GM
では第三サイクル突入です。初手希望の方はいらっしゃいますか?
GM
◆メインフェイズ第三サイクル第一シーン
 シーンプレイヤー:えんじゅ
えんじゅ
いきます。
GM
はい。お願いします!
GM
どういったシーンにいたしましょう。
えんじゅ
どうしようかな~。おれも家に行こうかな。
GM
家に
GM
赤光院のおうちに
えんじゅ
うん。
GM
時間としては翌日とかかな あれの
えんじゅ
そんな感じで。
えんじゅ
ひとりでいるところにスルッと。
GM
するっと。
GM
侵入を。
えんじゅ
侵入します。
GM
では赤光院邸にね。
えんじゅ
サンゲが部屋にひとりでいると、天井からこんこん音が鳴る。
赤光院 燦華
「お?」
えんじゅ
「さんげ、さんげ」
えんじゅ
「え~と……」
赤光院 燦華
「ノックしてくるか~。下りてきたら?」
えんじゅ
板を外してどうこう、という天井ではないはずなのだが。
えんじゅ
すり抜けるようにヌルッと褐色の小さい影が下りてくる。
えんじゅ
「よいしょ」
えんじゅ
音もなく対面に着地して、正座した。
赤光院 燦華
「こんちは」
えんじゅ
「こんにちは」
えんじゅ
「いつも息子がお世話になっています」
えんじゅ
頭を下げた。
赤光院 燦華
「あんたがミネバリのおかーさんか。若!」
赤光院 燦華
「こちらこそ」
赤光院 燦華
「ミネバリといるのは面白いよ」
えんじゅ
「こう見えて、お前たちよりはずっと年上なんだぞ」
えんじゅ
胸を張った。
えんじゅ
「面白いかあ」
えんじゅ
「面白いならよかったなあ」
えんじゅ
「いいだろう。おれの自慢の息子だ」
赤光院 燦華
「いいねえ」
えんじゅ
えへん。
えんじゅ
「……今日は、ミネバリのこともそうだけど」
えんじゅ
「お前の心臓にあるそれの話をしにきた」
赤光院 燦華
目を細めて笑う。続けて?という顔。
えんじゅ
「ミネバリに、もう少し待て、と言ったみたいだな」
えんじゅ
「おれも、ミネバリが待つならそのつもりではあるけれど……」
えんじゅ
「……手遅れになっては困る」
赤光院 燦華
「ふむ」
えんじゅ
「さんげは、どうするつもりでいるんだ」
えんじゅ
「このままだと、どうなるか分かるだろう」
赤光院 燦華
「わかるよ」
赤光院 燦華
「戦いだ」
えんじゅ
「戦って……」
えんじゅ
「どちらかが死ぬ」
赤光院 燦華
「うん、まあそう」
えんじゅ
「おれは、ミネバリに死んでほしくないから」
えんじゅ
「さんげに死んでもらいたい、と思ってる」
赤光院 燦華
「真っ向から言うね~!」
えんじゅ
「言わなくても、分かるだろ?」
えんじゅ
「おれにとって、ミネバリは大事な息子なんだ」
えんじゅ
「……でも、……」
えんじゅ
「ミネバリは、お前が死んだら悲しいと思う」
赤光院 燦華
「かも」
えんじゅ
「ミネバリが悲しむところも、見たくない」
えんじゅ
「悲しむのが避けられないなら、悔いだけはしてほしくない」
えんじゅ
滔々と言う。
赤光院 燦華
「悔い。悔いか」
赤光院 燦華
「わかるよ。あいつ、なんか……一個後悔したらすごい引きずりそうだし」
えんじゅ
「うん」
えんじゅ
「だからそのために、できることはしておきたい」
えんじゅ
「知れることは知っておきたいし、考えられることは考えておきたいんだ」
赤光院 燦華
「いいおかーさんだね」
えんじゅ
「……それで、その心臓のこと」
えんじゅ
燦華の胸のあたりをじっと見る。
えんじゅ
じっ……
赤光院 燦華
「ふふ」
赤光院 燦華
「だめ」
えんじゅ
「……見れば何か分かるかと思ったんだけどな」
えんじゅ
「全然」
えんじゅ
「……待て、って言うのは」
えんじゅ
「戦いが、始まるまでか?」
赤光院 燦華
「ん~」
赤光院 燦華
「まあ、もう教えちゃってもいいかなって気はしなくもないんだけど」
赤光院 燦華
「あんたに教えたら、ミネバリはわかっちゃうだろうし」
えんじゅ
「ん」
赤光院 燦華
「待ってろって言ったからには、本人に教えてやらんとならんかな~って」
えんじゅ
「…取り返しがつかないことになった、と思わせたくない」
えんじゅ
「ちゃんと、教えてくれるんだな」
赤光院 燦華
「大丈夫だよ」
赤光院 燦華
「別に、信用しろとは言わないけどね」
えんじゅ
「分かった」
えんじゅ
「なら、信用する」
えんじゅ
感情判定にするか……
GM
おお 特技はどうします?
