クライマックスフェイズ

GM
~クライマックスフェイズ~
中忍頭
その気配は、近づきはしなかった。
中忍頭
既に十分に近づいた所で、ひけらかすようにその気配は発され始めたのだ。
中忍頭
「……覚悟はできたか?」
中忍頭
「最も、できていまいが関係はないがな」
検見川速刀
無言で刀を構える。
櫃挾一
「無論、出来てるぜ」
検見川速刀
押し殺された表情には、緊張と不快が滲んでいる。
櫃挾一
「外の世界に出る覚悟がな」
中忍頭
気配が揺らぐ、続いて漏れる音は、押し殺された笑い。
櫃挾一
軽快にリズムをとるように身を弾ませて、刀を構える。
中忍頭
「……哀れなものだな、そう作られたとはいえ」
検見川速刀
中忍頭の言葉一つ一つが、焦燥と緊張でうまく聞き取れない。
検見川速刀
いつあの口から、一を殺す命が飛び出るのか、それに抗えるのか。
検見川速刀
身体は強張っている。
櫃挾一
「そうかぁ?」
中忍頭
その姿もまた、視界の中に入っている。
中忍頭
ため息。
中忍頭
「ああ、全くもってそうだとも」
中忍頭
「その様子、秘伝書の中身を見たようだな」
中忍頭
「だがその上で、貴様は何も知らんのだ」
中忍頭
「それを哀れと言わずなんと言う!」
櫃挾一
「好きに言えよ」
検見川速刀
息を吐いた。柄を握り直す。
櫃挾一
「おれは何もかもが掌の上で転がされてたって」
櫃挾一
「おれはおれの選択をしたって言うぜ」
櫃挾一
「あんたはどうだ」
櫃挾一
「あんたはおれと」
櫃挾一
「そーいう覚悟で戦えるか」
中忍頭
「下らん」
中忍頭
「そのような問いなど、とうの昔に通り過ぎたさ」
中忍頭
「今から為す事に対しても、今更覚悟なぞ必要ない」
中忍頭
「長く」
中忍頭
「長く……」
中忍頭
「決めていた事だ」
中忍頭
「お前は殺すとな!」
GM
・プロット!
中忍頭
プロットOK!
櫃挾一
OK
検見川速刀
OK
[ 櫃挾一 ] がダイスシンボルを公開。出目は 5 です。
[ 中忍頭 ] がダイスシンボルを公開。出目は 5 です。
[ 検見川速刀 ] がダイスシンボルを公開。出目は 3 です。
GM
・プロット5
GM
同時攻撃!
中忍頭
1d6 (1D6) > 2
櫃挾一
1d6 (1D6) > 6
GM
・櫃挾一の手番
櫃挾一
奥義使用。対象中忍頭。
櫃挾一
戦いの火ぶたが切って落とされたその瞬間、消える。
櫃挾一
いや、全ての忍が高速機動を行っているだけのこと。
中忍頭
銃弾を見切る目を持っている者のみが、その世界を観測できる。
中忍頭
そうでないものに見えるのは、せいぜいが僅かな痕跡。
中忍頭
踏み散らされる落葉、木の側面につく足跡、そしてのたうつ旋風。
櫃挾一
音さえも破る速度。
櫃挾一
中忍頭と並ぶ。いくつもの木立が刹那のうちに二人の間を横切る。
櫃挾一
閃くものは何もなく、音もなく。
櫃挾一
ただ滑らかに刃が通う――奥義『影清水』。
櫃挾一
里に流れる小川のような自然の滑らかさの極致に達したその太刀筋は、
櫃挾一
光の道理に従う影と化して、避けがたい一撃を相手に与える。
櫃挾一
指定特技:異形化 エフェクト:クリティカルヒット
櫃挾一
刹那のうちに横切った木立が、まったくの同時に両断され、
櫃挾一
また中忍頭の胴体を断つ。
中忍頭
光は弾の速度よりも優るれば、その姿は瞳には捕らえうる。
中忍頭
故に、対応を図る。だがその異形の如き一撃を【言霊】で縛るにも……
中忍頭
それが届く速度は、この世界では遅すぎた。
[ 中忍頭 ] 生命力 : 12 → 8
中忍頭
「……ちぃぃっ!」
櫃挾一
研ぎ澄まされた刃を阻むことはできない。影に厚みはなく、どこまでも鋭利。
櫃挾一
「鞍馬神流……『影清水』」
中忍頭
「ハッ、盗んだ奥義で流派を名乗るとはな」
中忍頭
言葉と共に吐き出されるは血の塊。
櫃挾一
「当然、生まれも育ちもおれは鞍馬だ」
中忍頭
むろん、赤く滲む血は口からのみ吐き出されたわけではない。
中忍頭
脇腹に手をやり、疵の深さを確認すると、そこに黒い粉末をまぶし
中忍頭
着火。
中忍頭
小さな破裂音と共にそれを焼き塞ぐ。
中忍頭
「ならば鞍馬の技に殉じて死ぬか?」
中忍頭
「貴様も分かっていよう。どちらも互いに鞍馬なら、対応も容易いとな!」
中忍頭
【開眼】
中忍頭
生命力2点を支払い、【異形化】を獲得。
[ 中忍頭 ] 生命力 : 8 → 6
中忍頭
目に、喉に、血管が浮かびあがる。
中忍頭
異形の如きその姿は、一度見た奥義に対応してみせた証。
言霊で足りぬ速度で動くのならば、こちらもより速く動けばいい。
中忍頭
「その奥義、2度通じるとは思わぬ事だ……!」
櫃挾一
「ちっ……やりづれえな」
櫃挾一
「だがおれもバヨネット」
櫃挾一
「鞍馬同士で技を競い合うが宿命よ」
中忍頭
「フ」
中忍頭
「ク……ククハハ」
中忍頭
「ハッハハハハハハ!」
中忍頭
「宿命を語るか?貴様が!」
中忍頭
「ならば教えてやろう、貴様が宿命と信じたその全て!」
中忍頭
「なにもかも、まやかしだったのだとなァ!」
中忍頭
・中忍頭の手番
中忍頭
・接近戦攻撃(変装術)
中忍頭
を、櫃挾一へ
中忍頭
回想シーンを切ります。
中忍頭
手を翳す。
中忍頭
そこから伸びるもの。
中忍頭
それは影。
中忍頭
闇夜の中に更に暗く、幾多にも別れ、伸び、蠢く影の手。
中忍頭
その技に、櫃挾一は”見覚えがある”。
中忍頭
「ああ、お前は哀れな奴だよ。櫃挾一よ」
櫃挾一
「――!」
中忍頭
「お前が生まれもったもの、お前を取り囲んだもの……お前が憧れたものですら」
中忍頭
「真実のものだとありはしなかったのだから!」
中忍頭
影の中から現れるその姿は。
中忍頭
櫃挾一とかつて接触した、影絵座を名乗った男のそれそのもの。
中忍頭
「だが、お陰でやりやすかったさ」
櫃挾一
「……」
中忍頭
「その点では礼を言うべきか?これ以上時間がかかれば、私は耐えられなかった」
中忍頭
「哀れで、愚かで、何も持たない、そんな貴様が”そこ”にいる事に!」
中忍頭
秘密:中忍頭
貴方は、PC2に焦がれていた。
