GM
夜が明けて 昼が過ぎ 夕暮れが落ちる
私たちの日々が重なってゆく
GM
健やかなるときも、病めるときも
喜びのときも、悲しみのときも
富めるときも、貧しきときも
この命のある限り、裏切らないと誓ったのではなかったの?
GM
ああ!
時ゆき日の過ぎるばかりに
ひとのこころは!
GM
ここは、『青髭公』と呼ばれる救世主が治める小さな古城です。
GM
あなたがたは『青髭公』の伴侶として、この城でともに暮らしています。
GM
『青髭公』はあなたがたのことを、まるで太陽のように愛しています。
それなしに生きてはゆかれぬのです。
彼はあなたがたとの運命を、朝に、昼に、夕に見出したのですから。
GM
この堕落の国で生きてゆくのはたいへんに難しいことですが、あなたがたは四人力を合わせて、いくつもの裁判を切り抜けてきました。
GM
七つ扉の城は、あなたがたの小さな安寧を守る場所。
GM
今日も無事新たな日を迎え、あなたがたは目覚めます。
そして、みなで変わらぬ挨拶を交わすのです。
『青髭公』
「よく眠れたかな。今日は少し風があるようだよ」
プリシラ
「やっかいなものをたくさん運んでまいりますもの!」
玄椎 貞女
「眠りに関しては大事ないが、プリシラの言うことはもっともだな」
玄椎 貞女
「周りの様子はどうか、見回りに行ってきた方がいいかもしれん」
プリシラ
「あなたさまの玉の肌も、傷つけられてしまうかもしれません」
玄椎 貞女
「救世主は……心の疵の力があるので……」
プリシラ
「なにもかもから守られるというわけでは、ありませんでしょう」
プリシラ
助力を求めるように夜明けの妻と青髭公の方をちらちらと見ていますが……
夜明けの妻
全裸を説得しているな、という顔をしています。つまりいつもと変わらない顔ですね。
玄椎 貞女
「だが、死線にあればこそ私の心の疵もいっそう刺激されるというもの」
プリシラ
「そも死線に置かれることがどうかと思いましてよ!?」
プリシラ
「じっさい、頑丈さで申しましたら、夜明けの君の方がよほど……」
玄椎 貞女
「言うて亡者とかいたら仕方がないだろう」
夜明けの妻
風が吹くと死線に立たされるのはどうなんだ?と一般であれば思いますが、夜明けの妻は自然そのものなのであまり気にしません。
夜明けの妻
「流れが乱れるほどの風にならなければいいのですが」
夜明けの妻
この女が来てから公の邸宅の近くには川が出来ました。
玄椎 貞女
「ひとりで手に負えんかったら夜明けのもお前も公も呼ぶし」
夜明けの妻
服を着るほうがより賢明なのでは?という一般的な思考を持ちません。
プリシラ
「そうしていただけるのは、助かりますけれど……」
玄椎 貞女
服を着る方がより賢明であるという一般的な思考は持っていません。
『青髭公』
「さあ、朝食にしよう。今日は亡者鳩の卵が手に入っているよ」
プリシラ
「素敵ですね! たいへんありがたいことです」
夜明けの妻
さらら……と衣擦れのような、水が遠くで流れるような音を立てて食卓へ向かいます。
プリシラ
「ええと……なんでしたか。身体をかたちづくるのに、とてもよいものが入っているとのことです!」
夜明けの妻
女の脚があるようなのですが、この布の下を公以外が見たことはありません。
GM
みな揃って食卓へ。給仕は当番制。今日はプリシラの番。
プリシラ
当番だとか、そういうものを抜きでいても、毎日私が給仕をしてもよいくらいなのです。
玄椎 貞女
どうしても1日中全裸でいたい時とかはプリシラに変わってもらってるかもしれん。
プリシラ
何せお三方はこの世界に招かれし救世主のみなさま。
私はそれを出迎える末裔の者です。
玄椎 貞女
給仕をするときに全裸だと……やや問題があるため……