えんじゅ
意気で判定します。
GM
意気があるなあ! 判定をどうぞ。
えんじゅ
2D6>=5 (判定:意気) (2D6>=5) > 10[4,6] > 10 > 成功
GM
たかーい。ETを。
えんじゅ
ET 感情表(5) > 憧憬(プラス)/劣等感(マイナス)
赤光院 燦華
ET 感情表(2) > 友情(プラス)/怒り(マイナス)
えんじゅ
憧憬。
赤光院 燦華
友情とりま~す
GM
みんな仲良しだな~ 了解です。
えんじゅ
「……でも、どうするつもりなんだ」
えんじゅ
「死ぬつもりは、まさかないんだろう」
赤光院 燦華
「ない」
赤光院 燦華
「あんたは、わたしが無抵抗に死んでくれたほうがありがたいかもしれないけど……」
赤光院 燦華
「ミネバリはたぶん、わたしが「死んであげる」って言ってもそんなに嬉しくないでしょ」
えんじゅ
「そうだな。それは、そうだ」
赤光院 燦華
「わたしは勝つ気でいるし」
赤光院 燦華
「負けても、まあ……それは誰のせいでもないな。自分のせい、ではあるかもしれないけど」
赤光院 燦華
ぐっ、と拳を握ってみせる。
えんじゅ
「……うん」
えんじゅ
「さんげがそう言ってくれるなら、よかった」
えんじゅ
「ミネバリが、もし」
えんじゅ
「弱気になったり、迷うようだったら」
えんじゅ
「友達として助けてやってくれな」
赤光院 燦華
「あは」
赤光院 燦華
「それはどうかな~。そんなに優しくできるかな~?」
えんじゅ
「まあ、優しくしなくてもいいんだ」
赤光院 燦華
「じゃあケツに蹴り入れてもいい?」
えんじゅ
「おう」
えんじゅ
「さんげなりのやり方でやってくれれば、それでいいと思う」
赤光院 燦華
「わたしの蹴りは……痛いぜ……」
えんじゅ
「すごい痛そう!」
えんじゅ
わははと笑って、立ち上がる。
えんじゅ
「話ができてよかった」
赤光院 燦華
「そう?」
えんじゅ
「うん」
えんじゅ
「さんげがそう考えているなら」
えんじゅ
「おれもきっと悔いずに済む」
えんじゅ
「どうかな。わかんないや」
赤光院 燦華
「なんかを失くして悔いないってこたないよ」
赤光院 燦華
「それが、ちゃんと背負える形をしてるかどうか、そういう形になるか」
赤光院 燦華
「大事なのは、そーゆーとこだと思うな」
えんじゅ
「そうかあ」
えんじゅ
「おれは、悔いるようなことはしてこなかった」
えんじゅ
「どうがんばっても、どちらかが立たないようなこと、なかったな」
えんじゅ
「……忘れてるだけかもか!」
えんじゅ
「あっそうだ」
赤光院 燦華
「ん?」
えんじゅ
「カイビャクとちゃんと話しろよ!」
えんじゅ
「あいつめちゃくちゃ笑ってて怖かったからな」
赤光院 燦華
「あっはっは」
赤光院 燦華
「あいつにわたしと話してくれる気があるんなら、ちゃんと話すよ」
えんじゅ
「それはそうだ」
赤光院 燦華
「あいつ昨日からいないんだもん」
えんじゅ
「そっか……」
えんじゅ
「がんばれよ」
赤光院 燦華
「ふふん。頑張るのは得意」
えんじゅ
「ん!」
えんじゅ
「それじゃ、おれは帰る」
えんじゅ
「次会う時は、戦いかもな」
赤光院 燦華
「かもな~。でも、ま、忍はいつだってそう!」
えんじゅ
「おう!」
赤光院 燦華
「生きるのって大変だな~!」
えんじゅ
「たいへんたいへん」
えんじゅ
「もし……」
えんじゅ
「いや、これはいいか」
えんじゅ
「それじゃな、さんげ!」
赤光院 燦華
「じゃあね~」
えんじゅ
言うが早いか、首に巻いた布がぐるりと部屋の中で回り、
えんじゅ
あやかしの姿はいなくなる。
えんじゅ
瞬きの後には、その姿は赤光院の屋根の上。
えんじゅ
「……もしかしたら、おれが」
えんじゅ
「そうしたら、こんな気持ちにもならなかったな……」
えんじゅ
ぽつりと呟いて、屋根を蹴り、あやかしは山へと。
えんじゅ
息子の待つ、おのれのねぐらへと帰っていった。
GM
悔いなく生きるということの難しさは、
GM
人もあやかしも、同じ。
GM
GM
ありがとうございました。さて次。
GM
 
GM
◆メインフェイズ第三サイクル第二シーン
 シーンプレイヤー:閏間 開闢
GM
いかがいたしましょう。
閏間開闢
どうしよっかな
赤光院家かな
GM
家にいらっしゃいますか。
閏間開闢
家にいなかったけど、深夜くらいに行きましょうか
閏間開闢
の前にちょっとお手洗い行ってきます
GM
はーい 戻ってきたらはじめていただければ
閏間開闢
時計の針が、深夜0時を指す。
赤光院家には静寂が満ちている。
閏間開闢
月明かりに、影が動く。
閏間開闢
塀の上から、庭へ。
庭から、縁側へ。
縁側から、屋敷の中。
閏間開闢
燦華の部屋の前で、影は止まる。
閏間開闢
影は指を伸ばして、その扉を、つ、と撫でた。
閏間開闢
低く、小さく、ほとんど口の中だけで呟くように。
閏間開闢
「燦華、様」
閏間開闢
呼ぶ。いや、呼んだのではない。
名を呟いた。
赤光院 燦華
「…………」
赤光院 燦華
「……聞こえてるぞ~」
赤光院 燦華
扉の向こうに、身体を起こした気配。
閏間開闢
返事はない。
閏間開闢
じっとりとした沈黙。
閏間開闢
日頃、開闢は午前0時に退勤していた。
比良坂機関に決められた訳でも、赤光院当主に命じられた訳でもなく、自主的にそうしていた。
閏間開闢
今は、今までの12年間、一度も会ったことのない時間。
閏間開闢
かり、と扉を引っ掻く音。
閏間開闢
「燦華」
赤光院 燦華
「何?」
閏間開闢
小さく笑う。
閏間開闢
情報判定。燦華の居所を罠術で判定。
GM
了解です。判定をどうぞ。
閏間開闢
2D6>=5 (判定:罠術) (2D6>=5) > 7[2,5] > 7 > 成功
GM
成功ですね。燦華の居所が開闢に。
情報共有はありません。
GM
続けてどうぞ。
閏間開闢
「ふふ」
閏間開闢
「ははは」
閏間開闢
「はははは」
閏間開闢
がた、と扉が鳴る。
しかし開きはしない。
赤光院 燦華
「……めんどくせえやつ!」 しかし、内から躊躇なく戸が開く。
閏間開闢
「うわーっ」
赤光院 燦華
「うわー!じゃないよ」
閏間開闢
「あれ?また何か違いました?」
赤光院 燦華
「うるっさいんだよ。夜中に高笑いしに来んな」
閏間開闢
「夜中だから声ちょっと抑えましたのに~」
閏間開闢
「いや~、見つかってしまっては仕方ない。お部屋お邪魔してもいいですか?」
赤光院 燦華
「え~。乙女の寝室に~?」
閏間開闢
「嫌だったらまた後日出直しますぅ~」
赤光院 燦華
「めんどくさいな。別にいいよ。どーぞ」
閏間開闢
「やった~乙女の寝室だ~」
赤光院 燦華
燦華の部屋に、開闢が最後に入ったのは五年前。
赤光院 燦華
小学生のごちゃついた部屋より、ぐっと片付き、調度もシンプルになっている。
閏間開闢
「おやおや!しばらく見ない間にお姉さんらしい部屋になりましたね!」
閏間開闢
は~やれやれどっこいしょ!と勝手に座る。
赤光院 燦華
「花も恥じらう乙女なもので~」
赤光院 燦華
寝間着の上にカーディガンを引っ掛けて、こちらも適当に座る。
閏間開闢
「もう16歳ですからね~」
閏間開闢
普段のような正座ではなく、胡座をかいて。
閏間開闢
「情報を渡しに来ました」
赤光院 燦華
「へえ?」
閏間開闢
えんじゅの秘密を譲渡します。
GM
いいでしょう。燦華は受け取りますか?
