GM
空は雲に覆われて地は枯れ果て、種を植えれば亡者化する。
GM
そんな世界でも、ところどころにひとは集い、村や町を形作る。
GM
街から街へ移動するものがいるのなら、かれらが集まるような場所ができるのも自然な話。
GM
錆びの入った水と区別がつかないような酒しか置いていなくても、酒場はどこの街にもある。
GM
どのような経緯か、堕落の国に落ちてきて、共に行動しているあなたたちもまた、そんな酒場……
GM
いわゆる、二階が宿屋で一階が酒場、というよくある形態の建物で、粗末なテーブルを囲んでいた。
GM
では、向かって左の方から自己紹介してもらおう。
ウォーリ
床に足先がつくかつかないか、酒場には似つかわしくない背丈。
その子供は「ウォーリ」と名乗っている。
ウォーリ
歳は、正確ではないけれど十代。
この世界に来るまでは、所謂スラムと呼ばれる場所で過ごしていた。
ウォーリ
それ故か、決して品が良いとも言えない喧騒に動じるような様子もない。
ウォーリ
……とは言え、未成熟の身。基本的に、酒は飲まない。
何故に斯様な場所に居るかといえば。
ウォーリ
概ね、連れの付き添いということになる。
その人が行きたがる場所には、決まって嫌がることなく従った。
ウォーリ
一人で生き抜くには難しいこの世界において、誰かを連れること。
かれが此処に居るのは、そういった点で、利害が一致しているから。
ウォーリ
アルコールでないもので満たされた器に口をつけ、向かいに視線をやった。
ヤミー・ヤミー
食器がたくさん並んでいる場合、テーブルマナーとしては外側から取るのが正しいと言うが……
ヤミー・ヤミー
ヤミー・ヤミーと呼んでくれ! 本当はもっと別の名前があったような気がするが、賞味期限が切れたので捨てた。
ヤミー・ヤミー
長く思うなら『ヤ』とかでもいいぞ。食べやすい長さに調節するのも大事だな。
ヤミー・ヤミー
私の正体は吸血鬼、稀代の殺人者、地獄の料理人、そのへんからchoiceしてくれ。選べるビュッフェ形式でいこう。
ヤミー・ヤミー
この堕落の国というもの、私が昔いたところよりはリラックスできるのだが……何しろ食べ物が少なくて困る。どんどん健康になってしまう。
ヤミー・ヤミー
そうしてほっつき歩いていたら出会ったのがウォーリというわけだ。
変な名前だよな。
ヤミー・ヤミー
私はビビッと来た……黒胡椒をかけたみたいに。
こいつには美食の素質がある。間違いない。
ヤミー・ヤミー
でもなんか、痩せてるので我慢している。
私は犬のように気品に満ちていて、しかも待てができる犬だ。
思うに、食事は量よりも質、回数よりも体験なのだ
ヤミー・ヤミー
つまるところ、今はこいつを太らせるための行脚の最中というわけだ。
楽しみのあまりダイエットも捗るな! Yuh-mmm!!(笑い声)
GM
ありがとうございます。がんばって太ってもらいたいですね。
GM
そのようなわけで、あなたたちの前には、堕落の国の粗末さをかき集めたような、何とか食べられる感じの食事が並んでいる。
GM
アルコールの入っていない飲み物は貴重で、いつからあるものなのか、水分が抜けたものに質の良くない水を足している。
GM
ウォーリが今まさに手に取った三月兎のジャーキーなんかからは、酒も入っていないのに饐えた葡萄酒の香りが漂ってくる。
ウォーリ
すんとにおいを嗅いでから、その端を齧る。
ヤミー・ヤミー
どうした!私のジャーキーが食えんのか!
ヤミー・ヤミー
ものの本で読んだんだが、早食いしたほうが太れるらしいぞ。
ウォーリ
「コレ、酒の味がします」ちま……ちま……。
ヤミー・ヤミー
「貴重な食事の機会に、酔いしれているというわけだな。わかるぞ」
ヤミー・ヤミー
「それでは意味がない。まずおまえが太るのが先だ」
ウォーリ
酔いしれているか?
