RL:GT
RL:GT
RL:GT次のシーンですが……
RL:GTユウキさんのシーンになりますが
RL:GTどこがいいですか。
RL:GT■Re:4
RL:GTシーンカード:アラシ(逆位置)/即断即決を迫られる
RL:GT
RL:GT
GT
GT斑鳩情報工学大学。
GTエグゼクやメガコーポクグツの子供……つまり、一定以上の家庭の者たちが通う教育機関だ。
GT厳重なセキュリティと優秀なスパイダーによって、ハッカーたちの侵入を防いでいる。
真咲ユウキ交渉と♦の10で登場判定成功!
習志野千夏カードを回したりせず同行します。
灰暮令夜カード回さず同行します
大河内 ゲンジ♣の2で登場判定失敗しつつチームとして出ます
習志野千夏ライブ会場での事件の後、口数が普段の四分の一くらいになっています。
真咲ユウキ大学にアポもとらずに押しかけて、信用を得ました。
GTあなたの魔法のようなトーク技術で、職員はあなたたちを通してくれる。
GT黄金の猟犬のバッヂも効いたのだろう。
真咲ユウキ持つべきものはおまわりさんの同行者だなあ。
真咲ユウキ傍目から冷静に見るとそれなりに無理のある話の展開をしていたかもしれない。
真咲ユウキユウキの言葉は感情に訴えかける。相手の言うとおりに方がいいかな、と思わせるような何かがある。
灰暮令夜自分が喋るとややこしくなるだろうとわかっているので、黙ってついていってます
GT「弊大学のギガトロンは、こちらからアクセスできます。スタンドアロンですから、そこからの物理接触以外は通しません」
GTユウキを先導する職員が、そういって説明する。
GT目の前にはジャックイン用のスロットが一つ。
真咲ユウキ「ありがと。助かるよ」
習志野千夏千夏は元気がないくらいでちょうど良かった。元気が良かったら交渉の妨げになったかもしれない。
GT「いえ。終わったら呼んでくださいね」
真咲ユウキ「うん、よろしくね」
習志野千夏「大学のスタンドアロンのギガトロンなんてテンションあがるな-」
習志野千夏「わくわくしてきたな~」
灰暮令夜「そうなのか」
GTあなたたちの前には、強化された保護プレートの向こうに広がる、部屋一つ分をしめるギガトロンが鎮座している。
GT最高級のギガトロンは放熱の音すらしない。いやに静かだ。
習志野千夏「めったにみれるもんじゃないよ」
大河内 ゲンジ「ほぉーーん」
大河内 ゲンジ全くありがたみなどわかっていないような反応
真咲ユウキ「でかいからすごいってことぐらいしか分かんないな」
灰暮令夜同じくわかってない
習志野千夏「まあでかいからすごいんだよ」
真咲ユウキ自分のポケットロンを取り出して、大きさを比べてみている。
GTN◎VAにも有数のギガトロン。これに勝るものと言えば軍事用か、噂の「超AI」くらいなのだが…
灰暮令夜「なるほど、そういうものか」
習志野千夏「でっかくないとできないことをやってるから、でかいとすごいで間違いじゃないってこと」
GTポケットロンと比べられれば、ギガトロンも雄大な山脈に見える。
灰暮令夜「で?どうするんだ、これを」
GTここからイントロンすれば、学内ネットに接続することができるだろう。
習志野千夏「入るんだよ」
習志野千夏ため息。
習志野千夏「……気重だね」
真咲ユウキ「ん……」
真咲ユウキ「お前にしかできない、だろ」
灰暮令夜「…無理はするな」
習志野千夏持ち込みの機器を接続し、準備は万端。
習志野千夏「大丈夫。さっくりやっちゃおう」