赤光院 燦華
受け取ります
GM
はい。では燦華からミネバリにも共有がいくので、公開ですね。
GM
【秘密:えんじゅ】
あなたは火神と称される不死の命を持つ存在だ。
だが、己のうちにあった力『宝珠・迦具土』を奪われた上、
瀕死のミネバリを助けるために不死の命の源である『神鏡・啼沢女』を与えた今、
あなたは定められた命を持つただの怪物となってしまった。
背景『劣性因子』を修得し、好きな妖魔忍法を1つ修得すること。

神であった頃の記憶も薄れた今、
胸に募るは共に生きてきたミネバリへの想いのみ。
ミネバリと互いにプラスの感情を結んでいる場合、
あなたは自分のドラマシーンでミネバリと何かを約束し、
それを使命とすることもできる。
GM
えんじゅは『見越』を修得しています。
GM
以上です。
閏間開闢
えんじゅのことを話した後、しばらくの沈黙。
閏間開闢
「……用事は、それだけです」
閏間開闢
立ち上がり、部屋を出る。
赤光院 燦華
「……開闢」
赤光院 燦華
「明日の朝来る~?」
赤光院 燦華
いつもどおりの声。
閏間開闢
「来ませんよ」
赤光院 燦華
「え~」
閏間開闢
「おやすみなさい」
閏間開闢
扉を閉じる。
赤光院 燦華
閉じた扉の向こうからブーイング。
閏間開闢
12年の間に、随分と馴染んだ声が扉の向こうから聞こえる。
閏間開闢
別に、えんじゅの話をする必要はなかった。
閏間開闢
それでも、彼女にできることは、あまりないから。
閏間開闢
いや。
閏間開闢
ただ、会いたかっただけなのかもしれない。
閏間開闢
もう一度扉を撫でて、影は消えた。
GM
闇夜に影が溶ける。
GM
隠し通したその真意と同様に。
GM
GM
では一旦休憩!
GM
長めに休憩で21時再開にしましょう。よろしくお願いします。
えんじゅ
よろしくお願いします! お疲れ様です
赤光院 燦華
はーい おつかれさまです!
ミネバリ
よろしくお願いします
閏間開闢
了解です!よろしくお願いしまーす!
GM
よいしょー
GM
みなさまおそろいでしょうか?
えんじゅ
おります
赤光院 燦華
いま~す
閏間開闢
いま~す
GM
まだ星だしてる
ミネバリ
いますとも
GM
はあい ありがとうございます
GM
では……再開といきましょう!
GM
ミネバリのシーンですね。手番の使い方をじっくり考えて頂けましたらば。
GM
 
GM
◆メインフェイズ第三サイクル第三シーン
 シーンプレイヤー:ミネバリ
GM
どういったシーンにいたしましょう。
GM
……燦華さんに会うのかな。
ミネバリ
そうですね
GM
どういう場所にする?
