GM
2ラウンド目になり、PKが登場したため、クエストを公開します。
クエスト:トカゲの説得
概要:村落の一員であるトカゲの末裔が絶望し、ヘルブラムの軍門に降る事で生き延びようとしている。
目標値:7
消滅条件:お茶会終了と同時に消滅。
成功:説得によってトカゲは改心する。あるいは、寝返ることができない状態になる。
失敗:逆鱗に触れてしまう。トカゲは救世主を罵り、去っていく。
放置:「有象無象・HP1・技能習得:追風」の配下が追加される。
クエスト:略奪の阻止
概要:物々しい武装をしたヘルブラムの配下に倉庫が襲撃され、食糧が奪われようとしている。
目標値:7
消滅条件:お茶会終了と同時に消滅。
成功:略奪を食い止める。
失敗:ただ食糧が奪われるのを見過ごすしかない。裁判に勝利できても、この村の未来はないだろう。
放置:ヘルブラムの小道具に、「とうみつ」が追加される。
クエスト:鎮火
概要:建物の一つが火に巻かれている。放っておけば、火は村全体を覆うだろう。
目標値:7
消滅条件:お茶会終了と同時に消滅。
成功:どうにか火を消すことに成功する。
失敗:火を食い止められない。裁判が始まるころに、村全体が炎に包まれてしまう。
放置:裁判中、ファンブル値が1上昇する。
村焼かれシーン表(1D12)
1.村の門。すでに打ち壊されている。ヘルブラムの配下が見張っており、ここから逃げられるような甘い話はない。
2.広場。村民がバリケードを作って抵抗している。はかない時間稼ぎだ。
3.民家。誰もいないように見えるだけで、村民が息を潜めて隠れているかもしれない。
4.酒場。戦う前に気付けしておいてもいいかも。
5.倉庫。食糧が蓄えられていたが、今まさにそれも奪われようとしている。
6.燃え盛る家。末裔の子供が、絶望の表情でその前に座り込んでいる。家族が中に残っていたのかもしれない。
7.村長の家。ここでは最も大きい家だ。避難してきた末裔が身を寄せ合っているが、安全などは保証されていない。
8.岩山。村落が背にしている巨人の右足である。ここから逃げていく村民もいるが、自殺行為だろう。
9.村の中心を流れる川。かつては清流だったのだろう。手を拱いているうちに、さらに血で汚れることになる。
10.墓地。こんなところで眠ることすらも贅沢だろう。
11.教会。ここも堅牢な場所なので立てこもるには適している。神の助けはなさそうだ。
12.PC2の住居。今のところは安全だ。……本当に?
GM
8.岩山。村落が背にしている巨人の右足である。ここから逃げていく村民もいるが、自殺行為だろう。
*
火に撒かれ、逃げ場を求めて駆けていた末裔たちの何人かが、あなたのほうを振り返る。
*
救世主の力に対抗できるのは、確かに救世主だけだ。
*
だが、この世界に落ちてきて間もない、こんな小さな子供に、あのヘルブラムを倒す力があるだろうか……?
