リサ
救世主に抱かれたその日。その瞬間。
まだそのときは自分の心に起きたことに気付かなかった。
リサ
「救世主」はいつか導くべきもので一夜限りの「お客様」か。
「初めて自分を抱いた人」が自分にとっての「特別」になるのか。
そういった命題に晒されることさえ、気付かなかった。
リサ
次の日もいつも通りに仕事をして、特別なことはなにもなかった。夜に毛布にくるまれているとき、不意にあの夜のことを思い出した。
リサ
恋に気付いて、「救世主」の下に行こうと思った。
リサ
一緒に旅をして、救世主の世話をする白兎の末裔もいるというのだから。
リサ
亡者の話は知っている。
死んでしまうかもしれないとはわかっている。
リサ
実際に亡者を目の当たりにした時は、流石に後悔した。
リサ
リサはあの救世主に恋をしている。
しかし、それは、単なる盲目。
ブラッツ=ツェベライ
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 才覚
GM
12 村はずれ。整備されていない道が続いている。
才賀りゅう
*ブラッツの狩りへの執着 才覚で抉ります
才賀りゅう
2d6+3+2>=7 (2D6+3+2>=7) > 9[6,3]+3+2 > 14 > 成功
才賀りゅう
もともとこんな世界に来た時点でずっと苛々させられているんだ。
GM
12 村はずれ。整備されていない道が続いている。
GM
11 貯蔵庫。地下に作られてひんやりしている。今にも底をつきそうだ。
才賀りゅう
カツコツと靴の鳴る音が貯蔵庫にやってくる。
ブラッツ=ツェベライ
残っている食糧の量を検めている。
ブラッツ=ツェベライ
自分には関係のないものではあるが、人間には重要だろう。
才賀りゅう
「この村の毒はよくないよなあ。本当によくない」
ブラッツ=ツェベライ
ここから別の村に行くにも多少の時間がかかる。何日持つのか確認しておくに越したことはない。
才賀りゅう
「さっきは……ごめんねっ ゆるしてねっ」
ブラッツ=ツェベライ
「一度逃げておきながら、よくまた姿を現したものだ」
ブラッツ=ツェベライ
如何にして相手の厄介な『口』を塞ごうかと思案している。
才賀りゅう
「吸血鬼って大変そうだよね~、狩人なんてのがいてさあ」
ブラッツ=ツェベライ
膂力はこちらのほうが上だが、近づくまでにその口が回れば手も足も出なくなる。
ブラッツ=ツェベライ
「謝ると言った端からそれか」
ブラッツ=ツェベライ
聞き出された話を相手が持ち出してきたのを聞き、不快を滲ませる。
才賀りゅう
「いやあ、僕もねえ、好きな子がいたから」
ブラッツ=ツェベライ
「いつも通り呑気なのも良いことだがな」
ブラッツ=ツェベライ
「何日もぐだぐだとはしていられんぞ」
ブラッツ=ツェベライ
「村の蓄えは底を尽きかけている。この村が滅ぼうが俺にとってはどうでもいいことだが──」
ブラッツ=ツェベライ
「貴様ら人間は食糧がなければ困るだろう」
才賀りゅう
「僕ぁなんでも食えるが、サメっちがな~」
才賀りゅう
一歩ずつブラッツに近づく。何の警戒もしていないかのように。
才賀りゅう
「もっとも備蓄が尽きる前には解決すればいい、そうだろ?」
ブラッツ=ツェベライ
先ほどでさえ、もう少しその口調には取り繕うような気配があったものだが。
才賀りゅう
貯蔵庫の中程まで男はやってくる──ブラッツならばいくらでも横を抜けていけるように見える。
ブラッツ=ツェベライ
空いた空間を見て、大股に、出ていくように歩いていく。
才賀りゅう
「やる気を出せってんならね~、それ相応の物をもらいませんと」
ブラッツ=ツェベライ
すれ違いざまに、その喉を掴もうと腕を伸ばす。
才賀りゅう
ブラッツの手は空を切り、髪の毛を揺らすのみ。
ブラッツ=ツェベライ
舌打ちをして、相手へ向き直った。
ブラッツ=ツェベライ
「貴様らを仲間だと思ったことなどない」
ブラッツ=ツェベライ
言い放ってから、眉根を寄せる。
才賀りゅう
「僕とは遊びだったのね~っ」オヨヨと泣く仕草。
ブラッツ=ツェベライ
「……もちろん、あの亡者を斃すのに協力する、という意味では、そういう言い方もできるかもしれんが」
ブラッツ=ツェベライ
どことない違和感は、今度は相手ではなく自分に対してだった。
才賀りゅう
「そうそう、1人より2人、2人より3人」
ブラッツ=ツェベライ
狩りと一口に言っても、その手法は様々だ。
才賀りゅう
「……ところで僕ら『閉じ込められちゃいましたね!』」
ブラッツ=ツェベライ
堕落の国に来る前、元の世界では暴力を用いて狩りをしたことはなかった。
ブラッツ=ツェベライ
堕落の国に来てからも、元の世界と変わらず暴力を用いて面倒を起こすことは避けてきた。
才賀りゅう
仲間だと思われていない事に苛立ちを覚えるほど若くもない。
才賀りゅう
「いやねえ、ご存知の通り、僕ぁ陰湿なんです」
ブラッツ=ツェベライ
さっき自分がこの男にしたことは何だ?
才賀りゅう
「やられたらたっぷりやり返さないと……と言っても!」
才賀りゅう
「狩人に狩られた弱い生き物だからな僕は~!」
ブラッツ=ツェベライ
再び、相手を押さえ込もうとする。
才賀りゅう
手を伸ばせば届きそうな距離で男は笑う。しかし、その手はこの男を掴むことは、できない。
ブラッツ=ツェベライ
心の疵を引き換えにした異能は救世主がみな持ち合わせているもの。
ブラッツ=ツェベライ
その力の種類は疵の形に合わせてさまざま。
ブラッツ=ツェベライ
「だが、異能を使えるのは貴様だけではないぞ」
ブラッツ=ツェベライ
言葉とともに、才賀の背後で食料を詰めたずた袋が持ち上がる。
ブラッツ=ツェベライ
その背を打ち据えようと宙に浮き、飛来する。
ブラッツ=ツェベライ
吸血鬼の瞳が赤く輝き、視線が才賀の唇の動きを追う。
才賀りゅう
袋の飛来を見て──「なんだ『何も入ってない』じゃないか」
ブラッツ=ツェベライ
唇が動いたのを見てから、捕まえようと動いた。
才賀りゅう
「あっヤバ、何入ってたんだろう。消しちゃったな」ぺにゃりと自分に被さったずた袋を掴み──
ブラッツ=ツェベライ
喉を掴もうとした手が、差し出された袋を受け取る。
才賀りゅう
「どうしたのどうしたの?『僕の喉を狙っても無駄』だよ」
才賀りゅう
ブラッツの体が、いつの間にか現れた椅子に座らされる。
ブラッツ=ツェベライ
膝から力が抜け、言うとおりに腰かける。
才賀りゅう
先程奪われた血液を補おうと肉体が反応する。奇跡の力が、疵の力が強く反応する。
才賀りゅう
本来ならばなし得ない荒業も、今この時だけは強制力をより強くしていた。
才賀りゅう
「貴様らは俺にとって獲物だ……って言ったよなあ~ブラちゃん!」
ブラッツ=ツェベライ
そうだ。吸血鬼にとって人間は餌に過ぎない。
才賀りゅう
「でもですね~!同じ救世主じゃないですかぁ!」
ブラッツの横に立ち、馴れ馴れしくその肩に肘を置く。
ブラッツ=ツェベライ
同じ救世主であろうと、吸血鬼が餌である人間にやり込められるなどあってはならない。
才賀りゅう
「だ☆か☆ら、獲物だとか狩りだとかそんなの一旦『忘れちゃいません?』」
ブラッツ=ツェベライ
だが、救世主である以上、すべてがコインの枚数と心の疵に縛られる以上は。
ブラッツ=ツェベライ
吸血鬼であろうが人間であろうが関係ない。体格や性別や膂力の差さえ無視される。
ブラッツ=ツェベライ
であるならば、この吸血鬼がその差に拘泥するのは異常性だ。
才賀りゅう
「それは……昔のなんだっけ、生門チャンの事があるからかな?!」
ブラッツ=ツェベライ
「俺たちは、貴様ら人間を喰らうものだ」
ブラッツ=ツェベライ
名前を出され、表情がなお険しくなる。
才賀りゅう
「でも生門っちは喰えなかったんだね~」
ブラッツ=ツェベライ
吸血鬼が獲物を求めるように、狩人も吸血鬼という敵を求めている。
ブラッツ=ツェベライ
狩人の存在意義がなくならないように、吸血鬼は強大な存在でなければならない?
