GM
ふたりで1つずつ振ってもいいかもしれませんね。
天使 みお
陽翔くん1dずつ振ろ♡って言おうとしたとこだった。
GM
タタン。タタン、と音を立てて電車が重く滑る。
一両編成のワンマン電車。
GM
見渡すまでもなく、がらんとしている。
規則的と不規則のあいだでつり革が揺れる。
GM
運転室には帽子を目深にかぶった運転士の姿が見える。
GM
①「雫橋」駅
終着駅まではまだ遠い。列車のすれ違いの関係で5分ほど停車するようだ。
ホームにも駅舎にも人影はない。
このハンドアウトは、第1サイクルの間のみ調査することができる。
GM
1サイクル目のハンドアウトは以上になります。
ではシーンプレイヤーを決定し、シーン表を振ってください。
管原陽翔
2d6 シーン表 (2D6) > 8[3,5] > 8
GM
8:手すりに引っかけられた持ち主不明のビニール傘。天気予報はしばらくはずっと雨だった気がする……。
GM
なんのへんてつもないビニール傘が、時折揺れに少し傾く。
管原陽翔
視線をぼんやりとビニール傘に向けたまま、駅のアナウンスに耳を傾ける。
天使 みお
充分に余白のある電車の中で、みおは菅原の隣に座っている。
管原陽翔
ビニール傘の向こう、窓の外はずっと雨が降っていた。
管原陽翔
二人きりの電車で、電車の揺れる規則的な音の響き渡る中で、何を話せばいいか分からず、沈黙している。
管原陽翔
これから死にに行く。……次の駅は、「雫橋」
天使 みお
沈黙する、ともに死ぬ相手の横顔を見ていつものように笑顔でいる。
管原陽翔
路線、という言葉がとっさに出てこず、もごもごと言って身を竦める。
天使 みお
「これ何線だっけ。そこすら覚えてないな」
天使 みお
ただ、最後が海の近くであるということだけを知っている。
管原陽翔
「なんか、こんな人いない電車あったんすね」
管原陽翔
「どれぐらい……かかるんでしょうね。着くまで……」
GM
夏の近い、木々の緑をつぶさに冷やすような雨が窓に散る。
天使 みお
「つかマジ知らない駅。ここ何あるとこだっけ……」
管原陽翔
2D6>=5 (判定:憂い) (2D6>=5) > 6[2,4] > 6 > 成功
GM
どのくらい窓を見ていただろう。
車内にアナウンスが流れる。
GM
『まもなく雫橋……お忘れ物ございませんようご注意ください……』
GM
『待ち合わせのため5分ほど停車いたします……』
GM
【秘密】
ショック:なし
拡散情報。
駅舎の壁には色あせた張り紙がされている。
「当路線の列車はすべてワンマン運行です。一両目前側のドアからの乗降にご協力ください。落し物等については停車中にお問い合わせください」
▽ハンドアウト「運転士」を公開する。
GM
帽子を目深にかぶった運転士がホームの方に出て行くのが見えた。
管原陽翔
運転士の動きを目で追って、ああ、と声をこぼす。
管原陽翔
電車の外、駅舎に貼られた張り紙を指さす。
管原陽翔
「落とし物あったら、停車中に問い合わせてくださいって」
GM
どこからどう見ても無人駅。
一応、向かいのホームには行けそうだが連絡通路はかなり遠回りだ。
管原陽翔
「いや、……今から死ぬのに、落とし物届けるのもなんか、変かもすけど」
天使 みお
「おお」そういえばなんか落ちてたような、落ちてなかったような。
GM
ふるぼけたアナログ時計がかすかに雨のあいまに時を刻む音。
天使 みお
「いいんじゃないかな、死ぬ前に善行積んでみたいってのも」
天使 みお
「陽翔くんが死ぬ前に全部破壊する!ってタイプじゃなくてよかった~」
天使 みお
「だって、あの店とか燃やしてもいいでしょ~」
管原陽翔
「そ、そうだったかも……しれないっすね」
管原陽翔
「店長とか、はは、死ぬ前に、殴るぐらい、してやったって……」
管原陽翔
そんな度胸がないのは、自分がよく分かっている。
管原陽翔
酒なんかを入れて恐怖心を誤魔化しても、返り討ちに遭ったりしたろうな、という。
天使 みお
「あ~、もっと早く言ってれば手伝えたかなあ」
天使 みお
酒も全部ぶち壊して店内グチャグチャにして割れた瓶の上で店長を土下座させてやってもいいんだが……
天使 みお
今はこうして電車に乗っちゃってるからな。