相手からすれば貴方の顔も覚えていないだろうが、それでも心にへばりついた執着は、PC2が里に利用され、使役される血徒という形で再会する事になっても消えなかった。
PC2をかつて焦がれた姿に戻すために全てを捧げる決意をした貴方は、外部の忍を装ってPC1を唆し、この舞台を整えた。

貴方の本当の使命は、PC2に本来の姿を取り戻させる事だ。
中忍頭
「フ、フ」
中忍頭
「ハ、ハ」
中忍頭
「ハァハハハハハアハッハハ!!!ヒャハ、クヒャハハハハ!」
中忍頭
「本当に……本当に、耐え難かった!」
中忍頭
「お前のようなァ!」
中忍頭
「愚鈍でェ!蒙昧!」
中忍頭
「この現世にっあるべき強さの微塵ッッも持たないカスがァ!」
中忍頭
「なぜ、その方の隣にいる!?」
中忍頭
「有り得ん!有ってはならん!耐え難い耐え難い耐え難いィ!」
中忍頭
「だから全てを仕向けたのだ!」
櫃挾一
「……ずいぶんと想われてんなあ、速刀 」
検見川速刀
「…………」
中忍頭
「ここで貴様を殺し!」
中忍頭
「秘伝書を奪いィ!」
検見川速刀
苦々しい顔でいる。
中忍頭
「そして、解き放つ!」
中忍頭
「あるべき””自由””を取り戻す!」
中忍頭
「貴方は、自由でなくてはならない!!」
中忍頭
「っ決してッ!そのような、そのようなァ…………っ!」
中忍頭
胸の内に籠もった熱を、内側へ、内側へ、内側へ取り込み
中忍頭
練り上げる。
中忍頭
「だから殺す」
中忍頭
「死ね、櫃挾一」
中忍頭
「死ね、死ね、死ね、死ね、死ねぃ!」
中忍頭
「貴様の存在は、貴様がそこにいる事は!」
中忍頭
「全て間違いなのだ!」
中忍頭
かつて、曲がりなりにも憧れた”変装”の姿が
中忍頭
あまりに異様な殺意をもって、襲いかかる。
中忍頭
2D6+3>=5 (判定:変装術) (2D6+3>=5) > 6[3,3]+3 > 9 > 成功
櫃挾一
2D6>=8 (判定:骨法術) (2D6>=8) > 8[2,6] > 8 > 成功
中忍頭
遁甲符!!
櫃挾一
2D6>=8 (判定:骨法術) (2D6>=8) > 4[2,2] > 4 > 失敗
櫃挾一
「いや」
櫃挾一
「おかしいだろ、そりゃ」
櫃挾一
「そんなら初めっから、そう頼めよ」
櫃挾一
「おれも、あんたも」
櫃挾一
「こいつを自由にしてえと思うのは」
櫃挾一
「同じだろうが」
中忍頭
「死ね!!!!!!!!!!!」
中忍頭
「何も知らずにィ!!!!!!!!」
中忍頭
「知った風な口をきくなァ!」
中忍頭
「カスが、カスが、カスが!」
中忍頭
「私が、貴様を、利用する!そして殺す!」
櫃挾一
秘伝書を使用します。
中忍頭
「起こり得ることはそれだけだァ!」
櫃挾一
「禍魂の欠片」を破壊します。
GM
それは、戦闘中にも行えるようないくつかの手順。
複数の印と、正しく配置された気の巡り。
GM
鍵穴に針金を添えるようなそれは、櫃挾一の身体の奥深くに存在したそれに確かに作用し、
GM
そして、劇的な効果を齎した。
櫃挾一
聞こえる。見える。わかる。
櫃挾一
今まで見えていなかった音。風と風のすれちがう音、生命の内側に血が流れる音まで。
櫃挾一
ぼやけていたものが鮮明に、色鮮やかに。
櫃挾一
そして中忍頭の差し向ける悪意の程を知る。
櫃挾一
――隣り合っては重ならぬ、呪いの術式を膜のように展開する。
櫃挾一
――それより内へ及ぼうとするものを遅くする呪術が刃を遅らせる。
GM
それは、所謂”まっすぐな太刀筋”とは程遠いもの。
櫃挾一
呪術。呪詛。その核心は純心では掴めない。
櫃挾一
純心を断つことで及ぶ瀬がある。
GM
妨げ、くらまし、出し抜くことを狙った、謂わば人の心を狙った罠。
櫃挾一
悪意、敵意、害意を添わせること。
櫃挾一
「お前が何を口走ろうとも」
櫃挾一
「速刀と共にあったのはおれだ」
櫃挾一
「邪魔はさせん」
櫃挾一
奥義使用。
中忍頭
「は、ぐ」
中忍頭
おそらくは、その一言こそが。
中忍頭
その技の冴えに最も影響を及ぼした、なによりの刃。
櫃挾一
指定特技:呪術 エフェクト:絶対防御・防御低下・くらまし
中忍頭
過ぎたる怒りは、太刀筋を歪ませる。
中忍頭
「ぐぅ、ぎぃ、ギギィィィイイイイイイ!」
中忍頭
「貴様ァ!貴様ッ…………楽には殺さん!!!!」
中忍頭
故に、防がれる。
櫃挾一
「奥義――『停滞呪詛』」
櫃挾一
「長いこと、ご苦労さんだったな」
中忍頭
「戯けた口ヲォ!」
櫃挾一
いかなる太刀筋であろうとも呪詛の前に鈍り、避けるに容易い。
中忍頭
「共に在っただと!?貴様の過ごした時間など、空虚なものだ!」
検見川速刀
飛魂を防いだあの術と似て非なる。奥義に昇華された技。それを見ている。
中忍頭
「作られ、与えられ、騙され、なにもかもが仮初に過ぎん!」
櫃挾一
「おれはおれで」
中忍頭
「斯様な操り人形が、何かを掴む事など……有り得ん!」
櫃挾一
「速刀は速刀だ」
中忍頭
・手番終了
GM
・プロット3
GM
検見川速刀の手番
検見川速刀
刀を握る手に力が籠もる。
検見川速刀
脂汗が滲んで、刃先が震え揺らめいている。
検見川速刀
中忍頭のものとは別に、頭の中で声が響いている。
検見川速刀
──『あの子を……一を守り、愛してやってくれ』
検見川速刀
里のものの命に逆らうことはできない。
検見川速刀
それはいかな強靭な意志を持っていようと関係ない。
検見川速刀
一と同じ、身の裡に打ち込まれた血核が、意志を縛る。
検見川速刀
「ああ、……おれはおれだ」
検見川速刀
呻くように言って、それでも強張った身体が動かない。
検見川速刀
それは一と中忍頭のふたりよりも、如実に動きが遅れていることにも表れている。
検見川速刀
「クソッ……だが……」
検見川速刀
印を結びかける。飛魂の技を、中忍頭へと向けて。
GM
判定。
検見川速刀
2D6>=5 (判定:憑依術) (2D6>=5) > 8[4,4] > 8 > 成功
中忍頭
2D6>=9 (判定:言霊術) 回避 (2D6>=9) > 8[3,5] > 8 > 失敗
検見川速刀
…血断を使用。忍術を潰して1点ダメージ増加。