ブラッツ=ツェベライ
……いや、違う。そんなことは考えていない。
ブラッツ=ツェベライ
知らないのだ。あの男が殺すのをやめ、馴れ合いを選んだ理由を知らない。
ブラッツ=ツェベライ
理由を話さないままあの男は死んだ。
才賀りゅう
それを何もわからないまま、理由のひとつも知ることができないまま。
才賀りゅう
「僕らこれからさあ、戦うワケじゃな~い」
才賀りゅう
「そのこだわり、『それは必要なのかな?』」
ブラッツ=ツェベライ
「……っ、当たり、前、だ……」
ブラッツ=ツェベライ
苦し気に吸血鬼は言う。その正当性が言葉を聞いてるだけで揺らいでいく。
才賀りゅう
「もう救世主になっちゃったんだから『もうわかってるんだろ』」
才賀りゅう
「『そんな事を覚えていてもしょうがない』」
才賀りゅう
この男の心の中にいる"誰か"が腹立たしい。そう思う自分も腹立たしい。この村は最悪だ。
才賀りゅう
「名前も姿も、吸血鬼つって長く生きるなら『忘れちゃう』だろ~?」
才賀りゅう
苛立って、爪を立てるように言葉を投げかける。
ブラッツ=ツェベライ
「あの男も、ほかの人間とは違う」
ブラッツ=ツェベライ
「忘れることなどあり得ない」
才賀りゅう
自分の中の神聖な領域にその足を入れようとする、おぞましい毒の気配。
ブラッツ=ツェベライ
生涯、二度と感じ得ないと思っていた感覚が、容易く呼び起こされ、揺さぶられた。
ブラッツ=ツェベライ
この村の末裔の血が吸えたものではない、と思ったのは本当だ。
ブラッツ=ツェベライ
だが、すぐさまああして才賀の血を吸い害したのは、その行為に踏み切ったのは何故だ?
ブラッツ=ツェベライ
「……毒が厄介だというのは認識している」
ブラッツ=ツェベライ
「あの亡者を殺せばすべて済むことだ」
才賀りゅう
「けど踏み込んだのはブラッツ、アンタだよ」
才賀りゅう
「嫌な予感って何だったか教えてやろうか」
才賀りゅう
「聞かれちゃったらなあ、しょうがないよなあ」
才賀りゅう
『お前はもう僕の話を聞くしかないんだよ』
ブラッツ=ツェベライ
この目の前の男が感じていたものかは分からないが。
ブラッツ=ツェベライ
だが、耳を塞ぐことも目を逸らすこともできない。
才賀りゅう
「けどこの村にいると『それを忘れてしまいそうになる』」
ブラッツ=ツェベライ
やめろ、という制止の声が喉元で止まる。
ブラッツ=ツェベライ
立ち上がろうとしても腰かけたまま、押さえつけられたようにただ跳ねただけだった。
ブラッツ=ツェベライ
「……俺は、貴様とは、違う」
才賀りゅう
「無駄だよ、『どうあがいても立てやしない!』」
才賀りゅう
かなわない願いがあって、叶えられない願いがあって、いまここに。
ブラッツ=ツェベライ
相手が何をしようとしているのかを察し、動いていないはずの心臓が跳ねる。
才賀りゅう
愛したものの肉体を、咀嚼して、飲み下したいという欲求。
才賀りゅう
それが物心ついた時から自分につきまとっていた。
ブラッツ=ツェベライ
相手を簡単に押しのけられるはずだ。
才賀りゅう
男の口が開く。温度と湿度のある、人間の口。
ブラッツ=ツェベライ
人ならざる冷たい皮膚に触れる。
才賀りゅう
温度のない肉にあっさりと、パンのように。
ブラッツ=ツェベライ
才賀の歯は確かに、冷えた肉を噛み砕いた。
ブラッツ=ツェベライ
だがその肉は、あっさりと口の中でほどけて崩れる。
ブラッツ=ツェベライ
吸血鬼の肩からは血がにじむことなく、灰の乗った白い肉があるだけだった。
ブラッツ=ツェベライ
「っ……貴様、貴様、貴様……」
才賀りゅう
合わさった歯が離れ、舌なめずりの気配がある。
ブラッツ=ツェベライ
「この俺を、捕食者たる吸血鬼の頸を……」
才賀りゅう
「ただまあ、肉の感触は物足りないかな」
才賀りゅう
ひどい味だ。味と形容するのも耐え難い。
ブラッツ=ツェベライ
冷えた墓土のような香りが鼻に抜ける。
ブラッツ=ツェベライ
吸血鬼は歯を食いしばり、才賀を睨んでいる。
才賀りゅう
それでも、本当に不愉快なのは、この灰を飲んだ事に、たしかに満足感があることだ。
ブラッツ=ツェベライ
ただずかずかと土足で心を踏み荒らされただけなのに、あなたの心には確かにこの吸血鬼への感情が植え付けられている。
ブラッツ=ツェベライ
ぎり、と歯ぎしりの音がした。
才賀りゅう
好きな人を食べてしまいたい。その欲求がかなわないとなった時の絶望を、目の前が暗くなるような思いを。
ブラッツ=ツェベライ
それがあなたの言葉一つで、無理矢理に開かされるものだとしても、それこそが矜持だというように。
才賀りゅう
思い出させたのだから、これぐらいしてもいい。
才賀りゅう
貯蔵庫にとびっきり大きな笑い声が響く。
ブラッツ=ツェベライ
「貴様には、必ずこの屈辱を返してやる……」
ブラッツ=ツェベライ
自分が先に手を出したことを棚上げし、吸血鬼は唸る。
才賀りゅう
「そんなあ!怖いな~『そんな事考えないでくださいよ!』」
ブラッツ=ツェベライ
呻いたのは、その言葉が力を持っていることを解したからだった。
才賀りゅう
「はは、『仲間でしょ』『アンタはそんな事できない』『少なくとも僕は殺せない』」
ブラッツ=ツェベライ
だが、怒りが、まだ心の裡にあることを確かめて、感情は安堵に変わる。
ブラッツ=ツェベライ
「そのみょうな力も、限度はあるらしいな」
才賀りゅう
ただ、その言葉の濫用は──長くは続かない。舌の根が痛む。
ブラッツ=ツェベライ
「少なくとも、この俺の心に縄を括ることまではできんようだ」
才賀りゅう
できない事はある。力も弱まる。わずかにでも潤った疵の力は、その精彩を欠く。
ブラッツ=ツェベライ
「そして、効いていた力も、いつまでもというわけではない」
ブラッツ=ツェベライ
ぎしぎしと音を立てながら、立ち上がる。
ブラッツ=ツェベライ
負荷がかかっているのは明らかだったが、吸血鬼は確かに立ち上がった。
ブラッツ=ツェベライ
脚から力が抜け、土の地面に膝を突く。
才賀りゅう
最初に会ったときより随分と攻撃的な視線。
ブラッツ=ツェベライ
そこには才賀に対する確かな感情が籠められている。
才賀りゅう
「まっ、仲間ですからね~これ以上はね!止めといたげますよ……」
ブラッツ=ツェベライ