違う。食事にありつける有難さを思えば、違わないのかもしれないが。
ヤミー・ヤミー
実際こいつはなかなか食事を口にしないで、それでいて平然と振る舞っている。
食糧を見つけても、基本的にはウォーリに優先して回している。
ウォーリ
「……アンタはいつもそうだな。
それじゃあ、気になって、入るものも入りませんよ」
ウォーリ
「太っても、そう易々と食われてやりませんけどね。
後で後悔してもオレは知りませんから」
ヤミー・ヤミー
「気を遣われてるのかバカにされてるのかわからんなぁ!」
ヤミー・ヤミー
「じゃあそうだな。お前の食事が終わったらちょっと味見させてくれ。
それで釣り合いが取れているんじゃあないか?」
ヤミー・ヤミー
「ほら、前よりは血色が良くなった気がするし」
ウォーリ
「普通の人間は、ちょっとの味見に耐えられるようにできてません」
ヤミー・ヤミー
「そう……なのか……?」信じられないといった顔
ヤミー・ヤミー
「でもほら、この間亡者と戦った時、結構痛い目に遭ったじゃないか」
ヤミー・ヤミー
「あれよりは……軽く済むと思うぞ!?」
ウォーリ
「……いや。それとこれとは別でしょう?
何より、オレが得しませんし」
ヤミー・ヤミー
「……?」首かしげ。
「私がトクするじゃないか…… 私をトクさせたくないのか!?」
ウォーリ
少しだけ背の空く心地がする。まあ、アレよりはマシとは思うが。
ウォーリ
「オレは、自分のためになることしかやりません」
ウォーリ
「相応のものが貰えれば考えてやってもいいですが、……」
ウォーリ
「…………」手元を眺める。この世界では貴重な食事達。
ヤミー・ヤミー
「この食事では満足せぬというのか……?」首をリズミカルに左右に振っている。
ヤミー・ヤミー
お前が困っているのを見ていると、腹が満たされるような思いだよ。
ウォーリ
「……もう入らないですし、残りはアンタが食べてもいいですよ」
GM
*行動順決定フェイズに入ります。通常の裁判に準じ、+才覚で行動順を振ってください。
ヤミー・ヤミー
1d6+0 (1D6+0) > 1[1]+0 > 1
ウォーリ
1d6+3 (1D6+3) > 6[6]+3 > 9
GM
*行動値9 ウォーリ 行動値1 ヤミー・ヤミー
GM
*カード引きタイム 行動順に3枚ずつ引いてください
ヤミー・ヤミー
2d+2>=8 (2D6+2>=8) > 5[4,1]+2 > 7 > 失敗
[ ヤミー・ヤミー ] 情緒 : 0 → 1
GM
誘い受け自体は成功ですね。目標値変わらず、そのままウォーリさんアピールを振ってください。
[ ヤミー・ヤミー ] 情緒 : 1 → 0
ウォーリ
2d6+2>=7 (2D6+2>=7) > 7[2,5]+2 > 9 > 成功
ウォーリ
新しいジャーキーを取ってから、あなたの口元に突き出す。
ヤミー・ヤミー
「強情だな~」のけぞって回避する。
ヤミー・ヤミー
「いやまあ、お前が本当に食べられんというのであれば、私が喰わぬわけにもいかんが……」
ヤミー・ヤミー
考え始めはしたが、全然納得していない様子だ。
ウォーリ
「オレが手ずからやってるんですから、実質オレの肉みたいなモンですよ」
[ ヤミー・ヤミー ] 情緒 : 0 → 1
ヤミー・ヤミー
だが、次はこちらの番だぞ。耐えられるかな……?