真咲ユウキ「頼んだぜ、“トライアイ”」
灰暮令夜「そうか、なら…頼んだ」
習志野千夏「おっけー、それじゃ、いってきまーす」
習志野千夏イントロンします。
GT──意識が、加速する。
GT気が付けば、あなたはそこにいた。
GTあなたのアイコンが、誰もいない学内ネットに降り立つ。
GT普段のストリームは、どこにだって数千数万のアイコンが飛び交っている。
GTあなたの目は、耳は、それを確かな声として、情報としてとらえるから、ストリームはいつだってにぎやかだ。
GT──けれど、ここは静か。
GTいやになるくらい、静かだった。
習志野千夏加速した知覚で感じる静寂は、ただそれそのものよりもずっと重たく感じる。
習志野千夏広大な世界のなかに一人にいるような孤独感を、沸き立たせる好奇心で打ち消していく。
習志野千夏何か面白いものがないか、探します。
GTそんな中、あなたの視界にふと──そのアイコンがうつった。 学内ネットの枝の先。 グリッドを通り、ウェブコンプレックスをくぐった回廊の先。 ……誰も覗かない、誰もアクセスしないような片隅に、ゆらゆらとゆれるてるてる坊主のアイコンが。
”てるてる坊主”『…………』
”てるてる坊主”そのアイコンは、学内ネットの奥底、ゴミ箱のようなジャンクデータの海へとゆっくりと流れていく。
習志野千夏『今すぐLANケーブルで首を吊れ』なんてCDなネットスラングを思い出す。
習志野千夏次々と自殺していくイーリスを見たあとでそのアイコンを見ると、まるで首を吊っているかのようだと思った。
習志野千夏「てるてる坊主さん」
習志野千夏呼びかける。
”てるてる坊主”『……』
”てるてる坊主”ゆらゆら。ゆらゆらとゆれる。
”てるてる坊主”あなたにむかって、こちらへこいと招くように。
”てるてる坊主”周囲を照らす情報流の光は、どんどんと乏しくなって、まるで深海へと降りていくような気がした。
習志野千夏ついていく。
習志野千夏ここに至るまで、ずっと、全部、てるてる坊主から招かれるままだ。
習志野千夏イーリス探しをはじめたのも、ライブ会場のデータにも。
”てるてる坊主”データの海の奥底。……誰も見ない、誰も気にしない、雑多なログの切れ端の山にまで、てるてる坊主はおりてきて。
”てるてる坊主”そのゴミの山の中から、ひとつのフォルダを取り出した。
”てるてる坊主”それはずたずたに引き裂かれた、削除済みのデータファイル。
”てるてる坊主”──……腕利きのニューロでなければ、復元することすらできないだろう。
”てるてる坊主”<電脳> 必要達成値21
習志野千夏『お前にしかできない、だろ』
習志野千夏直前、そう言われた言葉を思い出す。
習志野千夏私にしかできない。
習志野千夏私にしかできないと思う。
習志野千夏私がしなかったら、これはきっとこのままで、何かが詳らかになることなく幕を閉じる。そういう予感がある。
習志野千夏『痛い目を見なければわからない』とおっさんが口々に言っていた。
習志野千夏それでも、明らかにするのか。
習志野千夏そう迷ってみるのも、2秒までだ。
習志野千夏電脳で判定。スペードのQ。21で成功。
習志野千夏私は根っからのニューロだから、痛い目を見たって変わらない。
習志野千夏データファイルを復元します。
”てるてる坊主”それは。
”てるてる坊主”ただの、たった数MBしかない、音楽データだった。
”七虹レイン”『──………』
”七虹レイン”てるてる坊主のアイコンが、はらりとほどける。