ぼろぼろと、肩から灰が土の地面に零れ落ちた。
ブラッツ=ツェベライ
こうして無様を晒しているのにも関わらず、見逃されるというのは。
ブラッツ=ツェベライ
吸血鬼は黙って、肩口を払った。
ブラッツ=ツェベライ
ブラッツにとって、自らに対する治癒は不死者としての再生能力として現れる。
ブラッツ=ツェベライ
灰をすべて落とし終わった時、肩に傷はもはやない。
才賀りゅう
「何?僕と仲良くする気になってくれたんですか~!?」
才賀りゅう
「はいはい、19時にパルコ前ね、忘れてないよ♡」
ブラッツ=ツェベライ
それ以上、吸血鬼は何も言わなかった。まだ立てるまでには時間がかかるのかもしれなかった。
ブラッツ=ツェベライ
あるいは、才賀が引き返して来て、復讐されないようにこちらに手を出してくるその時を待ちうけているようにも見える。
才賀りゅう
しかし、才賀は、あなたをそのままにして貯蔵庫を出ていく。
才賀りゅう
胃の腑に落ちた灰を燃料にして燃える感情を消すこともできず、ただ離れる。
ブラッツ=ツェベライ
認めざるを得ない激しい感情が、胸に息づいている。
[ 才賀りゅう ] 茶 : 1 → 0
[ ブラッツ=ツェベライ ] 狩りへの執着 : 0 → 1
GM
*ブラッツ=ツェベライは『才賀りゅうへの恋心』を付与。
ブラッツ=ツェベライ
暗い貯蔵庫の中、立ち上がった。
ブラッツ=ツェベライ
言葉で縛り付けられただけにもかかわらず、疲労感が濃い。
ブラッツ=ツェベライ
よろけて、柱に体がぶつかる。
ブラッツ=ツェベライ
何が仲間だ。そう言った口で、肩を噛みちぎっておいて。
ブラッツ=ツェベライ
仲間の体に歯を立てた、という点ではまったく同じことをしたけれど、吸血鬼は己のことを棚に上げている。
ブラッツ=ツェベライ
その身体に血はほとんど流れていない。血を送るポンプを本来は必要としない。
ブラッツ=ツェベライ
その心臓が動くことがあるとするならば、精神に引きずられてのことだ。
ブラッツ=ツェベライ
あの男。あの才賀とか言う男。
ブラッツ=ツェベライ
考えるたびに怒りが胸の裡を占める。
ブラッツ=ツェベライ
村の何処かから聞こえた悲鳴さえ、耳に入らないほどに。
ブラッツ=ツェベライ
胸にずっと懐いていた大切なものさえ塗りつぶされるほどに。
ブラッツ=ツェベライ
かぶりを振り、柱から体を離す。
ブラッツ=ツェベライ
それが、〈まずい〉心の動きであることを自分に言い聞かせる。
ブラッツ=ツェベライ
斃さねばならないのはあの亡者だ。
ブラッツ=ツェベライ
それまでは、あの才賀とやり合っている場合ではない。
ブラッツ=ツェベライ
……少なくとも、あの心の疵の力に対抗する方策を考えるまでは。
ブラッツ=ツェベライ
「あの赤毛は何をしている……」
ブラッツ=ツェベライ
怒りのままに、憎悪のままに頭の中が自分に屈辱を与えた男で占められるのを振り払って、
ブラッツ=ツェベライ
吸血鬼は貯蔵庫から出る階段を上がった。
ブラッツ=ツェベライ
すでに消えた傷、肩の痛みは、強くなる一方だった。
才賀りゅう
「……『裁判が起きればこっちに来るだろう』……」
才賀りゅう
予防線を張っておくだけで疲れを感じる。……調子が良かったからといって、調子に乗りすぎた。
才賀りゅう
(君の事を本当に大切に思っている)(妹が病気なんだ)(海外で移植のために金が必要で……でも大丈夫)(こんなに?)(ありがとう、あの子が治ったら、結婚しよう)
才賀りゅう
それはたった一人、愛したひとの体を食うために。
才賀りゅう
興味を持ったものを口に入れては食べてしまうくせがあった。親はこれで随分と苦労したらしいし、病院に駆け込む事もあった。
才賀りゅう
好きなものを食べる。好きだから食べる。それが『食べなければ愛せない』に変わったのはいつだったか。
才賀りゅう
そしてそれはこれから先も、人間に理性と法のある限り。
才賀りゅう
ああそれでも、チャンスがあった。本当に心から愛することができると思ったのに。
才賀りゅう
こんな土地に来て、知らない男の、肉とも呼べないものを食った。
サメル
興味がない、とも言っていられない。亡者を倒さなければ、今の状況は変わらない。
GM
向かう道すがらには末裔の亡骸が転がっている。
GM
ラビングラビットのかかとは猟奇のピンヒール。
GM
入り口に大きな穴が空いており、中から悲鳴が聞こえる。
サメル
どちらにしても、状況は確認しなければならない。
ラビングラビット
狭い室内で身を屈めて、中にいる末裔を鏖殺している。
ラビングラビット
濃厚な血の匂いが、毒の甘さに勝るとも劣らず香っている。
サメル
床に肉片が散らばっている。血で赤く染まっている。
サメル
一人では倒せないだろう。
才賀とブラッツを呼ぶべきか。
サメル
どうせ助からない。一人では亡者も倒せない。
GM
踵を返す後ろで、宿屋が壊れていく破砕音が聞こえてくる。
サメル
探すならブラッツだろう。才賀は心の疵の力でどうとでもできるはずだ。
GM
2階に行こうとすれば、それだけで建物は壊れていく。
サメル
逆に言えば、才賀にその気がなければ探し出すことはできない。
GM
宿屋が全壊し、その瓦礫の中でラビングラビットが立っている。
GM
さきほどまで倒錯に耽っていた末裔達が、それぞれ武器とは言い切れない武器を手にしてラビングラビットに向かっている。
サメル
彼らの選択には何も思わない。野生の生き物は、それぞれ生きるための選択をする。
GM
亡者は毒を放つ。単なる闘争。恋心でも、倒錯を誘う毒でもなく、ただの毒の霧。
GM
たまたま風下にいた、戦う意志のない末裔たちもまた巻き添えになる。
サメル
ブラッツが行きそうな場所に足を向ける。
人気の多い、少ないは関係なく。
ラビングラビット
ラビングラビットを遮る末裔がおおよそ倒れたのち、
ラビングラビット
邪魔者はいなくなったかのように。
ラビングラビット
仲間を探し、周囲を見やるあなたに首を傾げる。
ラビングラビット
先回りをするように、サメルの前に立つ。
ラビングラビット
村人が死のうとも、救世主に求められる役割を果さなくても。
ラビングラビット
彼らの上にあるあなたのことを否定しない。
ラビングラビット
ただあなたに何度も心臓を差し出すだけだ。
