アマンダ
「怖かった。怖かった。サエズリ、死んじゃうんじゃないかって……!」
碓井 晴貞
引き抜いた武器をしまう。
ジャケットを脱いでしまえば白い血は目立たない。
シャイニング・輝元
光を纏って元のマントコート姿にもどる。
シャイニング・輝元
「ああ……キミが……そして、ここにいる全員が無事でほんとうによかった」
神籬囀
「そうだな。摩耶ががんばってくれたおかげだ」
アマンダ
「サエズリがいてくれたから、私は私でいられた」
六塔理臣
一瞥してアマンダの無事を確認し、サヨを見る。
碓井 晴貞
モバイルを取り出して、"特対"に連絡を入れる。
神籬囀
クシミタマに願いをかけても、死んだ人間は帰ってこない。
碓井 晴貞
「夜光、並びにアラミタマの討伐を完了いたしました。」
神籬囀
彼女の両親は夜光の手によって殺された。記憶が戻ってきても──
サヨ
「ふふん、魔術師に貸しを作れたのはお手柄ッス」
六塔理臣
「一つ言っておくが、僕が貸しを作ったのはお前であって、教会じゃない」
六塔理臣
「お前が貸しを作ったのも、魔術師じゃなくて僕だということを忘れるな」
神籬囀
……それでも、彼女が器になどならなくてよかった。そうしておくべきだろう。
サヨ
「それは……えっと……はい。分かりました。ムトくんがそう言うなら」
碓井 晴貞
「彼女の処遇に関しても確認しましょう。」
六塔理臣
夜光がいた場所に行き、地面を見る。
そこには憧れた兄弟子の、背中を追った兄弟子だったものは何もない。
碓井 晴貞
「…………一度連れて戻れとのことですので。」
碓井 晴貞
「みなさん、晩御飯は卜部室長におごってもらいましょうか。」
碓井 晴貞
聞こえるように言って、「では」とモバイルを切る。
シャイニング・輝元
皆がこうしてちゃんと立って会話していてほんとうによかったなと思いながら後方腕組みをしています。
六塔理臣
膝を付いて、地面に触れる。
夜光のいた痕跡は、何も感じられない。
シャイニング・輝元
みんなを光が照らしています……
六塔理臣
「夜光さん。僕は、あなたを目標としていました」
六塔理臣
「いつかあなたを超えて、またあなたに超えられて、それをまた超えられるような……。
そんな、お互いに切磋琢磨できる魔術師になりたかった」
六塔理臣
「遠慮しておきます。僕は魔術師以外と馴れ合うつもりはないので」
シャイニング・輝元
「人数が多いほうが楽しいものな」
サヨ
「教会とか魔術師とか一旦置いておくなら、個人同士の食事ッス!」
六塔理臣
「仕方ありません。レディの誘いを断る訳にはいきませんからね」
サヨ
「実はサヨは正式にはレディではないんスが……」
六塔理臣
「義務はありませんが、僕からの印象は悪くなりますね」
碓井 晴貞
「おじさんは37歳です。つまり年上。」
碓井 晴貞
「目上の人間は敬うのが礼儀じゃない?」
神籬囀
「まあ、とにかく行こうぜ。こんなところで立ち話もなんだろ」
神籬囀
「卜部室長が選んでくれるセンスのいい店、楽しみだな~!」
GM
霊力結界の外は、木漏れ日の差し込む、自然公園。
GM
穏やかな自然公園に、車の停まる音が聴こえた。
シャイニング・輝元
数人のシャイン・社員が並んでいる。
シャイニング・輝元
輝くボディスーツに身を包み、晴れやかな顔をしている。
シャイニング・輝元
「キミたちのおかげでこの街の平和は守られた……」
シャイニング・輝元
そうして、シャイン・社員たちになんか……いい感じの賞とか、昇給とかを伝えたりします。
シャイニング・輝元
そうして、シャイン・社員たちをたっぷりと褒め。
シャイニング・輝元
喜ぶシャイン・社員がウキウキで自分の席に帰り……
黒衣菊理
「シャイニング・輝元さん。どうもお疲れ様でした」
黒衣菊理
「おかげさまで、七城夜光の野望は打ち砕けました」
シャイニング・輝元
「ああ……今回は、ボクの力だけではない」
シャイニング・輝元
「ボクだけでは、守りきれなかったであろうからね……」
シャイニング・輝元
「まあ、自分の限界くらいはわかっているつもりだよ」
シャイニング・輝元
「だからこそ皆の協力が必要不可欠だった……」
シャイニング・輝元
