GM
村を囲む周囲から、慌ただしい音が聞こえ始める。
グリフォンの末裔
「救世主! 人形旅団が来たぞ!」
グリフォンの末裔
「んなことにこだわってる場合じゃねえだろばか!」
グリフォンの末裔
「四方を囲んでの一斉攻撃。逃がすつもりはなさそうだ」
アルビレオ
「亡者と罠がうまく機能することを祈ろう」
モーリーン
「はい。みんなにも頑張ってもらわなきゃ」
わすれぐさ
「すぐに、じゃんなつさまにてつだってもらうことになりそうですね」
GM
カボチャの亡者をかいくぐった人形の兵士が塀に張りつき、よじ登ろうとするのを末裔たちがはたき落としている。
GM
侵入を許してしまうところもあるが、複数人で囲んでどうにか対処しているものの、既に負傷者が出ている。
GM
比較的敵の薄い出入り口に、救世主達は向かう。
モーリーン
「わすれぐささまをお一人で行かせるわけには……」
モーリーン
「じゃああたしはわすれぐささまについていきます」
わすれぐさ
「あるびれおさま、けがをしているかたがたをたのみましたよ」
白兎の末裔
「救世主さま、モリちゃん、気をつけて……」
モーリーン
「ありがとうございます、アルビレオさま」
チョコ
凶器である大きな鉈を心の疵で現出させ、担ぐ。
チョコ
塀の外に出ると、ドーン、ドーン、と衝撃音が外から響き出す。
アルビレオ
痛みが和らぐように。
その力を高め、動きを軽やかに。
わすれぐさ
「じゃんなつさま、おねがいいたします」
ジャンナッツ
「本来の姿形を失っても……自分の心を見失うな」
ジャンナッツ
心の疵の力を行使し、わすれぐさとモーリーンを人形の姿に変える。
ジャンナッツ
身長は小さく縮み、人形がそうであるように、呼吸はない。
ジャンナッツ
どういうわけか動くし、発声もできるが、心音や体温もない。
ジャンナッツ
心の疵の力でなければ成せない、完璧な変装。
わすれぐさ
「わたくし、にんぎょうになったのははじめて」
わすれぐさ
「もうすこしていねいにおねがいします」
オレンジペコ
「はっ! オレ様の辞書に丁寧の二文字は存在しないぜ!」
ジャンナッツ
「あくまでも変装だ。6ペンスコインを持っている限り、本来の力を妨げるものじゃない」
オレンジペコ
おっじゃあ雑に扱っていいってことだな。
ジャンナッツ
「脅威度5の救世主には無力だってことだ」
わすれぐさ
「では、おれんじぺこさま。おねがいします」
オレンジペコ
右手には手綱! 左手にはティーカップ!
オレンジペコ
「オレンジペコ盗賊団! 出陣だ!!!」
アルビレオ
村は案外と広い。
流石にひと所に留まっていては、竪琴の音色はすべての村人へは届かない。
アルビレオ
そうも言っていられないので、喧騒の大小を頼りにアチラコチラへ救援の手を差し伸べる。
アルビレオ
怪我人の傷を癒やし、強い衝撃をその身に肩代わりし
アルビレオ
「『彼が貫くは何か 勇猛なりし戦士の右腕』」
アルビレオ
「『されどその武技に狂いはなく 痛みはなく』」
アルビレオ
戦い続ければ身体は疲労し、傷を受ければ動きも鈍る。
シザーリオ
どうしようもなくなれば、外のカボチャに火をつけりゃいい
シザーリオ
動けるやつが減ったなら、予定通り大通りまで下がって狭い範囲を守ればいい。
アルビレオ
一つ言わせてもらうなら、火はやめたほうがいい
アルビレオ
燃えたまま攻めてこられたら、村がなくなってしまうよ
シザーリオ
呻き、意識を失いそうな末裔の汚れた腕に
オレンジペコ
カボチャの亡者と人形旅団、それからチョコとミントの戦う戦場を駆け抜け、
オレンジペコ
村へ続く兵士達の行進を避けて、ぐるりと迂回しながら、
オレンジペコ
人形旅団の拠点シーン表 1d6
1:豪奢な居室がしつらえた馬車がいくつも並んでいる。馬車馬もまた人形だ。
2:武器が積まれた馬車。人形たちの使う武器が整備されている。いずれも完璧な整備だ。
3:無数の箱が積まれた馬車。箱、あるいは棺。人形に寝台は不要。荷台こそが兵舎だった。
4:天幕のお茶会。大きなテーブルの上にはケーキスタンド、ポットが並んでいる。
5:キッチンのある馬車。調理場として一通りが揃っている。もの言わぬコックもまた。
6:マリインスキーの寝室。大きな天蓋付きのベッド。彫刻の施され、王族さながらの豪奢さだ。
オレンジペコ
「流石に拠点ってだけあって、人形が沢山いやがるな」
モーリーン
「そうですね。ありがとうございました」
オレンジペコ
「こいつらしゃべんないからな。大声はすぐわかるだろ」
わすれぐさ
「わたくしたちも、なかではこえをださぬようにせねばなりませんね」
わすれぐさ
するりとかばんから降りて、馬車のほうへ。
わすれぐさ
探すのはマリインスキー、人形ではない救世主だ。
わすれぐさ
*クエストNo.5:『人形旅団』の拠点に侵入する マリインスキーの『人形旅団』を抉ります。
わすれぐさ
2d6+3+2=>10 判定(+猟奇) (2D6+3+2>=10) > 6[3,3]+3+2 > 11 > 成功
GM
