夜明けの妻
領地の川とおなじ涼やかな水の香り。今はまだ。
夜明けの妻
真昼の妻が城にやってきた時、この女はただ受け入れた。
プリシラ
明らかな動揺、明らかな落胆、一方で辛うじてひた隠しにした独占欲を。
夜明けの妻
仲良くするように、と言われれば夜明けなりにそのようにした。
プリシラ
自分より先に娶られたこの妻が、果たしてどのように見つめていたのか。
プリシラ
プリシラには分からなかった。
夜明けの妻
プリシラを見る女は、今もまだ変わらない。
夜明けの妻
しかし、敵をみるそれでないことだけはかろうじてわかる。
夜明けの妻
「いかがなさいましたか。不安ですか」
プリシラ
その事実に、深い安堵がある。
夜明けの妻
川はただその場にある。
プリシラ
青髭公のことはわからない。
一番にわからなければならないはずの、一番大切な旦那様のことなのに。
プリシラ
けれど、少なくとも、貞女さま。
そして夜明けの君さまは、プリシラを気にかけて下すっている。
プリシラ
あの新顔、あのユディットだとかいう女よりも、
プリシラ
プリシラの方をこそ選んで下すっている!
プリシラ
「……そう」
プリシラ
「そう、ですね。わたくしは……」
プリシラ
「不安なのだと思います」
プリシラ
「貞女さまは、迷いなく七つめの扉へと向かわれました」
夜明けの妻
「そうなのですね、貞女らしいことです」
プリシラ
「はい。……頼もしいお方」
プリシラ
青髭公のことも同じくらい、いいえ、いいえ!
プリシラ
もっともっと頼もしく思うていたはずなのに。
プリシラ
今は守られなかった約束が、どうしてこんなに、心寂しい。
プリシラ
「夜明けの君さまも……」
プリシラ
「”話し合い”をすることに、きっと迷いは、ないのでしょう」
夜明けの妻
「そのようになって」
夜明けの妻
「もしどうしようもないのなら、わたくしはそのようにするのみです」
夜明けの妻
「けれど、わたくしはまだ、まだ……旦那様の愛を信じております」
プリシラ
「……青髭公さまの」
プリシラ
「いちばんの特別」
プリシラ
「いちばんの大事が、他のものに捧げられている」
プリシラ
「それを、見せつけられても、でございますか……?」
夜明けの妻
「わたくしは、……あまりよくわからないのです。ぷりしらの思うような、その望みが」
夜明けの妻
「わたくしは、愛されていいればそれでよい。いちばんというものでなくとも」
夜明けの妻
「今までぐらいであれば、満足でした」
プリシラ
「今まで……」
夜明けの妻
「わたくしは、旦那様の愛がなければここに居られません」
夜明けの妻
「わたくしの本分は、旦那様のここのような、穏やかな川ではありませぬ」
プリシラ
足元を流れるせせらぎに目を向ける。
夜明けの妻
「いまの私をこのかたちに留めているのは、旦那様の愛」
夜明けの妻
「だから、妻が増えようとわたくしは構いませんでした……」
夜明けの妻
「たとえぷりしら、あなたが一番になりたいと思っていても」
プリシラ
「……青髭公さまの愛が」
夜明けの妻
「ユディットによって堰き止められたのなら」
夜明けの妻
「わたくし、どうにかなってしまうかもしれません」
プリシラ
「どうにか……」
夜明けの妻
足元のせせらぎは穏やかに流れている。
プリシラ
胸を去来するのは、かつての日々。
プリシラ
幸福な日々の幻影。
プリシラ
夜明けの君さまの見抜かれる通り、プリシラはずっと青髭公さまの一番になりたかった。
プリシラ
けれどそれがかなわないこと、願うことすらおこがましい事実を、プリシラはようく理解していた。
夜明けの妻
プリシラは、その気弱さが幸いしてか、ユディットのような暴挙には至らなかった
プリシラ
末裔の身であること、それと辛うじて授かった才覚が。
プリシラ
プリシラの振る舞いを身分相応に抑えていた。
プリシラ
ユディットさまがあのように野放図に、けれど賢しくそして正しく、旦那様の愛を独占しようとする姿を見せつけてさえ。
プリシラ
自分が同じようにすることが許されるだなんて、とても思えない。
夜明けの妻
プリシラのように衣服を仕立てることは夜明けにはできない。夫のために捧げられるものがある彼女を、夜明けは好ましく思っている。
プリシラ
同時にプリシラは、自分が夜明けの妻に捧ぐもので、彼女を留められないこともよく理解している。
プリシラ
公の愛でなければだめなのだ。
夜明けの妻
暴れる水のうねりを留めるのは、一介の末裔には難しい。
夜明けの妻
それこそ公のような、疵に基づいた狂った愛でなければ。
プリシラ
のけものにされた端女の、ただえらばれたいだけの願望では、とてもとても。
プリシラ
彼女の形を留めることなど叶いやしない。
夜明けの妻
かれは一心に私を愛してくれている。今もまだそれを感じていられる。
夜明けの妻
だから川はまだ、荒れるに留まっている。
プリシラ
夜明けの君の感じる公の愛を、プリシラもまた信じたいと思っている。
プリシラ
プリシラは、
プリシラ
今まで四人、紡いできた日々のことを愛していて、
プリシラ
それと同じくらい、青髭公さまに対するほどではなくとも、
プリシラ
夜明けの君さまのことだって、愛してるのだから。
プリシラ
だから。
プリシラ
「……夜明けの君さま」
夜明けの妻
「はい」
プリシラ
「…………」
プリシラ
「プリシラは、夜明けの君さまを選びます」
プリシラ
「夜明けの君さまと、貞女さま」
プリシラ
「お二人の願いの叶いますように」
夜明けの妻
水の女は変わらずに微笑んでいる。
夜明けの妻
夜明けにとって、末裔と救世主にそれほど差はない。公が愛する人間を、夜明けもまた愛するだけ。
プリシラ
プリシラにとっては、末裔と救世主の違いは大きい。乗り越えられない壁を前に、相応に振る舞うだけ。
プリシラ
けれど、だからこそ、選ぶことは大事なのだ。
プリシラ
末裔として。
プリシラ
どの救世主さまが、自分を救ってくださるのかを。
プリシラ
「……青髭公さまの愛が」
プリシラ
「再び、あなたさまを満たし、留めるだけのものとなりますよう」
プリシラ
「わたくし、最善を尽くしますので!」
プリシラ
*才覚で夜明けの妻の心の疵『誓い』を舐めます。
GM
はい。では判定を。
プリシラ
2D6+3>=7 才覚判定 (2D6+3>=7) > 6[3,3]+3 > 9 > 成功
夜明けの妻
いいや、やはり。救世主よりも……公を除けば末裔の方がやや好ましくあった。
末裔は、一心に願うからだ。己の命のために。
それは、遥かむかしを思わせるものだった。
夜明けの妻