*
火を恐れ、逃げてはきたが、岩山を着の身着のまま、無策に越えようとすれば、やはり待っているのは死だけなのだ。
*
呼び止められて考え直した村人たちは、ありがとうございます、とか、お願いします、と言葉をかけて、ヘルブラムたちの標的にならないように散り散りに隠れに向かった。
*
「うわああっ!やめてくれっ!そこには村の貯えが……!」
*
そうしていると、倉庫のほうから悲鳴が聞こえてくる。
スクエア
コウキに視線をやってから、そちらに駆けだす。
ヘルブラム
それから、長大な槍を構えたヘルブラムの姿。
ヘルブラム
「しけた村のくせに、けっこう溜め込んでやがるじゃねえかよ」
ヘルブラム
「これもみんな俺様のもんだ。ありがたく思うんだな!」
ヘルブラム
笑いながら、戯れに槍が振るわれるたびに、足元に縋り付いてでも止めようとする村人の体から血がしぶく。
コウキ
ヒーローだからとか、救世主の力はおんなじだからとか。色々考えて、決意して、ここまできたけど。
コウキ
足元にこんなに血が広がってるのを、見たのは初めてだった。
GM
そして、耳障りなヘルブラムの高笑いと、燃える木の弾ける音。悲鳴。
スクエア
見知った人々が、目の前で肉の塊になっている。
GM
つい昨日までこの村にあった平穏は、すでに破壊された。
スクエア
こんなに怯え切った子供を、矢面に立たせることなんて。
GM
しかし、救世主が救世主として立たなければ、戦わなければ。
GM
笑うどころか、生きていくことさえもはやこの場では許されない。
スクエア
だから、伸ばせない手のひらを握ることしかできない。
コウキ
「む、むっ、村をめちゃくちゃにするやつはっ」
ヘルブラム
片手の槍に足元の死体を貫かせたまま、籠手に包まれた指先がポリポリと頬をかく。
ヘルブラム
「はっ、はははは、ひゃははははははっ!」
ヘルブラム
「……インゲルのやつは死んだって聞いてたが、まだ救世主がいたとはなぁ?」
ヘルブラム
「何震えてんだ?お前、来たばっかか?」
ヘルブラム
「コイン十枚、枕元に忘れて来てねえだろうな?今朝はおねしょしなかったか?」
ヘルブラム
血の尾を垂らしながら槍を引き抜いて、大股にあなたに向かう。
ヘルブラム
「おお、おお、ビビっちまって、かわいそうに」
ヘルブラム
「お前みたいなガキを突き出すなんて、ここの連中も酷ぇもんだなア!」
ヘルブラム
「まあ、末裔なんてのは、どいつもこいつもそんなもんか」
ヘルブラム
「役に立たねえくせに、死にたくねえ死にたくねえって、うるせえのなんの!」
コウキ
がくがくと足が震えて、歯が音を立てている。
コウキ
*ヘルブラムの「救世主憎悪」を抉ります。クエストは「略奪の阻止」。
ヘルブラム
2d6+2=>7 (2D6+2>=7) > 10[5,5]+2 > 12 > 成功
[ ヘルブラム ] 奴隷の白兎 : 33 → 32
[ ヘルブラム ] ヤリイカ : 1 → 0
コウキ
2d6+3+2-4=>7 判定(+愛) (2D6+3+2-4>=7) > 8[6,2]+3+2-4 > 9 > 成功
[ ヘルブラム ] 救世主憎悪 : 0 → -1
ヘルブラム
「俺はなぁ、てめえみてえなバカなガキが一番嫌いなんだよ!」
ヘルブラム
ヘルブラムの表情に、はっきりと苛立ちが滲む。
ヘルブラム
あなたに向けて槍を振るおうと、ピクリと穂先が跳ね上がる。
コウキ
もう自分でも、なにがなんだかわからなくて。
コウキ
掲げた「ヒーローの盾」で、ヘルブラムを突き飛ばした。
ヘルブラム
子供の力ではあり得ない、まさに救世主の持つ力でもって吹き飛ばされ、ヘルブラムが転がる。
ヘルブラム
「このっ……この、クソガキが、俺様を……っ」
ヘルブラム
致命的なダメージではないにしても、痛烈な一打だったのだろう。
ヘルブラム
ややふらつきながら、ヘルブラムは立ち上がる。
ヘルブラム
「ガキがッ、ガキがっ……何にも分かってねえ、バカでのろまなガキがっ……」
ヘルブラム
怒声とともに、コウキに向かって鉄の靴底が迫る。
ヘルブラム
そのあとを追って、靴があなたを踏みつける。
ヘルブラム
「末裔におだてられてのぼせやがって!バカが!」
ヘルブラム
「末裔なんてのはなあ、護る価値なんざねえんだよ!」
ヘルブラム
「必要な時にだけすり寄ってきて、肝心な時には何もしやがらねえ!」
ヘルブラム
「死んだほうが俺様の役に立つんだよ!」
コウキ
服やマントが、土に汚れてぐしゃぐしゃになる。
ヘルブラム