プリシラ
それでも、頼りにしていただくのはありがたいことです。
救世主さまのお役に立てることはすばらしいことです。
玄椎 貞女
そう思ってもらえるのはありがたいことだ。
プリシラ
こうしてお三方に尽くし、その日々の安寧を守る役割を仰せつかっていることを、選ばれたものの栄誉と感じております。
玄椎 貞女
とは言え、今は妻という対等な立場なので、それほどかしこまってもらうのもやや体裁が悪い気はするが。
夜明けの妻
ぷりしらは良い捧げ物(料理のこと)をするので、よいですね。
玄椎 貞女
やりやすいようにやってもらうのが一番だからな。
GM
ここは堕落の国。大したものは用意できませんが、四人の食卓は温かいものです。
玄椎 貞女
やりたいこと やったもん勝ち 堕落の国なら。
GM
青髭公もなんやかや言っていたのは最初だけだと思われる。
プリシラ
「本日は、ええと、卵を溶きまして、それをこしょうで」
玄椎 貞女
何やかや言われたのを全裸で押し通してきました。
プリシラ
「そう、そうです、スクランブルエッグですの」
夜明けの妻
捧げ物(ただの朝食)の説明をうんうんと聞いています。
玄椎 貞女
「この国は、こしょうはなぜかどこでも手に入るのよな」
プリシラ
「塩も手に入ったら、もっと素敵ですけれども……」
玄椎 貞女
「胡椒の雲を吐く亡者がいるせいだろうが……」
夜明けの妻
「味をつけるもの全般が貴重ではありますが、こしょうは潤沢でございますね」
プリシラ
「わたくし、貞女さまのお詳しかった、あの……ええと」
プリシラ
「あの調味料を吐く亡者でしたら、もっと増えて頂きたいと思いますわ」
プリシラ
「不思議な味わいですけれど、何にでも合うのですもの」
夜明けの妻
「やんぐおいすたーの亡者を絞ったものも美味ですが、ショウユ……とはまた違いましたわね」
玄椎 貞女
「ああ、確かにな。堕落の国では得られるものではないと思っていたが、食えてしまうとさらに恋しくなる……」
プリシラ
「なんでもかんでも茶色くなってしまうのは困りものでしたが……」
玄椎 貞女
「あれは大豆から作るはずなのだが、あいにく製法を知らんからな」
玄椎 貞女
「醤油を出す亡者でもいなければ望めないだろうな。ううむ」
夜明けの妻
「わたしが海まで繋がればよいのですが……」
夜明けの妻
邸宅の外にある川も自分という自認があります。
プリシラ
救世主さまですもの。そういうこともありましょう。
玄椎 貞女
「堕落の国の海に繋がると、それはそれで障りがありそうだ」
『青髭公』
「海か……この国の海は見たことがないな」
プリシラ
夜明けの君さまのお川は大変うつくしくいらして、これもまるでおとぎ話の中の存在のようです!
玄椎 貞女
堕落の国で見る川と言えば、ドブ川や枯れはてているものばかりだからな
GM
……とまあ、なんやかや朝食の席は会話も華やか。
GM
この国でも、身を寄せ合う相手がいる、穏やかな朝です。
『青髭公』
「お前たち、厨房や生活に何か不自由はないかい?」
夜明けの妻
夜明けは公の愛さえあれば良いため、おおよそ無欲な妻と言えます。
玄椎 貞女
「厨房を一番熱心に使うのはプリシラだからな」
玄椎 貞女
「私はどちらかと言えば、自分がプリシラの邪魔になっていないか気にする程度だ」
プリシラ
ですので、厨房のことで青髭公になにか申し付けますということは、
プリシラ
なんだか私個人のおねだりのようで、気の引けるところはあるのですが……
玄椎 貞女
テフロン加工とかないから錆つくんだよなあ、と思っています。
夜明けの妻
大丈夫、錆びたのは投げて使えるからえころじいですわ。
『青髭公』
「ああ……まあ、ずいぶん使っているからね」 しかもなにしろ、四人分の食事を毎食。
