エンディング

GM
アマンダ
「サエズリ……!」
神籬囀
「摩耶!」
アマンダ
摩耶が囀に飛びつく。
神籬囀
腕を広げて少女を受け止める。
アマンダ
「怖かった。怖かった。サエズリ、死んじゃうんじゃないかって……!」
神籬囀
「心配かけてすまないね」
神籬囀
「でも、何とかなったろ?」
神籬囀
「……無事でよかった」
アマンダ
「……うん」
アマンダ
「ありがとう、助けてくれて……」
神籬囀
「私だけの力じゃないさ」
神籬囀
「みんな助けてくれた」
アマンダ
「みんな……」
アマンダ
頭を下げる。
アマンダ
「本当に、ありがとう」
神籬囀
「……ん」
サヨ
「無事で、良かったッス」
碓井 晴貞
引き抜いた武器をしまう。
ジャケットを脱いでしまえば白い血は目立たない。
シャイニング・輝元
光を纏って元のマントコート姿にもどる。
碓井 晴貞
「こちらこそ。」
碓井 晴貞
「よく頑張りましたね。」
シャイニング・輝元
「ああ……キミが……そして、ここにいる全員が無事でほんとうによかった」
神籬囀
「そうだな。摩耶ががんばってくれたおかげだ」
神籬囀
「ありがとう、ちゃんと信じてくれて」
アマンダ
「ううん」
アマンダ
「サエズリがいてくれたから、私は私でいられた」
六塔理臣
一瞥してアマンダの無事を確認し、サヨを見る。
六塔理臣
「借りができたことは覚えておこう」
碓井 晴貞
モバイルを取り出して、"特対"に連絡を入れる。
神籬囀
クシミタマに願いをかけても、死んだ人間は帰ってこない。
碓井 晴貞
「夜光、並びにアラミタマの討伐を完了いたしました。」
神籬囀
彼女の両親は夜光の手によって殺された。記憶が戻ってきても──
サヨ
「ふふん、魔術師に貸しを作れたのはお手柄ッス」
神籬囀
辛い事実と向き合わなければいけない。
碓井 晴貞
「カミガカリ、少女は全員無事です。」
六塔理臣
「一つ言っておくが、僕が貸しを作ったのはお前であって、教会じゃない」
六塔理臣
「お前が貸しを作ったのも、魔術師じゃなくて僕だということを忘れるな」
サヨ
「……」
神籬囀
……それでも、彼女が器になどならなくてよかった。そうしておくべきだろう。
サヨ
大きく瞬く。
神籬囀
「特対は車出してくれるのかい?」
サヨ
「それは……えっと……はい。分かりました。ムトくんがそう言うなら」
碓井 晴貞
「もちろんですよ。」
神籬囀
「頼もしい~」
碓井 晴貞
「彼女の処遇に関しても確認しましょう。」
六塔理臣
「ふん」
神籬囀
「おう」
六塔理臣
夜光がいた場所に行き、地面を見る。
そこには憧れた兄弟子の、背中を追った兄弟子だったものは何もない。
碓井 晴貞
「…………一度連れて戻れとのことですので。」
六塔理臣
「夜光さん……」
碓井 晴貞
「みなさん、晩御飯は卜部室長におごってもらいましょうか。」
神籬囀
摩耶の肩に手を置いて頷いた。
神籬囀
いいねえ~。
シャイニング・輝元
うれしいね……
アマンダ
「……うん」
碓井 晴貞
聞こえるように言って、「では」とモバイルを切る。
アマンダ
「大丈夫。怖くないよ」
シャイニング・輝元
皆がこうしてちゃんと立って会話していてほんとうによかったなと思いながら後方腕組みをしています。
シャイニング・輝元
後方じゃないかも。
六塔理臣
膝を付いて、地面に触れる。
夜光のいた痕跡は、何も感じられない。
神籬囀
「……ああ、良いようになるさ」
シャイニング・輝元
みんなを光が照らしています……
神籬囀
「お姉さんが傍にいてやる」
六塔理臣
「夜光さん。僕は、あなたを目標としていました」