コインがあって、奇跡の力があっても子供は子供。
ヘルブラム
力の使い方が分からなければ、こうして力によって踏みつぶされる。
ヘルブラム
コウキを踏みつけたまま、ヘルブラムは周囲を睥睨する。
ヘルブラム
その視線が、まだ生きて動いている末裔──スクエアのほうを向く。
ヘルブラム
槍の穂先もまた、スクエアのほうを向く。
ヘルブラム
「お前らは、こいつを利用しようとしているだけなんだろ?」
ヘルブラム
末裔の血にまみれた槍。それを握るヘルブラムの視線には憎悪が滲む。
ヘルブラム
肯定と取って、踏みつけるコウキに声をかける。
ヘルブラム
「バカな奴だ!いいように使われて、騙されて、戦わされて」
ヘルブラム
「最後は襤褸屑のように死ぬんだよ!お前は!」
ヘルブラム
「この村にいた救世主が、どうなったか知ってんのか?」
ヘルブラム
*スクエアの『救世主』を才覚で抉ります。
コウキ
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 才覚
コウキ
2d6++2=>7 判定(+才覚) (2D6+2>=7) > 8[2,6]+2 > 10 > 成功
ヘルブラム
2d6+3-3+2=>7 (2D6+3-3+2>=7) > 4[1,3]+3-3+2 > 6 > 失敗
[ ヘルブラム ] ティーセット : 2 → 1
[ スクエア ] ティーセット : 2 → 1
スクエア
踏みつけにされる救世主、踏みつけにする救世主。
スクエア
末裔が、そのやりとりに干渉する余地はない。
ヘルブラム
「見ろそいつを!突っ立ってブルってるだけだろうが!」
スクエア
視線を巡らせ――足元の、死体の傍に目を止める。
スクエア
護身に持ち出したのだろう、些か頼りない、果物用のナイフ。
ヘルブラム
バカにするような目で、それを見ている。
ヘルブラム
金属同士のぶっつかる耳障りな音とともに、槍が弾かれる。
ヘルブラム
ヘルブラムは驚くでなく舌打ちをして、コウキをスクエアのほうへ蹴り飛ばした。
スクエア
受け止めるには重い。けれど、不可能ではない。
ヘルブラム
「おいお前ら!ここはもういい!あとは全部燃やしちまえ!」
コウキ
ごろごろと転がって、スクエアの足元で止まる。
ヘルブラム
ヘルブラムの命に従って、物々しい格好をした末裔たちが倉庫から出ていく。
スクエア
警戒を解かないまましゃがみ込み、その身体を案じる。
ヘルブラム
「まずはこの、どうしようもねえちんけな村を消してやるよ!」
GM
言い放って、ヘルブラムもまた、倉庫を出ていきます。
スクエア
「……悪かった。すぐに、助けられなくて」
スクエア
どう見たって、大丈夫でないのはあなたの方だった。
スクエア
しゃがみ込んで、泥に塗れてしまった、その頬を拭う。
スクエア
そうして、あなたを起こすことなく立ち上がる。
コウキ
スクエアの身体を掴みながら、ふらふらと立ち上がる。
[ コウキ ] HP : 21 → 20
スクエア
例え深く傷ついたとしても、致命傷を受けない限りは立ち続ける。
GM
村に迫る危機も、ヘルブラムも、まだ去っていない。
GM
10.墓地。こんなところで眠ることすらも贅沢だろう。
スクエア
火に巻かれた村の内、墓地は比較的元の形を保っていた。
スクエア
コウキを伴って一度、そちらから村全体をあらためる。
GM
最初のほうに逃げまどっていた村人たちの姿は、もう見られない。
GM
目につくのは動かない死体。ほかの村人たちは、どこかへ隠れているか、村の外に一度逃れたか。
GM
いずれにしても、この火の手の上がりようでは村は長くなく、荒野に逃げた末裔たちも亡者たちに見つかれば命はないだろう。
GM
そうして死んだ村人たちは、こうして墓に葬られることもない。
GM
ヘルブラムは末裔を伴いながら、方々を燃やして回っている。
GM
火の手の上がった建物からたまらず飛び出してきた村人を屠る姿も見えるかもしれない。
スクエア
「……見ているとは思いますが。村の中央に川があります」
スクエア
「これだけの火を消すには、その水を使うしかないでしょう」
スクエア
「そして火に包まれ切った建物は、むしろ壊してしまった方がいい」
スクエア
「水では消しきれないので、燃え広がるのを止めましょう」
スクエア
そう言葉にしながら、火の下を指差していく。
水が必要な場所。破壊が必要な場所。目星を付ける。
スクエア
舐めるような火を避けて、濁った水を汲み。
肌を焼く熱の中で、脆くなった建物を崩す。
GM
