第2サイクル

GM
サイクル2。誰が行動されますか?
甘葛井五郎太
行動するかあ。
彌祚杯童子
構いませんよ
泳 蓬
どうぞ
善知鳥 瑞楽
どうぞ。
甘葛井五郎太
1d12 (1D12) > 6
甘葛井五郎太
6:木々。鬱蒼と生い茂る。どこまでも奥があり、深い闇へと招く。
甘葛井五郎太
まだ森にいる。
GM
GM
*メインフェイズ サイクル2 甘葛井五郎太
甘葛井五郎太
お姫さん出てもらえるかい。
善知鳥 瑞楽
はい。
甘葛井五郎太
鬱蒼と茂る木々の合間を行く。
甘葛井五郎太
飛ぶように駆けるその速度は次第に緩まり、後ろのあなたを振り返る。
甘葛井五郎太
「すまん」
善知鳥 瑞楽
「何がですか」
甘葛井五郎太
「怒ってしまった」
甘葛井五郎太
歩調は緩まって、立ち止まった。
善知鳥 瑞楽
同じく立ち止まる。
甘葛井五郎太
「未熟だなあ」
甘葛井五郎太
腕を組んで生い茂る草葉を見上げている。
善知鳥 瑞楽
そのさまを見つめる。
善知鳥 瑞楽
「まだお怒りですか?」
甘葛井五郎太
「今は自分に腹を立ててる」
甘葛井五郎太
「いや、違うな……怒(いか)ってるわけじゃなくて……」
甘葛井五郎太
「もう少しこう……」
甘葛井五郎太
わやわやと手を動かした。
甘葛井五郎太
「まあ、主意はそこではなくて」
甘葛井五郎太
「あんたの邪魔をしたかもしれんと思ってな」
善知鳥 瑞楽
「邪魔、ですか」
甘葛井五郎太
「横から口を挟んだから」
善知鳥 瑞楽
「いえ……」
善知鳥 瑞楽
少し考えるふう。
甘葛井五郎太
しぐさを見ている。
善知鳥 瑞楽
「この儀式における私のお役目というのは、八千矛に神器を与えること」
善知鳥 瑞楽
「八千矛と八十神の対峙には、むしろ」
善知鳥 瑞楽
「私がその真中に入るものではないかとも思いますが」
甘葛井五郎太
「ああ……」
甘葛井五郎太
「蓬と言ったか」
甘葛井五郎太
「知り合いなのだから、ちょっかいをかけられたら気が気ではあるまいよ」
善知鳥 瑞楽
「……蓬とは長い付き合いです」
善知鳥 瑞楽
「儀に関わりなければ、ただ、無事で、とだけ言えたのですが」
甘葛井五郎太
「『神器』を抱えているものがふたりか」
甘葛井五郎太
「観客どころか、『姫』がふたりいるわけだなあ」
善知鳥 瑞楽
「……左様ですね」
甘葛井五郎太
「どっちが本物の『姫』か……」
甘葛井五郎太
「などと、言うわけでもないかもしれんな」
善知鳥 瑞楽
「神器のことは、私もまだ、よくは存じませんので」
甘葛井五郎太
「ああ……」
善知鳥 瑞楽
「それは未だ、私の中に鎖されております」
甘葛井五郎太
「……あんたは、儀式のために育てられてきた『姫』だ」
甘葛井五郎太
「神器を宿しているという以上に、それは疑いようもない」
甘葛井五郎太
「が……」
甘葛井五郎太
頭を掻いている。
甘葛井五郎太
「もう一人が、あんたの知り合いとはなあ」
善知鳥 瑞楽
「そうですね……」
善知鳥 瑞楽
「……どうしてか蓬だったのかは、わかりませんが」
甘葛井五郎太
「いずれにしても、儀式はしなければいけない」
甘葛井五郎太
「俺もあんたも、そのために育てられ、……この時のために在る」
甘葛井五郎太
「だから、やる」
甘葛井五郎太
瑞楽に向き直る。
甘葛井五郎太
「その辺、恨んでくれるなよ」
甘葛井五郎太
「…………と言ってもあんたは、そう言うのはないか」
善知鳥 瑞楽
また少し、笑う。
甘葛井五郎太
「定められた儀式のままに、為すがままに──」
