ED

レトゥ
燃える。
レトゥ
炎が洞窟の壁を舐め、亡者の身体を燃やしていく。
亡者インゲル
「ギ……!」
レトゥ
痺れ針を喰らい、動きの鈍る亡者に対し、反撃すらも許さないとばかりに燃え盛る。
ライムンド
炎が洞窟に満ちる。
タイム
同じ洞窟内にいる自分たちですら危機感を覚えるほどの炎。
レトゥ
餓えるのは辛いだろう。渇くのは苦しいだろう。火に焼かれるのは痛いだろう。
亡者インゲル
開いた嘴から、石弾を射出するが、それはあらぬ方向へと。
亡者インゲル
パンくずのような石が、天井や壁をデタラメに穿つ。
レトゥ
亡者はもう死んでいる。
レトゥ
死んでいるのに痛苦から逃れられず。
レトゥ
食糧を奪い集めて塔を作らずにいられないのなら。
レトゥ
苦しむその身体ごと焼き尽くしてやろう。
亡者インゲル
苦痛に暴れる翼、散る羽根も灰へと。
ライムンド
息もできない熱風の中、炎がやわらかい羽毛を舐めるのを見た。
亡者インゲル
何処にでも行けるはずの翼は、ぬかるみごと炎に灼かれていく。
ライムンド
細く華奢な骨、丸い肩、折れそうな脚。
ライムンド
灰は灰へ。
タイム
亡者が石を積んでもどこにも逃げられない。炎、炎、炎!
タイム
「おいライムンド、こりゃ逃げたほうがよくないか?!」
ライムンド
「そう……です、ね」
レトゥ
事実例外を許さないとばかりに、焔は仲間のほうにも迫っている。
レトゥ
「……熱い……」
ライムンド
宣教師バリアーを張り、なんとか肌を焼く炎から自らとタイムを守る。
亡者インゲル
「ク……喰…………」
ライムンド
外へ出なければ。
タイム
しかしレトゥを置いていくわけにはいかない。しかし亡者は殺さなくてはいけない。
亡者インゲル
その声までもが業火に呑まれていく。
タイム
この場に風を送れば炎を燃やすばかり!
レトゥ
熱い。熱い。
タイム
「……レトゥ!もういいぞ!」
ライムンド
炎はレトゥの体から溢れる。 これを治療するべきなのか? それとも攻撃を止めてはいけないのだろうか?
亡者インゲル
炎が、洞窟の壁に一瞬、残照のように少女の幻を映し出す。
ライムンド
「インゲル……!」
亡者インゲル
幻は微笑んだ気がした。
亡者インゲル
しかし、それで終わる。
レトゥ
その姿を、今度は自分も見た。
ライムンド
清らかなる乙女、心優しき乙女。
タイム
「レトゥ!炎を……止めろ!」
レトゥ
止まらない。止められない。
タイム
亡者が死んでいないのならまた攻撃すればいい、これ以上はレトゥが……!
ライムンド
その罪は、その体は、業火の炎で燃やし尽くされた。
レトゥ
死んでいたはずなのにまだ生きている。
炎はすべてを焼きつくして消えるはずなのに、まだ燃えている。
レトゥ
亡者が集めた食糧も燃えていく。
タイム
そしてこのままでは自分たちも。レトゥを見捨てて逃げるなら生き残れるだろうが……そのような事は頭にない。
レトゥ
「熱い……熱いよ……」
ライムンド
「あれは、おそらく心の疵の炎……」
ライムンド
「止めるには……、どうしたらいいんだ……?」
タイム
「決まってるだろ!火は……消しゃいいんだ!」
タイム
「……ライムンド!治療は頼むぞ!」
ライムンド
「タイムくん!?」
タイム
土を巻き上げ、泥を巻き上げ、レトゥを埋める。
ライムンド
「無茶をして……! 宣教師ヒール!」
タイム
傷口に毒の泥が付いたあとのことなんて考えたくもない。しかし火を消すにはここに満足な水なんてありゃしない!
ライムンド
内側のレトゥが燃えてしまわぬよう、潰されてしまわぬよう治療する。
タイム
愛の力で火を止めるなんてことはできやしない。
レトゥ
泥の中の水分が燃える音。泥の中の石が熱されて弾ける音。
ライムンド
宣教師ヒールは愛の力。 火を消すことはできない。
タイム
炎は酸素が無くなれば消えるという事と、人は少しぐらい酸素がなくったって大丈夫って事だけを知っている!