[ 検見川速刀 ] 忍術 : 1 → 0
[ 中忍頭 ] 生命力 : 6 → 4
検見川速刀
止まりかけた指が動き、確かに印を結ぶ。
検見川速刀
十六年間研ぎ澄ませた忍の術。
検見川速刀
圧縮された空気の刃が、中忍頭へと殺到する。
中忍頭
崩れた体勢に、その回避は能わない。
中忍頭
辛うじて急所を守りつつも、肉が削がれていく。
検見川速刀
「……」
検見川速刀
ぜえぜえと息を荒げている。
中忍頭
下忍頭が中忍頭に与えた傷としては、十分すぎる深手だ。
中忍頭
だが
中忍頭
それはこの者にとっては、憤りを滾らせる理由にしかならない。
中忍頭
「その刃を……」
中忍頭
「何故、向けた?」
中忍頭
「殺意ならばいい。私への殺意ならば、それは良い」
中忍頭
「だがよもや。よもや、よもや、よもや……」
中忍頭
「そこの…………く、クゥ……クズをォ…………」
中忍頭
「そこの!何の価値もない、ゴミカスを!守るために刃を振るったとでもォ!?」
検見川速刀
「……」
検見川速刀
呼吸するのも苦しげに、喘ぎながら中忍頭に相対する。
中忍頭
「フー……フー……ウッ」
中忍頭
「いぃぃぃぎぎっぎぎぎ…………」
検見川速刀
「……里の前に」
中忍頭
「ぃぃぃぃいいいい………………」
検見川速刀
「……お前、気色悪いんだよ」
中忍頭
がり、ごり、と 歯を食いしばる音が離れた所まで聞こえる。
検見川速刀
「その視線も、声も、気配も」
検見川速刀
「里の前に、お前から自由になりたいもんだ」
中忍頭
「ふ、ひ、は」
中忍頭
情念が渦巻く。
中忍頭
自由に。自由になるのはいい。それを求めている。
中忍頭
それが自由の結果ならば、自分への殺意すらも甘美に思う。
中忍頭
だが、その視線はなぜ、こちらに定まらない。
中忍頭
その立ち位置は何故。
中忍頭
自分と、櫃挾一の間にある?
中忍頭
それが、何よりも耐え難い。
検見川速刀
視線はぶれて揺れている。
中忍頭
「うぎぃ!ぐぅ!うひぃぃ…………」
中忍頭
「い゛い゛ぃ゛ぃ……………………」
検見川速刀
動くのままならず、その身体をそれでも突き動かすものがあるとするならば。
検見川速刀
──そして、それこそが恐らく、この目の前の男には耐え難いのだろう。
検見川速刀
「一、やるぞ」
櫃挾一
「おう」
中忍頭
「うぅぐぅぅぅうううあああああああ゛…………」
中忍頭
「クソがクソがクソがクソがクソがぁ………………!」
中忍頭
「耐え難い、有り得ん、在ってはならん、巫山戯ている!」
中忍頭
「壊す!壊す!壊す!跡形も無くぶち壊してるぅ!」
中忍頭
「絶対にィ!認めるものかァ!」
中忍頭
・ラウンド2
検見川速刀
OK
中忍頭
OK
櫃挾一
OK
[ 検見川速刀 ] がダイスシンボルを公開。出目は 4 です。
[ 中忍頭 ] がダイスシンボルを公開。出目は 6 です。
[ 櫃挾一 ] がダイスシンボルを公開。出目は 2 です。
中忍頭
・プロット6
中忍頭
「……そこを退け」
中忍頭
射線を阻むその忍へと告げる。
検見川速刀
「…………」
検見川速刀
答えない。
検見川速刀
だが、刃を構える速刀は、一を背にして、中忍頭に相対している。
中忍頭
「く、ふ、ひ……」
中忍頭
「守る……?守るというのか……?そのカスを……?」
中忍頭
「いぃぃぃぃや、そのカスであろうが、他の何であろうが……」
中忍頭
「あ、あぁあぁあぁ、貴方が…………守るぅ!?何かをォ!?」
櫃挾一
「こいつ……大丈夫なのか……?」
中忍頭
「う、ぎぎっぎぎぃ…………ぎぃひひ…………ひひははは!」
検見川速刀
「大丈夫じゃないからこうなってるんだろう」
櫃挾一
「そうだな……」
検見川速刀
「それに、おれは別に守ってるわけじゃない」
中忍頭
「そのような姿を晒し続けるくらいなら……せめて消えてくれ」
検見川速刀
「お前を斃して、逃げ遂せたいだけさ」
中忍頭
「逃げ遂せる力がその手に無い事くらい」
中忍頭
「分かっていようがァ!」
中忍頭
奥義!
中忍頭
地面が隆起する。
検見川速刀
「!」
櫃挾一
「速刀!」
中忍頭
その隆起は一つ、二つ、三つ……
中忍頭
分裂し、蠢き、逃げ道を塞ぎながら検見川へと迫る。
中忍頭
それがどのような技なのか知らずとも、それがもたらす不吉な予感は避けられぬ。
中忍頭
■奥義
《殺戮教本》
指定特技 :詐術
エフェクト:範囲攻撃/くらまし/人数限定
効果・演出:
櫃挾一
奥義します。呪術、絶対防御/くらまし/防御低下。
中忍頭
奥義破り!
中忍頭
息吹で+2くらましで-2!
中忍頭
2D6+2-2>=10 (判定:言霊術) (2D6+2-2>=10) > 6[2,4]+2-2 > 6 > 失敗
中忍頭
神通丸!
中忍頭
2D6+2-2>=10 (判定:言霊術)  (2D6+2-2>=10) > 6[1,5]+2-2 > 6 > 失敗
櫃挾一
視線に呪詛を乗せる。
検見川速刀
隆起する大地に逃れるすべはない。
検見川速刀
受けるべく身構えるが。
櫃挾一
「速刀、今だ!」
中忍頭
「ああ、そこのカスだって殺戮によって学ぶだろう!」
検見川速刀
「ああ!」
検見川速刀
背後からその声がかかれば躊躇はない。
櫃挾一
時の流れの停滞はわずかなもの。
検見川速刀
わずかであればじゅうぶん。
櫃挾一
しかしこと忍に活路を作るならば瞬間で十分すぎる。
検見川速刀
地を蹴り、跳び上がる。迫る大地から逃れて、空中にて印を結ぶ。
中忍頭
「…………ちいいいぃぃ!!!」
検見川速刀
「おれからすれば」
検見川速刀
「一よりもお前の方が、忍びたるに相応しくない」
中忍頭
奥義を凌がれたと見れば、反撃を予測し身構える。だがあまりに激情に任せすぎた攻撃は、体勢を大きく崩していた。
中忍頭
・プロット4
検見川速刀
中忍頭に飛魂を使用。
櫃挾一
刀で何度切り払おうとも、時間という大きな流れを止めることはできない。
櫃挾一
過ごした年月は止めようもなく本物。
検見川速刀
2D6>=5 (判定:憑依術) (2D6>=5) > 10[4,6] > 10 > 成功
中忍頭
逆凪中の忍に回避は不可能。命中!