村落の住民であるスクエアは、地理についてよく把握をしており、火を消す順番もまた心得ている。
GM
あなたたち二人の手で、火は順調に消し止められていく。
ヘルブラム
顎をしゃくって末裔たちを散じさせると、槍を構えた。
ヘルブラム
あなたの言葉に、ヘルブラムの眉間に皺が寄る。
スクエア
救世主がやって来ることは想定の範囲内ではある。が、望ましくはない。
ヘルブラム
「まあいい、また痛めつけて動けなくしてやるよ」
ヘルブラム
「さっきみてえな曲芸、何回できるか試してやる!」
スクエア
「二対一では、些か、分が悪いと思いますが」
スクエア
末裔であれば、避けることの能わない切っ先。
ヘルブラム
弾かれて、表情に苛立ちを滲ませながらも、二撃目がスクエアを襲う。
ヘルブラム
コウキのように、武器の扱いなど全く知らない子供もいる。
ヘルブラム
しかしヘルブラムの槍の扱い方は、明らかにそうした心得の『ある』人間のものだった。
ヘルブラム
弾かれても体を崩さず、平然と追撃を加える。
スクエア
刃を掲げ、けれど、所詮は不慣れな者の動き。
コウキ
槍にぶつかりにいく。そうして、槍の向く先を逸らす。
ヘルブラム
コウキを盾の上から蹴り飛ばして、槍は再びスクエアへ。
ヘルブラム
「どうした!? もう品切れかアッ!?」
ヘルブラム
「役立たずの末裔が、ちょっとコインの力を得たぐらいでッ!」
スクエア
激しく焼けるような痛みの中で、浴びせられる言葉。
ヘルブラム
「死んじまえ! 末裔も、救世主も、俺様を邪魔するやつはみんな!」
スクエア
ナイフを構え直し、腕を突き出す。肩口を突かれたまま。
ヘルブラム
今度こそあなたの命を刈り取ろうと、槍が迫る。
スクエア
ナイフで軌道を逸らす。肌に赤い線が走る。
ヘルブラム
あなたの肩を傷つけ、優位であるはずのヘルブラムの表情が怒りで染まる。
ヘルブラム
あなたの問いに答えず、呻くように罵倒し、槍を突き出す。
スクエア
「お前を裏切った、“役立たずの末裔”か」
ヘルブラム
槍の穂先に動揺が滲む。仕留められなかったことに歯噛みし、もう一撃。
スクエア
*ヘルブラムの「末裔憎悪」を抉ります。クエストは「鎮火」。
ヘルブラム
2d6+2=>7 (2D6+2>=7) > 9[5,4]+2 > 11 > 成功
[ ヘルブラム ] 奴隷の白兎 : 32 → 31
スクエア
2d6+3+2-5=>7 判定(+才覚+ティーセット) (2D6+3+2-5>=7) > 8[2,6]+3+2-5 > 8 > 成功
[ ヘルブラム ] 末裔憎悪 : 0 → -1
スクエア
思い切りしゃがみ込んだことで、末裔の体躯は槍の軌道から消える。
ヘルブラム
素早く槍を引き戻すが、それまでにわずかな隙がある。
ヘルブラム
衝撃を受けてからようやく、スクエアが屈みこんでいたことに気が付く。
ヘルブラム
冷静であれば、あるいは避けられたかもしれない。
ヘルブラム
スクエアの言葉によって血が頭に上り、末裔に対して細心の注意を払うことをプライドが許さなかった。
ヘルブラム
槍は懐に飛び込んだ相手を打ち据えるには不向きだ。
ヘルブラム
よろめきながら後ろに下がり、あなたと距離を置く。
ヘルブラム
スクエアはしかし、懐まで潜り込んだ時に気が付いたかもしれない。
ヘルブラム
ヘルブラムの体格はあなたとそう変わりなく、顔もよく見れば、幼さが残っている。
ヘルブラム
「救世主がいなきゃ何にもできねえ、末裔が……」
ヘルブラム
「俺様を戦わせて、見ているだけの末裔が……!」
ヘルブラム
気づけば、村から火の気配は消えている。
ヘルブラム
村を灰燼に帰すヘルブラムの目論見は、今この時は挫かれている。
ヘルブラム
二対一、それは確かにヘルブラムには不利だった。
ヘルブラム
ふらつくように、槍を構えたままヘルブラムは後ろに下がる。
ヘルブラム
そのヘルブラムを、配下の末裔たちが慌てて取り囲む。
GM
そうしたさなか、あなたの名前を呼びながら、末裔が駆けてくるのが見える。
*
息を切らせながら、あなたの数歩前で歩調を緩めて、近づいてくる。
スクエア
ヘルブラムの消えた方を束の間眺めてから、振り返る。
*
「村中、ひどいもんだ、ほかの奴らも何とか動いて、火は消し止められたが……」
スクエア
コウキのことも気にかかるが、一先ずは目の前の末裔へ向き直る。
スクエア
緊張が幾許か解け。遅れて、肩口がズキズキと脈打つ。
*
それは、ヘルブラムとその配下の末裔たちが近くにいるからだろうか?