ミネバリ
あの公園で
GM
いいですねえ。
GM
今日は猫もおらず。
GM
夏の湿った風が吹いている。
GM
街の風は山の風よりも温度が高く、
GM
そして、どうしても濁っていた。
ミネバリ
ねばつく風を浴びながら公園のベンチに腰掛ける。
ミネバリ
「………」
ミネバリ
初めてちゃんと話をした公園で、ただじっと待っている。
赤光院 燦華
そして待ち人は来る。
初めて出会ったときにそうであったように、風に髪をたなびかせて、
赤光院 燦華
「人待ち顔だな~」
赤光院 燦華
かろがろとした声で。
ミネバリ
「そうなのか?」
赤光院 燦華
「おっと。もしや来ないほうが良かった?」
ミネバリ
「いや、サンゲを待っていたが、そんな顔に出るものなのかと」
赤光院 燦華
「出てた出てた。燦華に会いたいな~って顔してた」 遊ぶような言い方。
ミネバリ
「それはそうだ。母さんとも会ったんだろう?」
ミネバリ
「母さんも俺と同じことを言ったはずだから」
赤光院 燦華
「ふふ。あんたたちよく似てるよ」
ミネバリ
「サンゲも母さんと似てるところがあるよ」
赤光院 燦華
「あはっ」
ミネバリ
「よく笑うところとか」
ミネバリ
「思ったことを言ってくれるところとか」
ミネバリ
「だから、サンゲと母さんが話してもケンカにはならないと思ったし。多分、友達みたいになったんじゃないかって思うよ」
赤光院 燦華
「そうだね」
赤光院 燦華
「いいひとだったと思うよ」
ミネバリ
「だろう?」
ミネバリ
「母さんもサンゲのことをいい娘だ、って言ってたし」
ミネバリ
「……サンゲはもう、啼沢女のことも母さんのことも知ってるよね」
赤光院 燦華
「うん」
ミネバリ
「今俺がここにいるのは母さんのおかげで、命を助けてくれたのも、ここまで育ててくれたのも母さんのおかげ。……だから俺は、死にたくない」
ミネバリ
「でも、それと同じくらいサンゲのことも大切だって思ってる」
ミネバリ
「…………」
ミネバリ
「サンゲは、自由になりたいって思う?」
赤光院 燦華
「……どーだろ。十分自由にやってきてる気もするけど……」
赤光院 燦華
「ここに」 胸に手を当てる。
赤光院 燦華
「迦具土のある限り、きっと……本当にわたしが自由である、ってことは難しい」
ミネバリ
「………うん」
赤光院 燦華
「わたしは今、自分がどうしたらいいのか、だいたい知ってる」
赤光院 燦華
「だから、わたしは戦うし」
赤光院 燦華
「勝つつもりだし?」
赤光院 燦華
「……それで恨まれても、まあしょうがないかな~と思ってる」
ミネバリ
「恨むって?」
赤光院 燦華
「教えたげよっか」
ミネバリ
「……うん、教えてくれ」
赤光院 燦華
「じゃ、手ぇ出して~」
赤光院 燦華
手のひらを上に、招くように手を差し出す。
ミネバリ
言われるままに片手を差し出す。
赤光院 燦華
「素直!」
赤光院 燦華
その手を取って、つい先程、自分で触れた場所。
胸の上に、指先を触れさせる。
赤光院 燦華
宝珠・迦具土の秘密を譲渡します。
GM
了解です。ミネバリは受け取りますか?
ミネバリ
受けとります
GM
はい。ではミネバリに渡り、情報共有でえんじゅにもですね。
GM
お送りします。少々お待ちください。
GM
お送りしました。
読み解けましたら続けてどうぞ。
赤光院 燦華
鼓動が、かすかに伝う。
赤光院 燦華
そして、そのひとつひとつが、小さく語る。
ミネバリ
「…………」
ミネバリ
掌から燦華の鼓動と体温が伝わってくる。
ミネバリ
その胸の奥に秘められた迦具土の秘密も。
その秘密が意味するところも。
ミネバリ
ミネバリの体温と燦華の体温が混ざって境目がわからなくなる。
ミネバリ
それぐらいの時間、燦華の胸に手を当てていた。
ミネバリ
「……サンゲ」
赤光院 燦華
「ん~?」
ミネバリ
「教えてくれてありがとう」
赤光院 燦華
「いいってことよ~」
赤光院 燦華
フラペチーノを奢ったときと、変わらない声色。
赤光院 燦華
「わたしも、ミネバリも」
赤光院 燦華
「知って、だからって、やるべきことはそんなにでっかくは変わらない」
ミネバリ
「一番目指さないといけないところは、きっとそうかな」
ミネバリ
「でもそうなったら、俺は選ばないといけない。後悔しないように」
ミネバリ
「母さんとの約束だから。でも……」
ミネバリ
「俺は覚えてなくても、サンゲとも約束したんだよ、俺は」
ミネバリ
「サンゲがどう思っていても」
赤光院 燦華
「ほんと素直だな~」
赤光院 燦華
「……わたしがどう思っていても、か」 ふふ、と笑う。
赤光院 燦華
「わたしはそういうあんたが嫌いじゃないよ、ミネバリ」
ミネバリ
「俺はサンゲが好きだよ」
赤光院 燦華
「知ってる~」
ミネバリ
「サンゲは何でも知ってるな!」
赤光院 燦華
「ふふん」
ミネバリ
「だから俺にとってはどっちの約束も大切なんだ」
赤光院 燦華
「うん。最後にどうするかは、あんたが自分でちゃんと考えることだし」
赤光院 燦華
「ミネバリなら、考えられるでしょ。迷うんじゃなくて」
ミネバリ
「うん」
赤光院 燦華
「あんたのおかーさんから、迷ってたらケツに蹴り入れていいって言われてるし……」
ミネバリ
「えっ、蹴られるのはヤだな……」
赤光院 燦華
「あはは」
ミネバリ
「ははは!」
ミネバリ
燦華の笑い声に笑って返す。
ミネバリ
「教えてくれてありがとう、サンゲ」
ミネバリ
改めてまっすぐに燦華を見つめて礼を言う。
赤光院 燦華
「……どういたしまして」
赤光院 燦華
視線はまっすぐに返ってくる。