ブラッツ=ツェベライ
毒に斃れ、あるいは血塗れとなって死んだ末裔たちを一瞥して、吸血鬼が胡乱な声を上げる。
ブラッツ=ツェベライ
さらに視線を向ければ、その先には亡者。
ブラッツ=ツェベライ
相対するサメルに、己の心臓を差し出している。
ブラッツ=ツェベライ
まるで愛の告白のように、と、素直に吸血鬼も受け止めた。
ブラッツ=ツェベライ
「それより、この亡者は何をしている」
ブラッツ=ツェベライ
「ならば、奴を探しながら亡者を殺すか」
サメル
「そうですね~、まぁ、裁判になれば来るでしょう」
サメル
大振りのナイフを取り出す。
今度は隙間から落ちてゆかないように。
ラビングラビット
地ならしをするように、地面をしたたかに踏む。
ブラッツ=ツェベライ
立ちはだかった巨体を見上げ、腕を広げる。
ブラッツ=ツェベライ
脚に力を込めて、倒れぬように踏みしめる。
ブラッツ=ツェベライ
亡者がなにかしてくるのなら、自分が防ぐつもりだった。
ラビングラビット
ラビングラビットはあなたに背を向け、あくまでもサメルに執心する。
ブラッツ=ツェベライ
心臓を、サメルに差し出している。
サメル
ブラッツに任せるように、少し身を引く。あの男の方が頑丈だ。
才賀りゅう
「え?亡者と交流してんの?」村の入口方面から歩いてくる男。
ブラッツ=ツェベライ
「才賀……」ぴくりと眉を跳ね上げたが、それだけだ。
才賀りゅう
ブラッツの方に一度視線を送るも、それだけ。
ブラッツ=ツェベライ
「ちょうどいい。逃がさないようにしろ」
才賀りゅう
「スタバ探してたら時間掛かっちゃって~」
ラビングラビット
理解が追いついていない、とでもいうように、血走った目で救世主たちを見る。
才賀りゅう
「『足に力が入らなくなっていく』……」ラビングラビットに向かって、言葉を投げかける。
ラビングラビット
手から取り損なった心臓が地面に落ちる。
才賀りゅう
「『サメルの視線で、動きたくなくなる』……」
才賀りゅう
『この場にとどまって、みつめられていたい』
才賀りゅう
「あ、効いてる効いてる。サメっち今のうちに心臓?拾って投げちゃおうゼ☆」
ラビングラビット
恋は盲目。それ以外には目が向かないとでもいうように、ただサメルを見ている。
ブラッツ=ツェベライ
才賀の言葉に従って動かなくなる亡者を見た。
サメル
こんなに大きな肉の塊を踏み抜けるはずはない。
ラビングラビット
あなたが踏み抜くと、それは容易く破裂する。
才賀りゅう
毒を避けろ、と咄嗟の一言が出なかった。
ブラッツ=ツェベライ
仲間を護るために立ちはだかる役割である吸血鬼は、毒を浴びることをわずか躊躇った。
ラビングラビット
その拒絶にさえ何らかを見いだしているかのように、
ラビングラビット
しかし肋骨から伸びる赤い動脈が、不意に動く。
ラビングラビット
毒にまみれたサメルの身体にそれは伸び、縛り付けようとする。
ラビングラビット
*サメルの心の疵『人間讃歌』を舐めます。愛。
ブラッツ=ツェベライ
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 愛
ブラッツ=ツェベライ
2d6+3+2=>7 判定(+愛) (2D6+3+2>=7) > 6[5,1]+3+2 > 11 > 成功
[ サメル ] ティーセット : 2 → 1
ラビングラビット
2d+3-3-2>=7 (2D6+3-3-2>=7) > 2[1,1]+3-3-2 > 0 > 失敗
[ サメル ] ヤリイカ : 1 → 0
ブラッツ=ツェベライ
サメルの周囲を黒い霧が覆う。
ブラッツ=ツェベライ
瞬きの後にはサメルの前に吸血鬼が立ち、動脈を代わりに受ける。
[ ブラッツ=ツェベライ ] HP : 20 → 19
ラビングラビット
ラビングラビットは一度ブラッツを掴むものの、縛ろうとはしない。
ラビングラビット
今や数ある亡者の一つにすぎない。
ラビングラビット
才賀の与えた言葉はもはや意味をなさなくなったかのように起き上がる。
ラビングラビット
愛する人が現れて、目に飛び込んでくることと大振りのナイフ。どちらが深々と刺さるか。
ラビングラビット
ラビングラビットは跳躍し、その場を去る。
ラビングラビット
目に突き立てられたナイフを、両の手で大切そうに抱えながら。
ラビングラビット
*お茶会 ラウンド2 ブラッツ=ツェベライ
ブラッツ=ツェベライ
動脈に掴まれていた場所を手で払い、サメルを振り返る。
サメル
「心臓を貫いても、頭を貫いても生きている。困りましたねぇ」
ブラッツ=ツェベライ
「一度や二度殺しただけでは殺せんということだろう」
ブラッツ=ツェベライ
「怪物というのはそういうものだ」
ブラッツ=ツェベライ
「心臓を貫こうが、頭を貫こうが、立ってくるやつは立ってくる」
ブラッツ=ツェベライ
「あの亡者、ずいぶん貴様に執着していたようだったな」
サメル
全員に元カレや元カノがいてたまるか
いやいるの普通だわ
才賀りゅう
「この辺にあるんだけどな~」ダウジングロッドで探る仕草。
ブラッツ=ツェベライ
「この村に訪れるのは二度目だったな」
ブラッツ=ツェベライ
「クイズなどやっている場合か」
才賀りゅう
「つかメチャクチャになっててウケるな」
ブラッツ=ツェベライ
「食い扶持が減ってよいことだろう」
才賀りゅう
「ま……ンなこたこの際どうでもいいんですワ……」
才賀りゅう
「売春婦でも買ったんでしょ~男子ってサイテ~!」
サメル
「え~、じゃあわかったって所からやろっか」
サメル
「正解は、宿のサービスで抱いた末裔でした~!」
ブラッツ=ツェベライ
「ずいぶんと執心されたものだな」
ブラッツ=ツェベライ
「末裔ひとりの面倒さえ見切れんとはな」
サメル
「いや~、知らない間に追いかけてきて、知らない間に死んでたんで、全部知らない話っすね~」
サメル
「直接何か言ってくれれば、それなりにかわいがったりもできたんですけどね」
サメル
「あなたが気付かせた恋が、あなたなしで育っていくって奴ですかね?」
ブラッツ=ツェベライ
「愚かな女に好かれたものだな」
ブラッツ=ツェベライ
「まあ、人間如きには似合いか」
才賀りゅう
「それで怪獣になられちゃたまったもんじゃないっすね~」
サメル
