GM
では1d100で高い方から行動しましょうか。
甘葛井五郎太
1d100 (1D100) > 30
泳 蓬
7:祭壇。一切の明かりは消えて、人気はない。
甘葛井五郎太
舞台に間違えて上がった子供を見るような眼差しが女を捉える。
彌祚杯童子
沈黙。
目は伏せられ手元を見下ろしている。
泳 蓬
前にも後ろにも動くことが出来ず、再びしばしの沈黙。
甘葛井五郎太
「『はけ』損ねたんなら、今からでも……ああいや」
甘葛井五郎太
「出れないんだったか、儀式が終わるまで」
泳 蓬
頬に手を当てて、息を吐く。
「……どうしたことでしょう。困りました」
GM
儀式を終えるまで、誰一人出ることは出来ない。ここはもはや異界だ。
善知鳥 瑞楽
「……困るのはこちらです、蓬。どうしてこちらに」
GM
しかし始まった儀式は、中断するわけにもいかない。
泳 蓬
「どうして、と問われましても、私が自分の意思できたわけではないのですよ」
彌祚杯童子
「何か……儀式に不都合があるのでしょうか」
泳 蓬
「お邪魔だからと退くわけにもゆかないみたい」
甘葛井五郎太
「でもまあ、出れねえ分からねえなら仕方があるまい」
甘葛井五郎太
「儀式が終わるまで、居てもらうしかない」
甘葛井五郎太
「この地を濡らすのは八十神の血だけだ」
甘葛井五郎太
「もしくは、八千矛の血か。儀式ってのはそういうもんだろう」
泳 蓬
「…………邪魔にはならぬよういたしますから、どうか袖に居させてください」
泳 蓬
「観客のひとりいたところで、みなさまのお心が乱れることはないと思いますけれども……目が気になるようであれば、何処かに隠れておりますので」
甘葛井五郎太
「そんなに恐縮することはないぜ、蓬どの」
甘葛井五郎太
「気にしているのは、そこのお姫さんだけみたいだからな」
善知鳥 瑞楽
「……お二方が気になさらぬと仰るなら、良いでしょう」
泳 蓬
仮面越しの顔がちらと瑞楽に向いて、一足に祭壇から降りる。
泳 蓬
それから二歩、三歩後ろへ下がって闇へ紛れるようにして。
泳 蓬
2D6>=5 (判定:封術) (2D6>=5) > 10[4,6] > 10 > 成功
GM
50年に一度。人の世を作り、守りし神の力を保つ儀式、神楽八十神追。
GM
数千年より一度も絶えることなく繰り返されてきたその演目は、しかし此度は歪んでいる。
GM
配役の窺えぬ女は、兎の面の奥で何を見、何を感じ、そして何を思うのか。
甘葛井五郎太
5:集落。そのまま里の者の営みが残っており、細々と、しかし平穏な暮らしをしていたことが窺える。
甘葛井五郎太
ドラマシーン。姫さん出てくれるかな。
甘葛井五郎太
儀式が終わるまで、配役が振られたもの以外、何人たりとも足を踏み入れることはできない。
甘葛井五郎太
それは日々の営みの残り香のあるまま、人のいなくなった家々を見ても明らかだ。
甘葛井五郎太
儀式の手順と言って瑞楽を連れ出し、先導するように歩いていた男は、ぴたりと足を止めた。
甘葛井五郎太
独り言のように言って、ぐるりと瑞楽を振り返る。
善知鳥 瑞楽
「……私は儀式の通り一遍のこと以外は存じません」
甘葛井五郎太
「儀式に何ら問題はない。気にせず進行すればいいこと……」
甘葛井五郎太
「もうすでに、儀式には問題が起こっていて……」
甘葛井五郎太
「その結果にあの四人目がいるんじゃないかってな」
善知鳥 瑞楽
「……それは、私に問題があると仰りたいのですか?」
甘葛井五郎太
