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GM
――そして、二日後。
GM
青髭公と、三人の妻と、そしてもうひとりの妻は、揃って食堂に会している。
GM
給仕は、当番制。
『真夜中の妻』
「…………どうぞ」
玄椎 貞女
「ああ、ありがとう」
夜明けの妻
「ありがとうございます」
プリシラ
「ありがとうございます、ユディットさま」
『真夜中の妻』
今日は、ユディットが七つめの扉に移ってから後、初めての当番。
『真夜中の妻』
礼を言われると、どこか少し、困ったように目を伏せる。
玄椎 貞女
そっ…とテーブルの上に並んだ料理に目を向ける。
プリシラ
妻として対等の身、もちろんしゅうとめのような真似はいたしませんけれど……
夜明けの妻
食事のれぱぁとりぃが増えるのは、公が色々食べられて良いなあと思っています。
『真夜中の妻』
まあ、あんまり得意というわけでも、かといって壊滅的というわけでもなく。
『真夜中の妻』
どことなく、拙いかんじの。
玄椎 貞女
これはこれで素朴でよい。
玄椎 貞女
まあ、堕落の国での食事はやや素朴になりがちだが。
プリシラ
先妻として、習性として、教訓を垂れたくなる気持ちはほんの少しばかりあるのですけれど。
プリシラ
それがあんまりなのも重々承知ですのよ。
プリシラ
努力と気遣い。努力と気遣いですのよ。家族というものは。
夜明けの妻
「おいしゅうございますわ」
玄椎 貞女
「うむ」
プリシラ
「新鮮な味ですの!」
『真夜中の妻』
「……あ、」
『真夜中の妻』
「りがとう、ござい、ます……」
夜明けの妻
ニコ……
夜明けの妻
「いかがです、旦那様」
『青髭公』
「うん。……おいしいよ」
『真夜中の妻』
「なら、いいのですけど……」
玄椎 貞女
「なんのなんの」
プリシラ
「心づくしというものが、一番のスパイスと申しますわ」
玄椎 貞女
「愛か……」
夜明けの妻
「こうやってわたくしたちと食事を取ってくださるようになって、嬉しく思います」
玄椎 貞女
頷いている。
プリシラ
長い道のりでしたわ……
プリシラ
口には出しません。
『真夜中の妻』
裁判から二日。ユディットはまだ、戸惑いのさなか。
『真夜中の妻』
それでも、ようやく。
『真夜中の妻』
ようやく、三人の妻と、目が合うようになってきました。
プリシラ
よいことですの!
玄椎 貞女
うむうむ。
玄椎 貞女
公の後ろに隠れることもなくなった。
プリシラ
本来そこは皆様共有の場所でございますからね……
夜明けの妻
わたくしも隠れてみとうございますわ。角がおさまりませぬ。
玄椎 貞女
私は隠れたことないな。
玄椎 貞女
今度みんなで隠れてみるか。
夜明けの妻
そういたしましょう。
『真夜中の妻』
視線はまだ、どこか窺うようではあるものの……
プリシラ
素敵な場所ですのよ。
『真夜中の妻』
聞かれれば答え、小さく頷き。
玄椎 貞女
睨んでいると思われないように気を遣いはしている。
プリシラ
対話が成るようになってまいりましたの。
夜明けの妻
ええ、ええ、旦那様に頼る事も愛する事も、良いことなのです。
『真夜中の妻』
まあ、全裸の圧にはちょっと引いています。
夜明けの妻
ただ、わたくしたちに怯えないようでいいようになってほしかった。
夜明けの妻
全裸には、おいおい……時間を掛けて慣れていただいて……
玄椎 貞女
全裸は譲れないが……
玄椎 貞女
まあ、お茶会でも裁判でもさんざん怯えさせたのは私だからな。
プリシラ
たまに……着てくださることもありますので……
『真夜中の妻』
たまに……。
玄椎 貞女
全裸は怖くない……大丈夫だ……
玄椎 貞女
堕落の国には警察もいない。
プリシラ
「そうだ」
プリシラ
「わたくし、改めてユディットさまのドレスを仕立てたいですわ」
プリシラ
「今度はきちんと採寸もしたいですし……」
プリシラ
「印象の変わったところも、ございますから」
『真夜中の妻』
「あ、……え、……ええ……」
玄椎 貞女
「プリシラの作るドレスは素晴らしい。楽しみにしているといい」
玄椎 貞女
全裸の女が言ってる。
プリシラ
褒められておりますの!
夜明けの妻
「わたくしは着るのに不都合が多々あるので、公以外にも着てくれる方が増えるのは良い事ですわ」
夜明けの妻
角に布を掛けるのは好きなのですが……
プリシラ
「夜明けの君さまには、新しい刺繍のお飾りをご用意いたしましょう」
夜明けの妻
「うれしいわ」
プリシラ
「ああ――そうなるのでしたら、青髭公さまと貞女さまのものもお作りして」
プリシラ
「もう一度晩餐会をする、というのはいかがでございましょうか?」
『真夜中の妻』
「あの……」 プリシラを見、それから、ちらりと青髭公を窺い。
『青髭公』
みなを視界に収めて微笑み、頷く。
プリシラ
提案をしつつ、ユディットを見ます。ユディットの視線を追って青髭公をも。
『真夜中の妻』
「……はい」
『真夜中の妻』
「……ありがとう、ございます」
プリシラ
にっこりと笑います。
プリシラ
「ユディットさまが袖を通してくださるのが、一番の礼になりますわ!」
プリシラ
正直なところ、隔意がないわけでも、心底のわだかまりがないわけでもございませんが。
玄椎 貞女
「楽しみだ」
プリシラ
こうなることを望んだのもまた、プリシラなのです。
玄椎 貞女
妻どうしが助け合い、仲睦まじく暮らすこと。
玄椎 貞女
そのほうが、我らが夫の望みにも合うのだからな。
夜明けの妻
ユディットに愛を捨てよ、諦めよ、とは誰一人。口が裂けても言わないでしょう。
夜明けの妻
ひとりきりになる事を望んでも構いませんが……我々もまた、公を愛するならうまくやらなければならないのです。
プリシラ
惚れた弱みというものがございましてね……
玄椎 貞女
まったくどうしようもない男だ。
夜明けの妻
明るいところで見る公も素敵なのだ、とユディットに気づけて貰えば嬉しいです。
GM
愛しているのは、みな同じ。
GM
それだけは疑いようもなく。
『青髭公』
「……では、今日も一日を始めよう」
『青髭公』
「私の、愛しい伴侶たち」
夜明けの妻
「ええ」
プリシラ
「はい、青髭公さま!」
玄椎 貞女
「ああ」
『真夜中の妻』
「……はい」
GM
夜が明けて 昼が過ぎ 夕暮れが落ちる
GM
真夜中もまた、その時の中にあり
GM
私たちの日々が重なってゆく。
GM
たとえ、そこに罅が入ろうとも。
GM
愛しているから……
GM
重ねていこうとする。
GM
Dead or AliCe『七つめの扉』
GM
――おしまい。