「ありがとう、プリシラ」
プリシラ
「……は、い」
プリシラ
「わたくしに、何ができるとはわかりませんが……」
夜明けの妻
「ぷりしらは、とてもよくやっていますよ」
プリシラ
「……そう」
プリシラ
「でしょうか?」
夜明けの妻
「ええ」
プリシラ
ひび割れた生活に、最も心を蝕まれているのはプリシラだった。
夜明けの妻
「あなたが来てから、公の食事に彩りが増えました」
プリシラ
給仕の当番、細々とした家事、それらを最も多く担っている女だからこそ。
夜明けの妻
「効率のよい掃除を教えてくれたのもあなた」
プリシラ
日々にもたらされる不和が、そのまま心の疵に響く。
夜明けの妻
「まかないの日に貞女が着るエプロンを作ったのもあなた」
夜明けの妻
「公の着る服を仕立てているのもあなた」
プリシラ
「……はい。はい」
夜明けの妻
「だからぷりしら、あなたは、よいのです」
プリシラ
捧げられるだけのものを捧げてきた。
夜明けの妻
それは言外に、何も齎さないユディットを非難していた。
プリシラ
公の愛が、ひとしくただしく、妻たちに注がれるよう。
プリシラ
けれど夜明けの君さまの言うとおり、あの女はそうではない。
夜明けの妻
そう、正しく、公がわたくしに誓ったとおりに。
夜明けの妻
愛は注がれなければならない。
プリシラ
プリシラとは違い、公の約束を果たさせない女。
夜明けの妻
堰き止める石。
プリシラ
それを取り除いて、再び誓いが果たされるべく。
夜明けの妻
川は静かに、けれど確かに地面を抉りながら流れている。
プリシラ
その勢いが増して、わたくしたちの暮らす城を、日々を沈めてしまわないうちに。
プリシラ
”話し合い”をしなければならない。
プリシラ
わたくしたちは。
プリシラ
わたくしたちを愛すはずの、旦那様と。
[ 夜明けの妻 ] 誓い : 0 → 1
GM
愛の色が、水面のように揺らいで移ろう。
GM
流れて。淀んで。
GM
その淀みの中で、身を寄せ合う。
GM
流れが、淀んでしまったからこそ。
GM
そこで。
GM
GM
*第1ラウンド 青髭公(1)
『青髭公』
1d12 シーン表 (1D12) > 10
10:ベッドルーム 誰かの寝室、あるいはゲストルーム。窓の外は霧に包まれている。
GM
七つ扉の城は、小さいながらに城らしく、数多の部屋を擁しています。
GM
青髭公も妻たちも、それぞれにベッドルームを持っている。
GM
そのひとつ。
『青髭公』
プリシラの部屋の扉を叩く。
プリシラ
「はっ」
プリシラ
「あ」
プリシラ
「い、今参ります!」
プリシラ
室内で慌てて立ち上がる気配。
プリシラ
「ひゃあっ」
プリシラ
と、何かがひっくり返るような音。
プリシラ
少し遅れて。
プリシラ
おずおずと扉を開いて、顔を出……
プリシラ
「ひゃっ」
プリシラ
「あ」
プリシラ
「青髭公さま!?」
プリシラ
貞女さまか夜明けの君さまかと思っておりました……。
『青髭公』
「ああ。……今、少し話しても?」
プリシラ
「かっ」
プリシラ
「構いませんとも!」
プリシラ
「ええ、ええ、青髭公さまなら」
プリシラ
「プリシラはいつ、いかなる時でも!」
『青髭公』
「…………」 微笑う。
『青髭公』
「ありがとう、私の真昼」
プリシラ
ひゃわわ……
プリシラ
「い、いま」
プリシラ
「お片付けを致しますので、少々!」
プリシラ
「少々お待ちいただくことは、申し訳ございません」
プリシラ
「かないますでしょうか……?」
『青髭公』
「ああ。ゆっくりで構わないから」
プリシラ
「はいっ」
プリシラ
大きな声で返事をして、扉を勢いよく……勢いよくしめたらいくらなんでも失礼!!
プリシラ
ぎりぎりで思いとどまって、ぱたんとしめて。
プリシラ
何かを片付けているようです。
プリシラ
……先程扉の隙間から窺い見えたそれは、
プリシラ
公爵家から持ち出してきた、プリシラ愛用の裁縫具。
プリシラ
仕立てていたのは新たな衣装。
プリシラ
……きっと、男物の。
プリシラ
そうしてしばしの間を挟んだのち。
プリシラ
扉が開きます。
プリシラ
「お」
プリシラ
「お待たせいたしまして、青髭公さま……」
プリシラ
真昼の妻は、頭を垂れてあなたを迎え入れます。
『青髭公』
その頭をそっとひと撫でして、部屋の中へ。
プリシラ
ひゃわっ……
プリシラ
楚々と垂れていた頭がひゃん! となります。
プリシラ
公のための椅子をご用意してございますのよ!
『青髭公』
では、用意された椅子に座ります。
プリシラ
ほっ。
プリシラ
プリシラのお部屋では、公はお椅子で、プリシラはベッドに腰掛けて。
プリシラ
というのが、いつものことでありました。
プリシラ
最初はプリシラにはそれがふさわしいと床に座っておりましたが……
プリシラ
妻なのだから、ということで、そういった形に。
プリシラ
けれど、ユディットさまが参られてからはそれも長らくなかったことで……長らく……
プリシラ
長らく……
プリシラ
ひさ、久しぶりですの。
プリシラ
プリシラの……
プリシラ
プリシラのお部屋に、公がいらっしゃることが。
『青髭公』
「……急に、すまないね」
プリシラ
公のお声、公のお言葉ひとつひとつに、ぴっと肩が跳ねます。
『青髭公』
「……ずいぶん、間を空けてしまったし」
『青髭公』
「苦労をさせている」
プリシラ
「そ」
プリシラ
「それは……」
プリシラ
そうなので……
プリシラ
そんなことはございません、とは、流石に申せないプリシラなのです。
プリシラ
プリシラはだって、貞女さまと夜明けの君さまに共鳴しておりまして、
プリシラ
夜明けの君さまにも、”話し合い”をしてでも、と、そのように……
プリシラ
お話をいたしましたので……決めましたので……
プリシラ
でも、だからといって、ここで公を責めるようなこともまた。
プリシラ
だって。
プリシラ
そうしてしまったら、青髭公さま。
プリシラ
青髭公さまは二度と、プリシラを選んで、このように部屋に訪ねてくれるようなことも。
プリシラ
なくなってしまうような気がして。
『青髭公』
「……私は至らぬ夫だな」
『青髭公』
「訪れただけで、不安げな顔をさせてしまう」
プリシラ
「そっ……」
プリシラ
「それは、その!」
プリシラ
「違います、ええと、これは、プリシラ」
プリシラ
「わたくしが……」
プリシラ
「わたくし、ただただ、驚いてしまって」
プリシラ
ここで驚いてしまうこと自体が、そもそも、という話ではありますけれど!
プリシラ
ありますけれどそんなこと口に出せませんわ!