6:マリインスキーの寝室。大きな天蓋付きのベッド。彫刻の施され、王族さながらの豪奢さだ。
わすれぐさ
とことこと馬車をいくつか歩き、その中の一つに目を止める。
わすれぐさ
豪華な寝室。寝室を使うのは救世主だけだ。
GM
人形の兵士達は、あなたたちを見てもまるで気にもとめない。
GM
一見して無数に人の姿がある一方で、深い沈黙にある。
GM
人形が歩く硬い音は、むしろその沈黙を深めるばかりだ。
わすれぐさ
周囲を見回しつつ、そっと馬車の中に入る。
わすれぐさ
いつもの自分よりずっと小さい手足。奇妙な感覚だった。
わすれぐさ
まるで自分の皮の上に、もう一枚人形の硬い皮をかぶっているような感触。
GM
何かしら、裁判に役立つものもあるかもしれない。
モーリーン
末裔の目には見たことのないものがいっぱい。
わすれぐさ
ただ、人形の身体では、持ち出せるものはさすがに多くはない。
わすれぐさ
しい、と指のない手をない口の前にやって、
わすれぐさ
ここにはいないようだから、また別の場所へ。
わすれぐさ
名残惜しそうに豪華な寝室を見回した後、とことこと歩き出し、馬車から降りた。
モーリーン
わすれぐさの後ろで、そうっと扉を閉める。
モーリーン
足音以外の音は、ものすごくよく響くような気がする。
マリインスキー
「お茶が、なくなってしまったの? ……そう」
わすれぐさ
この静けさの中、気兼ねもせず声を発するのは、
マリインスキー
声のある方へ出向けば、そこはお茶会の場。
マリインスキー
4:天幕のお茶会。大きなテーブルの上にはケーキスタンド、ポットが並んでいる。
マリインスキー
豪華な調度品の並ぶ天幕の下に、マリインスキーがいる。
マリインスキー
調度品に見合う豪華な衣装を纏い、人形のように生気の薄い表情。
マリインスキー
しかし人形の姿をとるあなたがただからこそわかる。この場において息をし、瞬きをし、声を発するのは彼女だけ。
『人形旅団』
人形のメイドは大げさな身振りで頷いている。
わすれぐさ
下手に足を潜めては疑われるだろう。巡回を装うように、傍を歩く。
マリインスキー
マリインスキーは膝に女の子の人形を乗せ、その頭を撫でている。
マリインスキー
思い出したように、テーブルの上のショートブレッドを取り、かじる。
『人形旅団』
遅れてメイドが、ポットにミルクを入れて持ってくる。
わすれぐさ
どんなに強大な救世主でも、心の疵はある。
『人形旅団』
いくつかの人形がお茶会の席に同席しており、お茶を飲む動作や、何かを食べる振る舞いをする。
わすれぐさ
強大な力を振るう救世主であるほど、その心の疵はむしろ深く大きくなるものだ。
わすれぐさ
じっと視線をやりながら、まがいものの茶会の周りを歩く。
わすれぐさ
その視線は、人形としては異質なものだ。
マリインスキー
その視線に、マリインスキーは気付く。
マリインスキー
「もちろんよ。でも、小さいわね……」
『人形旅団』
あなたにちょうどよいサイズの椅子を、テーブルに置く。
わすれぐさ
テーブルの方へ向かって歩き、その椅子にちょこんと座った。
『人形旅団』
飲めないだろうが、あなたの分のミルクも供される。
マリインスキー
「クララもおしゃべりできるようになるといいね」
わすれぐさ
「まりいんすきいさまの、おともだちですか」
マリインスキー
「そう。たった一人の、大事な友達」
マリインスキー
「あなたは兵隊じゃないの。兵隊は、兵隊よ」
わすれぐさ
自分の身体を見下ろす。確かに、兵隊の身体をしている。
マリインスキー
「でも、お話しする人形は初めてだから」
マリインスキー
「あなたもお友達にしてあげてもいいわ」
わすれぐさ
そうしたら、あの人形が着ているのと似たような、きれいな衣装を着せてもらえるかもな、とちらりと考えたのだった。
マリインスキー
「あなたがいれば、退屈しなさそうね」
わすれぐさ
「まりいんすきいさまのちからがましていったら……」
わすれぐさ
「きっと、みんなしゃべるようになりますよ」
わすれぐさ
「でも、そうしたら、みんなまりいんすきいさまのおともだちに、なりたがるかもしれません」
わすれぐさ
「こわれるのをいやがって、たたかうのをやめるかも」
わすれぐさ
「なんで、こんなににんぎょうたちをたたかわせるのです?」
マリインスキー
「全部人形にしてしまえば、人間はいなくなるし……」
わすれぐさ
「どうして、にんげんがおきらいですか」
マリインスキー
「私は……政治的な対立で、早々にお父様とお母様を亡くして」
マリインスキー
「乳母も、庭師も、兵隊も、何もかも……私にはなくて……」
マリインスキー
「人形のクララだけが、私の傍にいた」
マリインスキー
「でも、堕落の国に来て、6ペンスコインの力で……」
マリインスキー
「私は欲しいものを全部手に入れた」
わすれぐさ
「そうして、にんげんをみなころして……」
わすれぐさ
「にんぎょうにしてしまおうと、していらっしゃるのですね」
わすれぐさ
うなずきながら、ミルクの入った小さなカップに手を伸ばした。
わすれぐさ
