GM
まずは軽く自己紹介からはじめてもらいましょうか。
小崎弐樹
家はいわゆる魔術師の家系で……これ元の世界じゃそうそう吹聴しちゃいけないんだけど、堕落の国だとけっこういるよね。
小崎弐樹
俺は家がそうなだけで、魔法とか使えるわけじゃないから、それで逆に言うの気が引けちゃう感じになっちゃった。
小崎弐樹
堕落の国に落ちてきてからは、癒しの力とか、人を守ったりとか……
小崎弐樹
あと、なんてんだろ、癒しの力を利用して攻撃、みたいな?
小崎弐樹
そういうのをやれるので、そうやって戦ってます。ゲームだね。
小崎弐樹
愛情、俺っていわゆるブラコンなんだよね。
小崎弐樹
家を継ぐ兄を助けたいと思っているので、できたら元の世界に帰りたいなって思ってます。
小崎弐樹
末裔たちに救世主として崇められて、殺したり殺されたりして、滅びかけの世界で……
小崎弐樹
そういうのはどうでもいいから、さっさと帰りたい。
小崎弐樹
俺にとって大事なものは、兄さんだけなんだ。
小崎弐樹
帰れないなら、いっそ死んだほうがまし……
真田すばる
私もね、ニキと同じく東京に住んでいたんですが、どうも違う東京みたいですね。
真田すばる
自分は軍警察に所属していた念能力兵……、ま、超能力で戦う憲兵さん、という感じの存在です。
真田すばる
真田家は軍人一家でしてね。 念能力兵はおなごでも割合なりやすいんですよ。腕力、体力、関係ありませんので。
真田すばる
堕落の国はまぁ酷いところですが、腐った軍上層部も、爆撃をしかけてくる敵国もいないので嫌いじゃあない。
真田すばる
ちょっと親切にしただけで、皆感謝してくれますしね。 粉骨砕身してお国のために働いてもいいかな、な~んて気持ちにもなります。
真田すばる
ニキはいい友人です。 やさしい男だ。
見目麗しく心も清い!
真田すばる
欠点があるとするならば、惚れる相手を見る目くらい。
真田すばる
元の世界の兄、大変だな~と思っています。
しかし、だからこそ応援していますよ。
彼にとって、大切な気持ちというのは伝わってきますからね。
真田すばる
こんな世界ですし、希望だけは持ち続けていて欲しいものです。
真田すばる
応援していると言ったとして、実現するでもなし。
真田すばる
ざっとそんな感じでしょうか!
がんばって、堕落の国で生きてゆくぞ!
GM
では自己紹介もすみましたところで、本番を始めていこうと思います
GM
夜の闇を駆けるには、頼りない灯りか、心の疵由来の超感覚が頼りとなるだろう。
GM
敵対する救世主の一党と裁判となり、敗北し、遁走しているからだ。
真田すばる
闇を照らすものは何もない。 しかしそれは追手も同じはず。
小崎弐樹
喉元にせりあがる血をそこらに吐き出しながら、息を弾ませて走る。
GM
無数の矢が背後から迫り、そのうちのいくつかはあなたたちを掠める。
真田すばる
ニキの体を支えながら、駆ける。
矢が服を裂いた。
小崎弐樹
あてずっぽうに放ったのか、こちらの位置を意外と捉えているのかも判別できない。
小崎弐樹
とにかく今は当たらないことを祈りながら逃げるしかない。支えられながら、足を動かす。
GM
あなた達は傷つきながらも昏倒や死はすんでのところで免れているが、
GM
このままではすぐにそうなる運命になるということは嫌でも理解できるだろう。
真田すばる
少しでも隠れる場所が多い方へ、少しでも気が付かれない方へ。
小崎弐樹
だから、足をもつれさせながらも動かして、走って、逃げる。
真田すばる
腕に染みるニキの血の感触に眉をしかめながら、それでも足を止めない。
真田すばる
自分も満足に走れるわけではない。 腹からは今にも内臓がこぼれそうだ。
小崎弐樹
癒すためには足を止めて集中する必要があるが、その間もない。
真田すばる
これは比喩表現か? 事実か? わからない。
GM
気がつけば、射掛けられていた矢の雨が、いつの間にか止んでいる。
真田すばる
それでもまだ足を止める気にはならなくて、少しだけそのままで。
GM
数メートル先も見渡せない暗闇の中、あなたたちだけが取り残されている。
GM
振り返った先にも、やはり暗闇しか映らない。ように見える。
GM
あなたたちがひとつだけ理解できることがある。
GM
それは、戻ろうとしてはいけない、ということだ。
GM
救世主としての、第六感とでも言うべきものだろうか。
真田すばる
「……行こう、せめて、休める場所まで」
GM
さあさあと、ざわめくような音が、あたりから響く。
真田すばる
それでも、満身創痍のまま全力で逃げなければならなかった先程より、随分とマシだ。
GM