検見川速刀
血断を使用。器術を潰して1点ダメージを上昇。
[ 検見川速刀 ] 器術 : 1 → 0
[ 中忍頭 ] 生命力 : 4 → 2
中忍頭
「がぁああああああ!」
検見川速刀
空に血の糸を引きながら、刃が中忍頭を切り裂いてゆく。
中忍頭
迎撃に苦無を振り回す事すらできず、狙われたままに刻まれる。
検見川速刀
回想シーンを使用。
中忍頭
「どうしてだ。どうしてぇ……」
検見川速刀
【背景固定:絆(愛情→PC1)】
貴方は人ではない。
PC1を育て上げるために用意された血徒(p192)だ。
身体に埋め込まれた「血核」がある限り、貴方は里の者の言葉に逆らう事ができない。

PC1が里の次代を担う忍として相応しければ、貴方の本当の使命はPC1に殺される事だ。
だが、ふさわしくないと判断されれば、貴方の本当の使命はPC1を殺す事になる。
検見川速刀
…心臓が脈打つたびに頭痛がする。いまだに頭の中に声が響いている。
検見川速刀
この胸の裡に愛情がある。それは里の手によって埋め込まれたもの。
中忍頭
「どうして……」
中忍頭
その言葉は、己を切り刻む検見川に向けたものではない。
検見川速刀
「知るか……」
中忍頭
その矛先は、検見川以外の全て。
中忍頭
思い通りにならぬ世界。
焦がれたものが理不尽に陵辱され、冒涜され、それを今まで見ていることしか出来なかった自分。
検見川速刀
植え付けられたものを、おのれで選び取ったものとばかりに、中忍頭を見据えている。
検見川速刀
血を流し、身を切ってまで、一を背に立っている。
検見川速刀
ダメージを1点上昇します。
中忍頭
その検見川の姿こそが。
この者にとっては心を手折る刃となる。
[ 中忍頭 ] 生命力 : 2 → 1
検見川速刀
「……おれは…おれだ」
中忍頭
「ちがう……」
検見川速刀
「今は、お前がいちばん、邪魔なんだよ」
中忍頭
弱々しく、息も絶え絶えで、そして、疲れ果てた声。
中忍頭
「邪魔ならば……殺せばいい」
中忍頭
「跡形もなく、慈悲もなく、興味すら抱かず……」
中忍頭
「バラバラに解体し、見分し、そしてつまらなさそうにそれを見下せばいい!」
中忍頭
「なぜ、なぜそうなっていない」
中忍頭
「なぜ私は生きている!?」
中忍頭
「貴方の技を受けて、その上で、生きている!?」
中忍頭
「その時点でなにもかも、間違っているんだ!!!」
検見川速刀
「……」
検見川速刀
かける言葉はもはやなかった。
検見川速刀
どうせ何を言っても、この男には届かないのだ。
中忍頭
・プロット2
GM
櫃挾一の手番
櫃挾一
かける言葉はない。
櫃挾一
何故ならば。
櫃挾一
「勝負、あったな」
中忍頭
「……いやだ」
櫃挾一
検見川速刀の攻撃。
中忍頭
「諦めたくない」
櫃挾一
それが誘導した先。
中忍頭
「絶対に、絶対に、絶対にぃ……」
櫃挾一
集団戦攻撃/罠術 目標は中忍頭。
中忍頭
「貴様がァ!貴様がいなければ……!」
櫃挾一
2D6>=5 (判定:罠術) (2D6>=5) > 5[1,4] > 5 > 成功
櫃挾一
「すべてお前が仕組んだ通りなんだろ」
櫃挾一
炸裂音。
櫃挾一
忍が銃弾より速く動くとしても。
中忍頭
「あァそうだ!あとはその秘伝書さえ……」
櫃挾一
袋小路にいれば避けることは適わない。
中忍頭
「それを……寄越せ、そして……死ねェ!櫃挾一!」
櫃挾一
「お前が書いた筋書きの末路が」
櫃挾一
「この罠の中だ」
検見川速刀
吼える中忍頭を見ても、一に警戒を促すことはもはやない。
中忍頭
その動きは銃弾よりも速くとも。
中忍頭
その愛は16年間淀み続けていた。
検見川速刀
二人で導いた、その仕上げのなかに中忍頭はすでにいる。
櫃挾一
散弾は面を形成して、中忍頭へ押し寄せる。
中忍頭
視線が動く。左、右、上……それを捉える事ができる。
中忍頭
だが、捉えるだけ。
中忍頭
だからこそ、わかる。逃げ場は無い。
中忍頭
言われたとおり、筋書き通りの筈だった。
中忍頭
事実、途中までは全てが想定の通りに進んでいた。
中忍頭
なのに、今自分は袋小路にいる。
中忍頭
一歩。
中忍頭
一歩、あそこで踏み入らなければ……
中忍頭
そうした後悔を”振り切って”。
中忍頭
全てを悟った男の瞳が、この袋小路を作り上げた人物へと注がれる。
中忍頭
言葉はない。
中忍頭
代わりに涙が、ただ一筋。
検見川速刀
冷めた目で見ている。
櫃挾一
鉛球が降り注ぐ。
櫃挾一
肉をえぐり、骨を穿ち、押し寄せる。
中忍頭
斃れない。
中忍頭
斃れない。
中忍頭
斃れない。
中忍頭
だがそれも、”今は未だ”という枕詞がつく。
中忍頭
瞳は涙をたたえたまま、ただ櫃挾一を睨み続けている。
櫃挾一
「おれはあんたに感謝してるぜ」
櫃挾一
「この技は、あんたに教えてもらったものだったな」
櫃挾一
忍法、風饗。
櫃挾一
連鎖する罠。
櫃挾一
一度捕らわれれば、追いつかれれば、逃れることは難しい。
櫃挾一
炸裂音。
櫃挾一
「16年間」
中忍頭
変装に長けたこの男は、いくら内心に殺意を抱いていようが、おくびにも出さないでいただろう。
中忍頭
そして故にこそ、里の忍として必然行う事になった下忍への手ほどきについても、手は抜かなかった。
櫃挾一
「お前を斃すのは、お前が作り上げた16年だ」
櫃挾一
「お前の描いた生き方。お前の教えた技。お前の与えた奥義」
櫃挾一
「鞍馬神流はバヨネット、櫃挾一」
櫃挾一
「お前の屍を越えてゆく」
櫃挾一
刹那のうちに駆け寄り、
櫃挾一
一閃。
櫃挾一
頸を刎ねる。
GM
その刹那が意味したもの。
GM
それは決別。
それは感謝。
それは自由。
GM
そして、人殺しの感触。
中忍頭
首を跳ねられた遺体は
何も言葉を遺さず
最期に足掻く事もできず
中忍頭
ただ斃れ、ただ動かなくなり、ただただ、何も為せない躯となった。
[ 中忍頭 ] 生命力 : 1 → 0
検見川速刀
「…………」
櫃挾一
「……」
検見川速刀
屍を見下ろしている。
検見川速刀
確かに、死んでいることを確認する。
櫃挾一
「勝ったな」
検見川速刀
「……ああ」
GM
それは確かに、躯以外の何でもない。
GM
死人を蘇らせる力を持ったものなど、それこそ神器の欠片くらいのもの。