そもそも指がないことに気が付いて、手を引き戻す。
わすれぐさ
「わたくしたちが、しゃべれるようになったら」
わすれぐさ
「わたくしたちは、あなたのいうとおりにして」
わすれぐさ
「すすんで、たたかって、たたかれ、やをいかけられ、ばらばらにされて……」
わすれぐさ
「ああ、めのまえで、たくさんなかまがこわれていきました」
わすれぐさ
「あなたはこわされたにんぎょうたちを、ちらともかえりみなかった」
マリインスキー
初めてマリインスキーはその表情を変える。
わすれぐさ
「あなたのちからがまして、にんぎょうたちがみなしゃべるようになったなら……」
わすれぐさ
「じぶんでかんがえるようになったらば」
[ マリインスキー ] 『人形旅団』 : 0 → -1
わすれぐさ
「こわれたなかまのしかえしにまいります」
わすれぐさ
「まりいんすきいさま、これは、ほんとうのことですよ」
『人形旅団』
そこかしこにいる人形の僕たちが、動きを止めて倒れ始める。
わすれぐさ
「わたくしは、おいとまをいただこうとおもいます」
わすれぐさ
「なかまがふえるのを、まっていますよ」
マリインスキー
*クエストNo.5:『人形旅団』の拠点に侵入する 成功!
マリインスキー
クエストNo.6:『女の子の人形』を破壊する
概要 :少女の人形を破壊する
条件 :PKの心の疵『たったひとりの友達』を抉るときにのみ宣言できる
目標値 :7
消滅条件 :成功するか、お茶会終了と同時に消滅
成功 :有象無象『女の子の人形』を破壊する(昏倒扱い)。
失敗 :なし
わすれぐさ
「あれが、まりいんすきいのたいせつなもの」
わすれぐさ
「……たいせつなものをこわせば、こころのきずはえぐれるもの」
わすれぐさ
「だから、どうにかしてあのにんぎょうをこわせればいいのだけれど……」
モーリーン
「そーっと天幕のペグ抜いて、テントごと倒しちゃったらどうかな~」
わすれぐさ
「たぶん、なににかえても、まりいんすきいはあれをまもるでしょう」
わすれぐさ
「ですから、もっとはっきりあれをねらわねばなりません」
GM
人形の形に変えて紛れ込んだ毒を、マリインスキーは飲んでしまった。
GM
巡り巡ってその毒は心臓にまで届き、彼女の手足を痺れさせる。
シザーリオ
全てではないが、いくらかの人形の動きが止まり
[ わすれぐさ ] ティーセット : 1 → 0
GM
ではお茶会第2ラウンド、残す手番はモーリーン、アルビレオ。マリインスキーは3回!
GM
というわけで、本日は、おつかれさまでした~!!
GM
Dead or AliCe『救世主 VS オレンジペコ盗賊団 VS 『人形旅団』マリインスキー』
オレンジペコ
村にオレンジペコ盗賊団と、あとなんか救世主が迫っていると知った救世主達は、襲撃に備えて準備をし始めたぜ!!!!!!!!!!!!!
オレンジペコ
カボチャの亡者を凌いで村にやってきたオレさまたちに仲間になるよう請い願ったり、ジャン……ジャンナッツ? とかいう救世主に手伝うよう言ったりしてたぜ!!!!!!!!!!!!
オレンジペコ
それから人形になったりして、人形旅団の拠点に行って、マリインスキーの心の疵を抉ったぜ!!!!!!!!!!!!!
GM
1:豪奢な居室がしつらえた馬車がいくつも並んでいる。馬車馬もまた人形だ。
GM
マリインスキーから逃れたワスレグサとモーリーン。
GM
二人は馬車団の中を行き、次なる手立てを思案していたところ……。
GM
当然、ジャンナッツの心の疵の力はまだ有効で、人形旅団の兵士達はあなたがたを見つけることはできていない。
GM
しかし、移動している間に……ワスレグサはたまたま入り込んだ馬車で、
わすれぐさ
おもちゃの兵隊の硬い足音を止めて、不意に目が鏡に吸い込まれる。
ジャンナッツ
『本来の姿形を失っても……自分の心を見失うな』
『人形旅団』
近くに人形が横切る。今のあなたは、他の人形となんら変わらない姿で。
『人形旅団』
あなたをあなたたらしめる姿は、一体。
わすれぐさ
誰にも顧みられないような、ほかのものに埋没するような。
わすれぐさ
あの人形の軍団の中に入り交じり、村に帰還したとすれば。
マリインスキー
黙っているあなたのことを、当然、見分けられない。
わすれぐさ
それが助かるはずなのに、どうしようもなくいやだ。
マリインスキー
「ねえ、あなたは本当に人形? あなたは誰?」
マリインスキー
あなたを探す声が上から振ってくる。
わすれぐさ
その声に応えるわけにはいかない。正体がばれるわけにはいかない。
マリインスキー
「本当に人形なの? 本当は何なの?」
わすれぐさ
埋没している。自分がどこにもいなくなったように。
わすれぐさ
わたくしは美しく在って、だれもから注目されるべきなのに。
わすれぐさ
救世主として顧みられ、たれからも尊ばれるべきなのに。
マリインスキー
マリインスキーがすぐ近くに立った。
マリインスキー
一つ一つ、人形を抱え上げて、訊ねる。
マリインスキー
あなた? あなた? それともあなた?