管原陽翔
これで楽になれるな、と思えたら、少し楽になったり、ウキウキするかもしれないと思ったんだけど。
天使 みお
まあ死ぬのにポジティブなことを言ってもしょうがないかもしれないが。
GM
車内からアナウンスが聞こえてくる。
運転士が運転室へ乗り込むのが見えた。
管原陽翔
アナウンスにびくついて、天使の隣に戻った。
天使 みお
2D6 だったのだ (2D6) > 6[2,4] > 6
GM
6:なんとなく窓を開けてみた。ただでさえ冷えた身体に、じっとりとした空気が触れる……寒い。
GM
急に車内が暑くなったような気がして窓を開ける。
管原陽翔
窓閉めてたら暑いけど、窓を開けると寒い……
天使 みお
「5月6月って自殺者が多いとかなんとか」
天使 みお
「不快な湿度、晴れない空、慣れない生活……」
管原陽翔
自分と同じように、この季節に耐え切れなくなって死に走る人間が、ほかにもいる。
管原陽翔
それは、奇妙に安心する話でもあったし、酷く虚しく感じることのようにも思えた。
天使 みお
「気候の問題だ、気の迷いだから思いとどまれ!ってワケじゃないからね?」
天使 みお
「死にたいっていうのは前から聞いてたから……」
管原陽翔
死なないことには、この全身にへばりつくような辛さが、消えることはない。
管原陽翔
ついにこの日にして踏み切ったのが、ほかの人間も選びやすい日だったとしたら。
管原陽翔
気の迷いというよりは、自分がそういう機能に従って死に向かう虫けらのように思えるのだ。
管原陽翔
窓の外、いまだに止まっている駅舎に目を向ける。発車まではまだあと少しある。
天使 みお
「俺はねえ、……まだ君の事が知りたいなあ」
天使 みお
「死ぬにしたってもうちょい時間があるから。教えてほしいな」
天使 みお
2D6>=5 (判定:愛) (2D6>=5) > 3[1,2] > 3 > 失敗
[ 天使 みお ] 生命力 : 6 → 5
天使 みお
2D6>=5 (判定:愛) (2D6>=5) > 8[3,5] > 8 > 成功
管原陽翔
さっきから、視線が合わなくなっては、駅舎に掲げられている駅名を確認したり。
管原陽翔
電車の中の、扉の上。路線図がある辺りに視線を彷徨わせる。
天使 みお
立ち上がって菅原の前に立つと、両手で座席を押さえる。
GM
駅名はかすかにしか見えない。
海まではあともう少しある。
天使 みお
「せっかく一緒に死ぬって決めたんだから、隠さないでほしいな」
GM
【秘密】
ショック:なし
あなたはひとつ、賭けをした。
もしも死出の旅路の途中、いままで乗ったこともない路線で、あの駅と同じ名前の駅を見つけたら、そのときは……。
1D12を2回振って駅名を決定する。
セッション中、決定したものと同じ駅名を目にしたとき、あなたの【本当の使命】はPC2とともに帰還することになる。
あなたは「プライズ:紙片」を所持している。
管原陽翔
「もし、あの、駅の名前、見つけたらって……」
管原陽翔
「そ、その時は、やっぱ、帰りましょうって、…………」
管原陽翔
相手の声音から、なにか失望を感じ取って、慌てて顔を上げる。
管原陽翔
のろのろと、ポケットから紙片を取り出した。
管原陽翔
中で握りしめたりしていたのか、ぐしゃぐしゃになったそれを、天使に渡す。
管原陽翔
*プライズ「紙片」を天使さんに渡します……
天使 みお
その紙片を優しく受け取って、指先で指先を軽く包み込む。それから受け取って、片手で開いた。
GM
紙片 秘密
ショック:なし
PC1の字で「風岬」と書かれている。
天使 みお
「でもなんかさ、ありそうな雰囲気の路線じゃん?」
天使 みお
「俺は、怒ったりとか、呆れたとか……そういうのはないよ~」
管原陽翔
「こ、こんなに、いっしょに、来てくれて」
管原陽翔
俯いて、合わせられない管原の目には、涙がにじんでいた。
GM
『発車いたします、閉まるドアにお気を付けください……』
天使 みお
「俺はねえ、一緒に行くだけだから……」
管原陽翔
その言葉に、ようやく顔を上げて、天使の顔を見る。
GM
電車は発車して、窓の外の風景は移り変わる。
飛び降りれば、飛び降りられるだろうか。