ミネバリ
「ふふ」
ミネバリ
「サンゲ」
ミネバリ
「じゃあね」
赤光院 燦華
「ん。まったね~」
赤光院 燦華
また、と。今度も言う。
赤光院 燦華
いずれ言わなくなる時が来るだろう。
赤光院 燦華
でも、今はまだそうではない。
ミネバリ
燦華と言葉を交わし、街から山へと帰ってゆく。
ミネバリ
燦華と出会い、ミネバリが街へと降りる回数は格段に増えた。
ミネバリ
母親のえんじゅ以外に一緒に居たいと思える相手は初めてだった。
ミネバリ
それでもミネバリは必ず家へと帰る。
山へと。
GM
山の空気は爽やかで、心地がいい。
GM
土と青葉と獣のにおい。
GM
ミネバリを育てた、ミネバリのよく知る世界で、
GM
いつもミネバリを待つひとがいる。
えんじゅ
「おかえり!」
ミネバリ
「ただいま、母さん」
えんじゅ
いつも通りに、出迎える。
ミネバリ
いつもどおりのやり取り
えんじゅ
「米が炊けるまでもう少しだから、ちょっと待ってな」
ミネバリ
「うん」
返事をしながら手と顔を洗う。
ミネバリ
「何か手伝うことある?」
えんじゅ
「あ、野菜ある、今日は!」
えんじゅ
「井戸のところにあるから持ってきてくれ」
ミネバリ
「わかった」
ミネバリ
井戸に置いてある洗われた野菜をもって土間へと戻る。
えんじゅ
そうする間に、嗅ぎ慣れた夕餉の香りが家に漂い始める。
えんじゅ
今日は鍋には味噌汁。洗った野菜も味噌につけて食べる。
えんじゅ
「さあ食え、たんと食え!」
ミネバリ
夏野菜はそのまま食べることが多い。
ミネバリ
「いただきます」
えんじゅ
「大きくなれよ~」
えんじゅ
その文句もいつも通り。米を山盛りにして、あなたに出す。
ミネバリ
「うん」
ミネバリ
山盛りの茶碗を受け取り夕餉に箸をつける。
えんじゅ
そのさまを、にこにこ笑いながら見ている。
ミネバリ
街に降りる日が増えても、変な客が来ても、この家で夕餉を食べる。
この家でえんじゅと暮らしている。
えんじゅ
息子とこうして、毎日決まった時間を過ごしている。変わることなく。
えんじゅ
自分にとってかけがえのないひと時。
えんじゅ
愛する息子との時間だった。
ミネバリ
「母さん、今日……」
えんじゅ
「さんげか」
ミネバリ
「うん」
えんじゅ
「ふふふ」
えんじゅ
「ミネバリはよくさんげと会っているからな」
えんじゅ
「楽しいだろう、さんげと話すのは」
ミネバリ
「楽しい!こんなに話したの、母さんとサンゲぐらいだ」
えんじゅ
「そうだろそうだろ」
えんじゅ
なぜか得意げになる母である。
ミネバリ
「俺と母さんがよく似てるって。だから俺も、母さんとサンゲがよく似てるって言っておいた」
ミネバリ
よく似てるし。
えんじゅ
「?」
えんじゅ
首を傾げた。
えんじゅ
「ミネバリとさんげも似てるぞ」
ミネバリ
「?そうなの?」
えんじゅ
「素直に話すし。元気でいい子だ」
ミネバリ
なるほど……という顔で夕餉を食べている。
ミネバリ
「……たしかに、俺と母さんが似てて母さんとサンゲが似てるなら、俺とサンゲは似てるね」
えんじゅ
「そういうことになるな」
えんじゅ
息子は頭がいいな~という顔。
えんじゅ
「……」
ミネバリ
「………」
えんじゅ
「……でも、おれの息子はお前だけ」
えんじゅ
「さんげは、さんげ、お前はお前だ……」
えんじゅ
「カイビャクにとっても、もちろんそうだろうなあ」
ミネバリ
「うん」
えんじゅ
「おれを殺してカグツチを戻せば」
えんじゅ
「そうしたら……」
えんじゅ
言葉を濁して、味噌汁を飲む。
ミネバリ
「………」
ミネバリ
「サンゲはちゃんと全部教えてくれたよ」
えんじゅ
「うん」
ミネバリ
「最後は俺が考えて決めることだって。俺もそうだと思う」
えんじゅ
「さんげの方は、先に決めてる」
えんじゅ
「……お前は、どうするか決まったか? ミネバリ」
ミネバリ
「………まだちょっと、考えてる」
えんじゅ
「そうかあ」
えんじゅ
「もう少し時間はある。……もう少しだけな」
ミネバリ
「うん、もう少しだけね」
えんじゅ
「それまでに決められそうならいい」
ミネバリ
「決めないとサンゲにケツを蹴られる」
えんじゅ
「おれがしていいって言ったからな!」
ミネバリ
「ダメだよ、ケツ蹴られるのヤだもん。サンゲの蹴り痛そうだし」
えんじゅ
「すごい痛いだろうなあ」
えんじゅ
「……カグツチな」
えんじゅ
「もし、おれが奪われていたのがカグツチじゃなくてナキサワメだったら」
えんじゅ
「おれはお前を拾ったりせずに、その前に正気を失ってたろうな」
ミネバリ
「……そうだったら、俺は死んでたね」
えんじゅ
「うん」
えんじゅ
「お前が尻を蹴られるのを嫌がってるのを見ることもなかった」
ミネバリ
「でも母さんがかいびゃくに怖い思いさせられることもなかったよ」
えんじゅ
「あいつこわい!」
えんじゅ
「なに考えてるか分からないんだよ。まだ」
ミネバリ
「俺もわからないな~。目の前で小指ちぎったりするし……」
えんじゅ
「こわい!」
ミネバリ
「ばななふらぺちーの飲んでるし」
えんじゅ
「それはおいしそう」
ミネバリ
「フラペチーノうまかったから母さんも飲みに行こう」
えんじゅ
「行く!」
えんじゅ
「……」
えんじゅ
「なあミネバリ」
えんじゅ
「ミネバリは、さんげのこと好きか?」
ミネバリ
「うん、好きだよ」
えんじゅ
「さんげと、フラペチーノを飲みに行きたいんじゃないか」
ミネバリ
「?」
ミネバリ
「サンゲとはもう飲んだから、次は母さん」
えんじゅ
「そうかあ~!」
ミネバリ