甘葛井五郎太
「大きな流れがあるとして」
甘葛井五郎太
「あんたはただ流されてるままじゃないふうに見えるがね」
甘葛井五郎太
感情判定をし、アレの使用を宣言します。
GM
了解しました。
GM
*祭具の効果により、感情判定を成功にします。
GM
感情表をどうぞ。
甘葛井五郎太
ET 感情表(5) > 憧憬(プラス)/劣等感(マイナス)
善知鳥 瑞楽
ET 感情表(1) > 共感(プラス)/不信(マイナス)
甘葛井五郎太
憧憬
善知鳥 瑞楽
共感
GM
*神器の封印が解かれ、甘葛井五郎太はこれを獲得。
GM
*神器の封印が解かれたため、善知鳥瑞楽の使命を甘葛井五郎太の使命に変更。
GM
*神器の封印が解かれたため、善知鳥瑞楽はすべての感情属性を取り直す。感情表の結果を見てから、変えないことを選んでもよい。
GM
感情表を好きな順でどうぞ。
善知鳥 瑞楽
では、甘葛様から。
善知鳥 瑞楽
ET 感情表(6) > 狂信(プラス)/殺意(マイナス)
善知鳥 瑞楽
共感を維持
GM
そのままどうぞ。
善知鳥 瑞楽
続けて、彌祚杯様。
善知鳥 瑞楽
ET 感情表(6) > 狂信(プラス)/殺意(マイナス)
善知鳥 瑞楽
こちらも、劣等感を維持で
GM
了解しました。
GM
*甘葛井五郎太の祭具は善知鳥瑞楽に手渡されたものとし、そして消滅。
GM
処理は以上です。
甘葛井五郎太
「…………何とかの板ってのがあったな」
善知鳥 瑞楽
「カルネアデスの板ですか?」
甘葛井五郎太
「それそれ。板にしがみついている相手を叩き落したとき、罪にはなるかどうかっていう……」
甘葛井五郎太
「この場合、あんたと蓬どのが同じ板にしがみついて今にも沈みそうなら……」
甘葛井五郎太
「あんただけに浮き輪を投げたのはこの俺だ」
甘葛井五郎太
「だからまあ、俺が責任を持つって話だな」
善知鳥 瑞楽
「…………」
善知鳥 瑞楽
「お一人で持たれることもないでしょう」
甘葛井五郎太
「あんたと俺は、同じ船に乗ることになったらしい」
甘葛井五郎太
「……まあこの船、あの『八十神』に沈められるかもしれんがな」
善知鳥 瑞楽
「……沈まぬように努めましょう」
甘葛井五郎太
「ああ、沈めないようにするさ」
甘葛井五郎太
「まあ、それはそれとして……」
甘葛井五郎太
「儀式中に蓬が助かる方法を捜すのは、なしではない」
甘葛井五郎太
「殺さなきゃいけないのは、あの『八十神』だけだからな」
善知鳥 瑞楽
「ええ」
善知鳥 瑞楽
「……此度はおそらく、今までの予定調和ほど上手くはいかないでしょう」
善知鳥 瑞楽
甘葛様に、彌祚杯様の秘密を譲渡します。
甘葛井五郎太
受け取ります。
GM
了解しました。
GM
貼りました。
甘葛井五郎太
「なるほどなあ」
甘葛井五郎太
「まったく、知らんことだらけだ」
甘葛井五郎太
手の中の神器を見る。
GM
神器は刀の形をしている。
甘葛井五郎太
あの蓬の中にも、神器があるのだろう。
甘葛井五郎太
その形を井五郎太はすでに知っている。
甘葛井五郎太
「……まあしかし、間に合わんか」
甘葛井五郎太
独り言のように呟いて、瑞楽を見る。
善知鳥 瑞楽
あいも変わらず、透明な眼差し。
甘葛井五郎太
「あんたは、諦めているのかい」
甘葛井五郎太
「それとも、何も考えていないのか」
甘葛井五郎太
「あるいは、自分の中で、何かを納得づけているのか」
善知鳥 瑞楽
「……できることを、考えておりますよ」
善知鳥 瑞楽
「いつだって」
