GM
現在の年齢と、趣味など、簡単な内容で構いません。
櫃挾一
https://character-sheets.appspot.com/shinobigami/edit.html?key=ahVzfmNoYXJhY3Rlci1zaGVldHMtbXByFwsSDUNoYXJhY3RlckRhdGEY8NWH8wMM
検見川速刀
趣味などというものはない。好きなものもない。
検見川速刀
忍びとして生まれ、忍びとして育てられてきた。
検見川速刀
ゆえに、忍びにとして生きるよりほかにはない、と思ってきたが。
検見川速刀
https://character-sheets.appspot.com/shinobigami/edit.html?key=ahVzfmNoYXJhY3Rlci1zaGVldHMtbXByFwsSDUNoYXJhY3RlckRhdGEYwpzj3gMM
GM
そこに文明の痕跡はなく、支配するのは野生の掟。
GM
一般人が踏み入れば、まず生きては帰れないような場所は……しかし、忍にとっては格好の修行の場となる。
GM
とはいえたとえ忍といえども、命を落としてもおかしくはない。
GM
もはや時代遅れであっても、そうした旧態依然とした修行をする者は存在した。
櫃挾一
速駆け、跳躍して樹から樹へ。小さな体躯は木立の隙間をすり抜ける。
検見川速刀
競うように小さな影が。少し離れて同じように樹から樹へ。
検見川速刀
枝葉の揺れる音を背に置いて、ましらよりもそれらしく俊敏に飛んで行く。
検見川速刀
特に鞍馬。分けてこの二人を育てた里においては、命懸けの修行は日常だ。
検見川速刀
だが、妖魔に襲われるとなれば、それはまた別の話。
検見川速刀
相手よりも気づくのが遅れたことを悔しがるような
検見川速刀
そんな声音が返った。苦無を構え、背後を振り返る。
櫃挾一
苦無を樹に掛け、転じる。そのまま上からの急襲を試みる。
GM
茂みから飛びだす、獣を模ったねじれたかたち。
検見川速刀
幹を蹴って樹木から地に滑り降り、舐めるように下から打ちあがる。
検見川速刀
なんだ、と表情にわずか、警戒と躊躇いが覗く。
GM
瞬時に妖気が膨れ上がる。
それは忍達からは『震々』と呼ばれる妖術──
櫃挾一
牽制として手にした苦無を投じる。逆手に取った小刀を振り下ろそうとし――
GM
荒れ狂う妖気が心を打ち付け、その身体の動きを絶望でもって縫い止める。
検見川速刀
わずかに遅れ、苦無を投げる動作に入ったところで、妖気に打ち据えられて動きが止まる。
GM
その隙を見逃さず、硬い毛皮に覆われた尾がひと振るい、ふた振るい。
検見川速刀
まずいと思った時には、身体は軽々と打ち上げられて宙を舞っている。
櫃挾一
太刀筋は滑らかであることが全て。勢いを削がれた刀は毛皮を穿つことはできない。
GM
未熟な下忍達を叩きのめし、崖の向こうへ弾き飛ばす。
検見川速刀
わずかに足が空を掻き、重力に逆らえず墜ちていく。
GM
幸いにして、崖下に生い茂った木々を上手く使えば死にはしない高度。
GM
だが、強かに身体を打ち付けた忍達には、崖を登る術などはあるはずもない。
崖の上から獣の雄叫びが響き……そしていずれ、その気配は何処かへと消えていった。
検見川速刀
時代錯誤な修行を幾度か経て、体に文字通り叩きこまれた技でもって何とか命を拾い。
検見川速刀
全身の激痛に苛まれながら、妖魔の気配が遠のいたのを感じ取って大きく息を吐く。
櫃挾一
地面に大の字で横たわったまま、遠い空を見上げて。
検見川速刀
「最初から飛び降りておくべきだったかも」
検見川速刀
呼吸するたびに体のどこかが痛むが、生きてはいる。
検見川速刀
生きているから重畳だということは、分かっている。
検見川速刀
あなたの言葉にいささかへそを曲げるようにして言ってから、続ける。
検見川速刀
「お前が迎え撃つと言ったのはよかった」
櫃挾一
「あれをどうにかすればやれん相手じゃない」
検見川速刀
「避けるのは無理だな。耐える必要がある」
検見川速刀
「崖上に、回り込めばいくつか岩場があった」
検見川速刀
「あの辺りに誘い込めばあるいは防げるかもしれん」
GM
身にまとう赤黒い装束、見覚えのあるその姿は、里の上忍だ。
検見川速刀
痛む身体を起こし、跪いてこうべを垂れる。
櫃挾一
