クライマックス

GM
── クライマックスフェイズ
GM
この旅路の終着点は、何処。
天使 みお
ここからどこにでもいける。
天使 みお
けれど、辿り着く先はある程度予測出来る。
天使 みお
予測できても、どういう結末になるとしても、この男は喜んで着いてくるだろう。
管原陽翔
あなたのことを信じていた。
管原陽翔
あなたの望みを叶えたいと思った。
天使 みお
手を引いて歩き出す。……線路の先へ。
GM
線路の先へ。
天使 みお
足を止めて、引き換えして、電車に乗ったってよかった。
天使 みお
きっと夢の中ならどこへでも行ける。
管原陽翔
都合のいい世界で、終わりが来るまで二人過ごせるかもしれない。
天使 みお
もう少し楽しめて、もしかしたら死ぬ事なんて忘れてしまうような世界が作れるかもしれない。
天使 みお
けれど、きっとそれほど長いことは遊べないだろうし、この男にも耐えられないだろう。
天使 みお
だから、もっとちゃんとしないといけない。
天使 みお
止まらずに、線路の先を目指して歩く。
管原陽翔
その先に何があるのか、陽翔にはわからない。
管原陽翔
それでも、一緒に歩いていく。
GM
夏を待ちわびながら伸びゆく草をかき分け、踏みしめて足元の線路の錆色を追う。
GM
では、儀式をひとつ公開いたしましょう。
GM
エネミー「崩れ落ちる夢」を公開いたします。
GM
歩く。
緑に紛れる錆色を目で追いながら歩くさなか、後ろから冷たい風が吹くのを感じる。
GM
この夢の終わりが近い。
GM
どんどん、あなたたちの体は曖昧になっていく。
歩くたびに、あなたたちの意識は空白が増えてゆく。
GM
だから、決して離れぬように。
GM
黒南風につかまらぬうちに、この道の先へ。
GM
戦闘終了の条件は両者の脱落か、儀式「手を繋ぐ」の完遂です。
GM
では、開始しましょう。
管原陽翔
*開始前に、身代わり人形をみおさんに渡します。
天使 みお
受け取ります。
GM
ダイスシンボルを出してセットしていただきます。
GM
天使みおさんは錯乱状態なので1d6を振ってください。
GM
セットを確認しましたので、オープンしていただきましょう。

[ 管原陽翔 ] がダイスシンボルを公開。出目は 1 です。

[ GM ] がダイスシンボルを公開。出目は 1 です。

天使 みお
1D6  (1D6) > 5
GM
崩れ落ちる夢と管原陽翔はバッティング。

[ 管原陽翔 ] 生命力 : 6 → 5

GM
行動順は天使 みおさんから。
速度が同じ場合、エネミーはPCの後に行動します。
GM
手番:天使 みお
天使 みお
*儀式に挑戦します。
管原陽翔
*生命点を1点使って、感情修正を行います。

[ 管原陽翔 ] 生命力 : 5 → 4

天使 みお
*回想シーン使用
GM
演出のあと秘密を貼って、判定に+3ができます。
回想の際にはショックや恐怖判定は発生いたしません。
GM
錯乱状態ですので、判定の前に生命力か正気度を‐1してください。