甘葛井五郎太
その透明な眼差しを、髪の奥の目が覗き込む。
善知鳥 瑞楽
怖じず、逸らさず。
甘葛井五郎太
「できることをやるしかない、か」
甘葛井五郎太
髪を掻き、男は太刀を背に負った。
甘葛井五郎太
「では、参るかね」
善知鳥 瑞楽
「はい」
GM
祭具は手渡され、神器の封印は解かれた。
GM
本来の神楽の演目であるならば、あとは八十神を討つのみ。
GM
故に、取りこぼされた誰かを想うのは、それは配役に強いられたものではない。
GM
GM
さて次は誰が行動しますか。
善知鳥 瑞楽
では、次手を希望します。
GM
了解しました。
GM
GM
*メインフェイズ サイクル2 善知鳥 瑞楽
善知鳥 瑞楽
2d6 (2D6) > 5[1,4] > 5
善知鳥 瑞楽
5:集落。そのまま里の者の営みが残っており、細々と、しかし平穏な暮らしをしていたことが窺える。
善知鳥 瑞楽
蓬。来てもらえますか
泳 蓬
はい。
善知鳥 瑞楽
果ての闇より、森を抜け。今は無人の里へと足を踏み入れる。
善知鳥 瑞楽
誰もいない家々の間をゆっくりと、しかし確かな足取りで。
善知鳥 瑞楽
ただひとつ察することのできる、人の気配の方へと。
泳 蓬
夜闇よりもなお暗く、冬枯れよりも生の気配のない、異界に落ちた集落に。
泳 蓬
取り残されたように、ぼんやりと青く暗い満月を仰ぎ見て。
泳 蓬
振り返る。
善知鳥 瑞楽
「蓬」
泳 蓬
「瑞楽……」
甘葛井五郎太
呼びかける瑞楽の少し離れて後ろ、控えるように立っている。
泳 蓬
その佇まいにか、空気にか、あるいは何かの直感でーーわかる。
泳 蓬
「神器の封印を解かれたのですね」
善知鳥 瑞楽
「……ええ」
泳 蓬
「おめでとう。よかった。あとは、八千矛が勝つばかりですね」
善知鳥 瑞楽
「そうですね」
善知鳥 瑞楽
短く首肯した後。
善知鳥 瑞楽
「蓬。……貴女は」
善知鳥 瑞楽
「この儀式の場で、何か」
善知鳥 瑞楽
「……望むことは、ありますか」
泳 蓬
「ふふ、へんなこと訊くのね」
泳 蓬
「望むことなんて。……貴女のしあわせ。そればかりですよ」
甘葛井五郎太
凝乎と二人のやり取りを見つめている。
善知鳥 瑞楽
「……私はこの場で、何を望むこともしません。できません」
善知鳥 瑞楽
「貴女のことも、今の私には。……」
泳 蓬
「気に病まないで」
泳 蓬
「……といっても、貴女のことだから変に気負ってしまうんだろうけど!」
善知鳥 瑞楽
「私が望めなくとも」
善知鳥 瑞楽
「……貴女の望みを思うことはできるかもしれない。貴女が人の世のものであるかぎり」
善知鳥 瑞楽
「私は人の世のもののために、ここにおりますので」
泳 蓬
「じゃあ」
泳 蓬
「私が人の世のものでなければ、迷わず切り捨てられる?」
善知鳥 瑞楽
「蓬……」
善知鳥 瑞楽
「答えられないことで、私を試さないで」
泳 蓬
「だって、私の望みだって」
泳 蓬
「……答えられないもの」
泳 蓬
「だから訊かないで、確かめないで」
甘葛井五郎太
挙手をしている。
甘葛井五郎太
瑞楽の背後にいるので、見えるのは蓬からだけかも知れない。
泳 蓬
「……なにか」
甘葛井五郎太
「こういう時……」
甘葛井五郎太
「つまり、言うべきか言わざるべきかの時」
甘葛井五郎太
顎を掻いている。
甘葛井五郎太
「俺はいつも、言う方を選んでいる。忍びなのに」
泳 蓬
「乙女の話に首を突っ込まないでくださる?」
甘葛井五郎太
「乙女の話だったのか?」