「俺は、母さんもサンゲも好きで大切。母さんとはこないだ約束したし……」
ミネバリ
「俺は覚えてないけど、でもサンゲとも約束した」
えんじゅ
「ん」
ミネバリ
「どっちの約束も大事だけど、最後には決めないといけない。だから、あともう少しだけ考えるんだ」
ミネバリ
「後悔しないように」
えんじゅ
「うん」
えんじゅ
「死ぬなよ、ミネバリ」
ミネバリ
「うん」
えんじゅ
「……」
えんじゅ
「あれをやれこれをやれって言ってしまうな!」
ミネバリ
「ふふふ」
えんじゅ
「もしかしたら母は……」
えんじゅ
「……もしかしたらだけど」
えんじゅ
「……お前が、なにか決めた時」
えんじゅ
「お前を、手伝ってやれないかもしれない」
ミネバリ
「……うん」
えんじゅ
「でも、お前が決めたことは、決めたことで」
えんじゅ
「……うん、だから、悔いがないように、だな」
えんじゅ
「約束な!」
ミネバリ
「うん、約束」
ミネバリ
「悔いがないように決めるために、一つだけ、やらなきゃいけないことがあるんだ、母さん」
えんじゅ
「やらなきゃいけないこと?」
ミネバリ
「一族のためじゃなくって、俺のためのことだから」
えんじゅ
「ん」
えんじゅ
「そうか」
えんじゅ
「そうだな」
ミネバリ
ミネバリとえんじゅのプラス感情を失わせて啼沢女を活性化させます。
えんじゅ
「……」
GM
了解です。
GM
ミネバリの愛情、えんじゅの忠誠が喪失し、啼沢女の力が活性化。
GM
ミネバリの使命が、
クライマックスフェイズ終了まで『赤光院 燦華を殺す』から、
『えんじゅに恩を返す』へと変更されます。
GM
続けてどうぞ。
ミネバリ
「………」
えんじゅ
「…………どうだ?」
ミネバリ
「………うん、大丈夫」
GM
ミネバリの、耳に囁く声が消えている。
GM
その肉体を引き回し、衝動を駆り立てる魂の強制力が失せている。
GM
驚くほどに。
GM
すっきりとした心地で、思考を遮るものはもはや何もなく。
えんじゅ
茶碗を置いて、あやかしは胸のあたりをさすっている。
ミネバリ
「もううるさくないし、サンゲに会う時に緊張しないですむし、俺が決めるべきことをちゃんと考えられる」
えんじゅ
「うん」
えんじゅ
「よかった」
えんじゅ
立ち上がる。
えんじゅ
板の間を歩いて、息子の傍に寄った。
ミネバリ
「どうしたの?」
えんじゅ
「なにも気づいてなくて、ごめんな」
えんじゅ
「お前はえらい」
えんじゅ
手を伸ばして、頭を撫でる。
えんじゅ
夕食のときには、少し行儀が悪い。
ミネバリ
「そう?そうかな」
えんじゅ
「おう、おれの自慢の息子だ」
ミネバリ
幼い容姿の母に頭をなでられるがままに。
えんじゅ
わしゃわしゃと撫でている。
ミネバリ
いつ以来だろうか。少なくともミネバリの身長が伸び出してからはされていなかったように思う。
ミネバリ
母の小さな手の感触。
大人のようで子供のような不思議な手。
えんじゅ
手が届かないから、大人になったから、という単純な理由で撫でていなかった。
えんじゅ
今は座っているからちょっと撫でやすい。
えんじゅ
成長した息子、黒々とした髪をしばらく撫でて、満足して離す。
ミネバリ
「母さん」
えんじゅ
「うん」
ミネバリ
「今日一緒に寝よう。昔みたいに」
えんじゅ
「おっ、どうした?」
えんじゅ
「いいぞ! 一緒に寝ような」
ミネバリ
「ふふふ」
えんじゅ
「子守歌歌ってやる!」
ミネバリ
「えーっそこまではいいよ」
えんじゅ
「そうか~?」
ミネバリ
「今なら母さんの方が先に寝ちゃうよ」
えんじゅ
「えっ」
えんじゅ
「そんなことは……」
えんじゅ
「ない……?」
えんじゅ
あるかも……
ミネバリ
「ふふふ」
えんじゅ
「勝負するか!?」
ミネバリ
「いいよ、勝負しよう」
ミネバリ
「母さんと俺、どっちが先に寝るかね」
えんじゅ
「おう!」
ミネバリ
えんじゅに感情判定します
GM
了解です。特技は?
ミネバリ
2人で野山で暮らしてきたので野戦術で……
GM
いいでしょう。判定を
ミネバリ
2d6>=5 (2D6>=5) > 2[1,1] > 2 > ファンブル
ミネバリ
神通丸使用します
GM
OK 振り直しを。
[ ミネバリ ] 忍具 : 2 → 1
ミネバリ
2d6>=5 (2D6>=5) > 3[1,2] > 3 > 失敗
ミネバリ
ん~、どうにもならないな
えんじゅ
息子よ……
ミネバリ
「はい、母さん」
ミネバリ
今まで座っていた場所に置いたままの母の皿や茶わんを隣に置く。
えんじゅ
「ん」
えんじゅ
隣に腰を下ろす。
えんじゅ
そうしてまた、いつも通りに夕餉を食べ始める。
えんじゅ
「負けないからな!」
ミネバリ
「朝起きた時にどっちが勝ったか教えるよ」
えんじゅ
「? おう!」
ミネバリ
「ふふふ」
ミネバリ
最後の決定を下すには、まだ少しの時間がある。
ミネバリ
後悔がないように考えるだけの時間が。
GM
しかしその時間にも限りがある。
GM
日が沈んでは昇り、時は進む。
GM
決断をしなければならない瞬間が、
GM
いつか必ずやってくる。
GM
GM
◆メインフェイズ第三サイクル第四シーン
 シーンプレイヤー:赤光院 燦華
GM
どういったシーンにいたしましょう。
赤光院 燦華
開闢を探しに行きま~す
GM
どこにいるかな~?
GM
CSTしますか?
赤光院 燦華
しよっかな。
赤光院 燦華
CST 都市シーン表(10) > ビルの谷間を飛び移る。この街のどこかに、「アレ」は存在するはずなのだが……。
GM
アレ
閏間開闢
アレ
GM
出てこいや! アレ!