櫃挾一
「やはり、おれたちに掛かれば斃せない相手じゃなかった」
検見川速刀
「そうだな」
GM
里の追手を退けた。
検見川速刀
頭を押さえる。声は消えることはない。
GM
それは間違いなく、一つの事実であり、機である。
検見川速刀
追手は、確かにいなくなった。
検見川速刀
新しい脂汗が滲み、落ちていく。
櫃挾一
「戻るか」
検見川速刀
「……」
検見川速刀
「お前は、忍びたるに相応しい……」
検見川速刀
「このままでは、お前に殺されねばならなくなる」
検見川速刀
笑って見せるが、引き攣っている。
櫃挾一
「こんな状況だ」
櫃挾一
「おれが一方的に勝つに決まってんだよな、んなの」
検見川速刀
「やってみねば分からないだろう」
櫃挾一
「あ?」
検見川速刀
「お前は奥義をふたつもふたつ、晒しているからな」
検見川速刀
軽口のように言っている。
検見川速刀
刀を一に向けるのを堪えているが、それがいつまでもつかは分からない。
櫃挾一
「しゃあないな」
櫃挾一
「んじゃあ、壊すか、それ」
櫃挾一
「どうなるかわかんねーからこえーんだよな」
検見川速刀
「ああ」
検見川速刀
「……そうだろうな」
検見川速刀
血核を壊せばどうなるか。この男は口を噤み続けている。
櫃挾一
秘伝書を使用。血核を破壊。
櫃挾一
記されている通りの術式を行う。
GM
それは、櫃挾一の禍魂の欠片が壊れた時と似た手順であり、実際似たような感覚を齎すものだった。
櫃挾一
「……」
GM
感覚の解放、拘束の崩壊、抑制の破壊。
***
押さえつけていたものが壊れ、締め付けられ続けていたものが解放される感覚。
GM
内側から縛り続けていた見えざる鎖が、ひとつ、ひとつ。
***
そしてそれは、
***
一と違い、内面ばかりにとどまらない。
***
ぼこり、と音を立てて、検見川速刀の身体が不自然に膨れ上がった。
***
それは体の内側で、炸薬が爆発したのにも似たような変化。
櫃挾一
目を細め、見る。
***
刃が体の中から生み出され、生え揃う。
***
それは明らかに、人の姿ではなかった。
***
肌は青白く、長い四肢は筋肉が膨れ上がり、巨躯が地を踏みしめる。
解体屋
そして、その顔の前にかけられた布には、その妖魔の名前が主張するように書かれていた。
解体屋
秘密:血核
血核は単なる血徒の証ではない。
それは妖魔を血徒という人の形に押し込め、支配し、死をもってその力を忍に吸収させるための拘束具だ。
この魔具によって拘束された妖魔は、拘束されている限り、術者が設定した人格としての振る舞いを強制される。
このプライズが破壊された時、PC2は生命力を全て回復した上で、以降、自分のデータをエネミーデータ「中級妖魔」のうちのいずれかとして扱う。(どのエネミーになるのか、及び奥義の種類などは、キャラクター作成時に決定しておくこと)
またこのプライズが破壊された時、PC2は全ての長所を失い、取得していた感情の内容を任意のものに変更できる。
また、本当の使命も失う。(HO表面の使命が本当の使命になる))
解体屋
大きく腕を広げる、刃の腕が大きく伸びをする。
解体屋
「おお……おおお……」
櫃挾一
「いや……」
解体屋
巨体が、歓喜に喉を震わせる。
櫃挾一
「流石にびっくりするわ」
解体屋
「長かった、耐え難かった、屈辱であった……」
解体屋
「ああ、ああ! よくやった! よく働いてくれたものだ!」
解体屋
首を喪った屍を刃で撫でる。
解体屋
屍が鮮やかに切り刻まれ、臓腑ならぬなにかが取り出される。
解体屋
「おお、本当に禍々しいものだ」
解体屋
「人間の身でよくもこれほどの情念を持ったものよな」
解体屋
刃の先で刺し、弄ぶように持ち上げて検分する。
解体屋
目の前の一のことなど忘れたように。
解体屋
https://character-sheets.appspot.com/shinobigami/edit.html?key=ahVzfmNoYXJhY3Rlci1zaGVldHMtbXByFwsSDUNoYXJhY3RlckRhdGEYwNeg7AMM
櫃挾一
「さて……」
櫃挾一
ぼりぼりと頭をかく。
解体屋
「おう」
解体屋
ぐるんと視線が一を向いた。
櫃挾一
「どうする」
解体屋
「そうだった、そうだった」
解体屋
「お前に礼をしてやらねばなるまい」
解体屋
刃を一へと差し向ける。
解体屋
「あれがなあ、欲しかったのだがな」
解体屋
「まさか植え付けられたものだとは思わなかった」
解体屋
「やれ口惜しや、まさかなくなってしまうとは」
櫃挾一
ふう、とため息をつく。
櫃挾一
「速刀」
解体屋
「その名で呼ぶか」
櫃挾一
「おれは変わらずあんたをそう呼ぶぜ」
解体屋
「それでも良かろう」
櫃挾一
「速刀はそう成るとわかって選んだ」
解体屋
「だが、そうだな。あれをやるのはどうだ」
解体屋
「言ったろう、どちらが強いかやり合いたいと!」
櫃挾一
「確かに、今なら一方的に勝つってことはなさそうだ」
解体屋
「ずっとずっと考えていた」
解体屋
「この腕で、本当の腕で切り裂いてみたらば、どんな感触かと思っていた」
櫃挾一
「いや、しかし……口惜しいな」
櫃挾一
「おれが破りたいと思ってたのとは色々ちげーんだよな……」
解体屋
「ははは」
櫃挾一
飛魂とか……飛燕とか……。
解体屋
「永き子守もこれで終いよ」
解体屋
櫃挾一への感情を殺意に変更します。
櫃挾一
「でも、あれだな」
櫃挾一
「お前と本気で殺るのは、悪かない」
櫃挾一
「お前の本気がそれなら」
櫃挾一
「鞍馬神流はバヨネット、櫃挾一」
櫃挾一
「殺し合おうぜ、検見川速刀」
解体屋
「吾は解体屋。すべてを刻んで並べるものよ」
解体屋
「最後にお前を刻んで、受けた屈辱の慰みとしてやろう」
解体屋
「いつまでその人形の名を呼べるか、見ものだな!」
櫃挾一
戦闘を続行します。
GM
では、確認しましょう。
GM
戦闘を続行しますか?
解体屋
戦闘続行じゃーい!
GM
では、次回
GM
第3ラウンド!!!!
GM
~2日目、終了!~
GM
~3日目~
GM
・プロット!
櫃挾一
OK
解体屋
OK
櫃挾一
「どう転んだって最後だ」
GM
開示!