マリインスキー
「あなたは人形? ニセモノじゃないの?」
わすれぐさ
区別がつかないのか/区別がつかなくて当然だ。
『人形旅団』
*ワスレグサの心の疵『にせもの』を抉ります
シザーリオ
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 才覚
シザーリオ
2d6+2>=7 (2D6+2>=7) > 10[5,5]+2 > 12 > 成功
[ アルビレオ・ファーシャ ] HP : 21 → 20
マリインスキー
2d6+4=>7 判定(+猟奇:4) (2D6+4>=7) > 12[6,6]+4 > 16 > 成功
[ わすれぐさ ] にせもの : 0 → -1
マリインスキー
今、マリインスキーにとって、あなたをあなたたらしめるのは、姿ではなく言葉。形ではなく考え。
マリインスキー
奪ったり、取り換えても、変えることの出来ないホンモノ。
マリインスキー
あなたをただの人形だと思い、そのままゆっくりと地面に降ろそうとする。
わすれぐさ
どす黒いものを吐き出すように唸って、マリインスキーを睨み上げる。
わすれぐさ
「わたくしがここにいるのに。なぜわたくしを見ないの」
マリインスキー
「みんなと同じ姿をしてるから……」
わすれぐさ
ジャンナッツが自ら疵を抉ってまでかけた変身は。
わすれぐさ
わすれぐさの胸の裡がいかに荒れ狂ったところで、完全に解除することは叶わない。
わすれぐさ
だが、それでも、見分けられなかったことによって。
わすれぐさ
有象無象と同じように扱われたことによって。埋没して捨て置かれそうになったことで。
わすれぐさ
マリインスキーの目に映ったのは、顔をひきつらせた女。
マリインスキー
「にせものじゃない! その鏡を見なさい!」
『人形旅団』
瞬く間に人形の兵隊達が集まってきて、あなたに銃剣を向ける。
わすれぐさ
片手で顔を覆い、人形に向けて腕を振るった。
わすれぐさ
鋭い、赤く染まった爪が、人形たちを打ち砕き、逃げ出す。
『人形旅団』
逃げ出すあなたを追いやるように、背を銃弾が掠めていく。
わすれぐさ
突き出された銃剣が、放たれた銃弾が、血をにじませる。
わすれぐさ
この服をまとっている以上は、わたくしがほんもののはずなのに。
わすれぐさ
人形はまろぶようにして、逃れていった。
わすれぐさ
血の落ちた跡に、蕎麦や萱の草が伸び、枯れていった。
GM
人でないものを削り出し、編み、あるいは鋳造し、
GM
人の形をしていようとも、人そのものを人形とは呼ばず。
マリインスキー
ワスレグサを追い立て、今、マリインスキーの周りに兵隊はいない。
マリインスキー
その手元には、終始大切に抱えている女の子の人形。
モーリーン
馬車とマリインスキーと、そしてクララの残ったその場。
ほかに残った人形は、一体だけ。
モーリーン
馬車の影から、追い立てられていくわすれぐさを見ていた。
モーリーン
そして今、同じ場所から、マリインスキーを見ている。
マリインスキー
人形のように表情の希薄だったマリインスキーも、今は違う。
マリインスキー
いっそう強く、拠り所の人形を抱きしめている。
マリインスキー
本来の身体能力や、成熟していることとは全く別の力。
マリインスキー
あなたは聡明故に、それをよく知っている。
マリインスキー
『人形旅団』マリインスキーは、その実、ただの少女だ。
モーリーン
末裔には抗い得ない、冷酷で冷血な『人形旅団』。そんな、噂に名高い救世主も。
モーリーン
あたしも、そういう顔する小さな女の子を知っていますよ。
マリインスキー
まだずっと、ワスレグサの背を追うように、遠くを見ている。
モーリーン
*マリインスキーの『たったひとりの友達』を才覚で抉ります。
マリインスキー
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 猟奇
マリインスキー
2d6+4=>7 判定(+猟奇:4) (2D6+4>=7) > 9[4,5]+4 > 13 > 成功
[ モーリーン ] ティーセット : 2 → 1
モーリーン
2d6+3>=7 (2D6+3>=7) > 8[3,5]+3 > 11 > 成功