赤光院 燦華
出てこいや~
閏間開闢
じゃあ なんか 割と近くのビルの監視ポイントにいるんじゃないでしょうか
赤光院 燦華
ふむ。ではそんな感じでいくか
赤光院 燦華
制服。よくある鞄、よくあるローファー。
まったくいつも通りの格好で、しかし、学校はサボった。
赤光院 燦華
開闢の行きそうなところを、燦華はたいして知らない。
だが、開闢のいるところならわかる。まあなんとなく。
赤光院 燦華
どんな時にどういうルートを取るか。
どういう意図の時、どこに隠れるか。
赤光院 燦華
十二年、背後にひっついていた相手のことだ。
赤光院 燦華
そうした、クセ。手管。そういうもの。
赤光院 燦華
わかっているぞ、めんどくさいやつめ。
赤光院 燦華
ビルの谷間を、セーラー服が飛び回り。
赤光院 燦華
やがてその背中に、声がかかる。
赤光院 燦華
「開闢~。仕事サボって何してーんの」
閏間開闢
開闢は、燦華の学校付近のビル屋上にいた。
閏間開闢
燦華に背中を向けたまま、煙草の煙を吐き出す。開闢が燦華の前で喫煙しているのは、はじめてのことだった。
閏間開闢
「ほんと、仕事サボって何してるんでしょうね」
赤光院 燦華
「さあ~」
赤光院 燦華
「何してるの?てか、なんかしたいことあるの?」
閏間開闢
屋上の適当な場所に腰掛ける。
閏間開闢
「私は自分の仕事を全うするだけですよ」
閏間開闢
「そのために機関から派遣されました。そのために12年あなたに寄り添いました」
閏間開闢
「仕事分は、働くつもりです」
赤光院 燦華
「真面目なこと言ってら」
閏間開闢
「え~?私はいつでも真面目ですよ~?」
赤光院 燦華
「そういうとこなんだけどな」
赤光院 燦華
「あんたがそういう顔するとき」
赤光院 燦華
「あんたはまあ、比良坂のやつだな~と思うよ」
閏間開闢
「イェ~イ比良坂で~す。お世話になっておりますぅ~」
赤光院 燦華
「お世話してま~す」 ごく軽い声で応じる。
赤光院 燦華
「なんと十二年も」
閏間開闢
「これはびっくり!」
閏間開闢
「よっつの子も高校生になってしまうくらいの時間ですね~」
閏間開闢
煙草をふかす。煙が風に舞う。
閏間開闢
「どうしたんですか。別に」
閏間開闢
「話すことは、ないと思いますが」
赤光院 燦華
「そう?」
赤光院 燦華
「わたしにはいっぱいあるけど」
閏間開闢
「へぇ。それは嬉しいな。なんでしょうね!」
赤光院 燦華
「え~。朝来ないと寂しいなとか……?」
閏間開闢
「ええ~~!そんな風に思ってくれたんですか?開闢感激!!」
赤光院 燦華
「あとあんたのめんどくささについてとか……」
閏間開闢
「めんどくさいとは言われますね~、どうしてか!」
赤光院 燦華
「そうやって本心は言いませーん!みたいなツラするからじゃない?」
閏間開闢
「う~ん、でも本心言うと怖がられちゃうんですよね~。人付き合いって難しいです!」
赤光院 燦華
「嫌いの間違いじゃなくて?」
赤光院 燦華
「人付き合い。どう?」
閏間開闢
「好きですよ。人付き合い。こう見えて結構人が好きなんです」
赤光院 燦華
「ふうん」 面白がるように。
閏間開闢
「だから、人と話をすることが好きなんですよ」
閏間開闢
「お話好きの純朴な男なのに、どうしてか勘違いされやすいんですよね~」
赤光院 燦華
「じゃあ、」
赤光院 燦華
「あんたの目から見て……」
赤光院 燦華
「赤光院燦華は、あんたを勘違いしてると思う?」
閏間開闢
「あっははは」
閏間開闢
「いやぁ」
閏間開闢
「困ったことに、どうにも」
閏間開闢
「勘違いしていてくれるような娘なら、よかったんですが」
赤光院 燦華
少し笑う。
赤光院 燦華
「今からでも、勘違い、してほしい?」
閏間開闢
「勘違いしろって言ったら、してくれるんですか?」
赤光院 燦華
「やなこった」
閏間開闢
「でしょうね~!」
赤光院 燦華
「本っ当~に、どーしても!そうしてほしいなら、考えてやってもいいけど」
赤光院 燦華
「今のあんたじゃだめだな」
閏間開闢
「本っ当~に、どーしても!そうしてほしい! って訳じゃないですねぇ~」
閏間開闢
「殺す相手が何を思っていようと、関係はありませんからね」
赤光院 燦華
「あはっ」
赤光院 燦華
「開闢ってほーんとめんどくせえやつ」
閏間開闢
「こんなに素直でまっすぐな男なのに~」
赤光院 燦華
「それは無理があるな~」
閏間開闢
「私もそう思います」
赤光院 燦華
「ついに自分で言いやがった」
閏間開闢
「さすがにミネバリくんみたいな子と同類は名乗れませんよ~。汚い汚い比良坂ですし?」
赤光院 燦華
「あいつはあいつで、ちょっと大丈夫か?と思うけどねえ」
閏間開闢
「あっははは、本当に」
赤光院 燦華
「そしてまあ」
赤光院 燦華
「わたしも似たようなことを思われている」
閏間開闢
「う~ん」
閏間開闢
煙草を吸う。肺を煙で満たして、細く吐く。
閏間開闢
「……そういう話をしに来たんですか?」
閏間開闢
「もっと別の話かと思っていましたが」
赤光院 燦華
「お話好きっていうくせにせっかちだな~」
赤光院 燦華
「まあ、本題は」
赤光院 燦華
「あんたにとっては仕事の話になるかな~?」
閏間開闢
「おっ、いいですね~。仕事人間なので仕事の話好きですよ」
赤光院 燦華
「調子のいいやつめ」
閏間開闢
「調子絶好調です」ピースピース
赤光院 燦華
「あはは」
赤光院 燦華
笑って。
赤光院 燦華
開闢に、迦具土と啼沢女の秘密を譲渡します。
GM
受け取りますか?