「カミガカリ達に……駆けつけてくれた、シャイン・社員たちもね」
黒衣菊理
「そうですね。シャイン・社員の皆さまにもよろしくお伝え下さい」
黒衣菊理
「何かあった際には、またご協力お願いします」
シャイニング・輝元
「また困ったときには、ぜひきてくれたまえ」
秘書
「今回の経費、被害に関する報告が上がっています。資料にまとめておりますので、ご確認を」
秘書
「一部、特対の方へも請求を行う予定です。そのリストはこちらに」
シャイニング・輝元
「キミも、今回の件は本当にありがとう」
シャイニング・輝元
「何から何まで、キミのサポートのおかげだ」
シャイニング・輝元
「それにしたって、今回は本当に無茶をさせすぎたと思うよ」
シャイニング・輝元
「万が一のときの準備や、物資の調達までしてくれて……」
シャイニング・輝元
「働かせすぎてしまったかなと、思っているんだ」
シャイニング・輝元
「ボクも……そうだな。少しリフレッシュをしようかな」
シャイニング・輝元
秘書をつれてエレベーターに向かい……
シャイニング・輝元
わりと高めのビル。屋上に出ると、街が見下ろせる……
シャイニング・輝元
屋上を二人で並んで移動する。穏やかな風が吹きぬける……
シャイニング・輝元
そうして、フェンス越しに街を見下ろして。
シャイニング・輝元
全裸で頷くのであった…………。
GM
彼らは表の世界では、事故死などとして処理される。
GM
アラミタマ事件にしては、被害は十分に軽微に抑えられた。
碓井 晴貞
本部に帰還した際、サヨの治癒のおかげで自身の被害はほとんどなく。
碓井 晴貞
摩耶という少女にも、大きなけがはなく。
碓井 晴貞
共に戦ったカミガカリ達もまた、それぞれの場所へと戻っていった。
碓井 晴貞
それでも、関わったすべての人を救えたわけではもちろんなく。
碓井 晴貞
そして、アラミタマに付け込まれ、利用された夜光に。
碓井 晴貞
道が違えば、あそこにいたのは自分だっだろう。
碓井 晴貞
「…………才能のあるやつには、わかんないよな。」
碓井 晴貞
自分を含む5人ものカミガカリを一瞬で回復させる"聖フィロメナ"。
碓井 晴貞
全ての攻撃を吸収し受け止めるシャイニング仮面。
碓井 晴貞
そして、稀代の天才魔術師と言われる六塔理臣。
碓井 晴貞
強靭な機械の身体を手に入れて、こうやって強化して、それでもなお……
碓井 晴貞
たぶんそれは、一生わからないのだろう。
碓井 晴貞
持つ者が、持たざる者を理解できないように。
碓井 晴貞
「あんたとはこうなる前に、一度話したかったよ。」
碓井 晴貞
祈りをささげることは出来るが、守ることは出来ない。
GM
キミは川辺教会へと向かい、副長のテレサに直接顛末を報告することにした。
サヨ
「”聖フィロメナ”サヨ。ただいま戻りました」
テレサ・カラス
「……お疲れ様、シスター。本当に良くやってくれたわ」
サヨ
「魔術師連盟所属・六塔理臣氏、環境省特別対策省所属・碓井晴貞氏。
……それから、フリーランスでカミガカリとして活動している神籬囀氏、
シャイニング・輝元氏」
サヨ
「以上四名の協力の下、討伐任務を全うすることが出来ました。詳細は総務の方に報告書を提出しておきましたので、後ほどご確認を」
テレサ・カラス
「ええ。上手くやれたみたいで良かった」
テレサ・カラス
「特対から感謝の言葉が来ていたわ」
サヨ
「サヨは、……まだまだ、未熟な生命だな~って」
テレサ・カラス
「当然よ。あなたはまだ子供なんだから」
テレサ・カラス
「これから学んで、たくさん成長していくのよ」
テレサ・カラス
「あなたには、いつも危険な任務ばっかり」
テレサ・カラス
「だけれど、あなたの無事と、未来を祈っているわ」
サヨ
「でもサヨは、"ただの消耗品"じゃあ、ないッスから!」
サヨ
「人類にわけてもらったしあわせを、ちゃんとお返ししなくちゃ」
サヨ
フラスコの中では知りえなかった、人類の持つひかり。
サヨ
「それで、シスターテレサ!聞いてください!」
サヨ
「なんて言うんスか、あの……局部?がすごい……光って……ビームとか出て……」
テレサ・カラス
「い……色んなカミガカリがいるものね…………」
テレサ・カラス
