GM
青髭公と、三人の妻と、そしてもうひとりの妻は、揃って食堂に会している。
『真夜中の妻』
今日は、ユディットが七つめの扉に移ってから後、初めての当番。
『真夜中の妻』
礼を言われると、どこか少し、困ったように目を伏せる。
玄椎 貞女
そっ…とテーブルの上に並んだ料理に目を向ける。
プリシラ
妻として対等の身、もちろんしゅうとめのような真似はいたしませんけれど……
夜明けの妻
食事のれぱぁとりぃが増えるのは、公が色々食べられて良いなあと思っています。
『真夜中の妻』
まあ、あんまり得意というわけでも、かといって壊滅的というわけでもなく。
玄椎 貞女
まあ、堕落の国での食事はやや素朴になりがちだが。
プリシラ
先妻として、習性として、教訓を垂れたくなる気持ちはほんの少しばかりあるのですけれど。
プリシラ
努力と気遣い。努力と気遣いですのよ。家族というものは。
プリシラ
「心づくしというものが、一番のスパイスと申しますわ」
夜明けの妻
「こうやってわたくしたちと食事を取ってくださるようになって、嬉しく思います」
『真夜中の妻』
裁判から二日。ユディットはまだ、戸惑いのさなか。
『真夜中の妻』
ようやく、三人の妻と、目が合うようになってきました。
プリシラ
本来そこは皆様共有の場所でございますからね……
夜明けの妻
わたくしも隠れてみとうございますわ。角がおさまりませぬ。
『真夜中の妻』
視線はまだ、どこか窺うようではあるものの……
玄椎 貞女
睨んでいると思われないように気を遣いはしている。
夜明けの妻
ええ、ええ、旦那様に頼る事も愛する事も、良いことなのです。
『真夜中の妻』
まあ、全裸の圧にはちょっと引いています。
夜明けの妻
ただ、わたくしたちに怯えないようでいいようになってほしかった。
夜明けの妻
全裸には、おいおい……時間を掛けて慣れていただいて……
玄椎 貞女
まあ、お茶会でも裁判でもさんざん怯えさせたのは私だからな。
プリシラ
たまに……着てくださることもありますので……
プリシラ
「わたくし、改めてユディットさまのドレスを仕立てたいですわ」
プリシラ
「印象の変わったところも、ございますから」
玄椎 貞女
「プリシラの作るドレスは素晴らしい。楽しみにしているといい」
夜明けの妻
「わたくしは着るのに不都合が多々あるので、公以外にも着てくれる方が増えるのは良い事ですわ」
プリシラ
「夜明けの君さまには、新しい刺繍のお飾りをご用意いたしましょう」
プリシラ
「ああ――そうなるのでしたら、青髭公さまと貞女さまのものもお作りして」
プリシラ
「もう一度晩餐会をする、というのはいかがでございましょうか?」
『真夜中の妻』
「あの……」 プリシラを見、それから、ちらりと青髭公を窺い。
プリシラ
提案をしつつ、ユディットを見ます。ユディットの視線を追って青髭公をも。
プリシラ
「ユディットさまが袖を通してくださるのが、一番の礼になりますわ!」
プリシラ
正直なところ、隔意がないわけでも、心底のわだかまりがないわけでもございませんが。
プリシラ
こうなることを望んだのもまた、プリシラなのです。
玄椎 貞女
妻どうしが助け合い、仲睦まじく暮らすこと。
玄椎 貞女
そのほうが、我らが夫の望みにも合うのだからな。
夜明けの妻
ユディットに愛を捨てよ、諦めよ、とは誰一人。口が裂けても言わないでしょう。
夜明けの妻
ひとりきりになる事を望んでも構いませんが……我々もまた、公を愛するならうまくやらなければならないのです。
夜明けの妻
明るいところで見る公も素敵なのだ、とユディットに気づけて貰えば嬉しいです。