[ 解体屋 ] がダイスシンボルを公開。出目は 4 です。
[ 櫃挾一 ] がダイスシンボルを公開。出目は 2 です。
櫃挾一
「思い出話でもしてくれよ」
GM
・プロット4
櫃挾一
「お前が何を考えていたのか」
櫃挾一
「感じていたのか」
解体屋
「そうさなあ……」
解体屋
奥義使用します。
解体屋
範囲攻撃/仕込み
解体屋
何気ない言葉の途中に、風切る音とともに刃が迫る。
解体屋
急所を狙うのですらなく、好きに切り刻もうとする一撃。
櫃挾一
奥義使用
櫃挾一
指定特技:呪術 エフェクト:絶対防御・防御低下・くらまし
解体屋
破るが~?
解体屋
2D6-2>=6 (判定:憑依術) (2D6-2>=6) > 12[6,6]-2 > 10 > スペシャル(【生命力】1点か変調一つを回復)
解体屋
ひゅ、という高い音。
櫃挾一
当然、相手が攻め込んでくるところまでは読めていた。
櫃挾一
しかし相手の奥義は未だ見ぬ技。
櫃挾一
講じる手段はただ一つ――呪術を高めた奥義・停滞呪詛。
解体屋
だがそれは、すでに晒した手の内。
櫃挾一
速刀の飛魂への対抗手段。
解体屋
それはこの解体屋ではない。
櫃挾一
ともかく……見てから止める以外にない。
解体屋
そうして、織り成された呪を解体屋の腕はあっさりと切り裂いた。
解体屋
「切りごたえはそれなり」
解体屋
「肉の方はどうだ?」
解体屋
一度、二度、一の肉体を刃が行きすぎる。
櫃挾一
「ちっ!」
解体屋
血がしぶくのは、その瞬きの後。
櫃挾一
鮮血。
櫃挾一
この戦いで始めて受けた傷。
櫃挾一
「ぐ……ッ!」
解体屋
検見川速刀は、紛うことなく鞍馬神流の忍びであった。
解体屋
その術はおのれの肉体を傷つけながらも、敵の骨身を断つようなものが多かった。
櫃挾一
解体屋の一撃。初めて見る技。初めて受ける太刀筋。
解体屋
一方的に蹂躙するような、強い意志の籠らぬ無作為な刃があっさりと通り抜ける。
[ 櫃挾一 ] 忍術 : 1 → 0
[ 櫃挾一 ] 戦術 : 1 → 0
解体屋
「『思い出』など」
解体屋
鼻で笑うように言って、血の尾を引く刃を蠢かせた。
解体屋
「人の身に押し込められ、人形のように喋らされる」
解体屋
「屈辱よな」
櫃挾一
「悪かったな」
解体屋
「お前を解体して、同じことをしてやろう」
解体屋
「おお、そうだ」
櫃挾一
「おれの与り知らんこととはいえ」
櫃挾一
「おれのこと、おれの里のことだ」
解体屋
「そうよ、あれこそはお前の相手をするための人形よ」
解体屋
「であるなら、お前の四肢を切り裂き、意識を抉り抜き、」
解体屋
「人形に押し込めてくれよう」
解体屋
刃を向けて、からからと笑う。
櫃挾一
「そいつはごめんこうむるな」
GM
・プロット2
櫃挾一
集団戦攻撃。
解体屋
感情修正:殺意。
櫃挾一
2D6-1>=5 (判定:罠術) (2D6-1>=5) > 9[4,5]-1 > 8 > 成功
解体屋
2D6>=7 (判定:詐術) (2D6>=7) > 3[1,2] > 3 > 失敗
櫃挾一
「最悪だろ、それは」
櫃挾一
wt 変調表(2) > マヒ:修得済み特技がランダムに1つ使用不能になる。1サイクルの終了時に、《身体操術》で成功するとこの効果は無効化される。
解体屋
choice[仕込み,壊器術,盗聴術,詐術,憑依術] (choice[仕込み,壊器術,盗聴術,詐術,憑依術]) > 憑依術
[ 解体屋 ] 生命点 : 10 → 9
櫃挾一
風饗。
櫃挾一
2D6>=5 (判定:骨法術) (2D6>=5) > 11[5,6] > 11 > 成功
櫃挾一
集団戦攻撃。
櫃挾一
2D6>=5 (判定:罠術) (2D6>=5) > 8[2,6] > 8 > 成功
櫃挾一
wt 変調表(1) > 故障:すべての忍具が使用不能。1サイクルの終了時に、《絡繰術》で判定を行い、成功するとこの効果は無効化される。
[ 解体屋 ] 生命点 : 9 → 8
櫃挾一
嵐のように鉛球が降り注ぐ――それを支えるは罠術。
櫃挾一
罠術もまた、悪意を以って磨かれる。
櫃挾一
一撃を受けるその間に引いた罠の企みが速刀を襲う。
解体屋
だがその基礎になる術を、修行の日々を、解体屋は検見川速刀を通して『識って』いる。
解体屋
であるから、解体屋がそれを避けられず、音の速度から墜ちたのは
解体屋
解体屋が検見川速刀の肉体から解放されて、妖魔の巨体に戻ったからに他ならない。
櫃挾一
奇しくも散弾は、的の大きい相手により大きな負傷を与える。
櫃挾一
そこに容赦は一切ない。
解体屋
容赦をしていたならば、恐らく検見川速刀は怒(いか)ったであろう。
解体屋
「ぬうっ」
解体屋
解体屋は呻き声を上げて、身を震わせる。
解体屋
人間と妖魔のからだのつくりは違う。
解体屋
いくら切り裂かれ、砕かれ、穿たれたところでその動きに支障なし。
解体屋
巨体を震わせ、攻勢に転じるはずであったが、その動きがわずか鈍る。
櫃挾一
「ちょっと仕込ませてもらったぜ」
櫃挾一
「お前とやってた妖魔狩り」
解体屋
「相変わらず、ちまちまとした技を使いよる」
櫃挾一
「そのときに使う弾をいくらか」
解体屋
二人で忍務として、下級妖魔をいくらか狩った。
解体屋
実力のないうちから、知恵を絞り策を巡らせ、時には逃げて機を改めた。
解体屋
その技が己に向けられる想像を、解体屋は巡らせていなかった。
解体屋
この妖魔の頭にあったのは、どう屈辱を晴らし、どう愉しむか。それだけだ。
櫃挾一
「おれの技は元より、集団戦の攻撃」
櫃挾一
「人と組んで使うために選んだ忍法」
櫃挾一
「お前に連携を繋げるよう鍛えたつもりだったんだがな」
解体屋
「チイ……」
GM
第3ラウンド終了
GM
戦闘を続行しますか?
櫃挾一
無論。
解体屋
続行するが~? ここから勝つが~!?
GM
OK!!!
GM
・ラウンド4
櫃挾一
OK
解体屋
OK
GM
開示!
[ 解体屋 ] がダイスシンボルを公開。出目は 1 です。
[ 櫃挾一 ] がダイスシンボルを公開。出目は 2 です。
GM
・プロット1
櫃挾一
奥義使用。
櫃挾一
指定特技:異形化 エフェクト:クリティカルヒット
解体屋
奥義破り!