六塔理臣
「いつかあなたを超えて、またあなたに超えられて、それをまた超えられるような……。
そんな、お互いに切磋琢磨できる魔術師になりたかった」
六塔理臣
「それだけだったのに」
碓井 晴貞
「…………。」
六塔理臣
そう小さく呟いて、立ち上がった。
碓井 晴貞
「六塔さんもいっしょにどうですか?」
碓井 晴貞
「晩御飯、何食べたいですか?」
六塔理臣
ハンカチで止血し、髪を整える。
六塔理臣
スペアの眼鏡をかけ直す。
六塔理臣
「遠慮しておきます。僕は魔術師以外と馴れ合うつもりはないので」
神籬囀
「言うと思った~」
六塔理臣
「予想されるだろうとは思ってました」
碓井 晴貞
「あはは」
サヨ
「え~、じゃあ貸し権限で誘っちゃおうかな」
碓井 晴貞
「いいですねそれ。」
神籬囀
「サヨちん名案だな~」
シャイニング・輝元
「人数が多いほうが楽しいものな」
六塔理臣
「は?それは卑怯ですよ!」
碓井 晴貞
「そりゃずるくないか魔術師様よ。」
神籬囀
「そうだぜ~。観念しろ」
サヨ
「教会とか魔術師とか一旦置いておくなら、個人同士の食事ッス!」
六塔理臣
「くそ……汚い手を使って」
六塔理臣
「仕方ありません。レディの誘いを断る訳にはいきませんからね」
碓井 晴貞
「オフなら敬語もいらないよなー。」
サヨ
「実はサヨは正式にはレディではないんスが……」
六塔理臣
「義務はありませんが、僕からの印象は悪くなりますね」
碓井 晴貞
「えっ、年下のくせに。」
六塔理臣
「え?」
碓井 晴貞
「おじさんは37歳です。つまり年上。」
六塔理臣
「37ァ!?」
シャイニング・輝元
えっ……。
神籬囀
えっ
碓井 晴貞
「目上の人間は敬うのが礼儀じゃない?」
六塔理臣
「いくらなんでも若作りがすぎる!!」
神籬囀
年上じゃん。
碓井 晴貞
「はははは。」
碓井 晴貞
「年くうのはここだけだからさ。」
碓井 晴貞
頭を軽く叩く。
神籬囀
「まあ、とにかく行こうぜ。こんなところで立ち話もなんだろ」
神籬囀
「卜部室長が選んでくれるセンスのいい店、楽しみだな~!」
碓井 晴貞
「後片付けは特対におまかせを。」
GM
霊力結界の外は、木漏れ日の差し込む、自然公園。
GM
そこに繭の姿はない。
GM
穏やかな自然公園に、車の停まる音が聴こえた。
GM
GM
◆エピローグ:シャイニング・輝元
シャイニング・輝元
ここは社長室……。
シャイニング・輝元
シャイニング輝元の前には、
シャイニング・輝元
数人のシャイン・社員が並んでいる。
シャイニング・輝元
輝くボディスーツに身を包み、晴れやかな顔をしている。
シャイニング・輝元
「さて、改めて」
シャイニング・輝元
「昨日はありがとう」
シャイニング・輝元
「キミたちのおかげでこの街の平和は守られた……」
シャイニング・輝元
そうして、シャイン・社員たちになんか……いい感じの賞とか、昇給とかを伝えたりします。
シャイニング・輝元
そうして、シャイン・社員たちをたっぷりと褒め。
シャイニング・輝元
喜ぶシャイン・社員がウキウキで自分の席に帰り……
シャイニング・輝元
一息ついたところで。
黒衣菊理
「失礼します」
シャイニング・輝元
「ようこそ、ごきげんよう」
黒衣菊理
「シャイニング・輝元さん。どうもお疲れ様でした」
黒衣菊理
「おかげさまで、七城夜光の野望は打ち砕けました」
シャイニング・輝元
「ああ……今回は、ボクの力だけではない」
シャイニング・輝元
「皆のおかげだよ」
黒衣菊理
「ええ……」
シャイニング・輝元
「ボクだけでは、守りきれなかったであろうからね……」