プリシラ
当然ながら、最初から新品であったはずもないフライパンです。
『青髭公』
「そうだね。でも、少し探してみよう。塩も欲しいところだし」
玄椎 貞女
「フライパンが新調され、厨房の状態が良くなるということは」
玄椎 貞女
「すなわち我々の生活が良くなるということだ」
玄椎 貞女
「うむ、やはり台所のことはプリシラがいちばん詳しいな」
夜明けの妻
「ありがとうございます、旦那様、ぷりしら」
プリシラ
「わたくしも、なんと申しますか、精が出ると申しますか」
プリシラ
「ありがとうございます。貞女さま、夜明けの君さま」
プリシラ
「と、とうぜんの……当然の勤めでございますから!」
『青髭公』
「そうしたら、私が調達に出てこよう。城の中のことはお前たちに任せるよ」
夜明けの妻
夜明けには侵入者を押し流す機能があります。
GM
城の割と近くに、街がひとつ。一人でもさほど労なく行ける範囲。
それに、先週あたりに一戦やったので、全員ほどほどに余裕がある時期です。
GM
青髭公は結構、調達なんかを引き受けてくれますね。優しいです。
夜明けの妻
着いていきます!とダダとこねるタイプの女ではないので大丈夫です。
玄椎 貞女
そうやって外に出て、我々も見いだされてきたのだな……
プリシラ
同伴させていただきたい気持ちはないでもありませんが、お家を守るのも妻の大切なお役目です。
GM
だいたい昼前に出かけて、翌日午前くらいに帰ってくるのがいつものお決まりです。
玄椎 貞女
まあ、一人で大丈夫と言っているのだから、大丈夫なのだろう。
玄椎 貞女
妻の中から一人選んで連れて行くというのも、それなりに意味合いが出てしまうだろうからな。
GM
ではあなたがたの見送りを受けて、青髭公は出掛けていきました。
GM
残ったあなたがたは、それぞれに、掃除をしたり、見回りをしたり……
プリシラ
台所回りのお片付けや消耗品の管理などをしております。
GM
まあ、青髭公がいなくても、いつもの通りの日常です。
夜明けの妻
いつも通り川が流れ全裸が歩き末裔がぴょこぴょこしています。
GM
城の扉が重い音で開いたのを、あなたがたは聞きました。
夜明けの妻
お帰りになられたわ、と出迎えに参ります。
玄椎 貞女
同じように、城のどこかにいたのを入り口のほうへ歩いてきます。
夜明けの妻
「ええ、何もございませんでした。貴方様が居らず皆が少しさみしくあるのもいつも通りに」
プリシラ
「青髭公さまの言いつけの通り、しっかりとお家を守らせていただきましたの」
プリシラ
小さな体でよいしょと中身をあらためまして、まあ、と目を瞬いて。
『青髭公』
中身は、フライパン。鉄の、まあ、今のものよりはマシなやつ。それから、塩の小瓶。干し肉の、そこそこのかたまり。など。
プリシラ
「これなら、明日のお夕飯はすてきな晩餐になりましょうね!」
夜明けの妻
「前のフライパンは茹でるのに使って……穴が開いたら投げるのに使いましょう」
プリシラ
「貞女さまに力いっぱい、投げていただくのがよろしいですわね」
『青髭公』
「土産に喜んでもらったところで、もうひとつ、喜んでほしいことがあるんだが」
夜明けの妻
このパターンを夜明けのは知っていますね。
『青髭公』
「おいで、ユディット」 開いたままの扉の外に、声を掛ける。
玄椎 貞女
自分が紹介にあずかったことがあるので、むろん自分も知っている。
夜明けの妻
私よりも入ってきた方の方が大体驚かれますが……
玄椎 貞女
まさか我が夫となったものが川を妻にすでにしていた男とはな。
『真夜中の妻』
「…………」 無言のまま、入ってくる女が一人。
『真夜中の妻』
そして、青髭公に寄り添うように立つ。
GM