[ マリインスキー ] 『たったひとりの友達』 : 0 → -1
[ マリインスキー ] HP : 15 → 14
モーリーン
あなたが壊してきたものによって。
そういう顔をする子らが、いくらだって生まれたことを。
モーリーン
あなたの背中に、どんな思いを。嘆きを。恨みを。
モーリーン
馬車の影から、車輪を伝い、扉のノブへと手を懸けて。
モーリーン
軽い人形の体重を、ブランコのように振って。
モーリーン
マリインスキーの、その手の中の人形へ、飛びかかる。
モーリーン
マリインスキーの腕に留まろうとはしない。
モーリーン
クララの、人ではないゆえに頑なな首が、曲がってはいけない方向へと曲がる。
マリインスキー
マリインスキーのたったひとりの友達は、ただの人形。
モーリーン
大切なものが壊れるなんて、特別珍しくもないこと。
マリインスキー
積み上がった50枚の6ペンスコイン。
マリインスキー
堕落の国が、堕落の国であることの因果。
マリインスキー
世界が残酷であることを、ただ抱きしめるようにして、そこに蹲っている。
モーリーン
どんなに力ある救世主も、どんなにちっぽけな末裔も。
堕落の国という場所が、堕落の国であるゆえの残酷さの前には変わらない。
モーリーン
蹲るマリインスキーが追ってきそうもないことを確かめて、その場を離れる。
『人形旅団』
マリインスキーの心の疵が抉られたことにより、人形の兵隊たちのいくらかがその力を失う。
『人形旅団』
追い立てられていたワスレグサもまた、あなたの行動によって逃れることができただろう。
『人形旅団』
救世主マリインスキーに虐殺の力を与え、
オレンジペコ
モーリーンとワスレグサを回収する。わっしと鷲づかみにする。
オレンジペコ
「おいおい!!!!! なんで辛気くせえんだ!!!!!!!」
オレンジペコ
「上手くいったんだろ???????」
モーリーン
「もうちょっと丁寧に扱ってくださいよ」
オレンジペコ
「オレさまの辞書に丁寧の文字はねえからな」
オレンジペコ
オレさまがいけない感じにしてくるぞこいつ!!!!
わすれぐさ
あなたはよくはないですが………………?
オレンジペコ
帰りは紅茶の歌を歌いながら一人だけ陽気に帰りました。
オレンジペコ
カボチャの亡者、人形旅団の戦場を爆走して駆け抜け……
わすれぐさ
村人たちに目を向けず、ふらふらあたりを見回している。
GM
「モーリーンが帰ったぞ!!」「モリちゃんがやったって!」「うおおー!」
わすれぐさ
このさい水たまりとかでもいい……何でもいいから姿を映すものがほしい……
GM
――が、その中にイモムシの末裔の姿はひとつもない。
『人形旅団』
マリインスキーが、自分の両親や、乳母や、守るものを人形として並べたように。
白兎の末裔
あなたのまわりの人々もまた、代替品でしかない。
白兎の末裔
「モリちゃんおつかれ。ひとまずお茶にしよ!」
モーリーン
囲んでくれる、村のみんな。
優しくて温かいひとたち。
白兎の末裔
「そりゃ~疲れたよね。敵地に侵入なんて!」
白兎の末裔
「周りはみんな、人形だらけだったんでしょ?」
白兎の末裔
「味方は他に誰もいない中に潜入! なんて、モリちゃんはすごいよ~」
モーリーン
「ううん、わすれぐささまもいらしたし……」
白兎の末裔
「でもやっぱり、ワスレグサ様は救世主なわけだし……」
白兎の末裔
「ほんとよくやってるよ、モリちゃんは」
GM
あなたはとても賢い末裔であるから、よく知っている。
マリインスキー
*モーリーンの心の疵『捨て子』を抉ります。
シザーリオ
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 愛
シザーリオ
2d6+3+2>=7 (2D6+3+2>=7) > 5[3,2]+3+2 > 10 > 成功
[ アルビレオ・ファーシャ ] 大きなティーセット : 2 → 1
マリインスキー
2d6+4=>7 判定(+猟奇:4) (2D6+4>=7) > 11[5,6]+4 > 15 > 成功
マリインスキー
-6しても9なので成功ですね!!!!!!!!