『青髭公』
「いいんだよ」
プリシラ
「…………」
『青髭公』
「すまないと思っているから」
プリシラ
「……すまない、とは」
プリシラ
「思うてくださっているのですね」
『青髭公』
苦笑が深くなる。
『青髭公』
「……思っているだけでは足りないと、わかっているよ」
プリシラ
正直な心では、それはそうだ、とも思うけれど。
プリシラ
「……思わないあなたさまでなくて良かったとも」
プリシラ
「プリシラは、思います」
プリシラ
「……青髭公さま」
『青髭公』
「うん?」
プリシラ
「プリシラが……」
プリシラ
「ユディットさまをもっと”受け入れて”差し上げるためには」
プリシラ
「青髭公さま、プリシラは、どうするのがよいと思われるのですか?」
プリシラ
「わたくし、晩餐会の用意には腕を振るいましたの」
プリシラ
「あの干し肉も……夜明けの君さまのきれいなお水を沸かしたお湯で丁寧に戻して」
プリシラ
「塩胡椒の加減にも、いっとう気を使いました」
『青髭公』
頷く。
プリシラ
「採寸までは、させていただけませんでしたけれども……」
プリシラ
「ユディットさまの、あの流るるような金の御髪に」
プリシラ
「よく似合うドレスを仕立てられたとも、思うております」
プリシラ
「あの夜は、貞女さまもひととき、ドレスを着てくださいましたし……」
プリシラ
「わたくし、出来る限りのことは、してきたつもりでしたの」
『青髭公』
「……うん」
『青髭公』
「心を砕いてくれたね」
プリシラ
「……はい」
プリシラ
「……いいえ、いいえ。無理をしたつもりはございませんのよ」
プリシラ
「青髭公さまが望まれることでしたら、プリシラ、わたくしは」
プリシラ
「それに沿いたいと思うて、そのようにしておりましたから」
『青髭公』
「お前は、私のためによく尽くしてくれている。わかっているよ」
プリシラ
「…………」
プリシラ
分かってくださっている。
プリシラ
のなら。
プリシラ
どうして、と、思う心が、今は抑えきれず。
プリシラ
けれどさりとて、口にも出せない。
『青髭公』
「……言ってごらん」 それをわかって、あえて言う。
プリシラ
見透かされたことを理解して息を呑む。
プリシラ
指先を擦り合わせ、視線を彷徨わせ、乱れかけた息を呑み込んで。
プリシラ
「……では」
プリシラ
「では、どうして」
プリシラ
「ユディットさまお一人を」
プリシラ
「格別に贔屓になさるようなことを、されるのですか?」
『青髭公』
「……それが、ユディットの望みだから」
『青髭公』
「……求められれば、私はできるだけ、それを叶えてやりたいと思ってしまう」
プリシラ
「…………」
『青髭公』
「けれど、それは、特別ユディットに限ったことではないんだ」
プリシラ
「……そうでございますの?」
『青髭公』
「……もちろん」
『青髭公』
「お前は? お前はいつも、私のために尽くしてくれるけれど……」
『青髭公』
「言葉にして、何かを求めてくれることは少ないね」
プリシラ
「そ」
プリシラ
「それ、は……」
『青髭公』
手を伸ばして、細い指先に触れる。
プリシラ
「ひゃ」
プリシラ
びく、と全身が跳ねる。
プリシラ
その震えがあなたに伝わる。
プリシラ
真昼の妻。あなたの選んだ娘。あなたの見初めた末裔の娘。
プリシラ
その柔らかな肌の、少し高い熱が。
『青髭公』
「教えておくれでないか」
プリシラ
「あ、の」
プリシラ
「わ」
プリシラ
「わた、っ」
プリシラ
あなたの手の中で、娘の細い指が忙しなく動く。
プリシラ
「わたし」
プリシラ
「わたくし」
プリシラ
「プリシラ、プリシラは」
プリシラ
「プリシラも――」
プリシラ
「ほんとうなら、青髭公様の」
プリシラ
「ただひとり」
プリシラ
「……いちばん、に」
プリシラ
「……選んで、いただきたいと」
プリシラ
「そう、思うております……」
『青髭公』
*プリシラの『はぐれもの』を愛で抉ります。
夜明けの妻
*横槍をします
GM
ではチョイスからどうぞ。
夜明けの妻
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 猟奇
夜明けの妻
2d6+1>=7 (2D6+1>=7) > 9[3,6]+1 > 10 > 成功
夜明けの妻
1d6 (1D6) > 2
夜明けの妻
*ヤリイカを投入
GM
では、-4。
[ プリシラ ] ヤリイカ : 2 → 1
『青髭公』
*ティーセットを使用。
[ 『青髭公』 ] ティーセット : 3 → 2
『青髭公』
2d6+2-4+2>=7 (2D6+2-4+2>=7) > 9[4,5]+2-4+2 > 9 > 成功
GM
成功。
[ 夜明けの妻 ] HP : 22 → 21
『青髭公』
「……ただ一人、か」
プリシラ
きゅっと目を閉じて縮こまっている。
『青髭公』
一度立ち上がり、プリシラの前に膝をつく。
プリシラ
その気配に瞼を上げ、
プリシラ
自分より低い位置の青髭公の顔に、慌てたように眉を下げて。
『青髭公』
「私を不実な夫だと思うかい」 見上げるようにして。
プリシラ
「そ」
プリシラ
「そんなことは」
プリシラ
嘘だ。
プリシラ
初めてこの城に連れ帰られた時、
プリシラ
夜明けの君さまを一人目の妻として紹介された時、
プリシラ
プリシラは確かに落胆した。
プリシラ
この男の愛が、自分一人に向けられたものではなかったことに。
『青髭公』
「お前はいつも何かを、「言ってはいけない」と思っているだろう」
『青髭公』
「私に言ったら、何かが壊れると思っている」
プリシラ
「わ、わたくし」
プリシラ
「末裔の身、ですので」
プリシラ
「ですから……」
『青髭公』
「お前は私の妻だよ」
プリシラ
「…………」
『青髭公』
「私はお前を、愛しているよ」
『青髭公』
「……今、それを信じてはもらえないかもしれないが」
プリシラ
「しっ」
プリシラ
「信じております!」
プリシラ
「信じておりますとも!」
プリシラ
その否定は、
プリシラ
少しばかり早すぎる。
プリシラ
それを理解するだけの才覚が。
プリシラ
今この場で言葉を交わす二人に存在することを、
プリシラ
お互い、間違いなく理解している。
『青髭公』
その、被せるような否定が、どうしてそのように発されるのか。
『青髭公』
どうしてか。
プリシラ
縋るような視線がある。
プリシラ
その視線は妻が夫に向けるものとは、
プリシラ
どうしても、遠い。
プリシラ
対等であれと望まれて。
プリシラ
例えどんなに努めようとしても。
プリシラ
この娘はそれを叶えられない。
プリシラ
あなたがすべての女の望みを叶えられないのと同じように。
『青髭公』
心底信じさせてやることはできない。
『青髭公』
それを、わかっている。
プリシラ
同じ立場に立たせようとしても、それを受け入れることのできない、逸れ者の娘。
プリシラ
この館で。
プリシラ
あなたたちとは違う、一人きりの末裔の娘。
『青髭公』
『たった一人』。
『青髭公』
望みとは違うかたちでそこにある言葉。
『青髭公』
見上げた女の表情。
プリシラ
かすかに震えるその瞳。
『青髭公』
「私についてこなければよかったと思うかい」
プリシラ
「そんなことは……」