黒衣菊理
「今回は無茶をされたとか」
シャイニング・輝元
「ふふふ」
シャイニング・輝元
「バレていたかな?」
シャイニング・輝元
「まあ、自分の限界くらいはわかっているつもりだよ」
シャイニング・輝元
「だからこそ皆の協力が必要不可欠だった……」
シャイニング・輝元
「カミガカリ達に……駆けつけてくれた、シャイン・社員たちもね」
シャイニング・輝元
「ほんとうに皆に感謝だ……」
黒衣菊理
「そうですね。シャイン・社員の皆さまにもよろしくお伝え下さい」
シャイニング・輝元
「ああ……」
黒衣菊理
「何かあった際には、またご協力お願いします」
シャイニング・輝元
「また困ったときには、ぜひきてくれたまえ」
黒衣菊理
では、と一礼。その場を立ち去る。
GM
「社長」秘書が部屋をノックする。
シャイニング・輝元
「ああ」
シャイニング・輝元
「入ってくれ」
秘書
「失礼します」
秘書
「今回の経費、被害に関する報告が上がっています。資料にまとめておりますので、ご確認を」
シャイニング・輝元
「ああ……」
秘書
「一部、特対の方へも請求を行う予定です。そのリストはこちらに」
シャイニング・輝元
資料を受け取る。
シャイニング・輝元
資料を眺めながら……
シャイニング・輝元
「キミも、今回の件は本当にありがとう」
シャイニング・輝元
「何から何まで、キミのサポートのおかげだ」
秘書
「仕事ですから」
シャイニング・輝元
「それにしたって、今回は本当に無茶をさせすぎたと思うよ」
シャイニング・輝元
「万が一のときの準備や、物資の調達までしてくれて……」
シャイニング・輝元
「働かせすぎてしまったかなと、思っているんだ」
シャイニング・輝元
「辛くなかったかい?」
秘書
「いえ。特には」
秘書
「社長もお疲れ様でした」
秘書
「前線に出向かれる危険な立場」
秘書
「……ご無事で何よりです」
シャイニング・輝元
「ああ……」
シャイニング・輝元
「心配してくれてありがとう」
秘書
「仕事ですので」
シャイニング・輝元
「ボクも……そうだな。少しリフレッシュをしようかな」
シャイニング・輝元
「一緒に来てくれないか?」
秘書
「? はい、お供します」
シャイニング・輝元
頷く。
シャイニング・輝元
秘書をつれてエレベーターに向かい……
シャイニング・輝元
屋上へ上がる。
シャイニング・輝元
わりと高めのビル。屋上に出ると、街が見下ろせる……
シャイニング・輝元
屋上を二人で並んで移動する。穏やかな風が吹きぬける……
シャイニング・輝元
そうして、フェンス越しに街を見下ろして。
シャイニング・輝元
「今日も街は平和だね……」
シャイニング・輝元
全裸で頷くのであった…………。
GM
GM
◆エピローグ:碓井晴貞
GM
アラミタマは討伐された。
GM
工房ひとつが潰れ、行方不明者が数名。
GM
彼らは表の世界では、事故死などとして処理される。
GM
アラミタマ事件にしては、被害は十分に軽微に抑えられた。
GM
しかし、その裏にも犠牲者は居るのだ。
GM
碓井晴貞は、慰霊碑の前に立っている。
碓井 晴貞
本部に帰還した際、サヨの治癒のおかげで自身の被害はほとんどなく。
碓井 晴貞
摩耶という少女にも、大きなけがはなく。
碓井 晴貞
共に戦ったカミガカリ達もまた、それぞれの場所へと戻っていった。
碓井 晴貞
それでも、関わったすべての人を救えたわけではもちろんなく。
碓井 晴貞
目を閉じ、全ての犠牲者に祈る。
碓井 晴貞
実験の犠牲になった罪のない人々
碓井 晴貞