「え~?今彼女とか募集してないんですけどね~」
サメル
「怪獣じゃあ、抱くこともできませんからなぁ」
ブラッツ=ツェベライ
「それでもあの亡者は、またお前を目がけてやってくるのだろう」
才賀りゅう
「サメちゃんの写真でも壁に貼っとこうぜ」
才賀りゅう
「いいよ~次ちょっと脱いでみようかぁ」エアカメラでパシャパシャ
ブラッツ=ツェベライ
「どうおびき寄せるにして、どう殺すとしても、だ……」
ブラッツ=ツェベライ
「次はきっちり殺せ。いい加減、このくだらん毒にうんざりしてきたところだからな」
サメル
「え~?でももういっぱい刺したんですけど~」
ブラッツ=ツェベライ
「この調子では、こちらまであの化け物のように亡者になりかねん」
才賀りゅう
「あ~いいよいいよ~じゃ次は下脱いでみよ……あっ話進んでる」
サメル
「逆にブラちゃん、あれを倒す方法思いつきません?毒には詳しいんじゃないです?」
ブラッツ=ツェベライ
「堕落の国の毒は心の疵から成るものが多い」
サメル
写真撮影は終わったようなので、ネクタイを締め直す。
ブラッツ=ツェベライ
「心の疵のかたちは救世主や亡者によって異なる。あれがどういうものか詳しいのは……」
サメル
話を聞いているのかいないのか、髪の毛をいじいじしている。
ブラッツ=ツェベライ
「あの亡者や、あの亡者のもとになった末裔に詳しいものだろうよ」
サメル
「まだ生きてるかな?ていうか、まだ聞ける話あるかな?」
ブラッツ=ツェベライ
「…それに今さら、分かったとて解毒できるというわけでもあるまい」
ブラッツ=ツェベライ
「毒を消すには、亡者を殺すことだ」
サメル
「なんか~、三角木馬の亡者に殺されたって~」
サメル
「本当、あの亡者は殺されたくない亡者歴代トップ3に入る」
ブラッツ=ツェベライ
あんなにまたがらせられて……
才賀りゅう
「サメっちの 股が裂けんで よかったな」
サメル
「ブラッツが 守ってくれない かなしいな」
ブラッツ=ツェベライ
「まあ救世主でなければ、貴様らも死んでいたかもしれんが」
ブラッツ=ツェベライ
俺はこの世界に来てむしろ死にやすくなったが……
サメル
「股が裂け それでもどっこい 生きている」
ブラッツ=ツェベライ
「死ぬまで殺されなければ死なんのは、亡者も救世主も同じだ」
サメル
「いや、実際裂けていないんですけどね……」
才賀りゅう
「どっちでも 死ぬまで殺すと 死ぬんだぞ」
ブラッツ=ツェベライ
「その違いがどこにあるのかは俺は知らんが」
ブラッツ=ツェベライ
「せいぜい、気張って殺すことだ。あの亡者は執拗にお前を狙うだろうからな」
ブラッツ=ツェベライ
*サメルの『人間讃歌』を愛で抉ります。
才賀りゅう
「この末裔の死体の山で一句……(笑)」
GM
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 才覚
GM
2d6+3>=7 (2D6+3>=7) > 7[2,5]+3 > 10 > 成功
サメル
「死体だぞ いっぱい死んでて きたないな」
ブラッツ=ツェベライ
2d6+3+2-2=>7 判定(+愛) (2D6+3+2-2>=7) > 7[6,1]+3+2-2 > 10 > 成功
才賀りゅう
「死にすぎて 死体の処理が 追いつかぬ」
[ ラビングラビット ] HP : 62 → 61
[ ブラッツ=ツェベライ ] ティーセット : 1 → 0
ブラッツ=ツェベライ
「人間のことは人間同士で片付けろ。この俺を巻き込むな」
ブラッツ=ツェベライ
「もちろん、あの亡者を殺すことには協力するがな」
サメル
「つめた~い!2-Bはずっと友達でいようねって言ったのに~!」
ブラッツ=ツェベライ
「くだらん人間同士の愁嘆場に巻き込むな、と言っているのだ」
才賀りゅう
「ちょっと男子真面目に合唱しなさいよ~!」
サメル
「そういう事言うと、クラスラインでハブられるよ~」
ブラッツ=ツェベライ
「あの亡者にも同じ顔で接してやればどうだ?」
ブラッツ=ツェベライ
「案外、違う反応が見られるかもしれんぞ」
ブラッツ=ツェベライ
「何せ亡者になるほどに、貴様に執着しているのだからな」
ブラッツ=ツェベライ
「死ぬ前に優しくしてやれば、本望だろうよ」
ブラッツ=ツェベライ
「人間というのはそういう愚かしさのある生き物だろう」
才賀りゅう
「デートの最後に指輪でも見せればイチコロよ」
サメル
「指輪買わなきゃな~。一緒に選んでくれる?」
ブラッツ=ツェベライ
じっとサメルの様子を見ている。
サメル
「え~、喜んでもらえるかな……しんぱ~い!」
ブラッツ=ツェベライ
己にとっては救世主だろうが末裔だろうが関係がない。
ブラッツ=ツェベライ
同じ人間という下等な生き物でしかないという視線が刺さる。
才賀りゅう
「大丈夫大丈夫、末裔も救世主も好みに対して違いなんてないっしょ!」
サメル
くだらん人間同士と、ひとまとめにされている。
ブラッツ=ツェベライ
「この村に、装飾品などと言う洒落たものがあればの話だがな」
サメル
「そっか……、わかった!メルカリで高く売れそうなの選んでみる!」
ブラッツ=ツェベライ
「……で、拠点にできそうな場所は見つかったか?」
才賀りゅう
色々してたらなんか……タイミングが……
ブラッツ=ツェベライ
「これだけ死んでいれば、空家のひとつやふたつぐらい見つかるか」
ブラッツ=ツェベライ
この吸血鬼がサメルをどう認識しているかが変わるわけではない。
才賀りゅう
「ま、居ても救世主なんで適当に泊めてもらえるっしょ」
サメル
この男は、この吸血鬼は。
末裔と救世主を、獣と人間を、同じ下等な生き物だと認識している。
ブラッツ=ツェベライ
「では、別行動はもうやめにするか」
ブラッツ=ツェベライ
「何にせよ、あの亡者は貴様めがけてやってくるのだからな」
ブラッツ=ツェベライ
そのこと自体を嘲弄するように言って、吸血鬼はサメルから視線を逸らした。
サメル
人間を見下す吸血鬼様に、手を貸して頂かなければならない。
サメル
「りゅうちぇるも頼りにしてますよ~☆かよわいボクチンを守って♡」
サメル
人間に助けを乞うのはいい。
人間は対等な存在だ。
サメル
しかし、人間ではないくせに、人間を見下すあれは、何だ?