「何にせよ、あの蓬どのが俺を助けるものだったらいい」
甘葛井五郎太
「なにせ、面が白兎だ。八千矛にとっては吉兆だろう?」
甘葛井五郎太
笑いながら、あなたに手を差し出す。およそ儀式の手順通りに。
善知鳥 瑞楽
しばし動かず、その笑みを、じっと見遣る。
甘葛井五郎太
「あんたは、俺を助(す)けてくれないのか。姫様」
善知鳥 瑞楽
「この儀について、どこまでご存知ですか」
甘葛井五郎太
「儀式の手順──それから、その目的」
甘葛井五郎太
「今のシノビガミを維持し、現世を人のものとする」
甘葛井五郎太
「そのために、隠忍の血族を『八十神』とし、『八千矛』と『姫』の二人がかりでこれを討つ──」
甘葛井五郎太
「……『八十神』の抵抗は許されているが、実際のところは一方的な戦いになると聞いている」
善知鳥 瑞楽
「……実際、そうでなければなりませんでしょう」
甘葛井五郎太
「ま、そうだな。万が一があっちゃいけない」
甘葛井五郎太
「その上で、気に入る気に入らないかはあるだろう」
甘葛井五郎太
「この儀式、好きか嫌いかで言うとどっちだ?」
善知鳥 瑞楽
「しかし、特に思うところはございませんね」
善知鳥 瑞楽
「私は生まれたときから、このためにございましたので」
甘葛井五郎太
「この時のために育てられたのは、俺もおんなしさ」
甘葛井五郎太
「だが、俺とあんたじゃ、チョット考えが違うらしい」
甘葛井五郎太
ふふん、とどこか得意げに笑って、差し出したまま、手持無沙汰の手をひらひらと振る。
甘葛井五郎太
「でも、だからと言って、駄々こねたりはしない」
甘葛井五郎太
「で、どうだい。儀式に問題がないか、試してみる気になったかい」
善知鳥 瑞楽
「……甘葛様なら、ご存知かと思っていましたが」
甘葛井五郎太
2D6>=5 (判定:千里眼の術) (2D6>=5) > 9[4,5] > 9 > 成功
善知鳥 瑞楽
「甘葛様に礼を失されたとは思いません。ご存じなかったのですから」
甘葛井五郎太
は~、へ~、え~、とあなたから顔を背け、何やら唸りながら、頭を掻いている。
甘葛井五郎太
「駄々こねたいのは、あんたの方じゃないのか?」
甘葛井五郎太
「さっき言ってたか、思うところは何もないって……」
甘葛井五郎太
「何でそこだけ俺の方は不意打ちなんだかなあ」
甘葛井五郎太
「俺もまた、このために生きてきたのには変わりがない」
甘葛井五郎太
「駄々をこねずにやるよ。そっちの方は悪くない」
甘葛井五郎太
「しかしまあ……これで儀式はちと遅れだ」
甘葛井五郎太
「悪いな、俺も気を張るが、あんたの方も気をつけろよ」
甘葛井五郎太
「あの『八十神』も、殺されるままではいないだろうからな」
善知鳥 瑞楽
「向こうからすれば……そのための儀、ですから」
甘葛井五郎太
「向こうの里に土足で足踏み入れてるな、こっちだからな」
GM
枝葉を分けて森へ入るように、秘密は解き明かされ始める。
彌祚杯童子
2d6 (2D6) > 12[6,6] > 12
彌祚杯童子
12:暗闇。明かりが届かぬ、果ての果て。
GM
彌祚杯童子の勝手知った里であるのには変わらないが、
GM
まっすぐ行けば里を出るその先が、何処までも続く闇となっている。
彌祚杯童子
踏みしめる草木の枝も既になく、虚無の支配する領域。
彌祚杯童子
「これはこれは、このような場所までよくおいで下さいました」
彌祚杯童子
「ご覧の通り何もない場所では御座いますが」
泳 蓬