爆発に巻き込まれた人々
碓井 晴貞
そして、アラミタマに付け込まれ、利用された夜光に。
碓井 晴貞
「…………。」
碓井 晴貞
自分の手を見る。
碓井 晴貞
この手は既に人間のものではない。
碓井 晴貞
道が違えば、あそこにいたのは自分だっだろう。
碓井 晴貞
「…………才能のあるやつには、わかんないよな。」
碓井 晴貞
ぐっと拳を握って、ため息をつく。
碓井 晴貞
自分を含む5人ものカミガカリを一瞬で回復させる"聖フィロメナ"。
碓井 晴貞
全ての攻撃を吸収し受け止めるシャイニング仮面。
碓井 晴貞
刀で夜光を打ち破った囀。
碓井 晴貞
そして、稀代の天才魔術師と言われる六塔理臣。
碓井 晴貞
左耳に装着した強化型ALUに触れる。
碓井 晴貞
強靭な機械の身体を手に入れて、こうやって強化して、それでもなお……
碓井 晴貞
彼等には届かない。
碓井 晴貞
「才能……ってなんなんだろうな。」
碓井 晴貞
たぶんそれは、一生わからないのだろう。
碓井 晴貞
持つ者が、持たざる者を理解できないように。
碓井 晴貞
「でも……」
碓井 晴貞
「別に、苦しいのは……」
碓井 晴貞
「俺達だけじゃないよな。」
碓井 晴貞
「夜光よぉ……」
碓井 晴貞
六塔理臣が上を目指したように。
碓井 晴貞
サヨが人間を目指すように。
碓井 晴貞
「…………。」
碓井 晴貞
「あんたとはこうなる前に、一度話したかったよ。」
碓井 晴貞
「酒でも飲みながらさ。」
碓井 晴貞
立ち上がる。
碓井 晴貞
死者は蘇らない。
碓井 晴貞
祈りをささげることは出来るが、守ることは出来ない。
碓井 晴貞
「さて。」
碓井 晴貞
「働くか!」
GM
GM
◆エピローグ:サヨ
GM
キミは川辺教会へと向かい、副長のテレサに直接顛末を報告することにした。
GM
彼女は礼拝堂でキミを待っていた。
サヨ
「”聖フィロメナ”サヨ。ただいま戻りました」
テレサ・カラス
「……お疲れ様、シスター。本当に良くやってくれたわ」
サヨ
「魔術師連盟所属・六塔理臣氏、環境省特別対策省所属・碓井晴貞氏。
……それから、フリーランスでカミガカリとして活動している神籬囀氏、
シャイニング・輝元氏」
サヨ
「以上四名の協力の下、討伐任務を全うすることが出来ました。詳細は総務の方に報告書を提出しておきましたので、後ほどご確認を」
テレサ・カラス
「ええ。上手くやれたみたいで良かった」
サヨ
「現場では助けられっぱなしだったッス~」
テレサ・カラス
「あなたも、皆を助けたはずよ」
テレサ・カラス
「特対から感謝の言葉が来ていたわ」
サヨ
「ふふん」
サヨ
「……みなさん強かったッス」
テレサ・カラス
「……ええ」
サヨ
「サヨは、……まだまだ、未熟な生命だな~って」
テレサ・カラス
「当然よ。あなたはまだ子供なんだから」
サヨ
「今回の任務は本当に勉強になったッス!」
テレサ・カラス
「これから学んで、たくさん成長していくのよ」
テレサ・カラス
「あなたには、いつも危険な任務ばっかり」
テレサ・カラス
「だけれど、あなたの無事と、未来を祈っているわ」
サヨ
「でもサヨは、"ただの消耗品"じゃあ、ないッスから!」
サヨ
「人類にわけてもらったしあわせを、ちゃんとお返ししなくちゃ」
サヨ
フラスコの中では知りえなかった、人類の持つひかり。
サヨ
「それで、シスターテレサ!聞いてください!」
サヨ
「めちゃくちゃ光る人がいたんスよ!」
サヨ
興奮気味に話しだす。
テレサ・カラス
「ど……どういう事?」
サヨ
「なんて言うんスか、あの……局部?がすごい……光って……ビームとか出て……」