泳 蓬
べ、と舌を出した。
甘葛井五郎太
え~、という顔をした。
甘葛井五郎太
「あ。」
甘葛井五郎太
「あんたらがどうこうって話じゃあないぜ」
甘葛井五郎太
「俺の話だ。だから言おうかな、と、自分に気合を入れたところだ」
善知鳥 瑞楽
ちら、と背後の井五郎太を見る。
泳 蓬
「……」
善知鳥 瑞楽
特に止めはしない。
甘葛井五郎太
「あんたはこのままいくと、あの彌祚杯童子を助(す)けることになる」
甘葛井五郎太
彌祚杯の秘密を蓬に渡す。
GM
了解しました。
GM
貼り付けました
GM
【PC3 秘密】
数千年にも及ぶ屈辱の末、ついに綻びが起きる。儀式に使用され消滅するはずだった祭具『羽喫鳴鏑』を先代の八十神がどうにか残し、今はあなたの手元にある。今回の異常はそれによって引き起こされたものだろう。このまたとない機会を無駄にするわけにはいかない。

あなたはプライズ 祭具『羽喫鳴鏑』を持つ。
GM
備考:このプライズに秘密はありません。読みは『はばみなりかぶら』です。
泳 蓬
「……ああ」
泳 蓬
「そういうこと……」
泳 蓬
「あの方の祭具を用いれば私に宿る神器の封印も解ける、と」
甘葛井五郎太
「そうだ」
甘葛井五郎太
「知らんよりは、知っておいた方がいい。知るのは早い方が良いだろう」
善知鳥 瑞楽
視線を蓬に戻す。
善知鳥 瑞楽
「……今、貴女の内に鎖されているものについて」
善知鳥 瑞楽
「貴女は何を知っていますか」
泳 蓬
「知らぬが仏とも、申しますね」
泳 蓬
「大したことは存じません。おそらくはあなたのそれと、そう変わらないわ」
善知鳥 瑞楽
「……では、私はそれを確かめるべきですね」
泳 蓬
「そんなに真面目くさった顔で訊かなくても、教えますよ」
泳 蓬
神器の秘密を二人に渡します。全体公開かな。
善知鳥 瑞楽
受け取ります。
甘葛井五郎太
受け取ろう。
GM
【神器『生弓矢』 秘密】
このプライズ『神器』の本当の名前は『生弓矢』だ。

このプライズは封印されているかぎり、戦果で奪うことはできない。

このプライズの封印が解かれたとき、このプライズが封印されていた者の使命は封印を解いた者の使命に書き換えられる。その際、このプライズが封印されていた者は、所持するすべての感情属性を再度決定し直す。
このプライズを所持(封印されている状態を除く)しているものは、クライマックスフェイズ、毎ラウンドに一度、遁甲符として使用できる。(使用してもこのプライズはなくならない)
泳 蓬
「なぜこれが私の中に鎖されたのかは知る由もないけれど」
泳 蓬
「これさえなければ、あなたのそんな顔を見なくてもよかったのにね」
泳 蓬
「瑞楽」
善知鳥 瑞楽
静かな目。
泳 蓬
「貴女のしあわせを願っているというのは、ほんとうですよ」
善知鳥 瑞楽
「……ええ」
泳 蓬
井五郎太の方へ顔をちらと向けて。
泳 蓬
「変な男だけれど」
甘葛井五郎太
「変か?」
泳 蓬
「色々とね」
善知鳥 瑞楽
こちらもまた、井五郎太を振り返り。さらにその背後へと、目を投げる。
善知鳥 瑞楽
歩んできた森の向こうにいるだろう、蓬の命を繋ぐかもしれない相手。
善知鳥 瑞楽
情報判定をします。彌祚杯様の居所を、調査術。
GM
判定をどうぞ。
甘葛井五郎太
感情修正します
善知鳥 瑞楽
2D6+1>=5 (判定:調査術) (2D6+1>=5) > 11[5,6]+1 > 12 > 成功
GM
善知鳥瑞楽は彌祚杯童子の居所を獲得。