プリシラ
「絶対に、思いません」
プリシラ
即座の否定ではない。
プリシラ
けれど、声がか細く頼りない。
プリシラ
「わたくしは」
プリシラ
「プリシラは」
プリシラ
「青髭公さま」
プリシラ
「あなたさまに見出されたことを、何よりもの幸いと理解しております」
プリシラ
「そうして」
プリシラ
「夜明けの君さま」
プリシラ
「……やがて、貞女さまも迎えて」
プリシラ
「四人で紡いできた、あの幸福な日々を」
プリシラ
「宝物のようにも、思うておりますのよ」
『青髭公』
「……そうか」
プリシラ
その中に、ユディットの名を含むことはできない。
『青髭公』
わかっている。
プリシラ
真夜中の妻。
プリシラ
わたくしたちの営みを壊した女。
プリシラ
それに最も強い憎悪を向けているのは、ある意味では紛れもなくこの娘だ。
プリシラ
だって。
プリシラ
本心では、同じことを望んでいるのだから。
プリシラ
でも、それが叶わない。
プリシラ
それを叶えてはならないと自制が叶うのは。
プリシラ
この娘が、あなたたち四人とは違う、はぐれものだから。
[ プリシラ ] はぐれもの : 0 → -1
プリシラ
力なき末裔の娘に過ぎないから。
『青髭公』
再び立ち上がり、プリシラの髪を撫でる。
プリシラ
願いを押し込めて圧し潰して、平和で穏やかな日々を営むことが叶ってきた。
プリシラ
娘は変わらずあなたの顔色を窺っている。
プリシラ
今は高揚よりも不安が上回るのか。
プリシラ
肩を跳ねさせることはなかった。
『青髭公』
「私の真昼。……お前がまた、笑ってくれる日が」
『青髭公』
ゆるやかに、穏やかに。
『青髭公』
「来ると、いいのだが」
プリシラ
「……わ」
プリシラ
「笑い、ますわ」
プリシラ
「青髭公さま」
プリシラ
「それが、あなたさまの望みであらば」
プリシラ
「この真昼は」
プリシラ
「何度とも……」
プリシラ
あなたのかつて語った、おとぎ話の中にあるような、世界を照らす太陽など私は知らないけれど。
プリシラ
そんなものになれはしないことを知っているけれど。
プリシラ
叶わぬ望みを、叶えたいと思う、心がある。
プリシラ
それはきっと、二人、重なっている。
『青髭公』
「…………」
『青髭公』
それ以上言わずに、額にくちづける。そして、一歩離れる。
プリシラ
名残惜しそうにあなたを見上げる。
『青髭公』
「もう行くよ。不安にさせてしまったようだから」
プリシラ
「え」
プリシラ
「あ、ぅ」
プリシラ
「…………」
プリシラ
あなたの言葉に、あからさまな落胆を浮かべ。
プリシラ
しばらく唇を動かしかけたが、
プリシラ
「…………は、い」
プリシラ
結局口をついて出るのは、
プリシラ
取り繕った、聞き分けのよいお返事ばかり。
プリシラ
それをあなたさまが望んでいないことも知っているのに。
プリシラ
『不安になんてならない』
『あなたがいない方が不安になる』
『不安になんてさせないように、もっとわたしのそばにいて』
プリシラ
……そのどれも、口には出せやしない。
GM
与えられるものは、いつか与えられなくなるかもしれない。
ここにあるものは、いつか奪われるのかもしれない。
ここにいる自分は、いつか捨てられてしまうのかもしれない。
GM
何もかも、永遠にそのままではいられないのに……
GM
どうしてか、自分だけは変わることができないまま。
GM
一人、立ち尽くしている。
GM
GM
*第1ラウンド 夜明けの妻
夜明けの妻
シーン表ふっちゃお
夜明けの妻
1d12 (1D12) > 8
8:図書室 本棚に古びた本が整然と並んでいる。深い緋色のソファがいくつか点在している。
夜明けの妻
この女の本質は川であるがために、自分の領域と定められた場所を気ままに流れていく。
夜明けの妻
そう、それがあまり水気を入れるべきではない図書室でも……
GM
本棚、緋色のソファ、そして小さな書き物机。
GM
青髭公はときおり、ここで何か手記をつけているようです。
夜明けの妻
公を探して徘徊することもあれば、寄り添って流れることもあった。
夜明けの妻
もっとも最近は、前者の場合が多くあるが……
プリシラ
「……夜明けの君さま?」
プリシラ
あなたを呼ぶ声。先程と同じ者の。
プリシラ
けれど。
プリシラ
先程よりもさらに、覇気に欠ける。
夜明けの妻
「プリシラ」
プリシラ
「…………」
プリシラ
「図書室に」
プリシラ
「何かご用が?」
プリシラ
「お探しの本、文献など」
プリシラ
「ございましたら、プリシラが代わりに……」
プリシラ
末裔として、献身に振る舞おうとする。
プリシラ
いつものように。
プリシラ
いつも以上に。
夜明けの妻
「いえ」
夜明けの妻
この女は時折、ただ城の中を流れるように歩いている。
プリシラ
「…………?」
夜明けの妻
その頻度は、ユディットが来てから明確に増えた。
プリシラ
愛を堰き止められ。
プリシラ
留めるものがなくなった流れが。
プリシラ
このように城の中を渡っている。
夜明けの妻
「ここに来たら、そうでしたわね。公が少し困るのでした」
夜明けの妻
そう言いながら図書室のドアを開けます。
夜明けの妻
公を困らせたいわけではないですが、水はただ流れるばかりなので……
プリシラ
「あっ……」
プリシラ
そう……困るのですが……
プリシラ
プリシラが止められるものでもないので……
プリシラ
末裔の身で、救世主さまのなすことを邪魔するなど、とんでもないことです。
夜明けの妻
「旦那様がみえるまで、お話でも致しませぬか。プリシラがよければ」
夜明けの妻
そう言いながら、ソファの方へと進んでいく。
プリシラ
「…………」
プリシラ
「はい」
プリシラ
「夜明けの君さま」
プリシラ
「あなたが望まれますならば」
プリシラ
「プリシラをその相手に、選んでくださるのであれば……」
プリシラ
「わたくしは」
プリシラ
「なんなりと」
夜明けの妻
そのままにソファの隣へと促します。
プリシラ
促されるままに足を進め、
プリシラ
そっと腰をおろします。
プリシラ
流れる水とは対象の膨らんだドレスが、体重を受けてしわを作る。
夜明けの妻
「プリシラは、なぜ」
夜明けの妻
「怯えているのですか」
プリシラ
「…………」
プリシラ
「おび、えて……」
夜明けの妻
「あなたが、末裔であるから?」
プリシラ
その自覚すらなかったかのような、おうむ返し。
プリシラ
「何に」
夜明けの妻
「わたくしたちは、同じ妻であるのに」
プリシラ
「わたくしが、何に、怯えているように」
プリシラ
「夜明けの君さまには……」
夜明けの妻
「わたくしにまで傅く必要はないのですよ」
プリシラ
「…………」
プリシラ
俯いている。その所作は頭を垂れるのに似ている。
夜明けの妻
「この城で恐れるものがあるとすれば、公の愛を失うことぐらい」
夜明けの妻
「それ以外におそれるものがありますか。あるのならばそれは、わたくしにはわからない」
プリシラ
わからない。わからないでしょう。救世主のあなたさまには。
プリシラ
真に選ばれたものであるあなたさまには。
プリシラ
そのように思う、
プリシラ
一方で、きっと。
プリシラ
同じようにも、思われているのだろうと思う。
プリシラ
誰に?