”七虹レイン”そこには、彼女がいた。
”七虹レイン”イーリスと同じ顔をした、ナビゲートAIの残滓が。
”七虹レイン”
”七虹レイン”レインが渡してきたのは、行動ログだ。
”七虹レイン”天原タイヨウと呼ばれる男の行動の一部を記したログ。
”七虹レイン”そして。
”七虹レイン”
”七虹レイン”「……」
”七虹レイン”そのAIは、指の端から、ぼろぼろと崩れていく。
習志野千夏「……」
習志野千夏「ハロー・レイン」
習志野千夏「グッドバイ・レイン」
習志野千夏「……ありがとう、ちゃんと受け取ったよ、レイン」
習志野千夏崩れゆくレインを抱きしめる。
”七虹レイン”[]
”七虹レイン”「……」
”七虹レイン”彼女は、ふ、と。
”七虹レイン”笑顔を浮かべて。
”七虹レイン”ぼろぼろと、0と1に崩れていく。
”七虹レイン”そのまま彼女は、ばらりとほどけるように。笑顔の表情を、うかべたまま。
”七虹レイン”ぽろり、と。
習志野千夏電子データは揮発性の配列。実体はない。露と消えれば、それでしまいだ。
”七虹レイン”データの残滓を溢していく。
習志野千夏きっとログには残らない。
習志野千夏他の誰かも見ていない。
習志野千夏彼女がここにいて、笑いかけて、泣いているのを知っているのは私だけ。
”七虹レイン”『………』
”七虹レイン”彼女は、もう言語データを介さない。
”七虹レイン”だから、何を言っているのかもわからない。
”七虹レイン”そのまま彼女は、ばらりとほどけるように、報流の海に還っていく。
”七虹レイン”笑顔のままで。
習志野千夏笑顔でそれを見送る。
”七虹レイン”……最後には、0と1と破断したデータの欠片だけ。彼女の笑顔だけが焼き付いたように、その空間に残っているような気がするけれど、もうそれはただの数字でしかない。それは、ニューロであるあなたが一番わかっていることだ。
習志野千夏全てが数字の配列であると知りながら、ニューロは電子の海に遊ぶ。
習志野千夏ただの0と1がただの0と1でないと見いださせる何かは、もうそこにはない。
習志野千夏「ありがとう」
習志野千夏もう一度同じ言葉を繰り返し、サーバを去る。
GT手元には、復元された音楽データだけが残っている。データには、誰かのIDが紐づいている……。
真咲ユウキ「……どうだった?」
習志野千夏「いや~ニューロ! だね~。有名人とハグしちゃったよ、私。もう今日はシャワーあびれないな~。ニューロやっててよかったとはこのことだね~あはは」
真咲ユウキまじまじと相手の顔を見つめている。
習志野千夏千夏の目は涙に濡れている。
真咲ユウキ「…………そっか」
灰暮令夜「………」 無言で、背中を軽く叩く
灰暮令夜千夏ちゃんの背中をです
習志野千夏ぽんぽんされています。
習志野千夏「……ちゃんとツッコんでよ、意識体なんだからシャワー関係ないだろって」
大河内 ゲンジ「おう、好きなだけ泣いとけ」
真咲ユウキ「茶化すシーンじゃないだろ」
習志野千夏「ウェットは苦手なんだよ~」
真咲ユウキ「でも、無理をすることない」
灰暮令夜「………あとはやっておく、休んでいろ」
習志野千夏「……うん」
習志野千夏じゃあそのまま背中に触れてる令夜さんに寄りかかるか。寄りかかります。
灰暮令夜そのまま支えてあげます
習志野千夏そのまま、脱力したままで起きたことを話します。
習志野千夏てるてる坊主がレインだったこと、貰ったデータと、イースター・エッグのこと。
灰暮令夜「…そうか、頑張ったな」