善知鳥 瑞楽
沈黙は使いません。そのまま甘葛様に共有します。
甘葛井五郎太
いただきました。
GM
甘葛井五郎太は彌祚杯童子の居所を獲得。
善知鳥 瑞楽
「……蓬」
泳 蓬
「うん?」
善知鳥 瑞楽
視線は向けずに。
善知鳥 瑞楽
「八十神に会いたいのなら、あちらへ」
善知鳥 瑞楽
すいと示す。しかし指先は仔細を伝えはしない。
甘葛井五郎太
「……もし」
甘葛井五郎太
「人の世に留まって、死ぬつもりもないのなら」
甘葛井五郎太
「八十神には会うな、と俺は言うぜ」
泳 蓬
「あらあら」
泳 蓬
「せっかく瑞楽が教えてくれたのに」
善知鳥 瑞楽
「蓬。私はやはりこの場では、貴女にも……何も望むことはありません」
善知鳥 瑞楽
「けれど、貴女は望めるでしょう」
甘葛井五郎太
「……また姫さんはそういう……」
泳 蓬
「どうかしら。なにかを望んでいるようで、他にないから縋りたくなっているだけかも」
泳 蓬
「……選択肢がないほうが、幸せなこともあるかもね」
甘葛井五郎太
「あんたには、選択ができる」
甘葛井五郎太
「俺は、選択した」
泳 蓬
微かに笑う。
泳 蓬
「瑞楽を」
泳 蓬
「よろしくおねがいしますね」
甘葛井五郎太
「ああ」
甘葛井五郎太
「こちらの手を取る気があるなら、隠れててくれ」
甘葛井五郎太
「そうじゃないなら……」
甘葛井五郎太
「……どっちにせよ、またあとでな」
善知鳥 瑞楽
井五郎太の言に頷き、
善知鳥 瑞楽
「……また」
善知鳥 瑞楽
短く言う。
泳 蓬
青ざめた月を背に、それを見送った。
GM
本来は、神話に起きた出来事を模し、そして儀式をより盤石にするためのもの。
GM
人の心は移ろいやすく、故に縛り付ける必要がある。
GM
数千年を重ねるための道理が裏返り、儀式を揺るがす。
GM
しかしまた、人の心は。
GM
あるいは心が心であるがゆえに、怨讐を覆し得るのか。
GM
GM
次は誰が行動しますか?
泳 蓬
はい。
彌祚杯童子
どうぞ。
GM
GM
*メインフェイズ サイクル2 泳 蓬
泳 蓬
彌祚杯様にご登場願いたく。
彌祚杯童子
よろしいですよ。
泳 蓬
ドラマシーンです。
泳 蓬
2d6 (2D6) > 6[2,4] > 6
GM
6:木々。鬱蒼と生い茂る。どこまでも奥があり、深い闇へと招く。
泳 蓬
瑞楽の示した方角へ足を向ける。
生活のあとがそこかしこに残る道を、足跡さえ残さぬように歩く。
泳 蓬
そうして草木を踏み分けて、隠忍の姿を探す。
彌祚杯童子
高い木々の上方、ほどほどに太い枝の付け根に腰掛け、幹に耳を当てている。
彌祚杯童子
「……いらっしゃるのが聞こえました」
泳 蓬
「そちらへ行っても?」
彌祚杯童子
「どうぞ」
泳 蓬
跳ね上がり、軽軽とその前に姿を表す。
彌祚杯童子
「ようこそ」
泳 蓬
「良い眺めだこと」
泳 蓬
「先程の話も、聞いておられましたか」
彌祚杯童子
「ええ、ほどほどに」
泳 蓬
「いい子です、瑞楽は」
泳 蓬
「私のようなものにも心を寄せてくれる」
彌祚杯童子
「ご自身を卑下されるようなお言葉で御座いますね」
泳 蓬
「元より爪弾き者です」
泳 蓬
「あなたと同じ」
彌祚杯童子
「同じとされるのは心外で御座いますね」
泳 蓬
「あら、失礼いたしました。てっきり」
泳 蓬
ふふふ、と笑う。何処か空々しく。
彌祚杯童子
「私は里一の鬼、此度の儀式を任されし名誉ある爪弾き者です」
泳 蓬
「……っふ、……ふふ」
泳 蓬
「冗談でおっしゃられたの?」