サヨ
わやわや
サヨ
「で、すごい強いんスよ」
テレサ・カラス
「い……色んなカミガカリがいるものね…………」
サヨ
「……サヨ以外の人造生命にも会いました」
テレサ・カラス
「……アラミタマの器だっていう子ね?」
サヨ
「ッス。でも、器にはなりませんでした。ちゃんと、引きとめてくれる人がいた」
サヨ
「サヨは、……そのお手伝いができて、良かったッス」
テレサ・カラス
「……ええ」
テレサ・カラス
「あなたも、その子も、生きることを願われた命だったのね」
サヨ
頷く。
サヨ
自分がかつてそうであったように、あの子にもしあわせがあるといい。
テレサ・カラス
「その子の処遇についても、決まったみたいよ」
サヨ
「!」
サヨ
「良い話だといいんスが」
テレサ・カラス
「悪い結果ではない──と、思うわ」
サヨ
「じゃ、お茶でもしばきながらお聞きするッス!」
GM
GM
◆エピローグ:六塔理臣
六塔理臣
春の陽気の中、魔術師が一人歩いている。
背筋をしゃんと伸ばして、規則正しい靴音を響かせて。
六塔理臣
木漏れ日の道の先は霊園。
一つの墓標に辿り着く。
六塔理臣
まだ真新しい墓石には、汚れらしい汚れが付いていない。
そしてこの冷たい地面の下には、何もいない。
六塔理臣
几帳面に掃除をして、花束を供えて、ようやく一息
六塔理臣
「夜光さん」
六塔理臣
「昨日、お師様が退院しました。
車椅子での生活にはなりますが、元気そうですよ」
六塔理臣
「これも夜光さんが手加減……してくれたから、かもしれませんね」
六塔理臣
空を見上げる。
青い晴れ間が広がっている。
六塔理臣
「そうだ、お師様が新しく弟子を迎えたんですよ」
六塔理臣
「僕にも弟弟子ができました」
六塔理臣
「才能に満ち溢れた子で……、今になって少しだけ、夜光さんの気持ちが分かったような気がします」
六塔理臣
「以前の僕なら、お師様を取られたと思ったり、才能に嫉妬したかもしれません」
六塔理臣
「でも……、広い心で接することができるように、頑張ってみるつもりです」
六塔理臣
「僕が憧れた、夜光さんみたいに」
六塔理臣
「それに、僕は感情のために目的を見失うような愚かな男ではありませんし」
六塔理臣
「でも、夜光さんと一緒に弟弟子を見られたらよかった……とは、思ってしまいますね」
六塔理臣
ぱちん、と懐中時計の蓋を開く。
六塔理臣
蓋の裏には写真が収められていた。
六塔理臣
成人の祝いに贈られた時計。
そして師と、夜光と、自分が映った写真。
六塔理臣
ぱちん、と時計の蓋を閉じた。
自分も次の時間に行かなければならない。
GM
GM
◆エピローグ:神籬囀
GM
憑代の少女アマンダ──片桐摩耶は、卜部との協議の末、シャルルに引き取られることとなった。
GM
禁忌の法によって生み出された彼女は、一般社会で生きていくことが難しいからだ。
GM
そして、これは何より少女が自ら選んだ道でもある。
GM
キミは、イギリスへと旅立つ彼女を見送るため、空港へとやってきた。
神籬囀
フリーランスって言うのは、組織のしがらみに縛られない。
神籬囀
それは、助けた人間の面倒を見る力が、そんなに自分にはないということでもある。
神籬囀
別れはつきものだ。それこそ頻繁に。
神籬囀
そういう道を選んだのは自分。
神籬囀
そしてそれは、悪いことでもないと思っている。
神籬囀
「よう、こんにちは!」
神籬囀
摩耶の姿を見つけて、手を上げて近づいていく。
アマンダ
「サエズリ!」
アマンダ
不安そうな顔が、囀をみるとぱっと輝く。
神籬囀