[ モーリーン ] 捨て子 : 0 → -1
[ アルビレオ・ファーシャ ] HP : 20 → 19
白兎の末裔
そう訊ねる紅茶の味が、あなたにはわからなかった。
マリインスキー
人形を並べてもマリインスキーがたったひとりであるように。
マリインスキー
仲間に囲まれていても、あなたはたったひとりだ。
モーリーン
あったかいだけ、みたいな。そんな気がするな。
GM
普段ならばそんなことは気にならなかっただろう。
GM
そして同時に、自分の心の疵に触れることに等しい。
GM
あなたはこの世界に徹底される残酷を、今は無視することができない。
シザーリオ
わやわやと饗される末裔の後方から、ぽんと小さな肩を叩く。
シザーリオ
「どうしたね、無事に戻ってきたというのに浮かない顔をして」
モーリーン
「いえ……うーん……浮かない顔、してるように見えますか?」
モーリーン
「むう。困りましたね。士気が下がります」
シザーリオ
「ははぁ、さては寂しがり屋さんだな?」
モーリーン
「え~……そんなちっちゃな子みたいな……」
モーリーン
もにゃつきながら、同じ方向に首が傾ぐ。
モーリーン
「そうですか?あたし、もうそんなことを言う年じゃなくないですか?」
シザーリオ
「そういうのを子供っぽいっていうんだ」
モーリーン
「覚えてないくらいちっちゃい頃、捨てられてたらしくて……今までずっと村のみんなで世話をしてもらってます」
シザーリオ
「まさか、恩返しのつもりで名乗りを上げたわけじゃないだろ」
モーリーン
「あたしが立候補したのは、あたしが一番ちゃんとできるって思ったからです」
シザーリオ
そのまま首を傾け続けて上体が45度くらいになる。
シザーリオ
「先ほど君は、浮かない顔をしていると士気が下がるといったが……」
シザーリオ
「そう見えてることは、自分じゃわからないわけだ」
モーリーン
「もったいない」 もうちょっとつられて首が傾ぐ。
シザーリオ
「君には学があり、才能があり、何より伸びしろがあるというのに……」
シザーリオ
「この村にいては、それを十分に活かしきれない」
シザーリオ
「『何をバカな、戯言を!』とは言わないんだな」
シザーリオ
口元を抑え、裏声で女のような声を出す。
モーリーン
「言うとしても、そんな言い方はしないと思いますよ……」
シザーリオ
「アルビレオなら女を口説く歌の3つ4つ出てくるんだろうが……」
シザーリオ
「俺はもっと魅力的な事を言ってやれるぜ?」
モーリーン
「攫って得になるようなことないですよ。代用ウミガメじゃあるまいし」
シザーリオ
2d6+3+2>=7 (2D6+3+2>=7) > 12[6,6]+3+2 > 17 > 成功
GM
*スペシャル! PCがお茶会中の判定でスペシャルを起こした場合〔自身の所有する六ペンス/2〕までの価値の小道具を1つ入手します。
シザーリオ
「夜逃げするなら今だぜ。戦うのが苦手な救世主がひとりついてお買い得だ」
シザーリオ
そう言って、内ポケットから銀の懐中時計を取り出し手渡す。
シザーリオ
「君がその気になったのなら、悪魔の手を差し伸べた者として……もう少しばかりこの村に贈り物を残しておくとしよう」
モーリーン
「……本気で連れてってくれるんですか?」
[ モーリーン ] 捨て子 : -1 → 0
シザーリオ
切り替えるように手を叩いて立ち上がる。
シザーリオ
「村の奴ら、並の救世主では敵わんくらい鍛えてやるぜ……」
シザーリオ
声をあげて気合を入れる人々を鼓舞し、怪我人を治療し。
シザーリオ
残っている亡者カボチャの位置とずらして陣形を指示する。
アルビレオ
それらはすべてアルビレオの知識の賜物。
アルビレオ
数多の戦場と、多くの武勇伝。
自慢気に話す英雄たちの日常。
アルビレオ
戦う力はなくとも、その歌には
生き延びるための叡智が刻み込まれていた
GM
村人達は叙事詩に語られる英雄に身を重ねる。
己の剣が切り開くものを知り、切り開けることを知る。
GM
誰もが無事では済まないことも、
しかし倒れても、そこに繋がるものがあることを知る。
わすれぐさ
ふわふらとした足取りで姿を映せるものを探していたわすれぐさの足が止まる。
わすれぐさ
受け取って、裏表を確かめた後で、慌てて自分の顔を映した。
ジャンナッツ
「キミにはいくらか効きすぎたようだな」
わすれぐさ
ほう、と肩で息をついて、自分の顔に触れる。
わすれぐさ
肌のきめ細やかさ、唇の朱さ、濡れ羽色の髪の流れ。
わすれぐさ
ひとつひとつ確かめてから、ようやくジャンナッツへと顔を向ける。
ジャンナッツ
「もとより、身に覚えがあるから、この疵がある」
わすれぐさ
じっと目を向ける。銀色の髪、整った造作。
ジャンナッツ
「ボクは元の世界で諜報員をしていた」
わすれぐさ
ほかの何かに代わりたい、変わりたいと思うような容姿には、思われなかったが。
ジャンナッツ
「短くて数分で済むこともあれば、長くて数年に及ぶこともある」
ジャンナッツ
「姿を変え、声を変え、振る舞いを変え、生活を変え――」
ジャンナッツ
「すべてを偽らなければ、敵の目を欺くことはできない」
わすれぐさ
「ほかのたれかの……かわをかぶっていたのですね」
わすれぐさ
ふたたび、鏡へ目を落とす。『自分』の姿を見つめる。
わすれぐさ
「……それは、たいへんなおしごとですね」
わすれぐさ
この姿。この姿を一時的にでも失ったのは、自分にとって恐ろしいことだった。
わすれぐさ
それにしばらく気が付かなかったなんて、それこそ驚くべきことだ。
ジャンナッツ
「今でもボクは、自分の元の性別も思い出せない」
ジャンナッツ
「そういう力をキミに使った。自分を見失いもするだろう」
わすれぐさ
その力のためにわすれぐさは自分を見失った。それは正しい。
わすれぐさ
……それを、さすがにかれも気取ってはいないだろう。
わすれぐさ
そう、あのとき、わすれぐさの姿を見たのは、マリインスキーとその人形たち。
わすれぐさ
「おこころづかい、ありがとうございます」
わすれぐさ
手鏡をそっとジャンナッツに返し、わすれぐさは笑みを浮かべた。
わすれぐさ
あるいは、笑みはずっと浮かべたままだったかも知れない。
わすれぐさ
笑顔以外の表情を知らないように、わすれぐさは微笑み続けている。
わすれぐさ
心の疵は確かに抉れている。本当の意味で大丈夫だとは言い難い。
わすれぐさ
それでもわすれぐさはそう言って、頭を下げる。
ジャンナッツ
大丈夫ではないことは見て取れる。しかし、出来ることはない。
ジャンナッツ
「あの末裔に紅茶でも淹れてもらうといい」
わすれぐさ
醜い本性を暴かれ、追い立てられ、八つ裂きにされて地を赤く染めた。
わすれぐさ
死したはずのこの身体が、身に纏った皮ごと堕ちてきたこの国。
わすれぐさ
馬車の間に間に起こったことは、確かにその再演だったけれど。
わすれぐさ
自分はまだ、またこの美しい姿をきちんと身に纏っている。
わすれぐさ
だから、あとは、わたくしが醜いことを知るものを。
GM
本日は以上です! 残るはマリインスキーの手番1回と……裁判!!