彌祚杯童子
「本気で御座いますよ」
泳 蓬
「ふふ。……名誉があるのなら、そうですね。私とは違いますね」
泳 蓬
「国の濁りばかり呑んで、腹が腐った女とは」
彌祚杯童子
「これは」
彌祚杯童子
「隠忍より酷い悪態をつきなさる」
泳 蓬
「私に流れているのは邪教徒の血ですから」
泳 蓬
「悪態のひとつもつきたくなりますわ」
彌祚杯童子
「国を憎んでおいでなのですか?」
泳 蓬
「いいえ。国のためにきちんと働いて参りましたよ」
泳 蓬
「邪のもの。魔のもの。さまざまな者と交わって」
泳 蓬
「殺して」
泳 蓬
「きちんとやってきましたとも」
彌祚杯童子
「…………」
彌祚杯童子
「脅していらっしゃる?」
泳 蓬
「あら!人聞きの悪い」
泳 蓬
「ただ、あなたのご期待には添えないかもしれないとおわかりいただきたかっただけ」
彌祚杯童子
「ああ……」
彌祚杯童子
「その身に子は宿せませぬか」
泳 蓬
「子種を殺す呪を」
泳 蓬
胎のあたりに軽く触れて。
泳 蓬
「ですので、お役には立てません」
彌祚杯童子
「呪なれば、打ち破れることもありましょう」
彌祚杯童子
「不思議に思うので御座いますが」
彌祚杯童子
「なぜ、御前がたは路を作りたがるのでしょう」
泳 蓬
「みち」
彌祚杯童子
「定めや運命と、そうよばれるものです」
泳 蓬
「……縛られていることが可笑しいですか?」
彌祚杯童子
「不思議なので御座います」
彌祚杯童子
「路は草かき分けた跡にできるもの」
彌祚杯童子
「左右の草が踏み倒せないほど、強靭なのか……あるいは、見えておりませんのか」
泳 蓬
「ん……」
泳 蓬
「路があると信じなければ歩けぬこともあるものです」
泳 蓬
「草を踏み倒すことは、皆が皆に出来ることではありませんわ」
彌祚杯童子
「御前とお話させていただきました後、『姫君』に」
彌祚杯童子
「御前は人の世のものだ、と」
彌祚杯童子
「御前は」
彌祚杯童子
「そうありたく、思われますかな」
泳 蓬
「選ばねば、ならぬことでしょうか」
泳 蓬
「私の中には、どちらとも感じる心があります」
泳 蓬
「人の世にも、その外にも、どちらにも」
彌祚杯童子
服の内より「羽喫鳴鏑」を取り出す。
GM
それは鏑矢の形をしている。
泳 蓬
「……それが祭具ですか」
彌祚杯童子
「ええ。先代より授かりし物です」
泳 蓬
「それを用いて抗うと……」
彌祚杯童子
「…………」
彌祚杯童子
「このような物がなくとも、私は……」
彌祚杯童子
「…………と、言うわけにも参りますまい」
彌祚杯童子
「しかしながら、私にはこれの扱い方がわからぬのです」
彌祚杯童子
「ご存知でありましょうか」
泳 蓬
甘葛井五郎太の秘密を調査します。特技は【封術】。
GM
判定をどうぞ。
泳 蓬
2D6>=5 (判定:封術) (2D6>=5) > 9[3,6] > 9 > 成功
GM
貼りました。
泳 蓬
「……私に聞いたことは、内緒ですよ」
泳 蓬
井五郎太の秘密を共有します。全公開かな。
GM
了解しました。
GM
【PC1 秘密】
数千年、代々繰り返されてきたこの儀式。国守のためのみならず、あなたの代で果たし損ねるわけにはいかない。儀式の手順は熟知している。姫君に祭具『羽喫鳴鏑』を渡し神器『生大刀・生弓矢』の封印を解き、『八十神』を討つ。それだけだ。

あなたはプライズ 祭具『羽喫鳴鏑』を持つ。