プリシラ
――あの女に。
プリシラ
私たちの生活に罅を入れた女に。
プリシラ
きっと、そう思われている。
夜明けの妻
「あなたとわたくし、同じ妻でありますのに」
夜明けの妻
「末裔というものはたくさんいるのに」
プリシラ
どうしてそのように戦えるのか、そうできるのか、分からないと。
どうして青髭公の1番を取りに行かないのか、そうしないのか、分からないと。
きっとそのように、思われている。
プリシラ
「……はい」
プリシラ
「末裔は……この世界においては、取るに足らない存在にございます」
プリシラ
「それは、公爵家に生まれたわたくしにおいても、同じこと」
プリシラ
「救世主さまがたと比べたら……」
夜明けの妻
「ええ、救世主というものにくらべて、末裔というのは」
夜明けの妻
「少し、死にやすい」
夜明けの妻
「ですがその分、末裔のほうが切実だと思うのです」
夜明けの妻
「おのれの願いに……」
プリシラ
「…………」
プリシラ
「願い……」
プリシラ
胸元で指を擦り合わせている。この娘の、不安に陥った時によくする仕草。
夜明けの妻
「あなたは、プリシラは、公の一番になりたいと思っていらっしゃる」
夜明けの妻
「独占したいと思っていらっしゃる」
プリシラ
びくりと肩を震わせる。
夜明けの妻
「けれど、私達が救世主というものであるから」
夜明けの妻
「我慢していらした」
プリシラ
「……あ、っ」
プリシラ
「青髭公さまも」
プリシラ
「きっと」
プリシラ
「望まれません、から」
プリシラ
「と……」
夜明けの妻
「そうでしょうか」
プリシラ
そう、思っていたのに。
プリシラ
あの女は。
プリシラ
堂々と。
夜明けの妻
「あの方は、城の中がこのようになってまでも"妻"の願いを叶えようとする」
夜明けの妻
「この城の外には、たくさん末裔がいて」
夜明けの妻
「公は何度も末裔を見ておりますのに」
夜明けの妻
「末裔で見い出されたのは、あなただけ」
プリシラ
「……で、も」
プリシラ
「ユディット様」
プリシラ
「ユディット様は、それを、望まれまして」
プリシラ
「……それで」
プリシラ
「それでこうして、今、ですわ」
プリシラ
「貞女さま」
プリシラ
「真夜中の君さま」
夜明けの妻
「そうですね」
プリシラ
「……青髭公も」
プリシラ
「ひどく、困っていらっしゃる」
プリシラ
「わたくし……」
プリシラ
「わたくしは」
プリシラ
「そうなっては、ほしくありませんでしたの」
夜明けの妻
「公を困らせたくないのですね、これ以上」
プリシラ
頷く。
プリシラ
言い訳だ。
プリシラ
理解している。
プリシラ
自分に引っ込み思案、勇気のなさを、聞こえのいい言葉で取り繕っただけ。
プリシラ
その方があなたたちに益があるから。
夜明けの妻
「困らせてしまえばいいのではないでしょうか」
プリシラ
自分はそのように振る舞える娘だから。
夜明けの妻
「なぜプリシラだけ我慢しなければならないのですか?」
プリシラ
「……は」
プリシラ
だから、爪弾き者にしないで、と
プリシラ
そのような叫びを隠した体裁を、
夜明けの妻
「貞女は既に打ち明けました」
夜明けの妻
「私も既に覚悟を決めております」
プリシラ
今、この流れに浚われそうになっている。
プリシラ
「で、ですが」
夜明けの妻
「なのにプリシラは、ずっとそのように、ただ震えて、ユディットに取られるのを待つだけなのですか」
プリシラ
「わ」
プリシラ
「わたくし!」
プリシラ
「夜明けの君さまに」
夜明けの妻
「はい」
プリシラ
「公からの愛を」
プリシラ
「誓いを」
プリシラ
「取り戻すための助力をする」
プリシラ
「そのように、申しましたわ!」
夜明けの妻
「はい」
プリシラ
「約束を」
プリシラ
「いたしました」
夜明けの妻
「そうですわね」
プリシラ
「で、すから」
プリシラ
「独占をしようなどと、いうのは」
プリシラ
「その約束には、反することで」
プリシラ
「嘘をつくこと、約束を破ることや、よくないことだって」
プリシラ
「わたくし、知っておりますのよ!」
夜明けの妻
「愛を願うぐらいは打ち明けるべきだと思うのです」
プリシラ
「か、っ」
プリシラ
「叶えられないことで」
プリシラ
「あの方を」
プリシラ
「苦しませてしまうのに?」
夜明けの妻
「それでも公は」
夜明けの妻
「あなたの言葉を望んでおられるように見える」
プリシラ
「…………」
夜明けの妻
「独占して枯らされるのは困りますが」
夜明けの妻
「あなたが愛を求めることを、わたくしは良いことだと思います」
夜明けの妻
「公には頑張っていただきます」
プリシラ
「こ」
プリシラ
「こまらせてしまう」
プリシラ
「のは……」
プリシラ
言い訳のように繰り返す。
夜明けの妻
「既にユディットがわがまま放題しているのです」
夜明けの妻
「あなたが、末裔だからと我慢する道理はないのではないですか」
夜明けの妻
「あなたもまた、公に見出された妻なのだから」
プリシラ
あの方は救世主で。私は末裔だから。
プリシラ
そんな言葉を、先んじて制される。
プリシラ
流るる水のしなやかさで。
夜明けの妻
「公はあなたを見捨てません」
夜明けの妻
愛に象られた女であるが故の言い切り。
夜明けの妻
公がそのような"どうしようもない"男であることを知っているからだ。
プリシラ
ちっぽけな小娘の怯えなど、たやすく押し流してしまえる強い流れが。
プリシラ
今は男の愛に象られて、おんなの形をしてそこに在る。
夜明けの妻
暴力的な愛の流れで、ためらう少女の脚を掬おうとしている。
夜明けの妻
「公も、わたくしも、貞女も」
夜明けの妻
「みなプリシラを思っておりますよ」
プリシラ
踏ん張る足に力が入らない。
プリシラ
だって。
プリシラ
この清流の囁きは、どうしようもなく抗いがたいほどに、甘美だ。
夜明けの妻
「あなたが、そのように震えることこそを、公は望まないとわたくしは思います」
プリシラ
災害とは違う。
プリシラ
愛にかたどられたやわらかさで。
プリシラ
震える小娘の足を浚う。
夜明けの妻
その賢しさをいっとき忘れ、愛の流れへと誘わんとする。
夜明けの妻
*プリシラの『選ばれしもの』を愛で舐めます。
GM
はい、では判定を。
夜明けの妻
2d6+3>=7 (2D6+3>=7) > 10[5,5]+3 > 13 > 成功
プリシラ
「……わたくし」
プリシラ
「ユディットさまほどは、きっと」
プリシラ
「野放図になれませんわ」
夜明けの妻
「それがあなたらしさですわ」
夜明けの妻
「公はきっと、そういうところも愛しておられるから」
プリシラ
「公が……」
プリシラ
「青髭公さまが、お部屋に来られるたびに」
プリシラ
「ひどく舞い上がって、長くお待たせしてしまいますし」
夜明けの妻
「そういうところも愛らしいと思いますわ」
夜明けの妻
「あなたのその細やかさは、あなたにしかない」
プリシラ
「か、家事炊事だって」
プリシラ
「いっとう得意に見せかけておりますけれど……」
プリシラ
「この館の他の方よりは慣れている、といった程度、ですし」
夜明けの妻
「いつか誰よりも家事のうまい妻が来たとしても」
夜明けの妻