解体屋
2D6>=13 (判定:詐術) (2D6>=13) > 6[1,5] > 6 > 失敗
[ 解体屋 ] 生命点 : 8 → 4
櫃挾一
踏み込み、刃を走らせる。
櫃挾一
奥義・影清水。
解体屋
防ぐべくもない。
櫃挾一
大きな流れを止めることはできない。
櫃挾一
瞬間、断ち切ることはできようとも。
櫃挾一
「これは、おれとお前の戦い」
櫃挾一
影が通り抜ける。遅れて鮮血が散る。
解体屋
いくら血が流れようと、肉を裂かれ骨が断たれようと、
解体屋
変わらず動き続けるはずの身体が鈍い。
解体屋
「戦いだと……」
解体屋
唸り声を上げる。表情を隠す面布の下から、感情の滴る声音。
解体屋
一度は忍びに取り囲まれ封じられた身。
櫃挾一
「違うのか?」
解体屋
それでもなお性情のように、人を侮る心は消せぬ。
解体屋
「チッ……」
解体屋
解体屋にとって人間は、時折煌めき、取っておこうと思えるような石の収められた肉の器でしかない。
解体屋
それが、その人間に、こうして一対一で追い詰められるなど、あってはならないことだった。
櫃挾一
「おれにとって、お前は兄弟だ。家族だ。友だ。師で、好敵手だ」
GM
・プロット1
解体屋
解体屋は答えない。
櫃挾一
「おれはお前の封印を解いたことを」
櫃挾一
「後悔していない」
解体屋
「ぬかせ」
解体屋
解体屋にとって、目の前の人間は獲物でしかない。
解体屋
おしなべて。
解体屋
兄弟。家族。友。師。好敵手。くだらぬものだ。
解体屋
それは人形であった検見川速刀に対するもの。解体屋は違う。その記憶を持っていようとも。
櫃挾一
「お前が屈辱を覚えていたなら……お前と過ごした16年」
櫃挾一
「それは良くないものだった」
櫃挾一
「悪かったと思っている」
解体屋
だが、まったく断絶しているとは言い切れない。
解体屋
16年、解体屋は確かに検見川速刀であった。
解体屋
腹立たしいとすれば、屈辱であるとすれば、今なお切り離せず、ひとの部分がまだ己の中にあるというその事実。
解体屋
並べられる一の言葉を、刃が裂く。
解体屋
奥義使用
解体屋
指定特技:憑依術/効果:クリティカルヒット
櫃挾一
奥義使用。
櫃挾一
指定特技:呪術 エフェクト:絶対防御・防御低下・くらまし
解体屋
奥義破り。
解体屋
2D6>=15 (判定:壊器術) (2D6>=15) > 8[3,5] > 8 > 失敗
解体屋
RTT ランダム指定特技表(4,10) > 『謀術』傀儡の術
[ 櫃挾一 ] 謀術 : 1 → 0
GM
・ラウンド終了処理
GM
戦闘を続行しますか?
櫃挾一
無論。
解体屋
続行!
櫃挾一
呪術。呪詛。
櫃挾一
それは募る想いがあればあるほど意味を持つ。
櫃挾一
16年間の停滞。
解体屋
練り上げられた呪が、解体屋の刃を阻む。
解体屋
切り裂けるはずであった、すでに見切った奥義。
解体屋
苛立ちが滲む。
櫃挾一
おれとお前の戦い。
櫃挾一
呪詛に作用する想いは、櫃挾一の分と、検見川速刀の分。
櫃挾一
二人のもの。
櫃挾一
凌ぎきれなかった勢いが櫃挾一の体を弾き飛ばし、浅く肉を断つ。
解体屋
それだけしか刃は通らなかった。厚く呪が織り込まれている。
解体屋
あれはただの人形であった、空疎な傀儡であった、何の実もなかったはず。
解体屋
解体し、並べ晒したところで、そこには何も見るべきものは残らないような、くだらぬものであったはず。
櫃挾一
互いに深く傷ついている。
櫃挾一
高速機動での戦いの中、流れ出た血がそこに留め置かれたように舞い、残る。
櫃挾一
「続けようぜ、速刀」
GM
・ラウンド5
解体屋
「当たり前だ!」
GM
プロット!
櫃挾一
OK
解体屋
OK
GM
開示!
[ 櫃挾一 ] がダイスシンボルを公開。出目は 2 です。
[ 解体屋 ] がダイスシンボルを公開。出目は 3 です。
GM
・プロット3
解体屋
奥義使用。
解体屋
憑依術/クリティカルヒット
櫃挾一
奥義破り。
解体屋
感情修正:殺意。
櫃挾一
回想シーン使用。
櫃挾一
「速刀」
櫃挾一
「いや」
櫃挾一
「この名前さえお前にとっては屈辱か……」
櫃挾一
「解体屋」
解体屋
声による応えなく、雄弁に刃が迫る。
櫃挾一
「里長から昇格の試験について聞いたとき」
櫃挾一
「おれはお前を殺すなんてありえないと思った」
解体屋
上から圧し潰すような、妖魔の巨躯と力に恃んだ刃は、忍びの奥義に相当する。
櫃挾一
「お前と自由になると決めた」
解体屋
ずっと自由を求めてきた。
解体屋
だが、それは人間の忍び・検見川速刀として・ではない!
櫃挾一
「16年」
櫃挾一
「里で生きてきたこと、積み上げてきたこと。おれを鍛えてきたもの、見守ってきたもの。生きてきた場所、意味、託されてきたもの――」
櫃挾一
「そのすべてと天秤を掛けてお前を選んだ」
解体屋
ご苦労なことだ。
解体屋
あれは里に拵えられた人形に過ぎなかった。
解体屋
あれは単なるまぼろしであった。
解体屋
そんなものを命を懸けて選ぶことの、なんと愚かしいことか!
櫃挾一
「まったく、純心なこった――」
櫃挾一
秘密:PC1
貴方は裏切り者だ。
ある時たまたま外部の忍に接触した時、その自由な生き方に貴方は惹かれた。
里に秘蔵された「秘伝書」を盗み出した貴方は、それを持ってその外部の忍の所属する血盟に加えて貰う手筈になっている。
櫃挾一
今ならわかる。
櫃挾一
今ならできる。
櫃挾一
兄弟だ、家族だ、友だ、師で、好敵手だと思いながら――相手に殺意を向けることが。
櫃挾一
それはまさしく殺戮のための教本。
櫃挾一
2D6+3-1>=6 (判定:呪術) (2D6+3-1>=6) > 3[1,2]+3-1 > 5 > 失敗
櫃挾一
神通丸。
櫃挾一
2D6+3-1>=6 (判定:呪術) (2D6+3-1>=6) > 12[6,6]+3-1 > 14 > スペシャル(【生命力】1点か変調一つを回復)
[ 櫃挾一 ] 謀術 : 0 → 1
櫃挾一
巨躯から放たれる刃。
櫃挾一
確かに、お前のその姿、その技は知らなかった。
櫃挾一
その心の内も。
GM
培った物があり、失った物があった。
GM
知らなかった経緯があり、知った経緯があった。
GM
だが、それはどちらも変わらない。
櫃挾一
しかし、お前とは16年。
櫃挾一
お前の性格は、癖は、よく知っている。
櫃挾一
解体屋の振り下ろさんとする太刀筋を先んじて”見る”。奥義にも及ぶその技を破る。
解体屋
ひとのかたちに押し込められ、矯められてもなお塗り潰せぬ色。
解体屋
それが隙になると、16年を過ごした検見川速刀であれば解したやもしれぬ。
解体屋
だが、解体屋の気配にあるのはただ、驚愕と動揺のみ。
[ 櫃挾一 ] 忍具 : 3 → 2
櫃挾一
刃と刃が打ち合い、響く。火花が散る。
解体屋
なぜ切り裂けないのか、なぜ打ち砕けないのか、なぜ抉り抜けないのか。
解体屋
たかが人間如きを!