才賀りゅう
「ま、1人旅になるぐらいならね~、ちゃんとやりますとも」
サメル
胸が感情で満たされる。
ぐつぐつと煮えたぎるような激しい怒り。
サメル
「ま、めんどくささで言えば協力した方がマシですわな」
サメル
ブラッツが視界に入る度に心が揺らぐ。
関節に妙な力が入る。震えそうになるのを抑えている。
[ サメル ] 人間讃歌 : 0 → 1
GM
*サメルは『ブラッツ=ツェベライへの恋心』を付与されました。
GM
残りはサメルの手番とラビラビの手番ですね。そのあと裁判。
サメル
* 才賀の心の疵『異食症』を抉ります。
判定は後ほど
サメル
4 空き家。村に宿はなく、宿泊希望の旅人はこの家の一室に案内される。
GM
この村には宿あったんですけど、もうないので正しいですね。
ブラッツ=ツェベライ
死人が増えたので空家も増えた。
サメル
玄関前で家主が死んでいたので、間違いなく空き家だ。
才賀りゅう
「お招き頂きありがとうございま~す!」
ブラッツ=ツェベライ
家の中を見回し、椅子に腰を下ろす。
ブラッツ=ツェベライ
肩を確かめるように手を置いている。
サメル
「謝礼貰ったりするより、家を漁っていった方がいいかもな~」
才賀りゅう
「末裔が全滅したぐらいで僕らもやりましょうか」
サメル
「まぁ、あの毒に侵された住民たちですし、案外殺されながら喜んでいたかも」
才賀りゅう
汚れた食器類から目を逸らして、サメルの方に体を向ける。
才賀りゅう
「いやあ気持ちよく死ねてよかっただろうなあ(棒)」
サメル
金目のものがありそうな引き出しなんかを開けてみている。
才賀りゅう
「どうです~? この村全部ひっくり返すぐらいでいかないとなさそうですね」
ブラッツ=ツェベライ
ちらっとそちらを見て、また視線を戻した。
ブラッツ=ツェベライ
家探しは家探ししたい奴に任せる。
サメル
2階には寝室や子供部屋がある。
外に子供はいなかった。生きているのか、どこかで死んでいるのか。
才賀りゅう
なんとなくサメルを追ってみる……いや、ブラッツと二人きりになることを避けた。
才賀りゅう
「子供のうちからあんな特殊プレイに染まっちゃったら大変だろうな」
才賀りゅう
子供部屋を見回す。簡素なおもちゃや小さな服が転がっている。
サメル
壁に貼ってある絵やぬいぐるみを眺める。女の子の部屋だ。
サメル
いかにも端切れで作ったようなぬいぐるみを手に取って、ベッドに腰掛けた。
才賀りゅう
「サメっちさ~、ブラっちのこと……どう思う!?」
才賀りゅう
「この村で恋とか……ナイデショ!?!?」
才賀りゅう
「いやなんか将来的に殺傷事件に発展しそうな空気を感じて」
サメル
「あの吸血鬼、一回シメる必要ありますよね~」
才賀りゅう
「まあでもですよ、殺したら殺したでな~」
才賀りゅう
「あ、でも僕さっきちょっと分からせ……しちゃいましたね!」
サメル
「エ~~~ッ!!ぬけがけズル~~~いッ!!」
才賀りゅう
「ほら僕、言った事が起きるタイプの有言実行男なんで」
才賀りゅう
「それでブラちゃんの昔の男の話……聞いちゃった!」
才賀りゅう
「なんかずっと好きなヒト……?いるらしいヨ……!」
才賀りゅう
「まあもう死んでるらしいけどな、ウケる~」
才賀りゅう
「ア……!可愛くないこといっちゃった……!」
才賀りゅう
「僕らだけでもこのクソ村でかわいく生きていこうな!」
サメル
「かわいくなければ生きる価値なんてないもんな!」
サメル
「しかし、好きな人か……。その人がここにいたら、そいつを痛めつけたりできたんですけどね~」
サメル
「うっかり堕落の国に落ちててそのへんいませんかね~」
才賀りゅう
「あ~『実は堕落の国に落ちて、どこかで生きている』とか……」
才賀りゅう
「そこになかったらないですね」言いながら窓の外を見る。滅びかけの村があるばかり。
才賀りゅう
「もっとコインがあればな~いけるかもな~みたいな」
才賀りゅう
「なんかあんまり無法はできないんですよね」
才賀りゅう
「サメル……『お前女だったのか!?』とか……」
才賀りゅう
「今のならないと思いますけど、なってたら責任取ります(笑)」
才賀りゅう
サメルが触ったのはごくありきたりな一般男性乳だ。
サメル
「これ女になってたら、りゅうちぇる殴り殺してますからね」
才賀りゅう
「危なかった~死を回避するセンスがあるな僕は」
サメル
「毒もそうなんですけど~、結構~、自分を変えられるの地雷なんで~、よろしくお願いしますね~」
才賀りゅう
「え~自分をエボリューションしたくないんでござるか~?」
サメル
「そういうの押し付けるのムカつきません?」
才賀りゅう
「だからアレですよね~、僕らを餌とか言っちゃうブラっちって……よくないよね!」
才賀りゅう
「だから……ちょっとだけ、わからせちゃってもしょうがないよね!」
サメル
「むしろ……わからせた方が……ブラっちのため……じゃない!?」
才賀りゅう
戸棚の上に置かれていた小さな木人形を手に持って弄ぶ。
サメル
「でも、普通に痛めつけるのもつまんないですよね~。おちんちんちょんぎったりします?」
才賀りゅう
「おっ、さすが新人教育する立場にあったであろう人」
才賀りゅう
思わず一句詠みながら手を口元に持っていく。
才賀りゅう
「他人のチンコ見る趣味はあんまりな……」
サメル
「真面目な話、腕とか足とか切り取ってもそんなメンタルに来ないですよね……。ああ、四肢全部もぎます?」
才賀りゅう
「う~ん、それもいいけど……荷物にならない?」
才賀りゅう
「せめて次の回復能力持ちが見つからないとですねえ」
サメル
「首だけにして回復アイテムにしてもいいですけど~」
才賀りゅう
「っていうかあいつ再生するし、四肢ポロしても即生えするんじゃないですか?」
才賀りゅう
「いくらでも喰えてお得みたいなとこありますけどね~」
サメル
「ていうか食えてお得って。食ったんですか?」
才賀りゅう
戸棚に手を戻す。木人形の頭がかじり取られていた。
サメル
「じゃあ、ブラっちをもうちょっと齧りたかったり……しちゃう?」
才賀りゅう
「実際あの生意気太郎、も~ちょっと齧ってやってもいいと思いますよね~~~?」
才賀りゅう
「見せちゃいますか……?人間よりスゴいってとこ……?」
サメル
* りゅうちぇるの心の疵『異食症』を抉ります。判定は猟奇。
GM
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 猟奇
GM
2d6>=7 (2D6>=7) > 9[6,3] > 9 > 成功
サメル
2d6+3+2 (2D6+3+2) > 10[4,6]+3+2 > 15
サメル
ちいかわでダイスを振ると、おおきい目が出る……ってコト!?