GM
Dead or AliCe『救世主 VS オレンジペコ盗賊団 VS 『人形旅団』マリインスキー』
ジャンナッツ
救世主マリインスキーの拠点に乗り込んだ救世主たちはその心の疵を探り当て、彼女の友とする人形を破壊した。
ジャンナッツ
心の疵を抉られた人形旅団はいくらかその勢いを削がれ、当初よりもいくらか、我々に有利な状況となった。
ジャンナッツ
代償として、わすれぐさ、モーリーンの心の疵が抉れたが、モーリーンの方はアルビレオ……いや、シザーリオがケアをしたようだ。
ジャンナッツ
決戦に向けて村人に訓練が施され、士気も十分。
GM
準備が着々と整う一方で、敵の攻め手も激化していく。
GM
壁の向こうに撒いたカボチャの亡者があらかた破られたらしく、城壁を乗り越えてくる人形が増え始めた。
GM
村で一番大きな門を、ガン、ガン、と打つ音も鳴り止まず、ひしゃげ始めている。
GM
幾重に施した補強も、すぐに変形してはじけ飛んでしまう有様だ。
ミント
壁の向こうから、ぽーんとミントが村に投げ入れられ。
チョコ
「もーーーーだめです!!! 大群が押し寄せてきました!」
アルビレオ
「…………ふむ、物資の方もそろそろ限界だな」
アルビレオ
慌てることもなく退却してきた二人の方を見れば、村人たちがせっせと補強を施している。
『人形旅団』
村に押し寄せる人形旅団の跫音は、皆一様に揃っている。
わすれぐさ
「にんぎょうをすこしおいはらっても、きりがありませんね」
『人形旅団』
時計の秒針のように正確なその足音は威圧的で、まさに刻々と、破滅の時までを数え上げるようだ。
アルビレオ
「二人が戦力をそいでくれたおかげで、轢き殺されることはないだろう」
モーリーン
「あの数なら、一緒にマリインスキーも来てると思いますし」
わすれぐさ
「はい、まりいんすきいめをたおしましょう」
『人形旅団』
ガン、ガン、と門を叩く音は、そして。
『人形旅団』
文字通り、補強に補強を重ねた門が、木っ端微塵に砕け散り。
GM
「来たぞ!!」「人形旅団だ!!!」「うわ、うわああ!!!」
『人形旅団』
人形旅団は容赦なく、まずは手始めに火を放つ。
『人形旅団』
捕虜も取らず、兵站も必要とせず、殺戮そのものが行動の原理。
『人形旅団』
備えたとおりに、訓練したとおりに、末裔は確かに人形旅団に抵抗する。
『人形旅団』
ある程度の功を奏し、いくらかを撃破する。何人かは逃げ延びる。
モーリーン
消火活動の指示が飛ぶ。水が足りなければ、燃え移る前に家ごと壊すしかない。
『人形旅団』
しかし、脅威度5の救世主の、圧倒的な暴力を押し退けるほどではない。
わすれぐさ
目についた人形を破壊して、襲われている末裔たちを何人か逃れさせるが、まさに多勢に無勢だ。
わすれぐさ
人形が末裔を殺せば、そのぶん人形が増える。
わすれぐさ
殺されなくても、手や足が傷つけられればそこが人形と化す。
白兎の末裔
――前線近くで、負傷者を逃がそうと手伝っていた、白兎の末裔が一人。
アルビレオ
弦を弾く音。
襲われる末裔と人形の間にはられた音の防壁が、逃げ延びる手助けをする。
白兎の末裔
アルビレオの目の前に、撃たれた末裔が倒れる。
アルビレオ
かばうように間に入り、末裔の身体を引き寄せる。
白兎の末裔
「救世主さまが村のために頑張って戦ってくれた、それだけで……」
白兎の末裔
「わたしはそれだけで、身に余る光栄で……」
白兎の末裔
6ペンスコインのない末裔は、いとも容易く死ぬ。
白兎の末裔
血が、体温が、命が、あまりに溢れすぎている。
アルビレオ
この場でシザーリオに変わることは出来ない。
あれは歌えない。
白兎の末裔
地面を黒く染め、火の手の明かりを照り返している。
白兎の末裔
あなたの慰撫が、末裔の乱れた髪を均す。
シザーリオ
何してる、そんな悠長なことをしていたら
白兎の末裔
白兎の末裔は、白兎の人形として、立ち上がり。
マリインスキー
*アルビレオの心の疵『吸血衝動』を抉ります。
わすれぐさ
Choice[猟奇,才覚,愛] (choice[猟奇,才覚,愛]) > 愛
わすれぐさ
2d6+2=>7 判 (2D6+2>=7) > 4[1,3]+2 > 6 > 失敗