スクエア
「……そうだな。まだ、やらなきゃいけないことはある」
*
いや、そもそも、この青年は、こんなに近くに救世主がいるにもかかわらず駆けつけるような、勇敢なたちだったろうか?
スクエア
些か視界が眩むのは熱気のせいか、血を失っているせいか。
*
あなたがそう思った時には、もう距離は言葉を交わす必要以上に近づいている。
スクエア
少なくとも、今この瞬間。そうした違和感に気を払えない。
*
昨日歓迎会を開いてくれた村人たちの中にいたおとなが、
ヘルブラム
*コウキの『おとな』を、才覚で抉ります。
スクエア
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 愛
スクエア
2d6+0=>7 判定(+愛) (2D6+0>=7) > 4[2,2]+0 > 4 > 失敗
ヘルブラム
2d6+3+2=>7 才覚+ティーセット (2D6+3+2>=7) > 7[1,6]+3+2 > 12 > 成功
[ ヘルブラム ] ティーセット : 1 → 0
[ スクエア ] HP : 15 → 14
[ コウキ ] おとな : 1 → 0
*
息を荒げて、トカゲの末裔が逃げるように後ろに下がる。
*
涙目で、顔を引きつらせ、ぶるぶると震えている。
*
あなたの横をすり抜けるように、ヘルブラムのもとへ駆けていく。
*
「こうやって、い、生き延びるほうが、賢いってもんだろ……?!」
スクエア
ナイフを手放し、腹部を押さえる。振り返る。
ヘルブラム
末裔たちを従えて、脇腹から血を流すヘルブラムが笑声を上げる。
ヘルブラム
「そうやって醜く裏切って、立ち回って、救世主に媚びるしか能がねえのが末裔なんだよ」
ヘルブラム
「そして、そんな末裔に守られなきゃ戦えねえような弱っちい救世主は……」
ヘルブラム
「俺様の手で、無様に死ぬのがお似合いだ」
ヘルブラム
「だから、ここでてめえらを殺して、村も潰して」
ヘルブラム
「全部更地にしたら、帳尻が合うってもんだ」
スクエア
「村がこうなったのも、お前のせいじゃない」
ヘルブラム
「だから、弱くて馬鹿で間抜けなくせに」
ヘルブラム
一歩、あなたたちへ向けて足を踏み出す。
ヘルブラム
槍を振るってスクエアの血を払う、その足取りは確かだ。
ヘルブラム
だがその表情は蒼褪めて、すでに正気のものではない。
ヘルブラム
「死んで──最後に、俺の役に立ってみろッ!」
ヘルブラム
怪我を負ってなお、ヘルブラムは退く様子はない。
ヘルブラム
この場での戦いは、もはや避けられないだろう。
コウキ
「もっと、つよくて、かっこよくて、全部すくっちゃうみたいな、やつが、よくて」
コウキ
「かっこいい、あこがれのヒーローにはなれなくて」
スクエア
痛みが引いていくのが分かる。熱の名残を残して。
スクエア
コウキに必要な言葉をやる、そのための時間は、残されていない。
スクエア
「あなたが、確かに、守ってくれたんだから」
コウキ
おもちゃみたいな武器を持った、ただのこどもがうなずいた。
ヘルブラム
はじめてのお茶会が終わり──そして、裁判が始まる。