サメル
抱えていた小さいぬいぐるみを、ベッドの上にきちんと座らせた。
才賀りゅう
棚の上の木人形を掴んで、がじがじとかじる。
サメル
たん、たたん、と軽いリズムで階段を降りる。
才賀りゅう
「僕たちこれから、ど~なっちゃうの~!?」
ブラッツ=ツェベライ
「貴様ら、家探しにいつまで時間をかけている」
サメル
「いや~、おもちゃがあったので夢中になってしまって」
サメル
ブラッツの四肢にナイフを投げる。動きを封じるように。
サメル
軽い足取りのまま、ブラッツが腰掛ける椅子の後ろに回る。
才賀りゅう
「おやおやブラッツさん、『動けなくなりましたね』!」
ブラッツ=ツェベライ
すぐさまナイフを引き抜こうとした吸血鬼の手が止まる。
ブラッツ=ツェベライ
「……何のつもりだ。貴様ら」
才賀りゅう
「親睦を深めようと思いまして~?」ブラッツの前に立つ。
サメル
「昔の男の話とか?りゅうちぇるとイチャイチャしたこととか?」
ブラッツ=ツェベライ
抑えた口調だが、吸血鬼の声は硬い。
才賀りゅう
近くのテーブルにもたれかかり、一方的なじゃれ合いをニコニコと見ている。
ブラッツ=ツェベライ
逃れるための身じろぎすらできない。
サメル
「なによ~!りゅうちぇるとはイチャイチャしたのに、あたしとはできないっていうの?ヒド~イ!」
サメル
「ねぇねぇ、りゅうちぇるは、どこ齧りたい~?」
サメル
「いいよッ……!ボクたち……友達だもん……!」
才賀りゅう
「じゃあ……まずは……指とか……!?」
サメル
そう、才賀は友達、同類、人間同士だ。憎悪を抱く相手を分け合うのも、悪くはない。
才賀りゅう
「もしかしてサメっち、切り分けて……くれる!?」
ブラッツ=ツェベライ
吸血鬼の体には力が籠もっている。だが、ぴくりとも動くことはない。
才賀りゅう
「僕は肉体派じゃないからね~大丈夫切れる切れる♡」
ブラッツ=ツェベライ
血の代わりに、灰がこぼれ出る。
才賀りゅう
「あ、切ったらすぐ灰になるんだった」ははは、と明るい笑い声。
サメル
「え~!切り分けられないじゃ~ん!おちゃめさん♡」
才賀りゅう
「サメっちごめん、隣のもう一本やってもらっていい?(笑)」
ブラッツ=ツェベライ
傷口からはわずかな灰が零れ、落ちた指もまた白く崩れる。
サメル
「じゃあ切るんでぇ、即食いつく感じで(笑)」
才賀りゅう
「サッとやったら行けると思うから サッとやってバッと食う(笑)」
ブラッツ=ツェベライ
吸血鬼の顔が歪む。苦痛よりも、弄ばれている屈辱に。
サメル
「あ、じゃあじゃあ~、先っちょ咥えてるのはどう?」
才賀りゅう
すぐに噛みちぎる事も出来るけれど、これはサメルと共同作業をするイベントなのだから。
サメル
先ほどと同様に、指の真横にナイフを立てる。
サメル
才賀の唇に傷を付けないように、位置取りに気をつけながら。
ブラッツ=ツェベライ
びくりと体に力が籠もり、息が止まる。
ブラッツ=ツェベライ
口の中で指の感触はほどけて、すぐに灰となる。
ブラッツ=ツェベライ
射殺すような目でそれを睨みつけても、体が動くことはない。
サメル
咀嚼する才賀を見ている。普通と異なる嗜好を持つ人間。彼はおそらく、今まで様々なものを口にしてきただろう。
才賀りゅう
「ゲロマズ~☆だけどな~しょうがないんですよね、こういう人間なので!」
サメル
木を食べる人間は人間なのか?灰を食べる人間は人間なのか?
才賀りゅう
不味い、という割には嬉しそうな、満足そうな顔をしている。
才賀りゅう
人間と共存するのに不適切な人間ではあるが、それでも人間というくくりにこの男は入っている。
サメル
「まずくても、食わないとしょうがないってことはありますからね~」
才賀りゅう
ブラッツの視線を受けても、ニコニコと笑うばかり。
サメル
「大スカ専門とかよりは健康的じゃないですか(笑)」
才賀りゅう
「それね、健康診断でバレるって聞いてマジで笑ったんですよね」
才賀りゅう
「スカはちょっとな(笑)やっぱ肉ですよ」
サメル
「病気になっちゃうこともありますからね~!怖い怖い」
才賀りゅう
「それにしてもさ~、いや~やっぱブラちゃんの力は便利だって思うんだよね」
才賀りゅう
「治るんならいつでも喰えるじゃないですか」
才賀りゅう
「僕のこれ、唯一の悩みが食ったら無くなる事だったんですよね~」
ブラッツ=ツェベライ
そのような会話が成されている間に、吸血鬼の指はすでに元通りに生えそろっている。
ブラッツ=ツェベライ
喰われたという事実と屈辱だけが、吸血鬼の身体に残されている。
才賀りゅう
「血肉になるから……で我慢しようと思ってたんですけどね。いやあその点!」
才賀りゅう
その笑顔に並ぶのは、吸血鬼のものではない、普通の人間の歯列。
才賀りゅう
「まあブラちゃんが人間を餌って言うのもいいですけど(笑)」
才賀りゅう
「この状況は……そうも言ってられない気がしちゃいますね!」
[ 才賀りゅう ] 異食症 : 0 → 1
サメル
人間が行う、人間とは思えない行為を見てきた。人間はいくらでも非情になれる。
サメル
「たしかに~、これはどっちが捕食者かというと~?」
ブラッツ=ツェベライ
問いに言葉が返ることはない。
ブラッツ=ツェベライ
何かを言い返せる状況ではないことぐらい、この吸血鬼も理解している。
才賀りゅう
『何か言ってくださいよぉ~今の心境とかぁ~』
ブラッツ=ツェベライ
「っ、最悪だと言ったはずだ!」
ブラッツ=ツェベライ
「人間如きがこの俺に、こんな真似を……」
サメル
「吸血鬼様が人間如きに最悪にさせられてる(笑)」
サメル
「これは特に意味がないけど、やりたくなったのでやりました(笑)」
ブラッツ=ツェベライ
腕に力が籠もる。往生際悪く動こうとしている。
サメル
耳をつまんで、才賀が噛みやすいようにする。
ブラッツ=ツェベライ
ナイフの刃は吸血鬼の皮膚よりも冷たい。
サメル
「どのくらい繋がってたら灰にならないんでしょうね?」
ブラッツ=ツェベライ
触れる熱の感触に身が引きつる。
ブラッツ=ツェベライ
こんなことがあっていいはずがない。
ブラッツ=ツェベライ
そう思っても、抵抗できない。
ブラッツ=ツェベライ
吸血鬼はその化身として蝙蝠や狼を選ぶ。
ブラッツ=ツェベライ
血を吸う蝙蝠、捕食者たる狼。
才賀りゅう
噛んだ歯が、引き裂くのを待ち構えて肉を軽く引く。
ブラッツ=ツェベライ
狼は、日本では人間に滅ぼされたのだという。
才賀りゅう
歯が引いて、舌が巻き取って、冷えた肉が灰になる瞬間を味わう。
ブラッツ=ツェベライ
味はとても褒められたものではない。
サメル
耳を切り取った瞬間に、傷口に指を突っ込む。
ブラッツ=ツェベライ
それが真実肉だったとしても、耳など美味なものではないはずだ。
サメル
「これ、このまま再生したらどうなるんですかね~?」
サメル
鼓膜の奥にまで指を突っ込んで、奥をかき回す。
才賀りゅう
ただ、征服のために灰は噛み潰され、唾液と共に胃に落ちていく。
ブラッツ=ツェベライ
サメルの指先に、冷たい濡れた感触が当たる。
ブラッツ=ツェベライ
吸血鬼から問いに答えが返ってくることはない。
ブラッツ=ツェベライ
傷口に指先が突き入れられた状態で、耳が再生することもなかった。
サメル
「あれぇ……?もしかして、脳は生なんですかぁ?」
才賀りゅう
味覚はとても喰えたものではないという信号を発しているが、それでもこの男は満足そうに舌舐めずりをして立ち上がった。
サメル
「りゅうちぇる~。ほらほら、ちょっと触ってみて~」
サメル