「よしよし、元気そうだな」
シャルル・ダーレス
「神籬氏。改めて感謝を」
神籬囀
「ああ……助かったよ、あんたんとこの」
神籬囀
「六塔だっけ、ちゃんとやってくれた」
シャルル・ダーレス
「……彼にとっては辛い仕事だったでしょう。支えて下さったと聞いています」
神籬囀
「ちゃんと自分で踏みとどまったのはあいつさ」
神籬囀
「偉い奴だよ、終わった後もしっかり立ててた」
シャルル・ダーレス
「……そうでしたか。彼らは今、居心地の悪い立場にありますから……きちんと労っておきましょう」
神籬囀
「そーしてやってくれ」
アマンダ
「……短い間だったけど、ありがとう」
神籬囀
「ああ」
アマンダ
「サエズリがいたから、私は私でいられた」
神籬囀
「……うん」
アマンダ
「どんなことがあっても、もう絶対に挫けたりしないよ」
アマンダ
「自分が何者かわからなかったころの私じゃない。私はサエズリが呼んでくれた……片桐摩耶だから」
神籬囀
「そっか」
神籬囀
「……摩耶」
アマンダ
「うん」
神籬囀
「礼を言いたいのはな、こっちだよ」
神籬囀
「助かってくれてありがとう」
神籬囀
「君が助かって、元気でいてくれたら」
アマンダ
「……」
神籬囀
「私のほうが本当に助かる気持ちになる」
神籬囀
「だからさ、まあ──」
神籬囀
「向こうに行っても、元気でな」
神籬囀
「嫌なことがあったら言えよ」
アマンダ
「サエズリは、優しいね」
神籬囀
「すっ飛んでって助けてやるから」
アマンダ
「でもね」
アマンダ
「次会ったときには、私はりっぱな魔術師になってて、困ってるサエズリを助ける方かも?」
神籬囀
「むっ」
神籬囀
「そりゃいい」
神籬囀
にっと笑った。
神籬囀
「次に会う時が楽しみだな」
神籬囀
「その時は、かっこよく助けてくれ」
アマンダ
「私の正義のヒーロー」
アマンダ
「たまには休んで、甘えて、頼って」
アマンダ
「私の人生は、あなたに助けられたんだから」
神籬囀
「ん……」
神籬囀
「ありがとう、摩耶」
神籬囀
「君にそう思ってもらえてること、忘れないようにする」
シャルル・ダーレス
「さあ」
シャルル・ダーレス
「名残は尽きないでしょうが時間がありませんよ」
アマンダ
「……じゃあね、サエズリ」
神籬囀
「ああ」
神籬囀
「元気で」
シャルル・ダーレス
「彼女のことは、私が責任を持ってお預かりします」
シャルル・ダーレス
「それでは、また」
神籬囀
「頼んだ」
アマンダ
空港のゲートをくぐるまで。
アマンダ
彼女は、何度も振り返り、手を振り続けた。
神籬囀
笑顔でそれを見送っている。
神籬囀
姿が見えなくなるまで、手を振り返す。
神籬囀
「──ふうっ」
神籬囀
ふたりを見送り、息を吐き出して一つ伸びをする。
神籬囀
そんじゃあまあ、女の子にああ言われたし……
神籬囀
甘いものでも食べて帰ろうかな。
神籬囀
踵を返し、空港を立ち去った。
神籬囀
フリーランスをしていると、別れは頻繁に訪れる。
神籬囀
寂しいけれども、悪いことではない。
神籬囀
自分がカミガカリとして、人を助けることができた。
神籬囀
その誇りが、胸に息づいている。
神籬囀
だからまた、戦い続けられる。
神籬囀
どうか、いつまでも元気で──
神籬囀
君に次に会うのを、本当に楽しみにしている。
GM
武装伝奇RPG『神我狩』──
GM
『人造生命は神殺しの夢を見るか?』
GM
これにて閉幕
GM
お疲れさまでした!
碓井 晴貞
おつかれさまでした!
シャイニング・輝元
おつかれさま・・・・・・・・!!!!!!!!!
サヨ
おつかれさまでした!