白い肌、細い手足。どことなく頼りなげな立ち姿。
『青髭公』
「彼女はユディット。私の『真夜中』だよ」
夜明けの妻
「なるほど、よろしくおねがいしますね、ユディット」
夜明けの妻
妻は対等だと教えられているので、呼び方も客人から妻へのものへ変わります。
プリシラ
目の前に立つお方は、どんなに儚げな雰囲気をまとっていたところで、救世主さまです。
『真夜中の妻』
ユディットは長い金の髪に、薄い色のブラウスと長いスカート。どことなく汚れて荒んだようななりをしていますが、堕落の国ではよく見る範疇。
『真夜中の妻』
視線はちらちらとあなたがたを見ていますが、『青髭公』の影にぴったりと寄り添って離れる様子がありませんね。
『真夜中の妻』
あなたがたが順繰りに名乗り、語りかけるほど、ユディットはますます青髭公の影に隠れていきます。
玄椎 貞女
プリシラもやや末裔らしく頼りなげだが、彼女はいっそう手弱女だな。
プリシラ
しょうじき、プリシラも隠れてしまいたい気分になっておりますが……
プリシラ
今は隠れる先も独占されてしまっております……
『青髭公』
「ユディット」 隠れたユディットに声をかける。
玄椎 貞女
夜明け→プリシラ→自分→ユディットと来たので、もし五人目を連れてきたらまた強めの妻が来るかもな……
『真夜中の妻』
ようやく、きゅっと結んだくちびるを開き、
夜明けの妻
山の方とか滝の方とか来られたらどうしましょう……
『真夜中の妻』
「三人もいらっしゃるなんて、聞いていません」
夜明けの妻
公はそういう方でいらっしゃいますから……
プリシラ
私も何も聞いておりませんでしたが、1人と3人は流石に大違いですので……
夜明けの妻
「貞女様もここに来られた時近い感想を抱いておられましたわ」
プリシラ
貞女さまがおいでになったときも驚きましたが……
プリシラ
ので、その時に比べたら……驚きの方向では多少……
玄椎 貞女
そうなると、まあ、ユディットがいちばん驚いているということになるな。
プリシラ
私はともかく、夜明けの君さまと貞女さまは大変ユニークな格好をしていらっしゃいますし……
『真夜中の妻』
青髭公の腕に手を添えて、縋るようにします。
玄椎 貞女
「おいお前、我が夫、お前がちゃんと説明をせず連れてきたのだ。
お前がなだめて何とかしろ」
夜明けの妻
次からは妻たちと言った方が良いかと思われますけど、増えるのかしら……間を取って丑三つ時の妻かしら……
プリシラ
貞女さまはとても率直な物言いをなさるので、こういう時はたいへん頼りになります。
プリシラ
プリシラの立場で何かを申し上げるのは……少々難しいことですので……
夜明けの妻
「旦那様は妻が増えても変わらぬ愛を注いでくださいますわ」
プリシラ
もっと明確に説明をした方が……良いのではとは思いますが……
『青髭公』
「ユディット。大丈夫……色々と驚いたかもしれないが、みな優しい。仲良くなさい」 添えられた手に、そっと手を重ねる。
プリシラ
その所作に、重ねられた二人の手に、寄せられる身体に、すこし唇をひきむすぶ。
玄椎 貞女
妻が複数人いて、増える可能性がある、というのが分かってから、うすうすこういうことが起こるのに気が付いていたが……
玄椎 貞女
一夫多妻制は……妻同士の嫉妬や独占欲が激しくなると……大変なのだ……
夜明けの妻
川には人間の道理が分からぬため、ユディットが公を独占する事に対して特に何の感想もありません。今は、まだ。
プリシラ
プリシラからはなまなかには何も申し上げられません……
玄椎 貞女
今まで何となくなあなあでうまくいっていた風向きが、妙な方向に行かねばよいのだが。
玄椎 貞女
「我々はお前を新たな妻として受け入れよう」
玄椎 貞女