[ 天使 みお ] 正気度 : 1 → 0

天使 みお
はい。
天使 みお
夢が崩れ落ちていく。眠りから覚めたあとの記憶を可視化したような、ざらついた視界。
天使 みお
あれに巻き込まれれば、きっと自分は消えてしまうんだろう。
天使 みお
だが、今は。
天使 みお
「は、あ」
天使 みお
手の中の感触を自分が見失ったことが恐ろしい。
管原陽翔
手を繋いでいたはずなのに、どこか曖昧でぼやけている。
天使 みお
さっきまで見ていた顔は、聞いていた声は、そこにいたあなたは。
天使 みお
「どこだっ!!」
天使 みお
足を止めて、半狂乱で手を伸ばす。
天使 みお
*【PC2】秘密
ショック:PC1
この世界はあなたの夢だ。あなたはずっと醒めない夢の中にいる。
すべてはあなたの作り出したまぼろしで、ここではきっとあなたに都合のいいことしか起こりはしない。
けれど、PC1だけは違うのかもしれない。
そう持ちかけられるまで、あなたは死のうだなんて思ったことはなかったのだから。
あなたの【本当の使命】は、この夢から醒めることだ。
ただし、プラスの【感情】を取得しているキャラクターがいる場合は、あなたの【本当の使命】はそのキャラクターとともにこの夢から醒めることになる。
▼《夢》で恐怖判定。
あなたは「プライズ:キティの鍵」を所持している
天使 みお
これが俺の夢なら、最後まで保ってくれ!
天使 みお
2D6>=8 (判定:笑い) (2D6>=8) > 8[2,6] > 8 > 成功
天使 みお
*補正含め+4で成功。
GM
遠く雷鳴まで聞こえてくる、視界が暗くなる。
天使 みお
夢の終わりに消えることは怖くはない。
天使 みお
けれど、もう一度一人になることは、あの男を一人にすることは。それが何よりも恐ろしい。
天使 みお
暗闇の中手探りをして、名前を叫ぶ。
GM
足元で砂利が鳴るような、気がする。
かすかに指先が温かいような、気がする。
GM
けれどまだ、遠い。
天使 みお
「陽翔くん」
天使 みお
「どこだ……」
天使 みお
温かさを追って、手繰り寄せるように。
GM
手番:管原 陽翔
管原陽翔
名を呼ばれるこの男もまた、隣で天使のことを探していた。
GM
雨に濡れた体はどんどん重くなってゆく。
管原陽翔
手を固く繋いでいたはずなのに、手を開いているのか閉じているのかも分からない。
GM
追いつかれる、という気配が拭えないまま歩き続ける。
管原陽翔
視界は昏く、名前を呼ぶ声が聞こえる気がするけれど、それは記憶の中の声を再生しているにすぎないように聞こえる。
管原陽翔
この世界が夢であったという感覚を、天使と違って陽翔は得ていなかった。
GM
からだの奥まで、なにもかもが冷たい。
管原陽翔
現実の中で、何も思い通りにならず、うまくいかないままならさに喘いで、死を望んでいた。
管原陽翔
けれど、このひとが夢だというならそうだと思ったし。
管原陽翔
助けられてくれと望むのならばそうしたかったし。
管原陽翔
助けてくれと言われるのならそうしたかった。
管原陽翔
ちゃんとするというのなら、自分もいっしょにちゃんとしようと思った。
管原陽翔
できたためしはないけれど、今度こそ。
管原陽翔
その先のことは分からないけれど、手を繋いで、ついていくぐらいならできる。
管原陽翔
そう思っていたのに。
管原陽翔
世界で二人だけの人間がはぐれてしまったら、一人きりだ。
管原陽翔
「……天使、さん」
管原陽翔
名前を呼ぶ。
管原陽翔
でも今は、独りになるよりも、あの人を独りにすることの方が恐ろしかった。
管原陽翔
どこにでも行けると言っていたあの人は。
管原陽翔
手を放してしまうとどこかに行ってしまうような気がしたんだ。
管原陽翔
「天使さん、……唯さん」
管原陽翔
「唯さん、どこですか。唯さん」
管原陽翔
名前を呼びながら、手を伸ばす。
管原陽翔
手の感覚を、取り戻そうとする。
管原陽翔
*儀式の判定に挑戦します。
天使 みお
*生命点1点使って感情修正。