「観客と握手でもしにきてくださいましたの?」
彌祚杯童子
「本来、観客……という配役は存在しないと聞いております」
彌祚杯童子
「里の者にのみ知らされておらぬ事であれば、私が知らぬのも道理で御座いますが」
泳 蓬
「あのお二人の様子をご覧になったでしょう?」
泳 蓬
「私がここにいるのは、不測のことなのですよ」
泳 蓬
「観客は舞台に上がるものではないでしょう」
彌祚杯童子
2D6>=5 (判定:言霊術) (2D6>=5) > 6[2,4] > 6 > 成功
彌祚杯童子
「もとより無き者。しかして……その手に持つは」
泳 蓬
「私は、私の意思でここに来たのではありません」
彌祚杯童子
ざ、と。異形の足が暗闇から草木の上に踏み入れる。
彌祚杯童子
「配役が欲しいのでは御座いませんでしたか」
泳 蓬
「くださるというのならやぶさかではありませんけれど」
泳 蓬
「……生憎と、女というのは我儘なものですから」
泳 蓬
ゆるく首を傾げて微笑うが、その唇の端には僅かに侮りがある。
彌祚杯童子
「私は『八千矛』を討ち、人が蹂躙する世に正しき秩序と平等な繁栄をもたらす」
泳 蓬
「隠忍とは思えぬ夢のようなことをおっしゃる方」
GM
【PC2 秘密】
あなたはその身に神器を宿して生まれてきた。PC1はあなたの神器の封印を解き、そしてそれはすなわちあなたを娶る定めにある者だ。儀式『神楽八十神追』が国守の儀式であると共に、婚姻の儀式だと教わってきた。しきたりによりPC1を一目見ることさえ許されていなかったが、その宿命を受け入れている。もとよりそれを受け入れなければ、封印されたままの神器があなたを殺すことを知っているからだ。
あなたはプライズ『神器』を持つ。
クライマックスフェイズ開始時まで神器が封印されていた場合、あなたは即座に死亡し、神器は消滅する。
あなたの本当の使命は『神器の封印を解いてもらうこと』だ。
彌祚杯童子
「手を貸せ、という話では御座いません」
彌祚杯童子
「我が手を取り、鬼子を孕み、世に安寧を共に」
彌祚杯童子
その右手は刀の柄に添えられ、口元には笑みが浮かんでいた。
善知鳥 瑞楽
2d6 (2D6) > 6[1,5] > 6
善知鳥 瑞楽
6:木々。鬱蒼と生い茂る。どこまでも奥があり、深い闇へと招く。
善知鳥 瑞楽
果てへと続く闇の入り口。あるいは出口。
善知鳥 瑞楽
そこで、闇から出ずる彌祚杯を待っている。
甘葛井五郎太
同様に、木にぶら下がって待ち構える。
甘葛井五郎太
「どうかな。よくないと俺は思うが……」
甘葛井五郎太
「よくないと言うのもなかなか体裁が悪い」
善知鳥 瑞楽
特に何事もないかのような、すっとした顔で佇んでいる。
彌祚杯童子
「御前が身代わりに、我が元へと参りますか?」
甘葛井五郎太
見境ないな!とシンプルな感想を持った。
甘葛井五郎太
「浮世離れしたこと言うね、八十神さんは……」
善知鳥 瑞楽
「少なくとも、日の本では左様ですね」
甘葛井五郎太
「もっとこう……なんか……ないわけ? こう……」
善知鳥 瑞楽
「まつろわぬものの世に、蓬の居場所がおありだと」
彌祚杯童子
「御前ら人の強欲が取り零さんとする命を」
彌祚杯童子
「拾わんとすることの何が不満なのでしょう」
善知鳥 瑞楽
「そこにあるものは、いまさら零せるものではありません」
善知鳥 瑞楽
「私たちは、今ある世を、今あるように、取り零さないことが務め」
GM
【PC4 秘密】