タイム
「レトゥ!火を消してやる!」
ライムンド
しかし肉体の破損なら、私には誤魔化すことができるのだ。
タイム
「お前は目を閉じて待っていろ!」
レトゥ
心の疵の炎は火種がなくても燃え続ける。
かけられた泥の闇を拒むように燃える。
だが、無限ではない。
レトゥ
かけられた言葉に、タイム、と名前を呼ぶ声が返った。
タイム
「大丈夫だ、もうすぐ火は消える!少し息苦しいだろうがライムンドがなんとかできる!」
タイム
消えるかどうかはわからない。だが心の疵が由来なら。
ライムンド
「任せて下さい、少女の体に傷一つ残したりはしませんよ」
レトゥ
「…………」
タイム
嘘でも甘い見通しでもなんでも言ってやる。だから汚い泥に塗れても今は許せよレトゥ!
タイム
「お前の火は消える、お前はまだ生きてるぞレトゥ……!」
レトゥ
「…………、うん…………」
レトゥ
「…………うん」
ライムンド
「どんなに傷付いても、きれいさっぱり、元通りにしますよ!」
ライムンド
「ですがそれには、あなたが生きることを望まなくては!」
レトゥ
やがて、泥を巻き上げる火勢は弱まり。
レトゥ
燃えるレトゥの姿は、汚泥の中に消えていく。
タイム
ファッキンホットな盛り泥岩土が出来上がる。
ライムンド
ホカホカだ~
ライムンド
「ふぅ……」
レトゥ
盛り泥岩土です。
タイム
埋めて、鎮火を感じて、さらに数秒待つ。
ライムンド
じー
タイム
風を送る。表面を冷やす。再発火のないことを確かめる。
レトゥ
そのうち、熱いという唸り声が重いに変わった。
ライムンド
ほっ
タイム
「はい生きてます!!ウオオオオオ!!救命措置頼みました!!!」岩を卵の如く観音開きに破壊!!
ライムンド
「救命措置入りまーす! ありがとうございまーーす!!」
レトゥ
「ううーん……ううーん……」
ライムンド
「宣教師ハイパーヒーーーール!!」
タイム
このときのために救済をとっておいたのさ。
ライムンド
救済相当の回復が入りました。
ライムンド
ダイス振っちゃうか
ライムンド
3D6 (3D6) > 16[6,5,5] > 16
レトゥ
マジのハイパーヒールやんけ
タイム
ハイパーヒールだ
ライムンド
ハイパーヒールだった
レトゥ
火傷に毒の泥に、もろもろが落ちていく。
タイム
こいつはこいつでウウーンと泥の上に倒れ込みます。システム外のMPを使い果たしました。
ライムンド
「た、タイムくん! しっかり!」
レトゥ
「死ぬかと思った…………」
タイム
「破傷風……菌血症……」ウウーン
ライムンド
もういっこの救済でハイパーヒールしましょう
ライムンド
「タイムくんにも……宣教師ハイパーヒール!」
ライムンド
3D6 (3D6) > 13[6,5,2] > 13
タイム
ウウーンハイパーヒール
レトゥ
めっちゃ出すじゃん
タイム
筋肉痛が治りました。
ライムンド
筋肉痛の中無理して戦っていただなんて……
タイム
岩とかをビュンってする時にインナーマッスルが悲鳴をあげます。
レトゥ
あれ筋肉使うんだ……
タイム
妨害を引いてないときは腕が攣ってる。
ライムンド
二人の無事を確認し、亡者の、インゲルの姿を探す。
ライムンド
もちろんそんなものはない。
レトゥ
「……あの、悪い……止めらんなくて……」
タイム
しかし一緒に使った精神力は回復しきれなかったので洞窟の隅で将来を考える港区OLのような顔をしています。
タイム
「洞窟で戦うべきじゃないって学びが得られたよ」
レトゥ
通信教育とか公民館の教室通いとか始めそうな顔だ。
タイム
女子力……婚活……賞味期限……
GM
狭いところで火を燃やさないほうがいいぞい
タイム
炎ヒント
レトゥ
「あのさ、ライムンド」
ライムンド
「はい……なんでしょう」
レトゥ
「オレ、インゲル見たよ」
ライムンド
「…………」
レトゥ
「鳥じゃなくて……人間の」
レトゥ
「なんか、笑ってた」
ライムンド
「笑って……」
ライムンド
「……あの子は、長い苦しみから解き放たれた、のかもしれませんね」
ライムンド
そんな訳はない。とも思うが。
ライムンド
亡者として存在し続けることが苦しみではない、と断言できない。
ライムンド
笑っていたのなら、泣いているよりはずっといい。
タイム
「火葬……」炎で浄化する宗派もあるらしいが、と言いたかったが仕事疲れOL状態なので端的にしか話せない。
レトゥ
「……」
レトゥ
跡形もなく焼き尽くした亡者の影を探すように洞窟を見回し、ついでに燃えカスになった食糧たちを見ている。
レトゥ
「…………」
レトゥ
「……食えるもん残ってるかな、これ……」
タイム
「焼き……」焼いて食えるものならあるかもしれない、亡者肉とか、と言いたい。
レトゥ
ちょっと漁ってみるか……とうろうろしている。
GM
ものすごい勢いで燃えてたのでたくさん灰になってます。
レトゥ
灰だな……
GM
亡者の死体も残らない勢いでしたからね。
GM
荷物は全然無事ではないです。
レトゥ
街までどれぐらいかかんのかな……
GM
しかし……
GM
「お~い 旦那~」
GM
なんか洞窟の入口の方から声がしますね。
ライムンド
この声は……
タイム
「……」
レトゥ
「あ」
コックの末裔
「無事でしたかい~!?」
コックの末裔
いつぞやの末裔三人組がいます。
レトゥ
あんたらは……!