真咲ユウキ「レインがお前の依頼主だったのか」
習志野千夏「うん」
習志野千夏「懐かしかったな。私も使ったことあるから」
真咲ユウキ「……そっか」
習志野千夏「……私もコード書くからさ、わかるんだ」
習志野千夏「プログラムって素直なんだよ」
習志野千夏「素直で、健気で、仕事をこなす」
真咲ユウキ「人間みたいに嘘ついたり、嫉妬したり、さぼったりしない、か」
習志野千夏「……こんなことをしたやつを、ぶん殴ってやりたい」
真咲ユウキ「ああ」
真咲ユウキ「絶対ぶん殴ろう」
真咲ユウキイーリスのトーク技術を心理で調べます。肉体は5、♥の6と報酬点1を使って成功。
GT【イーリスのトーク技術】 <社会:企業><社会:警察><社会:テクノロジー><知覚><心理><交渉> 12 12:会話相手の行動を観察し、相手の行動パターンや身振り・仕草・会話のトーンなどを自分の行動にフィードバックしている。 いわゆるミラーリングと呼ばれるテクニックを、サイコアプリやマインドフィルタで補佐した「好感を得る技術」。 イーリスの場合は更に相手のパターンに合わせ、相性の良い仕草や会話パターンを選択し演じている。 これには本人の技術以上に、膨大な会話データの蓄積が必要とされる。
真咲ユウキ「……『イーリス』の話し方は、レインがやってた、っていうのと同じだった」
真咲ユウキ「もちろん、マネキンなら多かれ少なかれ、こういうことするけど」
真咲ユウキ「それを莫大なデータを使って高度にやってる……AIならではってことなんだろうな」
習志野千夏「みんなとおしゃべりして、愛されるのがお仕事なのは変わらないね」
真咲ユウキ「人間に好かれるために、素直に……か」
真咲ユウキ「……それをこういうふうに使い潰して消費するのは許せない」
真咲ユウキ「『イーリス』だけじゃない。マネキンのどれも、利用するための道具じゃない」
真咲ユウキ「それを、教えてやる」
大河内 ゲンジ「詳しくはわからんが、ろくなことしとらんことはわかるな」
大河内 ゲンジゲンジの知識ではかなりギリギリです。
真咲ユウキ「連中をぶっ飛ばせば、マネキンの自殺も止まるってことさ」
習志野千夏「……痛い目を見せてやってよ。そうじゃないとわからないんでしょ?」
灰暮令夜「…わかりやすくて助かる」
大河内 ゲンジ「がはは!ばっちり目にもの見せちゃるわ」
真咲ユウキ「ライブで『イーリス』たちが一斉に自分のことを傷つけ始めた時、」
真咲ユウキ「……正直、『イーリス』にもオレはキレてたけど」
真咲ユウキ「こうやって、自分を『殺す』ためのイースター・エッグを、元のレインが作ってたのを見ると」
真咲ユウキ「なんつったらいいんだろうな……」
真咲ユウキ髪を梳く。
真咲ユウキ「まあ……振り上げた拳は奴らに振り下ろしてやる」
灰暮令夜「俺にもよくわからないが…、そう思えるのは良いことだ、と思う」
灰暮令夜「俺はあの時、何も感じなかったからな」
真咲ユウキ「…………」
真咲ユウキ「……協力して、止めてくれただろ」
灰暮令夜「言われたから、止めただけだ…」 胸にあるヘアピンに触れる
習志野千夏じっとそれを見ている。
習志野千夏「その、ヘアピンは何?」
灰暮令夜「………これは」
灰暮令夜少し動きが止まる
灰暮令夜「………妹のものだ」 千夏から目をそらす
真咲ユウキ「妹いるんだ」
灰暮令夜「死んだ」
灰暮令夜「俺が…殺した」
習志野千夏「……どうして?」
灰暮令夜その言葉に、目を泳がせる 話していいものかと