「城の中での安全な生活を共に保ち、公を支え、この堕落の国で生きていく」
玄椎 貞女
「そういう風に決めて、ここまでやってきた」
『真夜中の妻』
「…………我々」 ぽつりと繰り返す。
夜明けの妻
「私達は3人で留守を守っていますので、ユディットともうまくやっていける事を望んでいます。それが公の望みでございますから」
『真夜中の妻』
「あなたがたは……公のたった一人になりたいとは思いませんの?」
玄椎 貞女
「その問いは、お前が腕を掴む、その男に聞くといい」
夜明けの妻
「私は旦那様に愛していただけるのであればそれでかまいませんが」
プリシラ
プリシラは……プリシラは末裔の身ですので……
『真夜中の妻』
「愛しているなら、……わたし、たった一人になりたいと思います。それがたとえ、今でなくたって……」
夜明けの妻
これはどちらかと言えば一般的な考えだとおもいますが、川にはわかりません。
『青髭公』
苦笑しながら、あなたがたのほうを見渡す。
『青髭公』
「……ユディットは『救世主』だが、六ペンスコインを失っていてね。さしあたり、私たちで守ってやることになるんだが……」
夜明けの妻
公に向けるのはいつも通りのたおやかな笑みです。公からの愛がありますから。
プリシラ
プリシラは末裔の身でありながら6ペンスの力をいただいておりますので……
『青髭公』
「……ユディットがここに慣れるには少し、時間がいるだろうからね。城のことを教えてやっておくれ」
夜明けの妻
2人目の妻が来た時、3人目の妻が来た時と同じように受け入れます。
玄椎 貞女
新しい妻が来るのは初めてだが、はじめての先輩妻として励むとしよう。
プリシラ
「それに、公がお持ちくださった食材とフライパンで、すてきな晩餐をするといたしましょう」
プリシラ
「『真夜中の妻』ユディットさまの歓迎会ですの。いかがでしょう?」
『真夜中の妻』
「…………」 返事をするよりも、まず不安げな顔で青髭公を仰ぎ見て、
『真夜中の妻』
何度目かのなだめるような声に、不安げな顔でプリシラへ視線を戻す。
『真夜中の妻』
「…………」 目が合うと、青髭公の影に逃げました。
プリシラ
こちらも笑みに不安を押し込めたような顔で、けれど小さく頷き返……
玄椎 貞女
「歓迎会に出られるように、なんとか応援してやってくれ」
『青髭公』
「……ああ、そうだね。私も気にかけるよ」
プリシラ
「素敵なお召し物を、ご用意いたしますので……!」
プリシラ
今回はこの……持ち帰っていただいたばかりの物資がありますけれど……
GM
取り分は……減るでしょうね。ユディットは基本的に無力ですから。
玄椎 貞女
まあこの男は次から次へ出先で妻を連れてくる男と言うのは分かっているので覚悟はしていたが。
玄椎 貞女
新しく加わったユディットがその心構えがなかったら、面倒なことになるかもしれん。
プリシラ
貞女さまが来られた時も……減りましたが……
夜明けの妻
夜明けは1人増えて時間が減った時も、2人増えて時間が減った時もニコニコしています。
夜明けの妻
それはきっと3人目でも同じことなのですが……
GM
各々に不安を抱えつつ、五人の生活が始まります。
GM
いつまで経ってもユディットは馴染まないですね。馴染もうともしない。
GM
青髭公に頼りきりで、まあ……馴染むどころか、あなたがたのことを日に日に避けているようですらあります。
GM
しかも、青髭公も強くは言わないですね。むしろ、なんだか、ユディットを庇っています。
玄椎 貞女
四人連れてきた時点で期待できん気もする。
夜明けの妻
ええ、庇っておられようと、愛してくださるなら良いのですが…………
プリシラ
愛してくださっているとは……信じておりますが!