祭具『羽喫鳴鏑』は感情判定の際に使用を宣言することで、相手に渡すことが出来る。そうしたとき、対象が神器を所持しているならばその封印を解き、獲得することができる。この際、感情判定は判定なしに成功となり、このプライズは消滅する。
泳 蓬
「……本来ならばひとりの”姫”に宿るところを」
泳 蓬
「どういうわけだかはわかりかねますが、……たとえば、あなたが祭具を手にしているから、とか」
泳 蓬
「そのような理由で、別れてしまったのでしょう」
彌祚杯童子
「であれば、御前には先代……ひいては我々鬼を恨む道理がある」
彌祚杯童子
「私めに差し出せるはこの『鏑矢』ほど、もしくは……」
彌祚杯童子
「この身ひとつと成りますな」
泳 蓬
「恨んだところで詮無いこと」
泳 蓬
「私には……」
泳 蓬
「……どちらも、必要ありませんよ」
彌祚杯童子
「左様で御座いますか」
泳 蓬
「……本当に」
泳 蓬
口にしようとした言葉が、上手く出てこない。
泳 蓬
あの子にしあわせに、と。それだけが望みなのだと。
泳 蓬
そのためならば自分が死ぬことを恐れてなどはいないのだとーー
泳 蓬
言うことは、できなかった。
彌祚杯童子
自分の居所を譲渡します。
泳 蓬
もらいます。
GM
了解しました。
GM
泳蓬は彌祚杯童子の居所を入手。
GM
生まれ方を選ぶことはできなくとも、生き方を選ぶことはできる。
GM
選択することができる。
GM
しかし――己の心の有り様は、はたして選べるものだろうか。
GM
GM
*メインフェイズ サイクル2 彌祚杯童子
彌祚杯童子
では、登場は引き続き泳様。
泳 蓬
はい……
彌祚杯童子
5:集落。そのまま里の者の営みが残っており、細々と、しかし平穏な暮らしをしていたことが窺える。
彌祚杯童子
木の上から降り立つと、先導するように歩く。
彌祚杯童子
舗装されていない地面を歩くには最適の厚い皮膚を有する足。
彌祚杯童子
行く先は己の暮らす集落である。
泳 蓬
その後をついて歩く。
泳 蓬
草に分け入っている感覚がある。
彌祚杯童子
「……此処は」
彌祚杯童子
「我が里に御座います」
泳 蓬
「普段は隠れ里だと聞きました」
彌祚杯童子
「ええ」
彌祚杯童子
「掟に縛られ、自由には出来ませぬが……生きることは『許されて』御座います」
泳 蓬
「……掟を破れば死あるのみと」
彌祚杯童子
「ええ」
彌祚杯童子
「向こうには歴代『八十神』を祀る墓標も御座います」
彌祚杯童子
「子供のうちに生え変わった牙を削られ、このような……人の暮らしを強いられている」
泳 蓬
「それは、さぞ……」
泳 蓬
「恨めしいことでしょうね」
彌祚杯童子
「…………」
彌祚杯童子
「私は儀式を終わらせます」
彌祚杯童子
「散っていった者のためでなく」
彌祚杯童子
「今生きる者のためでなく」
彌祚杯童子
「ただ、あるべき姿を取り戻すために」
泳 蓬
「あなたの、あるべき姿って?」
彌祚杯童子
「鬼」
泳 蓬
「鬼が鬼としてあるように生きれば、人の世は損なわれますね」
彌祚杯童子
「いいえ」
彌祚杯童子
「古き姿に戻るのみです」
泳 蓬
「いずれ同じことを繰り返すことになるのではなくて?」
彌祚杯童子
「元来、鬼も人も生態系の中にあり」
彌祚杯童子
「均衡が保たれる為には」
彌祚杯童子
「強くなりすぎた力を削がなくては」
彌祚杯童子
「故に」
彌祚杯童子
「私は御前を我がものとします」
彌祚杯童子
「滞りなく儀が破壊されたならば」
彌祚杯童子
「接吻を交わし、寝屋をともにし、その身を我が心に受け入れましょう」
