ジャスティワン
『────あばよ、ヴァドレイッ!』
ジャスティワン
『────っしゃああああぁあああっ!!!』
プリシルフ
タン、と。軽い音を立てて隣に降り立つ。
プリシャドウ
普段の自分なら腰を抜かしてしまいそうな状況で。
しかし、まっすぐに。毅然と客席を見据えて。
ジャスティワン
『練習した決めポーズ、使えなくなるかと思ったな?』
仮面の下で、笑う。
プリシルフ
「これにて一件落着~ってね!みんな、応援ありがとうー!」
ジャスティワン
『──応援、ありがとなっ!
皆の、おかげだ!!』
ジャスティワン
並び立つ魔法少女たちと、がし、と腕を組む。
宿木宮ゆらぎ
『またしてもおおお、ヒーローたちの勝利だああああ!!!』
GM
観客席は嵐のように湧いた。喜びに、嬉しさにみなが手を取り合って飛んで跳ねた。
プリシルフ
しっかりと寄り添いながら、もう片方の手を観客席に向かって振る
GM
爆発の中心から、虹色に光る結晶が浮かび上がる
五十嵐拓郎
ステージ上、少し中央から外れたところにいた紳士が、ゆっくりと歩み出てくる。
五十嵐拓郎
「皆様、ヒーローたちへの応援ありがとうございました」
五十嵐拓郎
「皆様が共に戦ってくれたおかげで、我々は勝つことができました」
五十嵐拓郎
「シャイニング仮面様、プリシルフ、プリシャドウ──そしてジャスティワン」
五十嵐拓郎
「彼らに憧れ、ヒーローを志す方も、中にはいようかと思います」
五十嵐拓郎
「皆様に、これは世界からの、ほんのささやかな贈り物」
五十嵐拓郎
ヒーローになりたいと望み、志す方々が、いずれそう「なれ」るように。
GM
それは会場の上空で弾け、四方八方へと飛んでいく
五十嵐拓郎
「……ヒーローとは、おのれの意志でもって、少しでも世界をよいものへと変えんとする人々」
五十嵐拓郎
「皆さん一人ひとりが、そうありたいと思う限りはヒーローだと私は思います」
五十嵐拓郎
「ほんの少しでもそのお手伝いになれば幸いです。──ありがとうございます」
五十嵐拓郎
フリーランスである五十嵐は、ふだんはクシミタマをこういう使い方をすることはない。
五十嵐拓郎
私も彼らの熱気に充てられたかもしれませんね。
五十嵐拓郎
一礼をして、ステージの中央から脇へ控えた。
シャイニング仮面様
一歩前に出て、左手に向かってお辞儀。それから、右にお辞儀。
シャイニング仮面様
両手を上げて、深々と頭を下げて。
シャイニング仮面様
「皆、ヒーローショーは楽しかったかな?」
GM
それは、幾重にも重なって聞き取ることができなかったが…
シャイニング仮面様
「来年も、再来年も、また来てほしい」
シャイニング仮面様
「夢と希望を与えるこの場所が、ずっとあるように」
シャイニング仮面様
「ボクは、末永くこのヒーローショーができるように、支えよう」
シャイニング仮面様
これからは、アラミタマのためではなく、子どもたちのために。
シャイニング仮面様
株式会社HEROの社長としても。
GM
クシミタマは輝き、黄金をシャイニング仮面様の手元に落とす
シャイニング仮面様
これだけあれば、特対の支えがなくてもヒーローショーは続けていけるだろう。
シャイニング仮面様
もう一度、光の粒。紙吹雪のように。