それは格子状の窓枠の形に、切り取られ漏れ出た光だった。
小崎弐樹
「映画かアニメにこういうのあったな……」
小崎弐樹
と言っても、あそこを逸れて暗闇の中へ行っても仕方ないように思われる。
真田すばる
「……ま、今何を見ても全てが怪しく見えはするだろう」
小崎弐樹
「開けてくださいって言われてる感じだし……開けようか」
小崎弐樹
暗闇に慣れた目を眇めて、扉の向こうを見る。
GM
その声に答えるように、ホールの奥から人が現れる。
真田すばる
「お客様……、ということは、店か何かで?」
女性
あなた達の前に姿を現したのは、
金色の髪の、慎み深そうな女性だった。
真田すばる
宿とかだったらいいな~という希望的観測。
女性
「いえ……打ち捨てられた教会を、私が勝手に借りているだけです」
女性
「……ここは、様々な方が、訪れるものですから」
真田すばる
「あ、そうだ。 少し休ませて頂けるとありがたいのですが」
真田すばる
適当なところにニキを座らせたりしています。
カルセラ
急に現れた救世主のけが人二人にさほど動じた様子もなく、応急手当を施す。
真田すばる
「格上の相手で、手も足も出ませんでした」
小崎弐樹
「ここで俺たちにとどめを刺せば、責務を果たせてラッキー……」
小崎弐樹
「って感じの人じゃなくて、助かりました」
真田すばる
「今から実はそうでした、というのは無しですよ」
小崎弐樹
「まあ、何かお礼ができるわけでもないんですけどね」
真田すばる
「我々手負いの怯えきった草食動物なのでね、かわいそうに思ってあげてください」
カルセラ
「お察しの通り、私も救世主の端くれですが……」
カルセラ
「いつだってやれ裁判だ、やれ責務だと言いたくはありませんから」
真田すばる
それはそうだろうが。
救世主である以上、誰かを殺してはいるはずだ。
小崎弐樹
「『今日はそういう気分じゃなかった』……みたいな?」
真田すばる
しかし、殺すのなら手当をする意味はない。
カルセラ
「それが理解しやすいと仰るのなら、そう捉えていただいて結構です」
小崎弐樹
相手の真意を探そうと、その髪に隠れた顔を見つめるが、どうも疲れすぎている。
真田すばる
さっきえいってナイフでも刺せば、多分二人とも殺せたし。
小崎弐樹
「じゃあ、ひとまずはそんなふうな理解で……」
カルセラ
「ひとまず今晩はここで、休んでいかれるとよろしいでしょう」
カルセラ
簡素な手当が終わると、カルセラは二人を空いている部屋へと案内する。
小崎弐樹
ベッドがあるだけで、堕落の国では恵まれた環境だ。
小崎弐樹
遠慮なく休ませてもらうことにして、すぐに寝台に沈み込む。
GM
窓の外から例のざわめくような音が聞こえてくる。
真田すばる
「至れり尽くせり、と言っても過言ではないな」
GM
闇の中にいるときはわからなかったが、それはどうやら梢のこすれる音と……
小崎弐樹
そうだ、どこかで……聞き覚えがあるんだと思った。
小崎弐樹
言いながら、脱いだ靴をひっくり返してみる。
小崎弐樹
「懐かしいな、堕落の国に来てからは、はじめてかも……」
真田すばる
「そういえば、そうだ……。 ここに海があったんだな」
小崎弐樹
「多少まし、でもまあ……だいぶ消耗したから、治るまでけっこうかかるかも」
真田すばる
「そうか、良くないな……。 いや、でも生きているだけで十分だ」
小崎弐樹
「悪いけど、自分のほうを優先させてもらう」
真田すばる
「面倒くさい色々は、起きてからにしよう」
真田すばる
明かりを消して、命がまだ続いてることに感謝しながら瞼を閉じた。
真田すばる
窓から差し込む日差しに、目を薄く開ける。
小崎弐樹
瞼を開き、天井を見上げて、何だっけ……と眠る前のことを思い出そうとする。
真田すばる
体を起こしてみる。 まだ本調子ではないが、動く分にはまぁまぁ。
GM
特に寝ている間になにかされたりとか、誰かが部屋に入ったりとかはしていません。
真田すばる
体にも荷物にも異常がないのを確認して、扉の方を見る。
小崎弐樹
「そこそこってところだな。
今からすぐに裁判しろって言われたら泣いちゃうけど、活動する分には問題ない」
GM
全治お茶会にして2ラウンドぐらいって感じです。
真田すばる
「茶でも啜ってゆっくりしたいところだ」
GM
改めて窓から外を見たりすると、ここがどういう場所なのかがなんとなく明らかになります。
GM
もうお察しでしょうが、どうやら海の近くの丘に建てられた教会のようですね。
GM
堕落の国の海は基本的になんか淀んでいるのですが
GM
ここから見える海は背景画像のようにきれいですね。
小崎弐樹
そういえば、昨日梢の擦れる音がしてたな…?