彌祚杯童子
「それを、我が誠意とします」
彌祚杯童子
感情判定をし、『羽喫鳴鏑』を使用します。
GM
了解しました。
GM
*祭具『羽喫鳴鏑』の効果により、感情判定を成功にします。
GM
感情表をどうぞ。
彌祚杯童子
ET 感情表(1) > 共感(プラス)/不信(マイナス)
彌祚杯童子
共感で
泳 蓬
ET 感情表(1) > 共感(プラス)/不信(マイナス)
泳 蓬
不信……
GM
*神器『生弓矢』の封印が解かれ、彌祚杯童子はこれを獲得。
彌祚杯童子
鏑矢をその手に握らせる。
彌祚杯童子
「人の儀式の醜さよ」
GM
*神器の封印が解かれたため、泳蓬の使命を彌祚杯童子の使命『八千矛を討ち、世界を変える』に変更。
GM
*神器の封印が解かれたため、泳蓬はすべての感情属性を取り直す。感情表の結果を見てから、変えないことを選んでもよい。
GM
感情表をどうぞ。
泳 蓬
ET 感情表(2) > 友情(プラス)/怒り(マイナス)
彌祚杯童子
「御前がいかに拒もうとも」
泳 蓬
怒りで………………
彌祚杯童子
「神器も、その醜き身体も……私のものだ」
GM
*彌祚杯童子の祭具『羽喫鳴鏑』は泳蓬に手渡されたものとし、そして消滅。
GM
処理は以上です。
泳 蓬
「……!」
彌祚杯童子
握らせた鏑矢を共に握ったまま。
彌祚杯童子
女の胸へともう片方の手を差し入れる。
泳 蓬
退くことは出来ない。身体は動かない。
彌祚杯童子
嫌な音を立てることもなく、吸い込まれるように。
彌祚杯童子
人と変わらぬ手が、滑らかに体内に潜っていく。
彌祚杯童子
指先に触れた弓の先端をひと撫で。
彌祚杯童子
鏑矢を共に握ったまま。
泳 蓬
痛みのないまま、肉を分けるように入り込む手の熱に息を呑む。
彌祚杯童子
ずぷりずぷりと、月のような弓を引き出していく。
泳 蓬
今まで得た肉体のどんな感覚よりーー忌まわしいとすら思えるほどの。
彌祚杯童子
「共に討ちましょう」
彌祚杯童子
「討ちましょうぞ、『八千矛』を」
泳 蓬
開いた口から小さく呻きが漏れる。
泳 蓬
「っ、は……」
泳 蓬
選ばされる。選ぶのではなく、選ばれるのでもなく。
彌祚杯童子
この女の奥に見ゆる光景を。
彌祚杯童子
「御前の命はこの彌祚杯童子がいただき申した」
彌祚杯童子
「怨みなされ、怒りなされ」
彌祚杯童子
「共に参りましょう」
泳 蓬
ふと息を吹き返したように喉が鳴る。
泳 蓬
奥から湧き上がる、血よりも熱く粘ついた怒りと恨みが。
彌祚杯童子
人の身体の内から産まれし神器の全容がその姿を表す。
泳 蓬
己の意思に関わらず彌祚杯の言葉に呼応して。
泳 蓬
しかし裏腹に力が抜けて膝を突く。
泳 蓬
肩で息をしながら見上げた彌祚杯の手に、ーー神器。
彌祚杯童子
鏑矢の砕け散った手を引き支えると
彌祚杯童子
跪き、顔を寄せて
彌祚杯童子
髪に隠れた耳の端を僅かに齧り切った。
泳 蓬
「っあ”、……!」
彌祚杯童子
手を離し、弓を撫でる。
彌祚杯童子
「立派な子を授かってくださり、感謝いたしますよ」
泳 蓬
血が溢れて髪を上衣を汚す。
彌祚杯童子
話す口の内側には、未だ真っ赤な血が残っていた。
泳 蓬
由来のわからぬ怒りと恨みは、あるいは。
泳 蓬
己の胎に呪い殺した、鬼の種が齎したように思えた。
GM
かくしてすべての神器はその姿を現す。
GM
心を支配し、宿命を齎し、来たるべき戦いの為に。
GM
神に神器を齎し、共に戦う配役はまさしく。
GM
姫君と呼ぶほかないだろう。