「公は貴方の作る食事を喜びましょう」
プリシラ
夜明けの君の。
プリシラ
その言葉の、ひとつひとつが。
プリシラ
賢しさとは無縁の心からの言葉であることが、分かる。
プリシラ
愛に象られた女に虚飾は必要ない。
プリシラ
取り繕うものもない。
夜明けの妻
この女はただ公を見て、公の愛を見ている。公がどのようにプリシラを愛しているかを。
プリシラ
在るがままの本質に従って振る舞う存在。
プリシラ
自分のような逸れ者とは違う。
プリシラ
けれど。
プリシラ
そのとうとき存在、見出されている。
プリシラ
保証されている。
プリシラ
自分の存在を。
プリシラ
そして何より、
プリシラ
青髭公からの、自分への愛を。
夜明けの妻
「公に見出された妻なのですから」
夜明けの妻
「顔を上げて、公を見てさしあげて」
プリシラ
「…………」
夜明けの妻
「公は、それを求めている」
プリシラ
「……わたくし」
プリシラ
「……皆さまを困らせたくはないのは、ほんとうですのよ」
夜明けの妻
「ええ」
プリシラ
「わがままを言うようなはしたない娘になど、なりたくありませんし」
プリシラ
「公爵家に生まれた者に相応しい」
プリシラ
「恥ずかしくない振る舞いを……」
夜明けの妻
「その心に公は惹かれたのでしょうね」
夜明けの妻
「けど、それを押し込めてしまうことまでは望んでいないはずです」
プリシラ
ひゃ、と
プリシラ
頬を赤くした。
[ プリシラ ] 選ばれしもの : 0 → 1
夜明けの妻
「末裔として振る舞うのでは、なく。妻として」
夜明けの妻
「あなたは妻なのですから、自信を持ってよい」
プリシラ
「……は、い」
プリシラ
「はい……」
プリシラ
「…………」
プリシラ
「ありがとうございます」
プリシラ
「夜明けの君さま……」
プリシラ
それは。
プリシラ
その笑顔は。
プリシラ
先程青髭公がこの娘に望んだものに、きっと相違ない。
プリシラ
同時に一つの事実がある。
プリシラ
今この場に青髭公はいない。
プリシラ
その笑顔を引き出せるのは、その笑顔を向けられる先に、
プリシラ
青髭公は、立っていない。
GM
夜明けは真昼に先立つ。
GM
太陽を知らない娘を、示すように導くように。
GM
交わす笑みの中に小さく輝くもの。
GM
けれどそれは、それを望む相手の目には届かない。
GM
この国では。太陽は雲の向こうにしかない。
GM
GM
*第1ラウンド 青髭公(2)
『青髭公』
1d12 シーン表 (1D12) > 6
6:食堂 広々とした室内を、薄暗いシャンデリアが仄かに照らしている。
GM
広い食堂。はるか昔は厳かな会食が開かれていたのだろう。
GM
そしてほんの少し前までは、あたたかな食事が行われていた。
玄椎 貞女
給仕の当番は持ち回り。
玄椎 貞女
貞女もこの時ばかりは、給仕のために服を着る。
玄椎 貞女
どうしてもそれがしたくないという時は、プリシラに頼み、替わってもらうことが何度かあった。
玄椎 貞女
ただし、それもつつがなく。
玄椎 貞女
今のような罅の入った状態ではなかったものだ。
GM
罅の入った生活でも、食事は四人揃ってとる。
玄椎 貞女
四人だ。
GM
ユディットはいない。
玄椎 貞女
そして、青髭公はいる。
GM
ユディットの食事だけは、青髭公が差配していた。個別に。
玄椎 貞女
愛の減じない証。そして、ユディットの求める愛への証明。
『青髭公』
愛を量るのは、愛される側。
『青髭公』
愛しているといくら言い張っても、それを受ける側にしか、その重さも色も温度も、感じ取れない。
玄椎 貞女
愛を量るのは、愛される側。
玄椎 貞女
しかし、めおとというものは、愛し合うものである。
玄椎 貞女
貞女は青髭公の妻たちへの愛を問うた。
玄椎 貞女
ここにある生活と、妻たちへの愛を語った。
玄椎 貞女
しかし、青髭公への愛の話を、この女はしたろうか。
玄椎 貞女
……その日、貞女はみなのための食事を作り、
玄椎 貞女
一通りの片づけを終えてまだ、食堂にたたずんでいた。
『青髭公』
席を立ち、食堂を出ていきかけたこの男は、それに気づいて足を止める。
『青髭公』
「……私の夕暮れ。どうかしたのかい」
玄椎 貞女
「──」
玄椎 貞女
「何でもない、少しぼうっとしていた……いや」
玄椎 貞女
「いや、違うな」
玄椎 貞女
「……ユディットは食事だけでも、ここに出てきてくれまいか」
玄椎 貞女
「そういうことを考えていた」
『青髭公』
「……もしそうしたら、お前は何を思う?」
玄椎 貞女
「少しでも、向こうから歩み寄りがあったと」
玄椎 貞女
「それでこの、わだかまりになにか……」
玄椎 貞女
「入った罅を継ぐようななにかが、得られるのではないかと」
玄椎 貞女
「そういう風に感じる」
玄椎 貞女
家族が必ず食事を共にするべき、などというのは幻想だ。
玄椎 貞女
元の世界でも、家族が揃って食事をする機会はそう多くなかった。
玄椎 貞女
だからこそ、四人で過ごしていたあの時間、
玄椎 貞女
全員が揃っていることが、尊いもののように思えたし、
玄椎 貞女
その四人ではなく、五人となった今、
玄椎 貞女
五人が揃っていないことを苦しく思っている。
『青髭公』
「お前は、まだ」
『青髭公』
「彼女を、心底見限ってはいないのだな」
玄椎 貞女
「そうとも」
玄椎 貞女
「お前が選んで、愛を見出し、連れてきた妻なのだ」
玄椎 貞女
「私も、プリシラも、夜明けも、ユディットも」
玄椎 貞女
「お前が作ったこの生活を、愛して守りたいと思う」
『青髭公』
「……うん」
玄椎 貞女
「だからこそ、その維持を、全員で心がけてもらいたいものだが」
玄椎 貞女
「まあそれは、おのおのの考えがあるし……」
玄椎 貞女
「次から次へと妻を見出して連れてくる生活など、いずれはまあ」
玄椎 貞女
「こういうことになるような気はしていた」
玄椎 貞女
そう。我々は全員が、この男の妻なのだ。
玄椎 貞女
姉妹でも、血のつながった家族でもない。元来は。
『青髭公』
夫婦は、他人同士が結ばれるもの。
『青髭公』
そしてそれが、そも、三つあった。
『青髭公』
隣り合うひとつずつの結びつきに横糸が渡されたのは、三人の妻たちの努力だった。
玄椎 貞女
三人の妻の横糸はそのままに。
玄椎 貞女
ひとりだけが三人とは繋がらず、青髭公とだけ繋がろうとしている。
玄椎 貞女
青髭公からほかの女へ伸びる愛を、断ち切る力もないままに。
『青髭公』
「お前は、いつか」
『青髭公』
「こうなるだろうと思っていながら、それでも私とともにいてくれた」
『青髭公』
「他の二人とも」
玄椎 貞女
「……ああ」
玄椎 貞女
「ここは私にとって、あまりに居心地がいい場所だった」
『青髭公』
「……そうか」 だった、と言われたことをわかっている。
玄椎 貞女
「できることならまた、居心地の良い場所に戻したいとも思っているよ」
『青髭公』
「……なんとなく、思う」
玄椎 貞女
「ん」
『青髭公』
「お前は、最初は、私についてきてくれた」
『青髭公』
「けれど……」
『青髭公』
「もしも、今も私だけがいるのだったら、お前は今、もういなかったのではないか、と」
『青髭公』