シャイニング仮面様
そうして、もう一度頭を下げて、舞台の袖へ。
プリシャドウ
足取りは軽く客席に向かい一歩出て。
明るく声を張り上げるーー
プリシャドウ
「みんな、ほんとに応援ありがとう!」
プリシャドウ
「ヒーローも、魔法少女も。一人では戦えない。
みんなと一緒に、夢を見るからがんばれるんだ」
プリシャドウ
ステージの上、メアの手をとって共に中央へ。
プリシャドウ
その手をぎゅっと握って、微笑みかける。
きっと知らない間にも、ずっと、たくさん助けてもらっていた。
プリシャドウ
「だから今、ひとりぼっちでがんばってるひとたちも。
……ひとりでがんばらなくても、いいんだよ」
プリシャドウ
クシミタマの効果を選択します。
メアがカミガカリになれるように。
これからは、ひとりで戦わなくていいように。
プリシルフ
「ウチは、たくさんの人を笑顔にしたい」
プリシルフ
「足元で苦しんでる子も、遠くで寂しがってる子も、みーんな!」
プリシルフ
「いつでも何処へでも、すぐに飛んでいけるように……!」
ポポン
クシミタマの光りに包まれ、契約獣が姿を変える。
ポポン
誰かの助けを呼ぶ声を聞き漏らさない大きな耳と、長い2又の尾。
プリシルフ
「誰かが困って泣いてるとき……きっとウチらが助けに行くよ」
プリシルフ
「もしそんな子を見つけても、ウチらを待つ必要なんてないんだよ」
プリシルフ
「プリティ・キルキルには……誰だってなれるんだから!」
GM
観客の子供達が、目を輝かせながらそれを聞き…体を震わせる
プリシャドウ
プリシルフの言葉を聞いて、うれしそうに微笑んで。
それからそっと後ろへ下がり、脇へと退く。
プリシャドウ
舞台の端にいるだろう宿木宮ゆらぎにこっそり寄ると、
少しだけ顔を近づけてーー
南波深見美
「……あたし、これからも……ショーの大道具も、お手伝いも。
ずっとずっと、もっとがんばります」
南波深見美
「魔法少女は、表の顔でも頑張らないと、ですからね!」
宿木宮ゆらぎ
「めちゃくちゃ嬉しいなぁ…」にししと笑う
南波深見美
「あの……だから、……その。宿木宮コーチも。
これからも、もっと、よろしくおねがいしますね?」
南波深見美
いつもの深見美の顔で、はにかむように、笑った。
宿木宮ゆらぎ
ふと、ゆらぎは思いついたように続ける
宿木宮ゆらぎ
「あ、そうだな。じゃあ…」
そう言って、みみみの耳元に顔を近づける
ジャスティワン
『俺はある。家族だ。
おふくろ……ええと、母さんと、妹だ!』
ジャスティワン
『皆にも、大切なもの、守りたいものがあるよな。
そしてそのために、戦わなくちゃいけない時がくる…かもしれない。
そうしたら』
ジャスティワン
『──戦うんだ。
大丈夫、君たちならできる。
プリシルフが言うとおり、ヒーローは、魔法少女は、誰だってなれる。
俺たちを応援してくれた君たちも、
正義を信じてくれた君たちも、間違いなく正義の味方だから!』
ジャスティワン
『もし、どうしても勝てない、って敵に出会ってしまったら!』
ジャスティワン
『絶対俺たちを呼んでくれ!
──絶対駆け付ける、なんて言ったらウソになっちまう!
だから、俺と、君たちの"約束"だッ!
