導入

GM
それでは
GM
Dead or AliCe シナリオ『人間の子供』、はじめてまいります。
GM
どうぞよろしくお願いいたします。
コウキ
よろしくおねがいします!!!!!
スクエア
よろしくお願いします!!
GM
それでは、まずはPC自己紹介から。
GM
元気いっぱいのコウキくんからしてもらおうかな。
コウキ
はい!!!!!
コウキ
「おれはヒーローなんだ!!!」
コウキ
「だからわるいやつとかいっぱいやっつけて、世界をすくっちゃうんだ!!!」
コウキ
「それでママとかせんせいに笑ってもらうんだ!!!!!」
コウキ
「よろしくな!!!!!」
GM
ありがとうございます。
GM
それでは、次はスクエアさん。お願いします。
スクエア
はい。
スクエア
「……」
スクエア
「“堕落の国が不思議の国へ戻るには、異世界人の協力が不可欠です。”」
スクエア
「救世主に協力するよう、幼い頃から言い聞かされてきた」
スクエア
「そういうものだと思っている」
スクエア
「歳。少し前に成人した」
スクエア
「子ども扱いされたことの方が少なかったから、
 特に変わりはないけれど」
スクエア
「……他の人と違って、陰気臭いと言われてはいたな」
スクエア
特に気にしてはいません。
スクエア
心の疵。救世主。
スクエア
救世主に協力する。
たといどんな女子供であろうとも、それは等しく救世主だ。
スクエア
心の疵。末裔。
スクエア
そしてどんな女子供であろうとも、救世主と末裔は交わらない存在だ。
スクエア
「よろしく」
GM
ありがとうございます。
GM
それでは、まずはPC①、コウキくんのOPから。
GM
GM
さて。
GM
堕落の国に落ちてくる前、あなたは一体どんな風に暮らしていましたか?
GM
コウキ
鍵を取り出して、玄関扉を開ける。
コウキ
「ただいまーっ」
コウキ
返事はない。いつも通り。
コウキ
パパはいない。生まれた時から。
コウキ
ママは大体仕事に出ているか、寝ているかしていて、今日は寝ている日。
コウキ
だからそうっとランドセルを置いて、また外に出る。
コウキ
宿題と料理はあとで。
コウキ
団地の外階段を降りて、林の中へ走る。
コウキ
そうして少し行けば、大きな冷蔵庫が目印の、じぶんだけの秘密基地がある。
コウキ
いつもここで、ひとりで遊んでいた。
コウキ
山積みになった誰かの家具の陰から、いつものように鍋蓋とマントをとりだして。
コウキ
「おれはヒーロー! わるいやつをやっつけちゃうぞ!」
コウキ
木に貼り付けた板には、怪獣の絵。
コウキ
図工の授業ではせんせいにいつも絵をほめられるから、たぶんいい出来。
コウキ
「いけーっ! ヒーローパンチ!」
コウキ
ヒーローの手袋で木の板を殴る。
コウキ
「うわーっビームだ! こんなときは~……」
コウキ
鍋蓋を取り出して構える。
コウキ
「ヒーローシールド!」
コウキ
「まけないぞーっ!」
コウキ
そうやって、しばらく遊んで。
コウキ
そろそろ疲れてきた。
コウキ
電子レンジの上に腰掛ける。
コウキ
「ん?」
コウキ
横の棚の上に、封筒がひとつ。
コウキ
学校でもらったものかな?
コウキ
それとも誰かが間違って置いたりとかしたのかな。
コウキ
自分のものじゃなかったら、開けたことあやまらないとな……
コウキ
そう思いながら。
コウキ
封筒を手に取って、開いた。
GM
何の変哲もない封筒。
GM
便箋を見るが早いか。
GM
──拝啓、アリス、愛しいアリス。
GM
あなたは、気づけば、何もない荒野に立っている。
GM
GM
では、次はPC②、スクエアさんのOP。
GM
GM
さて、スクエアさん。
GM
あなたは普段、村でどのようにして暮らしていますか?
GM
ここは『巨人の右足』周縁に位置する村落。
GM
岩山を背にしており、亡者などの襲来に対しての防衛に向いた立地となっています。
GM
少し前まで救世主が逗留して村を防衛していたのですが、
GM
そのひとは亡者と相打つ形で死んでしまい、今は救世主がいません。
GM
その最後はむごいもので、世話になってきた末裔たちもなかなか口に上らせることがしづらくなっています。
GM
救世主本人も死んだあとは亡者になり、いずこかへ去ったとか──
GM
もっとも、今は平和なものです。
GM
とはいえ村には櫓があって、荒野を見回る必要もあります。
スクエア
普段の暮らしぶりとしては、
そう数も多くもない、繰り返し開いた書物を読んでいることが多いです。
スクエア
あまり活発に行動することは好んでいません。
スクエア
ですが成人した村の一員として、
きっかり決まった時刻、村から出ることもあります。
スクエア
例えば、今この時のように。
スクエア
「……」
スクエア
一人きりで荒野を見渡す。
スクエア
行動を共にするような、特別親しいような村人はいない。
GM
たまにあいさつ程度に声をかけてくるものもいるが、それぐらいだ。
GM
荒野はいつも通り、まったくの不毛。
GM
砂を多く含んだ乾いた風が吹き、亡者の姿もなく、なべて世はこともなし──
GM
のはずだった。
GM
遠くに、人影が見える。
スクエア
変わりないはずの風景に在る違和感は、見紛う方が難しい。
スクエア
「……?」