GM
砂浜はともかく、浜辺以外の場所は、地面が草で覆われています。
GM
ちょっと遠くを見ると、緑豊かな森もあります。
真田すばる
「ふつうの海があって、草が生えてて、緑豊かな森が!!」
小崎弐樹
「もうひとつ、あのカルセラって彼女の能力」
GM
はしゃいでいると、部屋の扉をノックする音が響きます。
カルセラ
「おはようございます。朝ごはん、食べていかれますか?」
小崎弐樹
「そりゃもちろん、いただけるならいただきたいな。なあ?」
真田すばる
こんな……ふつうの海と、生い茂る草と、緑豊かな土地の、朝ごはん!?
真田すばる
金持ちに拾われて食事を出された乞食のようにがっついてしまうぞ。
真田すばる
「逆に今までの食事がいかにスカスカなのかを痛感している」
小崎弐樹
「俺たちそれでよく生きて戦ってたよなって思う」
GM
堕落の国の食事、土とかでかさ増しされてますからね
小崎弐樹
「ええと、それで……あんたのじゃないなら、誰の心の疵なんだ?」
カルセラ
「それについては、話すよりも実際に見ていただけたほうが
手っ取り早いと思います」
カルセラ
食べ終わってひとごこち付いたところで、あなたたちを教会の外に連れ出します。
カルセラ
視線の先には砂浜と海岸線が広がっています。
真田すばる
幸福な気持ちのままベッドに倒れ込んで寝たいところですが、付いていきます。
GM
カルセラがそう言うと、羽ばたく音とともに陽を遮る大きな影が現れます。
?
大きなそれが地響きを立てて、砂浜に降り立った。
?
ヒレではないです。大きな爪と翼と牙を持っています。
?
あなたたちには目もくれず、砂浜に生えている元気のないヤシの樹に近づきます。
小崎弐樹
もしかして、こいつへの生贄的なやつで生かされてたのか、と思……ヤシの樹にいったな。
?
それに大きな口を開いて、翠色のブレスを吐きかけると……
?