閏間開闢
お仕事の話らしいので、ありがたく頂戴いたしましょう。
GM
偉いですね。
GM
では公開といたしましょう。
GM
【秘密:『神鏡・啼沢女』】
ミネバリに取り憑く『不知火』の一族の業火を抑えつける役目を持つ鏡。
ミネバリが『神鏡・啼沢女』を失った場合、
業火に包まれクライマックスフェイズ終了後に死亡する。
 
また、『宝珠・迦具土』を保持している者は、
『神鏡・啼沢女』を手に入れない限り妖魔化して暴走し、
エンディングフェイズにて完全に妖魔となる。
 
『神鏡・啼沢女』は愛によって力を活性化させる。
『神鏡・啼沢女』の保持者は、
シーンに登場しているキャラクター2人のプラスの感情を失わせる代わりに、
不知火の一族の業火による効果をクライマックスフェイズ終了まで無効化することが出来る。
GM
【秘密:『宝珠・迦具土』】
『宝珠・迦具土』を宿した『火神』を殺害することで『神産みの儀式』は完成する。
(殺害後にプライズを押し付けてもよい)
儀式を完成させた者は神の力を得て『忍神』となる。

忍神は、戦果として願いを1つ叶えることが出来る。
ただし『死亡した火神の復活』だけは叶えることが出来ない。

忍神は穢れを1D6点受ける度にこの願いの数を1つ増やすことができる。
この効果で生命力が0以下になった場合、そのキャラクターは死亡する。
GM
以上です。
赤光院 燦華
長く語って、それから。
赤光院 燦華
「どう?お仕事頑張れそう?」
閏間開闢
話の合間に茶々を入れることもせず、静かに聞く。
閏間開闢
携帯灰皿で煙草の火を揉み消して、ぱちんと蓋を閉じた。
閏間開闢
「困ったな」
閏間開闢
「一度上長に状況説明して、指示を仰ぎたい所です」
閏間開闢
そんなことはしない。他人に判断を任せられる話ではない。
赤光院 燦華
「こらこら~」
閏間開闢
12年の時間が内包するものは、自分以外に理解できない。
赤光院 燦華
「別に、あんたが何をどう選んだっていいよ」
赤光院 燦華
「ただ、それは」
赤光院 燦華
「閏間開闢の選択なら、いいよってだけだからな」
赤光院 燦華
「そういうのが、わたしの十二年だ」
閏間開闢
「泣かせること言いますね~!」
赤光院 燦華
「四つのときから」
赤光院 燦華
「あんたがしてくれたことは、わたしにとって、ちゃんと、本当のことだよ」
赤光院 燦華
感情判定します。
GM
いいでしょう。使用特技は?
赤光院 燦華
見敵術かな……相手のことを見定めていく。
GM
らしいですね~。
GM
判定をどうぞ。
赤光院 燦華
2D6>=5 (判定:見敵術) (2D6>=5) > 6[1,5] > 6 > 成功
GM
ETを
赤光院 燦華
ET 感情表(6) > 狂信(プラス)/殺意(マイナス)
GM
ふっふふ
閏間開闢
ET 感情表(4) > 忠誠(プラス)/侮蔑(マイナス)
GM
どうしますか?
赤光院 燦華
狂信取りますね~
閏間開闢
忠誠で
GM
はい。狂信と忠誠。
GM
続けてどうぞ。
赤光院 燦華
「わたしは、あんたのくれた十二年を」
赤光院 燦華
「……大切に思ってるよ」
閏間開闢
軽薄な笑みが消える。
閏間開闢
12年は、短い時間ではない。
閏間開闢
騙して、信用させて、殺すつもりだった。そういう仕事だった。
閏間開闢
仕事を請け負った時には、何も感じなかった。人を騙すことには慣れていた。
閏間開闢
誠実な対応、誠実な素振り。そして安心させるような言葉。そんなものは、次から次に舌先から生まれる。
閏間開闢
いつからか、綻ぶようになった。信頼されなければいけないはずなのに、信頼されない人物になっていった。
閏間開闢
嘘を付き続けることが、苦しくなっていた。
閏間開闢
だから、これは嘘だと。
全てを疑ってくれ、と。
閏間開闢
そう思っていた。そう願っていた。
閏間開闢
しかしこの、よっつの頃から知っている小娘は。
閏間開闢
勘違いなど、ひとつもせずに。
閏間開闢
「…………」
赤光院 燦華
「どした~」
赤光院 燦華
いつも通り。いつもと何も変わらずに。
赤光院 燦華
あなたを見ている。笑っている。
閏間開闢
「燦華は」
閏間開闢
「自由になりたいか?」
赤光院 燦華
「自由か~」
赤光院 燦華
「なれるもんならなってみたいな~!」
閏間開闢
「……」
閏間開闢
しばし、逡巡するような沈黙。
閏間開闢
顔を上げて、燦華の瞳を見る。
閏間開闢
「じゃあ、俺は君を自由にする」
閏間開闢
「約束するよ」
閏間開闢
小指を差し出す。
赤光院 燦華
「……あはっ」
赤光院 燦華
晴れやかに笑って。
赤光院 燦華
「ゆびきりげーんまん!」
閏間開闢
「うっそつーいたーらはーりせんぼんのーます!」
赤光院 燦華
「ゆーび、きった!」
閏間開闢
「ふふ」
閏間開闢
「あはは」
閏間開闢
笑う。
閏間開闢
随分と久しぶりに、心から笑ったような気がした。そう、12年くらいぶりに。
閏間開闢
使命を【赤光院 燦華を自由にする】に変更します。
赤光院 燦華
同じく、使命を【自由になる】に変更します。
GM
了解しました。
開闢の使命が【赤光院 燦華を自由にする】に
燦華の使命が【自由になる】に、それぞれ変更されます。
GM
ここに一つ、新たな約束が交わされた。
GM
12年の月日を共にした約束の、
GM
今度は紛れもなく、ほんとうの約束が。
GM