灰暮令夜「面白い話じゃないが…」
灰暮令夜「いや…」
灰暮令夜心が、いつぶりだろうか…揺れている
習志野千夏千夏は背を預けたままだ。動揺する彼に気付いて、その顔を見る。
習志野千夏そのわずかな動作が体温を伴って、存在感を改めて知らしめる。
習志野千夏「辛いことは、話さなくてもいいよ」
真咲ユウキじっと見つめている。
灰暮令夜「………辛いのかも、忘れてしまった」
灰暮令夜「だが俺は…、これを…誰かに話したかったのかもしれないな」 喉元まで溢れてきている、これが証拠だろう
習志野千夏頷く。アホ毛が揺れる。
灰暮令夜「面白い話でも、今関係ある話でもない。だが、聞いてくれるか?」
習志野千夏「うん」
習志野千夏「関係なくは、ないよ」
真咲ユウキ肯く。
大河内 ゲンジ無言で見おろしている。
灰暮令夜「……初めて人を殺したのは、子供の時だった」
灰暮令夜「父親はあまり出来の良い人間ではなくてな、俺と妹を…よく罵倒し殴っていた」
灰暮令夜「それでも俺は、父親が嫌いではなかったし…その生活も妹を守るためになんとか生きていた…と思う」
習志野千夏子供、と聞いて自分と照らし合わせる。自分も子供で、両親はいい親で、正直何一つ不自由なく生きてきたと思う。
灰暮令夜「だが、ある日…父親が…」
灰暮令夜「妹を、犯そうとした。覆い被さり、押さえつけて」
真咲ユウキ「……殺したのか」
灰暮令夜「…ああ。それを見た瞬間、俺は…父親のことを”人”として見れなくなった」
灰暮令夜「何か汚い、”ゴミ”のように見えてしまった」
灰暮令夜「だから、その場にあった銃を手にして…引き金を引いた」
灰暮令夜「弾は、父親の命を奪った。だが…」
灰暮令夜「そのまま妹の命も奪った」
習志野千夏「どうして」
真咲ユウキ「…………」
灰暮令夜「上手いこと重なっていたのだろう…、死んだ父親を退けたら頭を撃ち抜かれた妹がいた」
灰暮令夜「あの時の俺は、狙いなど考えていなかったからな」
習志野千夏死は裁きか、救いか。
習志野千夏一つの銃弾に二つの死。
灰暮令夜「そこからだ、俺が…人を”人”と思えなくなったのは」
習志野千夏ライブ会場の無数の死を思い出す。
習志野千夏あの場に救いはあったのだろうか。
真咲ユウキ人格を上書かれたまま、どこにもいなくなったランジュ。
真咲ユウキ上書きされた『イーリス』さえも死によって救われなかったなら。
真咲ユウキ消えたマネキンはなおさらだ。
真咲ユウキ「……『イーリス』はどうなんだ?」
真咲ユウキ「“人”じゃないだろ、『イーリス』は」
灰暮令夜「…そうかもしれない、だが」
灰暮令夜「…依頼は受けた」
真咲ユウキ「『私を殺して』か……」
灰暮令夜「…なあ」
真咲ユウキ「ん」
灰暮令夜「お前たちは、”私”…が誰だと思う」
灰暮令夜「イーリスは『私を殺してください』と俺に言った」
灰暮令夜「だが、イーリスは…」
真咲ユウキ「いまやN◎VAじゅうに溢れてる」
灰暮令夜「…そうだ」
真咲ユウキ「『イーリス』をコピーした『イーリス』は、精巧なコピー」
真咲ユウキ「考えていることは同じ、自死に向かう望みも同じ……だろう」
真咲ユウキ「でも、死を望む原因は……」
習志野千夏「氾濫するコピーは」
習志野千夏「私が殺す」
真咲ユウキ「……オレも、それが正しいと思う」
灰暮令夜「………」
真咲ユウキ「正しい、っていうか」
真咲ユウキ「溢れ返る『イーリス』は、もうその事実に耐えられない」
習志野千夏「うん」