夜明けの妻
私は救済狂愛を構える事が可能でございます。
GM
青髭公の時間の取り分は、誰よりもユディットが取っていっている気がします。
GM
青髭公に尋ねても、そんなことはないと言いますけれど。実際には、ユディットが特別に見えてしまう。
夜明けの妻
主張しない夜明けの時間から取られていそう。
玄椎 貞女
こういう時は、弁えているものより弁えていないもののほうが強い。
GM
そうして、あなたがたが今まで持っていた「平等に愛されていた」という感覚は徐々に擦り切れていきます。
夜明けの妻
夜明けは主張しませんし、公を問い詰めるような女でもないため……
玄椎 貞女
風向きが良くないほうへびゅんびゅん吹いている。
GM
ユディットは明らかに、あなたがたから青髭公を奪おうとしています。青髭公自身、それを強くは拒まない。
GM
それは……あなたがたにとっては、どうでしょうね。青髭公は、まだ平等にあなたがたを愛してると思えるでしょうか。
夜明けの妻
邸宅の外の川の流れが少しずつ強くなっています。
プリシラ
よくないものがいっぱい運ばれてまいりますの……
玄椎 貞女
ぶっちゃけた話、四人もいる妻を平等に愛するというのは無理で異常なことなので。
玄椎 貞女
贔屓の妻ができるのも仕方あるめえという気持ちはあるが。
プリシラ
こういう状況をどうたとえたものか、表現したものか、たしなめたものか、プリシラにはわかりません……
プリシラ
妻の身で、末裔の身で、青髭公さまに教訓を垂れることなど……
夜明けの妻
ユディットが公を完全に手に入れてしまうと、邸宅が沈むかもしれません。
GM
そうしてひんやりとした距離がユディットとあなたがたの間に横たわったままのある日、
玄椎 貞女
無言の訴えというか、心の疵を発露する感じで、直訴したりもせんし……
夜明けの妻
夜の川の音がよく聞こえるようになってきました。
GM
青髭公は、食卓についたユディットとあなたがたを見渡して、こう言いました。
GM
「助け合っていく仲なのだから、ユディットをもっと受け入れてあげなさい」と。
GM
……あなたがたの歩み寄りを無にしているのは、明らかにユディットであるにも拘らず。
夜明けの妻
この女、あら、と言うことはございますが、あら、と三度も言うのは初めてのことです。
GM
あなたがたは……青髭公の平等な愛が、もはや「平等」ではなくなったという気持ちを、拭えなくなります。
GM
――それは、今まで一緒に暮らしてきたあなたがたに対する裏切りなのでは?
プリシラ
川のせせらぎの音がよく聞こえるような気がいたします……
プリシラ
うつくしい川であることに変わりはないのですが……
夜明けの妻
外から雨のような音が聞こえますが、外はいつも通りの曇天です。
『真夜中の妻』
相変わらず、青髭公に寄り添っている。
夜明けの妻
愛が損なわれる危機と、水没の危機が同時にあります。
玄椎 貞女
以前のように、三人で仲良く返事を返したりはせず。
玄椎 貞女
公の言葉に、全裸のまま腕を組んでじっと押し黙っている。
プリシラ
この場に存在する全員の圧に沈み込んでいます。
『真夜中の妻』
とても、ともに裁判を切り抜けていけるとは思えない細い身体。
夜明けの妻
コイン渡しても、それどころかコイン受け取ってなさそう。
『真夜中の妻』
あなたがたを見る目は、最初と何も変わらず。
玄椎 貞女
対して、こちらのユディットを見るまなざしは確かに、最初よりも冷えているかもしれん。
プリシラ
青髭公さまが望むようには……したいのですけれど……
夜明けの妻
こちらもユディットを見る目は変わらず……変わらず、ただ流れているだけ。
夜明けの妻
川の流れに逆らうものは、それ相応の物事が起きるだけです。
GM
誰も、何も、表立って責めたり怒ったりしているわけではないのに。
玄椎 貞女
「お前は我々がユディットを受け入れず、冷たく当たっていると、本当に思っているか?」
プリシラ
青髭公さまを問い詰める貞女さまの言葉はプリシラの内心とも合致しております。
プリシラ
けれど、けれど……いえ、プリシラの申せないことを口にしてくださる、これは大変助かりまして、ありがたいことなのですが……