「……おれは『刺草の道』から帰ります。今日は斃すつもりだったんで」
櫃挾一
跳ねるように起きて、修行のための険しい迂回路へ駆けていく。
上忍
「そう警戒するな。他の者がどうかは知らないが、私はそれを喜ばしく思っている」
上忍
実際、その気配は最初現れた時よりは幾ばくか柔らかだ。
検見川速刀
「……それぐらいでなければ、意味がないかと」
上忍
手甲を付けた腕が伸ばされ、検見川の頭の上へ。
上忍
「それが、里の者としての私の気持ちだ。できるな?」
GM
手甲ごしでは温度なんてものは伝わらなくとも。
その向こうにあるのは間違いなく、人の温もり。
GM
駆け、跳躍して樹から樹へ。獣の影は木立の隙間をすり抜ける。
GM
その妖魔は、後方の気配を探る。
あの追跡者達は、今はどこに居るのか──
櫃挾一
火薬と鉛球を使用した罠が獣の脚を撃ち抜く。
GM
獣は大きく身を震わせ、その音を避けるように軌道を変えようとして……
その罠を踏みぬいた。
検見川速刀
風というには鋭く細く、空気の刃が喉元を狙う。
GM
半ば反射的な防衛本能が働き、獣はぶるりと身を震わせる。
櫃挾一
とびかかる勢いをそのままにして、毛皮の内側に及ぶ痛打を浴びせる。
GM
一度、二度、その妖魔──狐狗狸──は、その身体をよろめかせ……
検見川速刀
「昔はこんなやつに苦戦していたとはな」
検見川速刀
言葉を口の中で転がして、軽く足元の土を蹴り飛ばす。
GM
迎えの忍は来ない。忍務が終わったら、自分の足で里に戻るように言われている。
検見川速刀
「こんなやつにも苦戦するほど雑魚だったと思うと、我がことながら腹が立ってくる」
検見川速刀
「そいつを片したらさっさと帰ろう。時間をかけたと思われてはたまらん」
検見川速刀
飛んでいた羽虫が両断されて、ぽとりと地に落ちる。
検見川速刀
ひとりで充分だろう、と、突っ立って待っている。
検見川速刀
「今いる下忍頭の中では、おれとお前が頭が抜けている」
検見川速刀
「そろそろ、お呼びがかかるかもしれんな」
検見川速刀
「ああ。中忍となれば奥義を得ることにもなる」
GM
そこにある板の間で、櫃挾と検見川の2人はな並んで座し。
里長
「確かに、忍務は滞りなく済んだようだ。よくやった」
里長
しわがれた老婆の声は、自然と背筋を伸ばさせるような威厳を帯びて発される。
里長
「お前たちも予感はしていたろうが……そろそろ、中忍の許しをやってもいいんじゃないかとね、そういう話が出てる」
里長
「今日の仕事ぶりを”聴いて”……あたしも頃合いだと判断したよ」
里長
「ふたりとも、よう育った。術もいくつか身につけたね」
里長
「あと身に付けなきゃいけないのは、一つだけだ」
里長
「確実に、己の手で、相手の息の根を止めるんだ」
里長
それは、牙を剥き出しにして見せるような笑みだった。
里長
「身支度する時間くらいはあげようじゃないか。よく鋭気を養っておくといい。」
里長
2人が席を立った後も、屋敷を出て、表へ出た後も。
櫃挾一
月の出る夜はその流れの白きが美しい小川だ。
櫃挾一
今はただ、止めることのできない流れの音ばかりがある。
検見川速刀
手の中で、変哲のない丸い石を弄んでいる。
櫃挾一
ある日は、飛沫一つもを受けずに川を渡る試練を与えられた川。
櫃挾一
またある日は、遠くから手裏剣で岩魚を狩る試練を与えられた。
検見川速刀
この見通しのよい小川のどこかへ、瞬時に隠れろと言われたこともある。
検見川速刀
今はだれも隠れてはおらず、どこにも気配はない。
櫃挾一
速刀は最後まで見つけられなかった。そのときから地を読むのが上手かった。
櫃挾一
上忍の呼びかけで初めてその名前を聞いたのを覚えている。
検見川速刀
「…ここまで来たんだ。おれは負けるつもりはない」
検見川速刀
「…………実際のところは、五分だろうな」
櫃挾一
「負けるつもりじゃ、勝てるものも勝てない」
検見川速刀
「だが、客観的な見立てというのもある──」
櫃挾一
「やってみてえと、思わなかったことはないだろ、お前も」
検見川速刀
どちらが上回るか、決めたい相手がいるとするならこの男だった。
検見川速刀
問い返しながらも、その表情に驚きはない。
櫃挾一
刀で何度切り払おうとも、大きな流れを止めることはできない。
GM
それは、今は未だここになく、しかし探せば見つかる筈の、何か。