「そんなことを」
玄椎 貞女
「それは……」
玄椎 貞女
返答に窮する。
『青髭公』
「お前は愛の深い女だ。だが、それは」
『青髭公』
「夫婦の愛よりも、もっと広いものを愛するための愛なのかもしれない、と」
『青髭公』
「……思うことが、あるよ」
玄椎 貞女
「…………」
玄椎 貞女
家族を愛していた。
玄椎 貞女
どうしようもない世界で、どうしようもない自分が。
玄椎 貞女
障りなく呼吸できる寄る辺が、家族のそばだった。
玄椎 貞女
堕落の国に堕ちてそれを喪って。
玄椎 貞女
息の仕方も分からないままに、荒野を彷徨い、この男に見出された。
玄椎 貞女
それもいいか、と思ったのだ。
玄椎 貞女
そうしたら、行った先にはすでに妻がふたりもいて。
玄椎 貞女
思えば自分の感じたことは、ユディットの逆だったかもしれない。
玄椎 貞女
嬉しかった。二人だけの、逃げ場のない閉じた世界ではなく、
玄椎 貞女
家族の生活があることが。
玄椎 貞女
この男を、伴侶として構わないと思うぐらい、好ましいと思っていると思う。
玄椎 貞女
けれどそれは、夫婦として愛を囁き、愛を捧げようとするこの男の求める愛だろうか。
玄椎 貞女
違うのならば。
玄椎 貞女
この男を責めることなど、できなかったのでは。
『青髭公』
*貞女の『家族』を愛で抉ります。
夜明けの妻
*横槍でございます
GM
チョイスから。
夜明けの妻
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 猟奇
夜明けの妻
2d6+1>=7 (2D6+1>=7) > 5[1,4]+1 > 6 > 失敗
[ 夜明けの妻 ] HP : 21 → 20
GM
失敗。では青髭公の判定へ。
『青髭公』
2d6+2>=7 (2D6+2>=7) > 6[5,1]+2 > 8 > 成功
GM
成功。
玄椎 貞女
「……私は、けれど」
玄椎 貞女
「お前のことが好きだよ」
『青髭公』
「知っている」
玄椎 貞女
けれども、愛を量るのは、愛される側。
玄椎 貞女
愛しているといくら言い張っても、それを受ける側にしか、その重さも色も温度も、感じ取れない。
玄椎 貞女
目の前のこの男が、それをどう感じているか。
玄椎 貞女
女はそれを、正面から見つめることができなかった。
『青髭公』
「私の愛しい夕暮れ」
玄椎 貞女
「……ああ」
『青髭公』
「……愛しているよ。お前を」
玄椎 貞女
「……ああ」
『青髭公』
その肯定に、笑った。
玄椎 貞女
七つ目の扉へ押し入った時に、愛を語られた時よりも。
玄椎 貞女
その言葉にはずっと重みがあり、色があり、温度があるように感じられ。
玄椎 貞女
そして、心苦しさを覚えた。
玄椎 貞女
「そうだな。お前は、私のことを愛している」
玄椎 貞女
「……」
玄椎 貞女
だからこそ、今は。
玄椎 貞女
その言葉に、軽々に、愛しているなどと言い返せない。
玄椎 貞女
「私の話を聞いてくれて、嬉しいよ」
『青髭公』
「聞かせてくれ。どんなことでも、……お前が、私と話してくれる限りは」
玄椎 貞女
「ああ」
玄椎 貞女
「お前を理解し、お前を信じているつもりでいた」
玄椎 貞女
「話さなくても通じるものがあると、思い込んでいた」
玄椎 貞女
「だが……話はすべきだな」
玄椎 貞女
「私はお前の妻で、お前は私の夫なのだから」
『青髭公』
「ああ」
『青髭公』
静かに頷き、また、と言い置いてゆっくりと立ち去っていく。
玄椎 貞女
見送って。
玄椎 貞女
ぼんやりと、食堂の天井を少しのあいだ仰ぐと、女もまた、食堂を去った。
玄椎 貞女
そこは、家族の団欒の場所であった。
[ 玄椎 貞女 ] 家族 : 0 → -1
GM
愛の縦糸、横糸。
GM
織られていた日常は、今は引き攣れてしまった。
GM
織っていた色模様は、それぞれに違ったかもしれないが……
GM
美しかったものが。
GM
美しかったはずのものが。
GM
GM
では、第1ラウンド終了です。
GM
軽くマスターシーンを挟みます。
GM
*マスターシーン
GM
夜明けが来て、真昼が過ぎ、夕暮れが落ち。
GM
夕餉の後、あなたがたは、青髭公が城のある一角へ向かっているのを見かけました。
GM
彼の足の向く先にあるのは、第七の扉。今は『真夜中の妻』が占めている場所。
GM
あなたがたの視線は、彼を素通りできません。なにしろ彼は、まさにこれから、『真夜中の妻』との逢瀬を重ねようとしているに違いないのですから。
GM
あなたがたはその背を追うことも、見送ることもできます。
プリシラ
そう。素通りできない。
プリシラ
プリシラはもう、彼を待つばかりの女ではいられない。
プリシラ
選ばれたいと思っている。選ばれているのだと信じたい。
プリシラ
爪弾きにされて、一人きりのはぐれものになることだって、ひどく恐ろしい。
プリシラ
だから、見逃せなかった。
プリシラ
夜明けの君さまのように、貞女さまのように、どっしりと構えていられないのは。
プリシラ
プリシラがゆいいつ、末裔だからというだけでは、もはやないのだ。
プリシラ
足音をひそめて、こっそりと彼を追う。
プリシラ
気付かれているのかもしれないと思う。
プリシラ
いっそ、気付いてほしいとすら、思う。
プリシラ
そうして、あんな女のところになど行かないで。
プリシラ
プリシラを振り向いて、プリシラを選んでほしいと。
GM
……そうしてプリシラが青髭公を追っていくと、彼はやはり、第七の扉の中へ消えていくところでした。
GM
内から鍵の回る音。
GM
けれど、中からは会話の気配が伝わってきます。
プリシラ
落胆。
プリシラ
分かり切っていた展開、叶うはずのない願いを潰されて、
プリシラ
けれどおめおめと帰る女にはもうなれず。
プリシラ
仔豚の耳を、そうっと七つ扉に当てた。
『青髭公』の声
「……一人で、怖くはないかい」
GM
『真夜中の妻』の返答は、よく聞こえません。
プリシラ
必死に耳を済ませても、あの女の声は、聞き取れない。
プリシラ
それはプリシラが、どうしようもなくあの女を拒んでいるからなのでしょうか。
GM
あなたの耳には、青髭公が『真夜中の妻』を気遣う言葉が聞こえます。
GM
優しい色、愛の色。あなたが求めてやまないもの。
プリシラ
ほんとうならば、独占してしまいたいと思うほどに、求めてやまないそれが。
プリシラ
今は好ましくない女に向けられている。
プリシラ
プリシラが自らに戒めていた蛮行を、憚りなく実行してみせている女へと。
プリシラ
プリシラのもっとも愛する人が、愛を注ぐ声。
プリシラ
プリシラには、猟奇がありません。この扉を破るような力などありえません。
GM
だからただ、聞こえるだけ。
プリシラ
プリシラには、愛があります。けれどその愛に強靭さは伴いません。
プリシラ
プリシラには、ただ分け与えられたわずかばかりの才覚があるだけです。
プリシラ
聞こえるだけのその意味を。その事実を。
プリシラ
精確に受け止めて、味わってしまうだけの、今は役立たずの才覚にございます。
『青髭公』の声
「……私の真夜中」
『青髭公』の声
「お前は闇の中で、とても美しいよ」
プリシラ
プリシラは?