あなたが何故この場に立っているのか、全くの心当たりがないわけではない。むしろ、この場に立っていることで、あなたは確信した。自らの内側に感じる巨大な何かは神器だ。いつからか、あなたは自分の内側に神器が封印されている。儀式『神楽八十神追』において、神器は八千矛によって封印が解かれる定めだ。ならば、あなたの配役は……。
あなたはプライズ『神器』を持つ。
あなたの本当の使命は『神器の封印を解いてもらうこと』だ。
甘葛井五郎太
「この儀式はそもそもあんたの犠牲を前提にした儀式だ」
甘葛井五郎太
「それがひとり増えたからと言って、尻込みすることはない……が」
甘葛井五郎太
「選択の余地がある方が情けがないってこともあろうさ」
善知鳥 瑞楽
「そも私たちに、儀式に対して否やを唱える権利はございません」
彌祚杯童子
「御前も、彼女は死するべきだとお考えですか」
甘葛井五郎太
「べき、べきではないの話じゃなかろうよ……」
彌祚杯童子
「ここに道がありながら放棄するのは、選択するも同じこと」
善知鳥 瑞楽
「私に選べと仰るのですか? 己か、蓬か」
善知鳥 瑞楽
「私たちは……私はこの儀のためにございます」
善知鳥 瑞楽
「儀が八千矛の手で成されることが、最も肝要なことと思いますが」
善知鳥 瑞楽
「日の本の、人の世の考えとお思いいただくのが良いでしょう」
彌祚杯童子
「鬼の嫁になるか、八千矛が元に嫁ぐか」
彌祚杯童子
「御前はあの方の死を望むということなのでしょうね」
善知鳥 瑞楽
「この儀にまつわる何事も、望むことを許されてはおりません」
甘葛井五郎太
「死ぬと決まったわけじゃねんだから」
甘葛井五郎太
「天秤にかけられすぎて、択一でしかものを考えられなくなったか」
甘葛井五郎太
「あんたにとっちゃ、すべてが遅すぎるだろうからな」
彌祚杯童子
「私がこの地で滅びることはないでしょう」
甘葛井五郎太
「あんたには死んでもらう、紛うことなく」
彌祚杯童子
「無駄な殺生は好まぬ主義で御座います故」
善知鳥 瑞楽
「貴方は、お望みになるとよろしいかと」
彌祚杯童子
「決められた未来、理不尽な儀式に犠牲……」
彌祚杯童子
「そういったものがない世界へ、必ずやお連れいたしましょう」
甘葛井五郎太
「この『八千矛』を最後にしてってか」
彌祚杯童子
「貴君の世では不可能でございましょうからな」
甘葛井五郎太
「人を悪役にして、自分は奇麗面か?」
彌祚杯童子
「私は善人でも理想家でもありませんが」
甘葛井五郎太
「あんたはどうも、善人の理想家らしい」
甘葛井五郎太
「知らないようだから、教えてやるよ……」
甘葛井五郎太
「行こうぜ、お姫さん、こいつと話してもいいこたない」
甘葛井五郎太
「あんたを侮辱したあげく、上から救ってくださろうとするお方だぜ」
善知鳥 瑞楽
「いずれにせよ、またお会いすることになります」
善知鳥 瑞楽
木々の茂るを気に留めたふうもなく、その場を去り。
善知鳥 瑞楽
十分に離れてから、もと来たほうを振り返る。
善知鳥 瑞楽
情報判定。彌祚杯様の秘密を、人脈で。
善知鳥 瑞楽
2D6>=5 (判定:人脈) (2D6>=5) > 6[2,4] > 6 > 成功
善知鳥 瑞楽
起きることは、起こるべくして起こる。
善知鳥 瑞楽
やがて木々の向こうへの視線を切り、井五郎太とともに歩んでいった。
GM
数千年の怨讐の末。人の世を保つために、積み上げられたもの。
GM
非情を非情と知りつつも、成すべきことを成す。