[ 天使 みお ] 生命力 : 5 → 4

管原陽翔
*回想もします。
GM
演出のあと秘密を貼って判定をどうぞ。
管原陽翔
どうして自分は、あの紙にこの駅の名前を書きつけたのだろうか。
管原陽翔
なにも思い出せない。自分にとって、いかなる意味を持つ駅だったのか。
管原陽翔
もしかしたら、一度目の死を選んだ駅が、風岬だったのかもと思う。
管原陽翔
それだったら、生きる可能性としてその駅の名前を残したのが、なんともおかしな話だとも。
管原陽翔
でも、そうじゃないのかもしれない。
管原陽翔
もっと自分の人生において何か、少しだけいいことがあったような、そんな場所だったのかも。
管原陽翔
その紙が、手を繋いでいる人のもとにあることを思う。
管原陽翔
手を握る。
管原陽翔
ショック:なし
あなたはひとつ、賭けをした。
もしも死出の旅路の途中、いままで乗ったこともない路線で、あの駅と同じ名前の駅を見つけたら、そのときは……。
1D12を2回振って駅名を決定する。
セッション中、決定したものと同じ駅名を目にしたとき、あなたの【本当の使命】はPC2とともに帰還することになる。
あなたは「プライズ:紙片」を所持している。
管原陽翔
プライズ『一度目の記憶』の効果を使って、判定を自動成功にします。
GM
ふたりとも成功です。
GM
雨が止む音のない音。
GM
鼓膜に痛いほどの静寂に浸る間もなく、あなたたちはお互いの手がしっかりと握られているのを感じる。
管原陽翔
「あ」
天使 みお
「あ、ああ」
天使 みお
「あああ……」
管原陽翔
「ああ……」
天使 みお
握る手が、恐怖を思い出したように震えた。
管原陽翔
「よかった……」
管原陽翔
「ちゃんと」
管原陽翔
「ちゃんとここにいます」
天使 みお
「…………よか、った……よかった、ちゃんと居る」
管原陽翔
手を強く握り返して、頷く。
天使 みお
「行こう……」
管原陽翔
「はい」
GM
歩き出す。
雨の止んでいる向こう側は、白くかすかに光っている。
GM
夏の気配をはらんだ風が、ふたりを撫ぜてゆく。
GM
儀式完遂。
戦闘終了です。
GM
どこまでも線路は続くような気がする。
けれど、靴底が草と砂利を踏みしめる感触を思い起こしている。
管原陽翔
「思ったより、けっこう、長い線路スね」
天使 みお
「でも、もうすぐだよ」
管原陽翔
「着いたらまず、唯さんのこと探します」
天使 みお
「うん」
天使 みお
「少し待ってもらうことになるかもしれないけど……」
天使 みお
「一人で死なないでね……」
管原陽翔
「はい、頑張ります」
天使 みお
「待っててね」
管原陽翔
「俺も、探すスよ」
管原陽翔
「だから、大丈夫」
天使 みお
「俺の電話番号は、080の……メールアドレスは、……の……」
天使 みお
「あは、今言っても起きたら忘れちゃうかも……」
管原陽翔
「夢なんスもんね」
天使 みお
「この駅が起きてもあったら、そこに来てよ。もし居なかったら、東京タワーとか、トー横とか、どこか。目立つところに居て……」
管原陽翔
「あっ、なるほど……」
管原陽翔
「そうします」
管原陽翔
「……こんなこと言ってて、起きてすぐそばにいたら気まずいスけど」
天使 みお
「ふふ、そしたら話が早くていいな」
管原陽翔
「そうスね、それがいちばんいい……」
天使 みお
「そうじゃなくっても、どこかで俺の名前を呼んでよ。さっきみたいに……」
天使 みお
「そうしたら、陽翔くん。俺のこと見つけられるよ」
管原陽翔
「はい」
管原陽翔
「唯さんも、きっと俺のこと、呼んでください」
天使 みお
「もちろん」
管原陽翔
「聞き逃さないようにします」
天使 みお
「聞こえるまで呼ぶよ」
天使 みお
「聞こえても呼ぶ」
管原陽翔
へへ、とおかしそうに笑った。
管原陽翔
今この時だけは、痛くも苦しくもなくて。
管原陽翔
ぐるぐると回るのが、止まったような気がした。
天使 みお
ああ、笑っていて、よかったな。
管原陽翔
笑っていてくれてよかった。
管原陽翔
笑えてよかった。