スクエア
くすんだ血痕とも違う、人の形をした赤い一点。
スクエア
辺りを今一度見回してから、そちらへと歩む。
GM
近づくごとに、砂埃の向こうのその姿が明らかになっていく。
GM
亡者ではない。ほかの集落からやってきた末裔か──とはいえ、ずいぶん背が小さい。
GM
あれは、子供ではないだろうか?
コウキ
なびく赤い布。小さい背。
スクエア
どうして、こんなところに子供が居るのだろう。
スクエア
荒野に限るものではないが、ここは危険な場所だ。
スクエア
こと一人で往くことは自殺行為にも等しい。
スクエア
大人であっても、容易に死ぬ。
スクエア
「……おい」
スクエア
声を掛ける。
コウキ
「うん?」
コウキ
振り返り。
コウキ
「なにそれ!!!!!」
コウキ
「みみがはえてる!!!!!」
スクエア
「……耳くらい誰でも生えてるだろ」
スクエア
「お前、どこから来た」
コウキ
「桜町4丁目」
スクエア
「よく無事だったというべきか……」
コウキ
くびをかしげる。
スクエア
「…………」
スクエア
聞いたことがない土地の名前だ。
スクエア
微かに首を傾げる。
GM
よく見ると、少年の手には封筒があることが分かります。
スクエア
この辺りの村に、どうにか心当たりはないかと考えあぐねていたところ。
スクエア
見下ろしていた少年の、それが目に留まる。
スクエア
「……それ」
コウキ
「うん?」
スクエア
「それは、どうした」
スクエア
あなたの手元を指差す。
スクエア
「荒野のどこかで拾ったか」
コウキ
一度手元を見て、それからまた視線を上に向ける。
コウキ
「ううん」
コウキ
「秘密基地で拾った」
コウキ
「さっきまで林の中だったんだ」
コウキ
「あけたら、なんか、ここにいて」
コウキ
「これ、おれの?」
スクエア
この末裔は、それが救世主の招待状だと間もなく気づいた。
スクエア
けれど荒野は広く、過去に朽ちた“彼ら”の落とし物も少なくないだろう。
スクエア
だから『この地で拾ったのではないか』と、そのように問うた。
スクエア
あなたが無垢らしい子供で。
スクエア
あなたもまた、“彼ら”であるなんて思わなかったから。
スクエア
「…………」
スクエア
男は少年の問いに答えない。
スクエア
「コイン」
スクエア
「は、持ってるのか」
コウキ
「コイン?」
コウキ
首をかしげた。
コウキ
ゆらゆらと動いていたから、封筒が揺れて。
コウキ
封筒の中で、金属が擦れる音がした。
コウキ
「これ?」
コウキ
取り出す。
コウキ
「探してたの?」
コウキ
手のひらの中には、6ペンスコインが10枚。
スクエア
見紛うことはない。
スクエア
救世主とともに現れる、堕落の国の6ペンスコイン。
スクエア
それが、こんな。
スクエア
こんな子供の、手のひらの上にある。
コウキ
「これ、耳のお兄さんの落とし物?」
スクエア
拳を握る。
スクエア
「……いや」
スクエア
かぶりを振る。
スクエア
こんな子供、ではない。これは、救世主だ。
スクエア
末裔は徐に、少年の前に跪く。
スクエア
「それは、あなたのものです」
スクエア
だから、ならわしの通りにすべきだ。
コウキ
「えっ」
コウキ
「うん……?」
スクエア
「ここは、堕落の国」
スクエア
「あなたがいた世界とは、別の場所です」
スクエア
「この世界を救う『救世主』として、あなたは選ばれました」
コウキ
「せかいを……救う!?」
スクエア
頷く。
コウキ
「ってことは」
コウキ
「おれがほんもののほんとに、ヒーローってこと!?」
スクエア
「はい」
コウキ
「ほんと!?!?」
スクエア
「はい」
コウキ
「すっげーーー!!!」
スクエア
覆しようもなく、真実だ。
コウキ
「じゃあ、わるいやつをやっつけたり?」
コウキ
「みんなをまもったり!?」
コウキ
「それでつよいパンチとかしちゃったりして!?」
スクエア
「はい」
スクエア
「振る舞いや戦い方は、救世主様にもよりますが」
スクエア
「あなたも、そういった力は得ているでしょう」
コウキ
「あのねえ、おれねえっ」
コウキ
「わるいやつをやっつけるヒーローパンチして~」
コウキ
「それでヒーローシールドでみんなをまもるんだ~!」
スクエア
まるで絵空事のように語られる、年端のいかぬ者の言葉。
スクエア
それを成し得るのが、心の疵。
スクエア
「……その力で」
スクエア
首を垂れる。
スクエア
「どうか」
スクエア
「私たちをお救いください」
スクエア
「……ようこそ。救世主様」
コウキ
「うんっ」
コウキ
「うん!!!!!」
コウキ
「耳のお兄さんのことも守ってあげる!!!!!」
コウキ
「おれはヒーローだからな!!!」
コウキ
「任せて!!!」
GM
GM
あなたたちはそうして、荒野から村へと戻ってきます。
GM
救世主であるコウキは村の人々におおむね歓迎されるでしょう。

「あら、こんな小さい子が救世主さまなんて!」

「どうぞこの村でゆっくりしていってくださいね」

「救世主さま、あとでうちに来てくださいよ!果実のジュースがあるんでさ!」

「スクエア、救世主さまに村を案内して差し上げてくださいね」
GM
…などと。
GM
流れでスクエアさんがコウキくんを案内することになります。