玄椎 貞女
表向き、今までと同じような日々をその場しのぎで繕うだけでは、
夜明けの妻
「わたしたちは、特にプリシラは、ユディットがわたしたちに馴れるよう善処しておりました」
プリシラ
夜明けの君さまに名を挙げていただいて恐縮になっております。
『青髭公』
「……けれど私たちは、ユディットを守ってやらなければならないんだよ」
玄椎 貞女
恐らく、そばにずっと寄り添っているユディットが望む言葉でもないだろうな。
夜明けの妻
望みならば叶えます。愛という捧げ物があれば。
プリシラ
青髭公さまの望むことなら、とは、プリシラも思いますが……
プリシラ
正直、力を授かっているとはいえ、末裔の身には重い仕事でございますの……
プリシラ
ユディットさまは、救世主でいらっしゃるはずで……
夜明けの妻
プリシラは日々の暮らしを捧げ、貞女は力を捧げています。
夜明けの妻
けどユディットからは何も捧げられていませんね。
プリシラ
ほんとうならプリシラよりもずっと強くて、特別な力をお持ちのはずなのです。
玄椎 貞女
「お前は我々を愛そうとするし、その愛に我々は集っている」
玄椎 貞女
「だが、お前は今、この場の誰もが見えていない」
玄椎 貞女
「ユディットがここに来た時、最初に言ったことを覚えているか」
玄椎 貞女
「お前のただ一人になりたいと、その娘はまだ望んでいるはずだ」
玄椎 貞女
「そうであればこそ、そこな娘はお前を独占しようと努力をしてきたし、我々を受け入れまいとしてきた」
玄椎 貞女
「その健気さと独占欲は、妻として責められるべきものではないと私は思うが……」
玄椎 貞女
「お前がそのような態度では、ここにいる誰の望みも叶わぬままだぞ」
『青髭公』
「……今は少し、距離を置こう。ユディットには私が話すよ」
夜明けの妻
公には解るはずです。この女は頼んだ事はそのようにしてくれるが、そもそもこの場に留める事にすら代償があるということを。
『青髭公』
「……七つめの扉をユディットにあてる。お前たちは、入らないように」
プリシラ
だってそれは、ユディットさまに対するあまりにも露骨な特別扱いでしたから。
玄椎 貞女
それでいて、我々を棄てもしないというのだから。
玄椎 貞女
それはいちばんよくないぞ。宙ぶらりんだ。
玄椎 貞女
お前……それで……なんとかなると思っているのか!?
プリシラ
今までだってずっと宙ぶらりんでしたのに……
プリシラ
いいえ、いいえ、わたくしは青髭公さまの望むように……
GM
そうして青髭公は、ユディットを連れてその場を出ていきます。
玄椎 貞女
こっちがあの男より複雑なため息を出しちゃうもんね。
夜明けの妻
いつもは皆で席を立っていたのですが、今日は……
プリシラ
プリシラの作ったお食事も……ユディットさまは残されて……
プリシラ
ユディットさまのために仕立てたお召し物も、結局まともに着ていただいたことはありません。
夜明けの妻
「いままでうまくやって頂いていたのですね」
プリシラ
「プリシラは、皆様にお仕えする身でありますから……」
玄椎 貞女
「ユディットは、コインを喪うような娘だ」
玄椎 貞女
「その先に公に拾われてあのようにええ顔をされては、うまくやろうという気も失せるかもしれん」
夜明けの妻
「わたくしは、ユディットを守ることだけならば構いませんでした」
プリシラ
夜明けの妻の顔を見ます。濁流の音が今も聞こえる。
プリシラ
「連れ添いながら、教えていただきました、ゆえ」
玄椎 貞女
「救世主を説得するのならば、心の疵に触れんことにはもはや収まるまい」
夜明けの妻
「皆様がそのように考えられるので、あれば」
玄椎 貞女
「無駄な先延ばしをやめ、消耗戦をせず、白黒はっきりつけるとしよう」
プリシラ
けれど、今のプリシラの心に寄り添ってくださっているのは青髭公さまではなく、貞女さまと夜明けの君さまのお二方です。
プリシラ
二人に従う形で、プリシラも立ち上がります。
夜明けの妻
風が吹く。邸宅の外の濁流によって生まれた風が。
風が邸宅の窓を揺らしています。
玄椎 貞女
嵐の翌日のような。しかして堕落の国はいつもの曇天。