真咲ユウキ「……このままにしてたら、もっとヤバい死人が出る」
真咲ユウキ「殺すしかない」
大河内 ゲンジ「おうそのことだがなぁ」
灰暮令夜「それは、そうだな。そこを否定するつもりはない」
大河内 ゲンジ口をはさむ
大河内 ゲンジ「”殺す”って言うのはやめとけ」
大河内 ゲンジ「それぁな、俺や”星喰い”の側の言葉だ」
灰暮令夜「…そうだな」
真咲ユウキ「──」
習志野千夏「……やだよ」
習志野千夏「だって、コピーは、複製は」
習志野千夏「それ自体には、罪とか、ないもん」
大河内 ゲンジ「おう、そうだな」
習志野千夏「わかってて、実行するんだ」
大河内 ゲンジ「まぁまぁ年寄りの話を聞けや」
習志野千夏プログラムは素直で、仕事熱心だ。
習志野千夏「……」
大河内 ゲンジ「なにもやるなってんじゃねぇ。やらねぇと解決しねぇ」
大河内 ゲンジ「だがさっき”星喰い”は『誰なのか』と聞いただろ」
大河内 ゲンジ「俺ぁな、古い言い方だが『イーリス』の魂みたいなもんだと思ってんだよ」
大河内 ゲンジ「本当はもう死んで、あとは成仏するだけだったってのに」
大河内 ゲンジ「悪ぃやつに捕まって好きなように使われてる」
大河内 ゲンジ「じゃあそいつらを消してやることは殺しなのかって?違ぇだろ」
大河内 ゲンジ「『成仏』させてやれよ。未練のないようによ」
真咲ユウキ「……元の『イーリス』も?」
大河内 ゲンジ「もう”体”がねぇだろ」
真咲ユウキ「でも、人格データの大本はある」
真咲ユウキ「マキナなんだろ」
習志野千夏「……マキナは、人だよ」
灰暮令夜「………」話をじっと聞いて考えこむ
習志野千夏「……バックアップデータのことは、まだ私もどうすべきかなんて言えないけど」
習志野千夏「ウェブコンプレックスのコピーの方は、わかった」
習志野千夏「死が救いかどうかは、やっぱりわからないけど」
習志野千夏「成仏は……救いだね」
大河内 ゲンジ「おう、盛大に弔ってやれ」
真咲ユウキ「“星喰い”、あんたの依頼ってさ」
灰暮令夜「ああ」
真咲ユウキ「一回依頼したら、ひっこめられねえの」
灰暮令夜「………あまり考えたことがなかったな」
真咲ユウキ「それじゃ」
真咲ユウキ「バックアップデータを回収したら、もっかい聞いてみたら」
真咲ユウキ「自分以外の『イーリス』がすっきりいなくなったN◎VAでさ」
真咲ユウキ「それでもまだ、死にたいかどうか」
真咲ユウキ「依頼人の意向、大事だろ」
習志野千夏殺し屋さんのことは素直だ、とずっと思ってきたけれど。あらためて思う。
灰暮令夜「………なるほど、頭がいいな”ピュラー”は」
習志野千夏「素直だなあ。プログラムみたい」
灰暮令夜「…そうか?」
真咲ユウキ「素直だよな」
真咲ユウキ「騙されたりしない?」
大河内 ゲンジ「……まぁ、殺し屋の中にはこういう奴もいるんだろ」
大河内 ゲンジ何も考えず、仕事をこなすだけのタイプという意味だが。
習志野千夏「褒め言葉で言ってるんだよ」
灰暮令夜「どうだろうな、ここまで他人と深く会話をする機会はなかったからわからないな」
真咲ユウキ「仕事は、ちゃんとやってくれそうかな」
真咲ユウキ「……なるほどなあ」
習志野千夏いっぱいおしゃべりして、愛されるプログラムと同じように。
習志野千夏依頼された標的を撃ち抜くのだろう、きっと。
大河内 ゲンジ【”爆雷の”ライ・メイ】を♦のJ+外界2+装備のバッジ1+千夏ちゃんの報酬点3点を使い込んで16です。
習志野千夏どんどんへってく!!