ウォーリ
2d6+2>=7 (2D6+2>=7) > 10[6,4]+2 > 12 > 成功
ヤミー・ヤミー
2d+2>=12 (2D6+2>=12) > 11[5,6]+2 > 13 > 成功
ヤミー・ヤミー
「だが……!」椅子をがたっと寄せる。
ヤミー・ヤミー
「まずはお前が本当に腹一杯なのか、それを確かめんことにはな……」
ヤミー・ヤミー
腹部に手を忍ばせて、遠慮ない手付きでさわりはじめた。
ヤミー・ヤミー
「隠し立てすると、なんだ、よくないぞ!」
ウォーリ
伸ばしていた手もすっかり縮こまって、それから。
ヤミー・ヤミー
「嘘つきはバルーンフィッシュの刑だぞ!」
ウォーリ
つんとしてジョッキを手に取る。顔の大半を隠した。
[ ウォーリ ] 情緒 : 0 → 1
ヤミー・ヤミー
2d+3>=7 (2D6+3>=7) > 9[3,6]+3 > 12 > 成功
ウォーリ
2d6+2>=11 (2D6+2>=11) > 11[5,6]+2 > 13 > 成功
ヤミー・ヤミー
「私の欲望を差っ引いても、おまえのほうがしっかり喰ってくれんと困るのだぞ……」
ウォーリ
「……大体、オレを嘘吐きとは言いますがアンタはどうなんです」
ウォーリ
「オレが肥えるまでにはまだ掛かるでしょうし。
アンタの腹が空かないなんてことはないでしょう」
ウォーリ
「食えるうちに食っておくのが筋と思いますけどね」
ヤミー・ヤミー
「私はな~ 食は回数よりも体験を優先するタイプなんだぞ~」
ヤミー・ヤミー
「お前を食べるまでは、つまらんジャーキーで舌をバカにしていくようなことは、極力控えたいのだ」
ウォーリ
「アンタに食べられなかった分が粗末になったとしても?」
ヤミー・ヤミー
「なんか、絵が動くやつで見たことがあるぞ。これはあれだ」
ヤミー・ヤミー
「お互いに銃口を突きつけあっている、緊張した状態だ」
ヤミー・ヤミー
「撃つか、撃たれるか……
喰うか、喰われるか……手に汗握るかけひきというわけだ」
ヤミー・ヤミー
「このヤミー・ヤミーに勝負を挑むとは……
どこまでもおもしろい……人間よ……」
[ ヤミー・ヤミー ] 情緒 : 1 → 2
ヤミー・ヤミー
わくわくしてきたので、情緒があがりました。
ウォーリ
2d6+3>=7 (2D6+3>=7) > 2[1,1]+3 > 5 > 失敗
GM
*ウォーリさんは情緒を上げつつ1d6を振ってください
[ ウォーリ ] 情緒 : 1 → 2
GM
4 何気ない所作にドキッ!ランダムな対象1人の情緒+1。
GM
choice[ウォーリ,ヤミー・ヤミー] (choice[ウォーリ,ヤミー・ヤミー]) > ヤミー・ヤミー
[ ヤミー・ヤミー ] 情緒 : 2 → 3
ヤミー・ヤミー
2d+2>=7 (2D6+2>=7) > 7[4,3]+2 > 9 > 成功
ヤミー・ヤミー
「お前は……言うなれば、そう、アレだからな」
ヤミー・ヤミー
「なのに……私に楯突くのが、そもそもおかしいと思わないか?」
ウォーリ
オレはあなたの下僕じゃないし、あなたの非常食になったつもりもない。
ヤミー・ヤミー
「変に、頭を使っても、腹が空くだけだぞ……?」答えない。
ヤミー・ヤミー
「私の言うことを聞いて……煩わしいことを何も考えずに……
肥え太っていき……私に食べられる……
そういう幸福なプランを拒絶するというのか……」
ウォーリ
「食われるのが幸福とかいう、
そういう変わり者もいたかもしれませんけどね」
ヤミー・ヤミー
「お前がそう言いたくなる気持ち、わからんでもない」
ヤミー・ヤミー
「誰だって、自分の死に様など、考えたくはない。
ギリギリまで、先延ばしにして、
そして、最期、その瞬間に、後悔する」
ヤミー・ヤミー
「“ああ!こんなくだらない死に方をするとわかっていたなら
ヤミー・ヤミー様にこの身を捧げておくべきだった……”」
ヤミー・ヤミー
「だいぶがんばって、人間の終活的な考えに寄り添ったのに」