櫃挾一
奥義使用。
櫃挾一
指定特技:異形化 エフェクト:クリティカルヒット
解体屋
奥義破り!
解体屋
2D6>=13 (判定:詐術) (2D6>=13) > 11[5,6] > 11 > 失敗
GM
お互いに、全てを踏まえて現在の姿がある。
GM
そして、現在持つ全てを今、ぶつけあっている。
GM
その身を一つの刃と為し。
GM
心の上に携える。
GM
それが心を持つ刃。
GM
今ここにあるのは、紛れもなく。
GM
2人の忍の、対決だ。
解体屋
異形の域まで達した一撃を見切らんと、妖魔の刃が再び振るわれる。
櫃挾一
思索の速さから下り、影の速さの時へ至り、
櫃挾一
刃と刃がはじかれるように離れ、再び引き合うように交わされる。
櫃挾一
奥義は一撃必殺、影清水。
解体屋
その一撃を一度受けてなお、解体屋の刃は鈍ることはない。
櫃挾一
里に流れる清流のごとき滑らかで自然な太刀筋は影そのものとなり、
櫃挾一
防ぎ得ぬ一撃が解体屋を引き裂く。
解体屋
教えられるまでもなくそのすべを知る、妖魔の殺戮の刃。それを鈍らせたとするならば。
解体屋
山野を駆け、ふたりの忍びがともに戦うために磨き張り巡らせた罠。
解体屋
そして二撃目を耐えることは能わない。
櫃挾一
「解体屋。もう一度だけ呼ばせてもらう――速刀」
解体屋
「っぐ……!」
櫃挾一
影は滑らかに解体屋を横切る。薄く、一切の厚みを持たない太刀筋。
櫃挾一
「この勝負、おれの勝ちだ」
櫃挾一
遅れて、鮮血。
解体屋
しぶいてようやく、切り裂かれたことを知る。
解体屋
憎きは鞍馬の忍びども。取り囲み、小癪な技でもって封じ、それだけでは飽き足らずに人形として使役した。
解体屋
待っていた。元に戻れる時を。
解体屋
本当の姿を取り戻し、好きに解剖し、殺し、そうして。
解体屋
「口惜しい……」
解体屋
血に塗れながら、届かぬ腕を伸ばす。
解体屋
手に入れるはずであった。
櫃挾一
まっすぐ殺意を向けることができる。
櫃挾一
それでもなお――この使命は。
解体屋
くだらぬ人としての暮らし。人形としての視界。その中できらめいたもの。
解体屋
それがよもや同じように、作られて埋め込まれていたものであったとは。
解体屋
だがあれは、まがいものではなかった──
解体屋
それを認めることもまた、妖魔にとっては屈辱であった。
櫃挾一
この、己の命の使い方は、今もなお。純心が失われようとも。
櫃挾一
「……逃げてくれよ、解体屋」
解体屋
血泡に喘ぎながら、巨躯がぐらつく。
解体屋
その言葉は、妖魔にとって不可解そのもの。
解体屋
いや──
解体屋
検見川速刀であったものには、その意味が分かる。
解体屋
何とも、はらわたの煮えくり返ることか。
解体屋
限界だった。
解体屋
揺れたからだが支えを失い、みずから作った血の海に倒れ伏す。
解体屋
どう、という音とともに地が震えた。
[ 解体屋 ] 生命点 : 4 → 0
櫃挾一
「……」
櫃挾一
刀を納める。
GM
・戦闘終了
GM
勝者、櫃挾一
GM
・戦果選択
櫃挾一
感情を。
櫃挾一
殺意を選ぶこともできる。感情を強いることもできる。
櫃挾一
だがそのどちらも選ばない。
櫃挾一
解体屋に対しての友情を獲得します。
櫃挾一
「逃げろもなにもねえわな……」
櫃挾一
手元にある忍具は二つ。兵糧丸。
櫃挾一
妖魔なので勝手はよくわからないが、まあ。
櫃挾一
譲渡する。
櫃挾一
「自由になりたかったんだろ」
櫃挾一
「おれもあんたを自由にしてやりたい」
櫃挾一
「詫びだと思ってくれ」
解体屋
妖魔に、聞こえているのかは分からない。
解体屋
少なくとも、死んではいない。
櫃挾一
「あ? 深くやりすぎたか?」
櫃挾一
近づき、強引にそれを処方する。
解体屋
「情けを……」
櫃挾一
「うっせえな!」
解体屋
呻くような言葉が途中で止まる。
櫃挾一
「情けを掛けるに決まってるだろ、バカか」
櫃挾一
「16年だぞ」
解体屋
それが妖魔ではなく、鞍馬の忍びらしい言葉であったことに気が付いたのだった。
解体屋
「そんなものは……吾にとってはわずかな時間でしかない」
解体屋
「……だが、人の身に押し込められた時としては」
解体屋
「いささか長すぎたか……」
櫃挾一
「16年」
櫃挾一
「おれの全て」
櫃挾一
「おれとお前にとっての全てだ」
解体屋
「……」
解体屋
「そんなものは、あっという間に行き過ぎ、つま先ほどのものになる」
解体屋
「生きていればな」
櫃挾一
「そうしてくれ」
解体屋
血の糸を引きながら身を起こす。
解体屋
「憎きは鞍馬の忍びどもよ」
解体屋
「出直しだ」
櫃挾一
「ああ。すまなかった」
櫃挾一
「……16年。ありがとうございました」
解体屋
「ふん」
解体屋
背を向ける。
櫃挾一
「次また会ったときは……そんときは殺すぜ!」
解体屋
「当然だ」
櫃挾一
背を向ける。
櫃挾一
16年連れ立った友と別れを告げる。
解体屋
そんなものはどこにもいなかった。とは、言えぬ。
解体屋
それを過ごした櫃挾一の練り上げた技が、妖魔を確かに破ったのだ。
解体屋
血の海から身を起こし、妖魔は地を踏みしめる。
解体屋
その姿に人の面影はなく、今はまた、おのれのいるべき場所へ去っていく。
GM
今宵は月なき夜。
GM
流れた血も、斃れた躯も、闇の中に隠れる。
GM
一人、去っていく抜け忍と。
GM
ひとつ、去っていく妖魔と。
GM
その間に結ばれた絆もまた。
GM
闇の中。
GM
 
GM
シノビガミ「殺戮教本」 完