"頑張って行くから、君たちも頑張って……声を届けてくれ"ッ!』
ジャスティワン
届けようとして。
聞こうとしなければ。
それは、届かない。
ジャスティワン
大きく手を振って、子供たちに別れを告げて。
舞台袖へと歩きながら、クシミタマをぐっと握り締める。
ジャスティワン
ヒーローにだって、願いはある。
──"奇跡"の欠片は、その思いにこたえた。
壱原正大
"ヒーロー"になった姿を、俺の大切な人に見てもらいたい。
壱原正大
その時、ふ、と。
客席に、見慣れた顔がいることに気が付いて、照れ臭そうに頭をかいた。
壱原正大
亡き父の、最後の言葉を思い出す。
あの時は、素直に受け取ることができなかったけれど。
壱原正大
「─……言われなくても、仲良くやるっつぅの。
後は任せろよ。俺の……最初のヒーロー、さんよ」
壱原正大
亡き父から"仲良くしろよ"と託された、彼の最愛の妹は。
壱原正大
小さな手で何度もぱちぱち、と手を叩いて。
にこり、とほほ笑んだ。
壱原正大
──あのために戦ってきた。
──あのために戦うよ。
GM
子供達は、ジャスティワンの言葉を真剣に聞き…ただただ頷く
GM
クシミタマの輝きは今、空を走り、世界を駆けた
GM
こうして、無事ヒーローショーは終わったのであった。
GM
観客の子供達は今日この日、胸の奥に宿った熱い心の炎を…決して忘れることはないだろう。
GM
ゆらぎに誘われて、君たちは前回よりも大分小規模なショーの舞台に来ていた。
五十嵐拓郎
「いやあ、まさかまたヒーローショーに来ることになるとはね」
柊 勇義
「なんだ?ヒーローやりたかったのか?」
からかうように、笑う
五十嵐拓郎
「そうですねえ、もう一度やりたいかと言われると難しいところですが……」
五十嵐拓郎
「でも、いい経験をさせていただきました」
柊 勇義
「…俺もだよ」
少し、申し訳なさそうに首をかく
五十嵐拓郎
「あなたがあんなに思いつめやすい方だとは思いませんでした」
五十嵐拓郎
「……もちろん、おいそれと相談できることでなかったとは思いますが」
五十嵐拓郎
「もうひとりで抱え込まないでくださいね」
五十嵐拓郎
「ぜひ今度ステージを爆破したくなったらご相談を」
五十嵐拓郎
「ひとりで戦っているわけではないことは」
五十嵐拓郎
「みんなを率いる隊長であるあなたが、一番よく分かっているはずですからね」
五十嵐拓郎
「ええ、よろしくお願いいたします。……頼りにしていますよ」
柊 勇義
「"応援"すっか」
そう言って、舞台の方を見る
五十嵐拓郎
熱中し過ぎて仕事を忘れないよう、気を付けなければ。
GM
それが合図だったかのように、すぐに幕が上がり…ショーが始まった。
南波深見美
大道具の南波は、舞台の裏側で縦横無尽と駆け回っている。
南波深見美
『大道具、任せた!』の一言が、心から嬉しかった。
南波深見美
もちろん客席で見たかった気持ちがないといえば嘘になるけどっ!!
南波深見美
録画はちゃんとお願いしたから、大丈夫だ。
GM
前回の大舞台に比べれば、セットも演出も到底及ばないほどだ。
GM
だが、それでも…君たちにはゆらぎは輝いて見えただろう。
宿木宮ゆらぎ
「燃えよ魂、繋げ絆!ジャスティガール、参上!!!」
南波深見美
ーーああ、そう、やっぱりこういう瞬間が。
生きてる!って、感じがする!
宿木宮ゆらぎ
シーンの移り変わりのタイミングで、みみみに向けてウインクする
南波深見美
「はああっ……あとでサインもらいにいこ……」
壱原正大
「見習いたい。……や、もうショーじゃなくていいけどさ、俺は……」
シャイニング・輝元
ビルの屋上から、それを見守る。
シャイニング・輝元
遠くからでもシャイニング・点は見えるが……きっとゆらぎに夢中な子どもたちは気付かないだろう。
壱原正大
「せー、のー」 周囲の子供たちに合わせて。
観客の子供たち
「がんばれー!!ジャスティガール!」
シャイニング・輝元
屋上の柵に手をかけて、そっと呟く。
「がんばれ、ジャスティガール!」
南波深見美
「がんばれっ、ジャスティガール……!」
宿木宮ゆらぎ
君たちのその声援に、ゆらぎは笑顔を見せる
宿木宮ゆらぎ
「正義の心は!ヒーローは!!君の心の中にいるんだ!!!」
宿木宮ゆらぎ
ゆらぎは拳を突き出した。観客席の、君たちに向かって。
宿木宮ゆらぎ
ーーーありがとうみんな!ボクは、今ここで!ヒーローになれたよ!!!
宿木宮ゆらぎ
ゆらぎの笑顔は太陽に照らされて、とても眩しく、輝いていた。
GM
それでも大人になった今、それはただの夢だと…妄想に過ぎないと言うのだろう。
GM
オリジナルシナリオ「ヒーローは君の心の中に」