ヤミー・ヤミー
「この上、どうすればいいのだ……」
ウォーリ
「少なくとも、オレの幸福はそうじゃないというだけですから」
ウォーリ
分からなくもないので、一応フォローのつもりらしい。
[ ウォーリ ] 情緒 : 2 → 3
ヤミー・ヤミー
2d+2>=7 (2D6+2>=7) > 9[3,6]+2 > 11 > 成功
ウォーリ
2d6+2>=11 (2D6+2>=11) > 9[5,4]+2 > 11 > 成功
ウォーリ
「…………」ことり、食事を皿の上に落とす。
ウォーリ
「アンタはそうやって、どれくらいの数食ってきたんです」
ヤミー・ヤミー
「さあ、どうだったかな。
パンの枚数……とまではいかんが、
両手の指には収まらないほどには喰ってきた、はずさ」
ヤミー・ヤミー
「忘れっぽいんだよ。知ってるだろ?」
ウォーリ
「……。本当に幸せだったんでしょうかね」
ウォーリ
「別にアンタのこと、否定してるわけじゃないですけど」
ウォーリ
「オレがソイツらだったら、アンタを恨むかもしれないな」
ヤミー・ヤミー
「うーん。
それは、嫌だなぁ。
私は人を不幸にしたいわけじゃないんだよ」
ヤミー・ヤミー
「私には人の気持はわからんから、
腹の中で幸福であってほしいとは思っているよ。
そう考えたほうが、楽しいからな」
ヤミー・ヤミー
「でも……お前がそうじゃないと言うなら……
なんだろう……困るな」
[ ヤミー・ヤミー ] 情緒 : 3 → 4
ウォーリ
2d6+2>=7 (2D6+2>=7) > 3[2,1]+2 > 5 > 失敗
[ ウォーリ ] 情緒 : 3 → 4
ヤミー・ヤミー
2d+2>=7 (2D6+2>=7) > 7[1,6]+2 > 9 > 成功
[ ウォーリ ] 情緒 : 4 → 5
ヤミー・ヤミー
「そう…私も考えないわけじゃなかった。
腹の中に入った者が、本当に幸福かどうかなんて、
私には知るすべもないんだ」
ヤミー・ヤミー
「というわけで、こういうのはどうだろう?」
テーブルの上に投げ出された、ウォーリの手首を掴む。
ヤミー・ヤミー
「お前が生きている間にお前を幸せにする。
そうしたらお前がどんな最期を迎えたって、幸せなままでいられるだろう?」
ヤミー・ヤミー
手を引いて、目を合わせる。
どう、名案だろ? そう言いたげに、瞳を覗き込む。
ウォーリ
片腕を引き寄せられたなら、僅か身を強張らせて。
ウォーリ
「……は」視線が合えば。ぞわり、寒気にも似たものが背を走る。
ウォーリ
「どうして、そうなるんです……」それを払うように、目を伏せる。
ウォーリ
少し間違えてしまえば、肯いてしまいそうだったから。
だから、目を背けた。
ヤミー・ヤミー
「お前は喰われたら幸せになれないと思っているから、拒むのだろう。
だから、喰われても幸せになれるプランを、提示しているわけなんだが……?」
ヤミー・ヤミー
「教えてくれよ~。
お前の幸せってなんだ? なぁ、なぁ」
ウォーリ
「………………別に。
食べられたくないだとか、そういう訳じゃないです」
ヤミー・ヤミー
「おお……よくわからんがわかってくれたのか! うれしいぞ」
ウォーリ
一生分からんでいい。だとか思いながら食事に手をつけはじめる。
ウォーリ
「これ以上ややこしい話をすると疲れそうだったので……」
ヤミー・ヤミー
「私の勝ちということだな」反論がなければ私の勝ちだが?
ウォーリ
「……困ったアンタが見れただけで、オレは十分だよ」
ヤミー・ヤミー
「え!? そうなのか!?
じゃあ……がんばって困るか……」
ウォーリ
腹がいっぱい、というのは当然嘘で合ったらしく。
相槌を打つ最中にも、食事はつつがなく嵩を減らしていっただろう。
ヤミー・ヤミー
ルンルンしながら自分はアルコール入れてる。
GM
ありふれた酒場で行われた一つの駆け引きは、こうして終わってゆく。
GM
皿の上の肉は平らげられて、杯は空けられ、ふたりはまた旅に出るだろう。