タイム
このシルエットは……!
ライムンド
「きみたちも……! 無事そうで安心しました」
帽子屋の末裔
「どうやら、あの亡者を倒したようで……」
タイム
「よく生きてたな」
三月兎の末裔
「さすがは救世主様~!」
三月兎の末裔
ジャカジャン……。
ライムンド
またギター弾いてる
レトゥ
ギターも無事に持ってる
タイム
なんなんだあいつ
三月兎の末裔
「このギターと……」
帽子屋の末裔
「私の頭脳と……」
コックの末裔
「俺の筋肉のおかげでなんとか助かりましたぜ!」
ライムンド
タイム
なんなんだこいつら
レトゥ
ギターいるか?
ライムンド
「そ、そう……、よかった……」
タイム
「なんかこいつらどこでもやってけそうだな」
コックの末裔
「あんたたちが亡者と戦ってる間に……こっちは回収するもん回収しときましたよ!」
タイム
「なにっ でかした!」
コックの末裔
よく見ると、三人は持てるだけの荷物を抱えています。
レトゥ
「あっ!」
コックの末裔
洞窟の入り口近くの食糧を回収してたみたいですね。だから燃えずにすみました。
ライムンド
「おお……、これはありがたい」
レトゥ
完全に自分のせいですべてが燃えたと思っていたので、ほっとした顔をしています。
帽子屋の末裔
「これの対価として……次の街まで私達を護衛してくださると助かりますねえ!」
タイム
「いやあ、暫く飲まず食わずだったからな……」
タイム
「ちっしっかりしてるな その対価喰いながらでいいか?」
ライムンド
「まぁまぁ、いいじゃないですか。 どうせ方向は同じですし」
レトゥ
「やった~! 食い物だ~!」
三月兎の末裔
「おお、さすがは救世主様……!」ジャカジャン……!
ライムンド
「進行方向が同じなのにわざわざ別行動なんて、寂しいでしょう?」
ライムンド
またギター弾いてる……
レトゥ
ギター弾いてるな……
タイム
なんなんだこいつ
ライムンド
「では、ひとまず頑張ったタイムくんとレティくんに、食料を分けて頂きましょう」
タイム
「やった~」
レトゥ
「ライムンドも食えよ」
帽子屋の末裔
早速食べてる
ライムンド
「おやおや、優しいですね!」
帽子屋の末裔
食糧は十分な量分けてくれますね。
レトゥ
「余裕があるからな!」
帽子屋の末裔
そこそこの期間貯蔵されてた食糧も混ざっていてちょっと良くない感じになっているのもありますが……まあ堕落の国なので些細な問題でしょう。
タイム
「そうだぞ余裕があるうちに食っておけ」
ライムンド
末裔から食料を分けてもらう。 乾燥した、まるでウエハースのようなパン。
タイム
俺はまあ自然と調和してるから発酵食品も食えるよ。
ライムンド
聖餐式、神と信徒の交わり、信徒同士の交わり、あるいはパンを裂く式。
そんなことを思い出しながら、口に運ぶ。
レトゥ
酸っぱいけどまあ食えないことない。
レトゥ
「それで、街までどれぐらいなんだ?」
レトゥ
などと、次のことを考えている。
タイム
「はぁ、少しは生き返った心地だな……」
タイム
石のような、旨くともなんともないパンを齧りながら。
ライムンド
人はパンのみにて生きるものにあらず。
ライムンド
人は神の口から出るすべてのことばによって、生きることをあなたに知らせる。
ライムンド
ここは堕落の国。 全ての道は天国に繋がっていない。
ライムンド
それでもパンにありつくことはでき、私はまだ生きている。
ライムンド
「いきましょうか、次の所へ」
タイム
「おう」
レトゥ
「おう!」
GM
Dead or AliCe 『パンのみに生きる』おわり