ヤシの樹がみるみる活力を取り戻して、新しい実をつけます。
カルセラ
「私はあの亡者のことを“ワンダーバッフェ”と呼んでいます」
ワンダーバッフェ
ワンダーバッフェと呼ばれた亡者は、再び何処かへと飛び去り、姿をくらます。
ワンダーバッフェ
あなたたちにはまるで興味がないように見えて……
ワンダーバッフェ
じっと、どこかから見られているような漠然とした気配を感じる。
カルセラ
「もちろん、ただ恵みを与えてくれるわけではありません……」
真田すばる
自分に興味を持たないことに、少しばかり面白くなさを感じたが。
どうもそうとも言い切れず。
小崎弐樹
その言葉に、どこかほっとした顔になってカルセラへ目を向ける。
小崎弐樹
納得のできない都合のいいものというのが一番恐ろしい。
カルセラ
「ワンダーバッフェは、この海岸に近づいたものと、離れていくものを襲うのです」
小崎弐樹
「昨日の……俺たちを追ってた救世主たち」
カルセラ
「私にもわかりませんが……一度境界線を踏み越えてしまったものを追うことはしないのかもしれません」
真田すばる
「何なんだ……。 死にかけていたから見逃されたのか?」
小崎弐樹
「ほかのやつらが襲われてる隙に、俺たちがその境界線を越えた、とかかも」
GM
多分そういうことなんじゃないかなとカルセラは言っています。
GM
海岸線を見渡すと、不自然な場所に石柱が立っています。
真田すばる
知らなかったらうっかり超えていたかもな……
真田すばる
「いや、いやいや。 待て、そうなると、我々はここから離れられないのか?」
カルセラ
カルセラいわく、あの境界石から外側に踏み越えると襲われるそうです。
カルセラ
「この海岸には、ちょっとした伝説があるんですよ」
カルセラ
まるで関係のなさそうなことを言って、水平線を見る。
小崎弐樹
急に話が飛んだな、と思いながら視線を水平線へ向ける。
GM
水平線はどこか霞がかかっていて、はっきりと見えない。
小崎弐樹
妙にぼやけた、暑い日の逃げ水みたいな海だ。
真田すばる
植物を元気にするドラゴン、というだけで十分伝説級な気はするが。
カルセラ
「いつの日か、霞の向こうから船が現れて」
カルセラ
「戦いに疲れた救世主を、元の世界に送り届けてくれるのだと……」
GM
もちろん、水平線には船影らしきものは何も見えない。
小崎弐樹
「……その話につられて、救世主がやってくる、ってこと?」
小崎弐樹
自分にそう言い聞かせながら、カルセラを見つめる。
小崎弐樹
「こんな世界だ。藁にも縋りたいってやつらはいくらでも出るだろうさ」
GM
棚井戸を最上階まで登れば、とか
嵐の日にさる山の頂上に行けば、とか
王立裁判所にそういう秘宝がある、とか。
GM
そういった噂よりはこの海岸に訪れるのはハードルが低いのかもしれない。
真田すばる
ドラゴンとどっちが先に救世主を殺すか勝負にならないか?
カルセラ
「ここから離れられないことで、困ることはないんですよね」
真田すばる
「きみに余裕がある理由も、まぁまぁ腑に落ちた」
小崎弐樹
「俺たちもちょっと、様子を見たほうがよさそうだな」
小崎弐樹
「あの亡者をすり抜けて外に出るにしても、まだ本調子じゃないし」
小崎弐樹
話しながらも、視線はずっとぼやけた水平線を見つめている。
真田すばる
その船が来たら、ニキは乗ってしまうだろう。
小崎弐樹
しばらくここにいるだろうカルセラも見ていない、迎えに来る船。
小崎弐樹
信じる価値がどれだけあるかは分からない。特に、探しに行くのではなく、待つしかないとなると殊更。
真田すばる
なぜこの場所は、こんなにも待つに適した形に整えられているのか。
小崎弐樹
どこかできすぎていて、何かおかしい気がする。
小崎弐樹
そう思うと、水平線から目を逸らすことがなかなかできなかった。
真田すばる
いつだってそうだ。 彼は私の方を見ることはない。
小崎弐樹
いつも、自分が生きるただひとつの理由に目を奪われている。
真田すばる
あの亡者をすり抜けて外に出るにしても、だって?
真田すばる
疑念は口にせず、砂を爪先で僅かに引っ掻いた。
GM
というわけで、お茶会は怪我が癒えるまでの教会での日々をロール・プレイすることになります。
GM
実際にどうするかは、お茶会が終了するときに決めていただければと思います。
GM
危うく忘れるところでしたが、クエストがあります。
■クエスト:果実の収穫
条件:ワンダーバッフェの疵を抉る判定でのみ挑戦可能。
概要:ワンダーバッフェのブレスからは果実が生まれる。その出来たての果実にはことさらに滋養が詰まっている。手に入れることができれば裁判で有利となるだろう。
目標値:9
消滅条件:2回成功するか、お茶会終了と同時に消滅。
成功:挑戦したPCは果実を得る。「とうみつ」相当の効果を持つ。
失敗:同様に「とうみつ」を得られるが、ブレスを浴びてしまう。挑戦したPCは開廷時にランダムな不調(2ラウンド継続)を受ける。
放置:何も起こらない。