大河内 ゲンジ合計で4点使い込んでいます
GT【”爆雷の”ライ・メイ】 <社会:ストリート><社会:警察><社会:企業> 13/16 13:N◎VAで活動する、三合会の幹部のひとり。真っ赤なコートに身を包んだ伊達男で、町中で躊躇なく爆発物を使う危険人物。 趣味は少年少女の手足を吹き飛ばした後、サイバーリム(義肢)に換装させて、それをもう一度吹き飛ばすこと。レッガー◎。 16:【ウェザープロダクション】という芸能プロダクションと手を組んで、莫大な金を受け取っている。 見返りに【”七色の恋人”イーリス】にまつわる【スキャンダル(イーリス)】をもみ消すなどの活動を行っているようだ。 現在の拠点は『金庫』とよばれる三合会の施設だが、ここはウェブ・マンデイン双方で高度に隠蔽されており、場所を掴むためには何らかの情報が必要。
大河内 ゲンジ「お、そうだ」
大河内 ゲンジ「千夏、今日でお前ぇの罰金点4ポイント減らしといたからな」
習志野千夏「はっ、はぁ~~????」
灰暮令夜「………(罰金点…)」
真咲ユウキ「やっぱおまわりさんにしょっ引かれるようなことやってんだ」
真咲ユウキこれ殺し屋の隣で言うセリフか? と思いながら言ってる。
習志野千夏「ちょっと車借りただけだよ!!」
大河内 ゲンジ「はぁ~~じゃねえんだよ!ちゃんと余裕ができたら都度入れろっつってんだろうが!」
習志野千夏「……20台くらい」
真咲ユウキ「ヤバ」
大河内 ゲンジ「すまねぇこいつアホなんだよ」
灰暮令夜「あまり悪事はするな」千夏の背中を叩く
大河内 ゲンジ「殺し屋のセリフとは思えねぇな……」
真咲ユウキ殺し屋が悪事をするなと言ってるな……
習志野千夏「殺し屋が言うこと!?」
灰暮令夜「………確かにそうだな」
灰暮令夜「だが、やめておけ」
習志野千夏「はあい」
灰暮令夜「よし」
灰暮令夜【出雲クラウド】〈電脳〉、スペードの10+理性7で17成功です
GT【出雲クラウド】 <社会:テクノロジー><社会:企業><コネ:”てるてる坊主”><電脳> 12/14 12:情報工学系の大学で、院生として研究を続けていた男性。2年前に死亡しており、当時23歳。ニューロ◎(エキストラ)。 人付き合いが苦手で交友関係はそれほど広くなかったが、【七虹レイン】というナビゲートAIの開発者として一部界隈では有名人。 14:2年前、自宅に押し入った強盗により殺害された。その際彼のトロンも破壊されてしまい、彼の個人サイトにアップされていたデータも何者かの手により消去されたため、レインは事実上ウェブ上から消滅した。 【”神の手”天原タイヨウ】とは同期の友人。
習志野千夏では、あらためて、イーリスのコピーの破壊を宣言します。
習志野千夏成仏させるぞ!
GT
GTあなたはマトリクスにアクセスする。
GT音楽データに同梱されている、出雲クラウドのID。
GTそれを用いてアクセスすれば──……あるクラウドにアクセスできた。
GTそれは、七虹レインのものを使った──…… イーリスの。
GTデータを共有するための回線だ。
GT
GT「……すいません、あのっ!」
GTその時。
GT大学の職員が、駆け込んできた。
GT「あの、あのっ、ええと、BHの方!?」
真咲ユウキ「んあ」
GT「そと、そと、そと! そと! そと!」
大河内 ゲンジ「どうした」
GT慌てて外を指さして、言葉を繰り返している。
灰暮令夜「そと」
真咲ユウキ「……なんだ」
大河内 ゲンジのしのしと表の様子を見に行く
真咲ユウキ続くか。
GT外に出ると。
GT
GT
GT
GT──シーンエンド
GT
GT