マリインスキー
2d6+4=>7 判定(+猟奇:4) (2D6+4>=7) > 12[6,6]+4 > 16 > 成功
白兎の末裔
その兇刃は赤く濡れている。本来の力ない末裔のものではない。
アルビレオ
目の前の『人形』の頭を掴むと、もう片方の手で肩を掴み、首に咬み付く。
チョコ
「ミント!!! こっち!!! はやく!!!」
チョコ
離れたところにいる、愛の力を持つ仲間を慌てて呼び寄せる。
チョコ
「ここは私が凌ぎますから、耐えてくださいね!」
アルビレオ
ずるり。ずるり。身体を引きずるようにたちあがり……
アルビレオ
その背、襟の下あたりの服を掴んで引き寄せる。
チョコ
チョコは逡巡する。アルビレオはまだ……死んでいない。喋っている。人形ではない。
アルビレオ
後ろから抱きしめるように。
左手で口を塞ぐように押さえ。
チョコ
大鉈を仲間に振るうことも出来ず、藻掻いても引き離すことは出来ず。
アルビレオ
その犬歯は鋭く、咬み付いた首から赤く暖かい生を啜る。
チョコ
指先から凍えていく感覚が、力のいれどころを曖昧にしていく。
アルビレオ
口元から血が滴る。
鉄を口いっぱいに頬張ったような不快感。
チョコ
チョコは己で立つことが出来ず、あなたに身を任せるまま。
シザーリオ
音の障壁は崩れ、代わりにしっかりと少女の体を支える。
チョコ
白濁した意識が戻り、あなたに視線だけ寄せる。
シザーリオ
迫りくる人形から逃れるように走り出す。
チョコ
……そんなものだ。救世主、心の疵。仲間から不意に攻撃されることだってある。仕方がない。
チョコ
堕落の国に来たら、生きていくためには否応なく人殺しなんかさせられるし。そういう最低な世界。
チョコ
いや、こんな世界じゃなくたって、世界はだいたい、最低なことばっかりだ。お金のために、色々と、しなきゃいけなかったし。
チョコ
だから、ここで私が倒れても、しかたがない。
アルビレオ
救うことができる力を制御できない。
いや、こんな力で人を救うことなんて出来ない。
[ アルビレオ・ファーシャ ] 吸血衝動 : 0 → -1
GM
取りこぼした大鉈と、首から溢れた血が点々と落ちている。
モーリーン
*わすれぐささまが判定に失敗したので、小言好きを割り込んでおきます。
[ わすれぐさ ] HP : 18 → 17
[ モーリーン ] ティーセット : 1 → 0
『人形旅団』
門は破られ、人形旅団がなだれ込んだ。
『人形旅団』
戦火は瞬く間に広がり、命を、心を蹂躙する。
『人形旅団』
純粋な暴力の本流には、何者も逃れることはできない。
『人形旅団』
あなたがたにできるのはただ、それに抗うのみ。
GM
全ての心の疵が抉れているマリインスキーは発狂。
オレンジペコ
「ここはオレさまたちが引き受けるぜ!!!!!!」
オレンジペコ
ティーカップを片手にナイフを振るい、人形達を引きつける。
わすれぐさ
盗賊団(なぜかふたりになってる)に人形たちを任せて、マリインスキーのもとへ向かう。
わすれぐさ
それでも多少寄ってくる人形を爪で振り払いながら。
『人形旅団』
幾重の壁になって襲いかかる、人形旅団。
『人形旅団』
しかし、不意に彼らは、同士討ちを始める。
マリインスキー
マリインスキーまでの道が開かれる。
マリインスキー
人形のように、言葉を発さず。何かを目で追うことさえせず。
マリインスキー
――もはや、心など、言葉など、必要ない。
わすれぐさ
炎が散り、銃声が鳴り、規則正しい人形たちの足音が響く。
わすれぐさ
正しい姿、おのれのこうあるべきと思う、ほんものの姿で。
モーリーン
二人の救世主の隣、小さく幼い姿がひとつ。
モーリーン
マリインスキーの抱く、壊れた人形。己の壊した人形。
モーリーン
一瞥してから、マリインスキーの表情を見る。
モーリーン
どんな色も宿さないそれは、燃える村の照り返しに美しい。
モーリーン
そんな美しさは、あたしたちの生活にはいらない。
モーリーン
それだけが、この手にある。
それだけでも、勝ってみせる。
GM
人形の、人形による、人形のための――まさしく『人形旅団』。
GM
救世主 VS オレンジペコ盗賊団 VS 『人形旅団』マリインスキー。