再生しないように指を突っ込んだまま、少しずらす。
ブラッツ=ツェベライ
吸血鬼の顔にわずか恐怖が滲む。
ブラッツ=ツェベライ
血が零れて、それは灰に変わっていった。
才賀りゅう
「すっご~い、神秘だね♡ 吸血鬼にも生命の神秘とかあるんですか?(笑)」
才賀りゅう
「お、ここをいじるとさすがの吸血鬼サマも死んじゃうとか?」
ブラッツ=ツェベライ
制止の声は悲鳴めいていたが、怯えが露だ。
サメル
「すご~い♡ 脳に指突っ込まれて命令してる(笑)」
才賀りゅう
「ここ絵面抜いて音だけだとメチャクチャレイプシーンでウケますね(笑)」
才賀りゅう
「脳触られそうになってイキんないでくださいよ~」
サメル
「まぁ実質3Pですし(笑)穴兄弟になっちゃった(笑)」
サメル
肉を取り出しやすいように、少し指をずらしてやる。
才賀りゅう
「先に突っ込んだサメっちがお兄ちゃんですね(笑)」
ブラッツ=ツェベライ
言葉は途中で苦鳴に呑まれる。
才賀りゅう
「次男で~す」ずり、と不快な音を脳に響かせて指が肉を掻き出すように動く。
才賀りゅう
引き抜かれ、指についた灰を舐め……また無遠慮に指を刺す。
ブラッツ=ツェベライ
灰が零れ落ちていく。指の動くたびに、吸血鬼の身体が跳ねる。
サメル
薄い笑みを浮かべながら、捕食者の肉を喰らう同族を見ている。
才賀りゅう
「なんかはちみつ舐めってこんな感じなんですかね~」笑いながら、また指がぐるりとかき回す。
才賀りゅう
蜂の巣を食べる熊を想像したが、状況の見た目的にはアリクイっぽいな、なんて思いつつ。
サメル
「え~?じゃありゅうちぇるは森のクマさんってこと?カワイイ~」
ブラッツ=ツェベライ
指先に当たっていた血の感触は広がり、灰とともに指を伝っては、すべてが白い灰になる。
サメル
「でも、舐めるのって量少なくないです?頭割った方がよかったりしません?」
才賀りゅう
「カワイイくまさんになっちゃうかあ~(笑)」
遊びのように、傷口に4本の爪が立つ。
才賀りゅう
指を灰まみれにした男が、不意に顔を上げる。
ラビングラビット
目の前にいた救世主の姿が見えなくなる。
ラビングラビット
*お茶会 ラウンド2 ラビングラビット3回目
[ ラビングラビット ] HP : 61 → 60
白兎の末裔
いつの間にか、あなたは宿屋の寝室にいる。
白兎の末裔
あなたは人間を切り貼りし、動物にしてきた。
白兎の末裔
ならば、『余計にあるもの』を切り取れば。
白兎の末裔
近づいて、笑いかける。首を傾げるとまた揺れる。
サメル
耳が揺れている。
血が通い、温かい皮膚が多い、柔らかい毛が覆う耳が。
サメル
生き物らしい弾力を持った耳が、揺れている。
サメル
余計なものを切り取っただけで人間になるのなら、今まで何人の動物を人間にできただろうか。
サメル
指が耳を撫でる。つなぎ目を確認するように、愛おしむように。
白兎の末裔
まだ部屋の入り口で、ベッドにもいかず、静かにただ撫でられている。
サメル
しかしそう考えるのなら、見た目だけを化け物にしても人間のはずだ。
白兎の末裔
ただ頭や耳を撫でられるということはいくらでもあった。
白兎の末裔
しかし閉め切った部屋、寝室、『このさき』がある二人として撫でられることは初めてだ。
サメル
そんな需要はなかった。そんな仕事はなかった。その必要がなかった。
白兎の末裔
行き場の思いつかない両手が、サメルの胸に添えられる。
サメル
しかし、動物を人間に戻せたら、と思ったことがないかというと。
サメル
「一緒に来るか、と言われたら、どうします?」
白兎の末裔
一抹の不安と期待と、身体を預けるつもりでそこにいる。
白兎の末裔
「……でも、救世主様とだったら、ついてってもいいかなあ」
白兎の末裔
なにもあなたのことを知らずに娘は言う。
サメル
何も知らないくせに、何も理解していないくせに。
サメル
「私についてきても、あなたは幸せになれない。痛いこと、悲しいこと、苦しいことばかりでしょう」
白兎の末裔
「白兎の末裔は、救世主様の傍で導くのが一番幸せだって」
白兎の末裔
「だから大変でも、きっと幸せなんじゃないかなぁ」
サメル
押し付けられた幸福の形。それを純朴に信じる娘。
サメル
連れ回すためには、動物のままでも問題はない。
白兎の末裔
*刃禰谷サメル『人間讃歌』を愛で舐めます。
才賀りゅう
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 猟奇
才賀りゅう
2d6>=7 (2D6>=7) > 4[2,2] > 4 > 失敗
白兎の末裔
2d6+3>=7 (2D6+3>=7) > 8[6,2]+3 > 11 > 成功
[ 才賀りゅう ] HP : 15 → 14
[ サメル ] 人間讃歌 : 1 → 0
サメル
彼女を幸福にしたいのなら、彼女を大事にしたいのなら。
サメル
変な話ではない。動物愛護の心だと、自分に言い聞かせてきた。
白兎の末裔
あなたにとってそうならば、それが全て。
サメル
自己を守るためには、女達を動物扱いするしかなかった。それでも心のどこかでは、女達を同種として憐れむ気持ちがあった。
サメル
つまんだ耳と、その隣の耳を、ナイフが横断した。
サメル
傷口から溢れる血を、白い肌や髪を汚す血を見下ろす。
サメル
分かっている。末裔にこんなことをしても人間にはならない。彼女達は生まれながらに兎の耳と尾を持つ。
サメル
ふわふわとした、やわらかい尾。ずっと触れていたくなるような心地よさ。
白兎の末裔
耳を切られた末裔はなお、あなたの身体にしがみ付いていた。
サメル
小さな物音にもよく反応する、毛が覆う耳がなくなった頭を。
白兎の末裔
耳があった場所をもう一度触り、それから手を見る。
白兎の末裔
その抱擁に、その猟奇が悪意でないことを知る。
サメル
人間と動物の違いなんて、大したものじゃない。
サメル
同種として愛せるかどうかなんて、少しのきっかけがあればいい。
リサ
白兎の末裔は、救世主様と一緒にいるのが幸せだ。
リサ
白兎の末裔でなくなったなら、何が幸せだろう。
サメル
たくさんの化け物達。
たくさんの動物達。
たくさんの女達。
リサ
「それじゃあ、わたしもがんばって、覚さんを幸せにします」
サメル
耳を失った末裔を幸福にするには、どうしたらいいのか。亡者になった女を幸福にするには、どうしたらいいのか。
サメル
ただ、腕の中には白兎を失った人間の女がいる。
サメル
ようやく、愛することができる女に巡り会えた。
ラビングラビット
『耳を切り取った』、それが引き起こした単なる夢、幻。
ラビングラビット
目の前には、ブラッツ、りゅうがいる。
才賀りゅう
爪を突き立てたままの男があなたを見ている。
ブラッツ=ツェベライ
爪を突き立てられ、微動だにできない吸血鬼があなたに背を向けている。
サメル
「あ、ちょっと生理来ちゃったみたいなんでぇ、そちらでやっててもらっていいですか?」
ブラッツ=ツェベライ
頭上で交わされるふざけた会話に身を震わせている。
サメル
「あ、大丈夫大丈夫~!でもちょっとトイレ行ってくるね~!」
才賀りゅう
びしゃり、と肉の音を立てて指が払い抜かれる。
サメル
夢の中で、自分は確かに人間の女を手に入れた。
サメル
所詮は夢で、ただの幻想。耳を切り取ったくらいで末裔は人間にはならないし、亡者は生者に戻らない。
GM
心の疵に触れるのに、それが現実か夢かは問わない。
GM
亡者は耳だけではなく、全身を毛皮に覆われている。
GM
全てを剥ぎ取れば、そこから人間が出てくるだろうか。