「……アラミタマの器だっていう子ね?」
サヨ
「ッス。でも、器にはなりませんでした。ちゃんと、引きとめてくれる人がいた」
サヨ
「サヨは、……そのお手伝いができて、良かったッス」
テレサ・カラス
「あなたも、その子も、生きることを願われた命だったのね」
サヨ
自分がかつてそうであったように、あの子にもしあわせがあるといい。
テレサ・カラス
「その子の処遇についても、決まったみたいよ」
テレサ・カラス
「悪い結果ではない──と、思うわ」
サヨ
「じゃ、お茶でもしばきながらお聞きするッス!」
六塔理臣
春の陽気の中、魔術師が一人歩いている。
背筋をしゃんと伸ばして、規則正しい靴音を響かせて。
六塔理臣
木漏れ日の道の先は霊園。
一つの墓標に辿り着く。
六塔理臣
まだ真新しい墓石には、汚れらしい汚れが付いていない。
そしてこの冷たい地面の下には、何もいない。
六塔理臣
几帳面に掃除をして、花束を供えて、ようやく一息
六塔理臣
「昨日、お師様が退院しました。
車椅子での生活にはなりますが、元気そうですよ」
六塔理臣
「これも夜光さんが手加減……してくれたから、かもしれませんね」
六塔理臣
空を見上げる。
青い晴れ間が広がっている。
六塔理臣
「そうだ、お師様が新しく弟子を迎えたんですよ」
六塔理臣
「才能に満ち溢れた子で……、今になって少しだけ、夜光さんの気持ちが分かったような気がします」
六塔理臣
「以前の僕なら、お師様を取られたと思ったり、才能に嫉妬したかもしれません」
六塔理臣
「でも……、広い心で接することができるように、頑張ってみるつもりです」
六塔理臣
「それに、僕は感情のために目的を見失うような愚かな男ではありませんし」
六塔理臣
「でも、夜光さんと一緒に弟弟子を見られたらよかった……とは、思ってしまいますね」
六塔理臣
成人の祝いに贈られた時計。
そして師と、夜光と、自分が映った写真。
六塔理臣
ぱちん、と時計の蓋を閉じた。
自分も次の時間に行かなければならない。
GM
憑代の少女アマンダ──片桐摩耶は、卜部との協議の末、シャルルに引き取られることとなった。
GM
禁忌の法によって生み出された彼女は、一般社会で生きていくことが難しいからだ。
GM
そして、これは何より少女が自ら選んだ道でもある。
GM
キミは、イギリスへと旅立つ彼女を見送るため、空港へとやってきた。
神籬囀
フリーランスって言うのは、組織のしがらみに縛られない。
神籬囀
それは、助けた人間の面倒を見る力が、そんなに自分にはないということでもある。
神籬囀
そしてそれは、悪いことでもないと思っている。
神籬囀
摩耶の姿を見つけて、手を上げて近づいていく。
シャルル・ダーレス
「……彼にとっては辛い仕事だったでしょう。支えて下さったと聞いています」
神籬囀
「ちゃんと自分で踏みとどまったのはあいつさ」
神籬囀
「偉い奴だよ、終わった後もしっかり立ててた」
シャルル・ダーレス
「……そうでしたか。彼らは今、居心地の悪い立場にありますから……きちんと労っておきましょう」
アマンダ
「サエズリがいたから、私は私でいられた」
アマンダ
「どんなことがあっても、もう絶対に挫けたりしないよ」
アマンダ
「自分が何者かわからなかったころの私じゃない。私はサエズリが呼んでくれた……片桐摩耶だから」
アマンダ
「次会ったときには、私はりっぱな魔術師になってて、困ってるサエズリを助ける方かも?」
アマンダ
「私の人生は、あなたに助けられたんだから」
神籬囀
「君にそう思ってもらえてること、忘れないようにする」
シャルル・ダーレス
「名残は尽きないでしょうが時間がありませんよ」
シャルル・ダーレス
「彼女のことは、私が責任を持ってお預かりします」
アマンダ
彼女は、何度も振り返り、手を振り続けた。
神籬囀
ふたりを見送り、息を吐き出して一つ伸びをする。
神籬囀
そんじゃあまあ、女の子にああ言われたし……
神籬囀
フリーランスをしていると、別れは頻繁に訪れる。
神籬囀
自分がカミガカリとして、人を助けることができた。
神籬囀
君に次に会うのを、本当に楽しみにしている。
シャイニング・輝元
おつかれさま・・・・・・・・!!!!!!!!!