プリシラ
今ここであなたを待つプリシラにも、あなたは同じように言ってくださいますか?
『真夜中の妻』の声
「……だって、あなたを愛しているのですもの……」
GM
それだけが、はっきりと聞こえました。
プリシラ
プリシラだって。
プリシラ
あなたを愛していますのに。
プリシラ
青髭公さま。
プリシラ
プリシラを振り向いては、くださいませんでしたね。
プリシラ
……もしあの場で。あなたをこっそりと追うのでなく。
プリシラ
あなたの袖を引いて、あの女ではなくプリシラを選んでほしいと、そう願うたなら。
プリシラ
青髭公さま、私の救世主さま、私の旦那様。
プリシラ
あなたさまは、わたくしの望みをこそ、叶えたいと思うてくれたのでしょうか?
GM
やがて、再び鍵の回る音。
プリシラ
息を呑む。
『青髭公』
そして、扉の内から出てくる。
『青髭公』
「……真昼」
プリシラ
あなたの真昼は立ち尽くしたまま。
プリシラ
全てが見透かされていることだって、当然、わずかの才覚に理解したまま。
プリシラ
「……青髭公、さま」
『青髭公』
「……盗み聞きは、感心しないよ」
プリシラ
「はい。……はい」
プリシラ
「プリシラは、よくないことを致しました」
プリシラ
「でも、青髭公さま」
プリシラ
「わたくし」
プリシラ
「……わたくしは」
プリシラ
「良くないことをしてしまえる女ですの」
プリシラ
「それがどうしてだか、青髭公さま」
プリシラ
「あなたさまには、おわかりになるでしょう?」
『青髭公』
「…………」 じっと見つめる。
プリシラ
じっとあなたの目を見返している。
『青髭公』
その、揺れる瞳を。
『青髭公』
縋り求める視線を。
プリシラ
あなたを求めている。
『青髭公』
「……わかるよ」
プリシラ
「……青髭公さま」
プリシラ
「プリシラは、あなたに選ばれとうございます」
プリシラ
「ユディットさまのように」
プリシラ
「あなたさまの時間を独占したい」
プリシラ
「ユディットよりも」
プリシラ
「深く愛して、いただきたい」
プリシラ
「プリシラは……」
プリシラ
「今」
プリシラ
「他ならぬ今、この真夜中に」
プリシラ
「あなたに選んでいただかないことには」
プリシラ
「あなたに愛していただかないことには」
プリシラ
「もう……」
『青髭公』
「……お前は、」
『青髭公』
「真夜中だけでなく、私の夜明けや、私の夕暮れよりも」
『青髭公』
「ただ一人になりたいと思うかい」
プリシラ
「…………」
プリシラ
「はい」
プリシラ
「思うて、おります……」
プリシラ
この館を愛している。
プリシラ
夜明けの君さまと、貞女さまと、そして何より青髭公さまと。
プリシラ
紡いできたかつての幸福な日々を宝物のように思っている。
プリシラ
はぐれものの末裔を受け入れて下すった、心優しき救世主のみなさま。
プリシラ
彼らに不利益の及ぶようなことがあってはならないとも思う。
プリシラ
でも、だめなのです。
プリシラ
今のプリシラは、そうしたあたたかくとうときものよりも、
プリシラ
ただあなたさまからの、苛烈な愛を独り占めしたい。
プリシラ
叶わないことは知っている。困らせてしまうようなことを言っている。
プリシラ
それでも。
プリシラ
「……青髭公さま」
プリシラ
「ひととき」
プリシラ
「ただひとときの、わがままにございます」
プリシラ
「……プリシラを」
プリシラ
「あなたさまのただひとりだと」
プリシラ
「そのように、思わせてください……」
『青髭公』
その言葉に、少しだけ、困ったように微笑み。
『青髭公』
「……おいで」 腕を開く。
プリシラ
「――――」
プリシラ
息を。呑んで。
プリシラ
床を蹴って、その胸に飛び込む。
『青髭公』
抱きとめ、抱きしめる。
プリシラ
小柄な女の小さなてのひらが、あなたの背に回り。
プリシラ
「あいして」
プリシラ
「あいしてください」
プリシラ
「青髭公、さま」
プリシラ
「プリシラを」
プリシラ
「プリシラのことを、誰よりも」
プリシラ
「深く」
プリシラ
「熱く……」
『青髭公』
「…………」 そっと抱き上げる。
プリシラ
その胸に頬を寄せる。
プリシラ
やわらかな桃色の髪が、あなたの胸元に乱れて跳ねる。
『青髭公』
寄せられた頬。視界のつむじに、ひとつくちづけて、
『青髭公』
そうして扉の前を離れて、プリシラの部屋へ。
プリシラ
嬉しい。
プリシラ
嬉しい。嬉しい。嬉しい。
プリシラ
本当に独占できるはずなんてないのに。
GM
それでも、一夜の間。
プリシラ
あなたからの愛を、
プリシラ
ただ一人に注がれるものとして、感じてしまえることが。
プリシラ
ひどく。
プリシラ
こんなにも。
GM
……あなたは。あなたがたは。これから、青髭公との生活を、どうしたいのだろう。
青髭公自身のことを、どうしたいのだろう?
GM
受け入れるのか、かつてのように戻りたいのか、あるいはそれとも、本当に独り占めをしたいのか。
GM
そして、それについて三人の間で意見が対立することがあれば……あなたは、どうしたいのだろう?
GM
GM
あなたがたが『真夜中の妻』を排除しようと望めば、青髭公は彼女を守るでしょう。
あるいは、三人の生活のために、青髭公をも除くべきかもしれませんね。
GM
しかし、あるいは。
GM
青髭公だけを望むことも、できるかもしれません。
GM
だってあなたがたは、どうやって意見を通すべきかを知っていますからね。
GM
だから、よく考えて、2ラウンド目に挑んでくださいね。